Appendix

広告

Entries

治安が良い日本で治安悪化の嘘 若者の犯罪離れで殺人減少、凶悪少年犯罪も昔の方が多い


 いろいろ書いていたのを「治安が良い日本で治安悪化の嘘」というテーマでまとめようと思い、先にタイトルだけ変更。とりあえず今は、<殺人が多かったのはむしろ昔で終戦直後から1960年代初め>、<若者の犯罪離れ…犯罪が増えているのは高齢者という不都合な真実>、<若者の犯罪離れの一方で高齢者の犯罪率増加 なんと以前の3倍に!>などの話をまとめています。

冒頭に追記
2022/07/29追記:
●若者の犯罪離れの一方で高齢者の犯罪率増加 なんと以前の3倍に! 【NEW】


●若者の犯罪離れの一方で高齢者の犯罪率増加 なんと以前の3倍に!

2022/07/29追記:他の投稿を読み直していて、高齢者犯罪の話があったのでこちらにも紹介しておきます。件数ではなく、犯罪率として増えているとのこと。犯罪件数は数え方の問題があるのですが、全体として減っている中で高齢者の犯罪だけ異常に増えているというのはやっぱり驚きですね。

 高齢者犯罪の話があったのは、高齢者は脳が弱りキレやすくなると説明するNews Up キレる高齢者増えた?その訳は‥‥ | NHKニュース(2017年7月28日 17時17分 ネットワーク報道部 管野彰彦記者)という記事。法務省の犯罪白書によると、2015年に刑法犯で検挙された65歳以上の高齢者は4万7632人。これは、平成元年に比べて7倍以上に増えているという数字です。

 高齢者人口自体が増えているために、高齢者の犯罪が増えることは当然といえば当然。ただ、65歳以上の人口10万人あたりの「割合」で見ても、3倍以上に増加していることがわかっています。つまり、単純に人口が増えただけでなく、犯罪を犯す割合が激増。本当に高齢者が犯罪を犯しやすくなっているようです。


●日本の治安悪化は嘘?殺人が戦後初1000件未満 窃盗も100万件割れ

2014/1/11:「最近日本も物騒」「日本の治安は悪くなっている」という主張をする人にとって都合の悪いデータというのは結構あります。殺人事件、戦後初めて1千件下回る 13年の認知件数:朝日新聞デジタル(吉田伸八 2014年1月10日10時01分)というのもそういったニュースです。

 警察庁は、2013年の1年間の刑法犯の認知件数を発表しました。全体で132万748件で、11年連続の減少。このうち殺人(未遂を含む)は939件まで減り、戦後初めて1千件を下回りました。同じく窃盗も98万6309件で1973年以来、40年ぶりに100万件を割るという少ない数字です。

 窃盗は2002年をピークに減り続けており、昨年は前年より約5万4千件(5・2%)減少。空き巣などの侵入盗やひったくり、車上狙いなどの減りが目立ったといいます。窃盗はわりとピークが最近ではあったんですね。それが40年前レベルまで一気に減ったというのは、不思議な話なんですが…。


●殺人が多かったのはむしろ昔で終戦直後から1960年代初めまで

 一方、殺人のピークはずっと前です。警察庁によると、殺人は戦後すぐから1960年代初めは年間約2500~3千件に上っていました。しかし、その後は減少傾向が続いてきました。昨年も、前年より91件(8・8%)も減っています。

 終戦直後から1960年代初め頃が多くて、その後減少傾向というのは、つまりその頃が一番悪かったということ。「昔は治安は良かった」ってのは大嘘なわけです。

 一方、凶悪犯罪なら増えているんだ…という主張もあるのですけど、凶悪犯罪の定義が一定ではないので、この主張にはいろいろと問題があります。そういう意味で一番信頼性が高いのは「殺人」。「殺人」は今も昔も重大犯罪で、見過ごされるケースも他と比べると少なめなためです。で、この殺人で見ると、前述の通り「昔は治安が悪かった」となるわけです。

 もちろん現代型の犯罪というものもあり、すべてが良化しているわけではありません。<一方、詐欺は3万8326件で10・5%増えた。このうち、「オレオレ詐欺」などの振り込め詐欺は45・2%増の9210件。詐欺全体の増加分の8割近くを振り込め詐欺が占めた>という話がありました。ここらへんは「昔は良かった」派の人が錯覚している理由の一つかもしれません。


●警察庁「殺人が減った理由は理由はよくわからない」

 別の記事も探しました。私は特に窃盗の劇的な変化の理由を知りたかったのですが、殺人の方なら説明がありました。でも、曖昧で頼りないものです。警察庁は「確たる理由は分からないが、戦後間もない頃と比べて社会が豊かになり、治安も良くなったことが考えられる」と分析しているんだそうな…。
(時事ドットコム:殺人事件1千件下回る=昨年の認知、戦後初-窃盗は40年ぶり90万件台・警察庁(2014/01/10-06:35)より)

 治安が悪くなっていてほしい人というのはどういう思想の人なのかよくわかりませんが、「治安も良くなったことが考えられる」だそうです。気になるのは、検挙率が低下しているということ。別記事によると、事件の摘発は9年連続で減少して、検挙率は29.8%と、8年ぶりに30%を下回ったそうです。
("「去年の「刑法犯」検挙率、8年ぶり30%下回る」 News i - TBSの動画ニュースサイト"(10日05:00)より)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2099402.html

 なぜこれが気になったのか?というと、検挙率の低下でも「治安を良くする」ことは可能なため。もし犯罪は減っていないのに検挙率が下がっただけ…となると、たいへん困った話です。

 一応警察庁の説明によれば、"職務質問による摘発や窃盗事件の余罪の摘発が減少していることが、検挙率の低下を招いていると分析してい"るそうです。"職務質問による摘発"って怪しいと目をつけていちゃもんをつけるやつですかね? じゃあ、職務質問ってやっぱりかなり精度悪いんじゃ…。

 あと、この検挙率なのですけど、さっき言った「殺人」というのは実を言うと高く、検索してみると100%近くだとありました。これはさっき言った「見過ごされるケースも他と比べると少なめ」というものなのですけど、「少なめ」ってレベルじゃありませんね。圧倒的でした。

 治安を見るなら「殺人」で比較した方が良いというのは、こういう理由。信頼性が他の犯罪より高い数字なのです。そして、この最も信頼性が高い殺人件数から考えると、検挙率が低下したせいで治安が良くなっているように錯覚しているのではなく、実際に治安が良くなっているのだと考えられます。


●治安悪化で日本の犯罪件数・凶悪事件増加…は嘘

2014/4/16:今回取り上げるのは、犯罪急減の正体 犯罪しない若者たち - WEBRONZA(河合幹雄 2014年01月28日)という記事。うちのタイトルに入れた「若者の犯罪離れ」は、こう言ってしまうのはどうかなと思うものでしたが、他に良い言い方が思いつきませんでした。有料記事のせいかこの「若者の犯罪離れ」に当たる部分は少ししか読めず。しかし、拡大を続けた後今度は減り続けているという、不思議な犯罪件数の推移に関する説明部分は非常におもしろかったです。

 作者の河合幹雄桐蔭横浜大法学部教授はまず「一般刑法犯認知件数は、犯罪者の活動ぶりよりも警察のキャパシティーを反映するものである」と指摘。わかりづらい言い方なんですが、たぶん犯罪件数は治安どうこうよりも、警察側の検挙能力、警察官の人員などに左右される部分が大きいという意味でしょう。

 上記のうち警察側の検挙能力がもし下がっているとすれば、たいへんなことでしょう。ただ、同じページにまとめた前半の話で書いたようにその心配はなさげ。また、検挙しやすい犯罪ばかり熱心にやる…という弊害も出かねないため、検挙率が高ければ高いほど良いともいいきれないところがあります。

 このことと絡む話になりますが、私がより重要だと思ったのが河合教授が上げたもう一つの理由、統計の取り方も一定ではないという話です。統計の取り方次第で犯罪が増減したり、凶悪犯罪にしたりしなかったり…となると、本当に治安が悪化しているのかどうかはわからなくなります。

 先の「キャパシティー」という話に絡めば、人員がたくさんいれば軽微な犯罪を多数検挙して、犯罪件数を増やすというのも理論上可能です。現実には警察官の実績になりやすい検挙と、そうじゃないのがあるらしいので軽微なものはあんまり好まないのかもしれませんが、このエピソード自体が犯罪件数のアテにならなさを示すものです。

 とりあえず、河合教授はこの統計の取り方のせいで、2002年をピークとする犯罪激増は、幻であるとしていました。そして、次に問題になるのは、その後の犯罪急減が本物なのかということになるとしていました。


●統計が不確かな中で最も信頼できるのは殺人事件

 この犯罪急減が本物なのか?というのが今回のテーマで、一つの目安となるのは殺人事件の件数です。同じページにまとめてしまったせいで前半の話とも重なるのですが、以下のような理由で、殺人事件は他の犯罪よりは信頼性が高いと考えられます。

・様々な理由で統計の取り方が変わっても、殺人は、どの年代でも最重要犯罪である。
・未遂は変更の余地があるとしても、死者の数を、事故扱いで減らすことはあまり考えにくい。

 殺人事件は前述の"2002年をピークとする犯罪激増は、幻"の論拠となっているようです。犯罪激増とされた時期に"殺人被害者数は少しも増加し"ていなかったため。そして、"ここ十年の殺人事件の減少スピードは凄まじ"く、"この観点からは、犯罪急減は本物ということ"になります。

●放置されてきた犯罪を発見すると、犯罪件数が増えるという矛盾

 ただし、凶悪事犯はこの殺人の他、強盗、強姦といった強い暴力が伴う事件が大幅減しているものの、"粗暴犯のくくりでは減っていない"そうです。やはり危険…と思うかもしれません。ただ、薄々感づいていると思いますが、他と傾向とここだけ違うということはこちらに何か問題がある可能性が高いんですね。

 実際、河合幹雄教授が"細かく見ていくと、親族間の暴行"であるDVと児童虐待が激増しているということがわかりました。これは実際に事件が多発している可能性もあり、全部が嘘とは思えないものの、「これまで見過されていた犯罪がカウントされはじめた」疑いが強く、「半分本当のような状態と推察」されています。

 この関係で言うと、「児童虐待の防止等に関する法律」の施行はポイントの一つでしょう。Wikipediaによると、この法律は児童虐待を防止するもの。これにより、昔より監視が強化される流れになりました。つまり、見えなかった犯罪が見えるようになっただけという可能性があります。

<児童虐待の定義>
・身体への暴行
・児童へのわいせつ行為と、わいせつ行為をさせること
・心身の正常な発達を妨げる減食・長時間の放置
・保護者以外の同居人による前記の行為と、その行為を保護者が放置すること
・著しい暴言・拒絶的対応・著しい心理的外傷を与える言動を行うこと

 <2000年(平成12年):深刻化する児童虐待の予防、および対応方策とするために制定>とあるので、施行は2001年だと思われます。犯罪数の幻のピークは2002年なので、この法律が今まで未発見だった「児童虐待」の発見に役立って、粗暴犯が見かけ上減っていないように見えたのかもしれません。もちろん「児童虐待」の発見自体はとても良いこと。ただ、犯罪を見つければ見つけるほど、犯罪件数が増えて治安悪化と誤解する人が出てくる…という矛盾には注意が必要なのです。


●日本の治安は悪化していない…最も減った殺人の種類とは?

 犯罪件数についてはここまで。以降は最初の記事犯罪急減の正体 犯罪しない若者たち - WEBRONZA(河合幹雄 2014年01月28日)に戻って、犯罪の中身についてです。河合幹雄教授は、犯罪の件数だけでなく、犯罪事件の傾向も大きく変化していることを指摘していました。

<殺人によって死亡した人員は10年で3分の2になっているが、内訳が興味深い。殺人の被害者は、男性が多いのが常識であったが、男性の殺人被害者の死亡者数は、10年で半減している。それほど減らなかった女性の被害者数が男性をしのいで多数派となってしまった。また、殺人は、過半数が家族内で発生するものであったが、親子間殺人数は変化なし、配偶者は減少、合わせるとそれほど減っていない。それに対して、最も減ったのが、知人友人間である。知人友人間は、男同士の喧嘩が含まれるが、これが大幅減のようである>

 日本は最近民度が下がったって言われていますが、民度の低そうなケンカ殺人は激減しているんですね。あと、増減・推移といった話には関係ないですが、こういうケンカの際に銃がある国ってたいへんですよね。元記事消えちゃっているものですが、発砲事件ではお馴染みのアメリカの例を挙げておきます。

・米の大学生マンションで発砲、3人死亡 TBS
<アメリカ南部アラバマ州にある大学生用のマンションで9日夜、発砲事件があり3人が死亡しました。
 事件があったのは、アラバマ州オーバーン大学の近くにある大学生用のマンションです。現地時間9日午後10時から11時ごろ、このアパートのプールで開かれていたパーティーで、男性らが女性をめぐって口論となり、このうち2人の男性がほかの男性らを殴ったりしたところ、殴られた男性側が発砲を始めたということです。(11日07:15)>
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5051949.html


●若者の犯罪離れ…犯罪が増えているのは高齢者という不都合な真実

 再び最初の記事に戻って、うちのタイトルにした「若者の犯罪離れ」に当たる部分は以下のところでした。

<強姦を見ると、若い世代が激減、特に、10代20代の強姦犯は少ない、凶悪事件だけでなく、全てにおいて、高齢者の犯罪が増えて、少年や、若者の犯罪が減っている。
 暴力的でない罪種については、窃盗が大きく減少し、振り込め詐欺を含む特殊詐欺が大幅増である>

 高齢者の犯罪増加は、高齢者自体が増えていますので不思議はなく、これも錯覚の可能性があります。ただ、とりあえず、犯罪を犯す高齢者増加という話題は、地味ながらもちょくちょくニュースになっており、ちょっとしたトレンドみたいですね。うちでも昔書いた記憶があります。

 高齢者にとっては若者の犯罪が増えていないってのは納得行かないかもしれませんが、悪いことじゃないので喜んでください。


【本文中でリンクした投稿】
  ■詐欺に騙される方が悪い…が詐欺を増やす理由 典型的な詐欺の手口「高利率・元本保証」「高齢者狙い」など

【関連投稿】
  ■新聞も不細工を犯罪者扱い 一方でイケメン殺人犯や性犯罪者も「100人くらいの女性と関係を持った」
  ■元少年Aの絶歌、百田尚樹の殉愛に似てる?太田出版は永遠の0の出版社、幻冬舎と縁あり
  ■1982年生まれは犯罪者が多い?酒鬼薔薇聖斗、パソコン遠隔操作など
  ■社会・時事問題・マスコミについての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

世界一スポーツ選手の平均年収が高いのはサッカーでも野球でもない
チャッカマンは商標・商品名 じゃあ正式名称・一般名称は何?
ジャムおじさんの本名は?若い頃の名前は?バタコさんとの関係は?
ワタミの宅食はブラックじゃなくて超ホワイト?週5月収10万円
朝日あげの播磨屋、右翼疑惑を否定 むしろ右翼に睨まれている?
レーシック難民は嘘くさいしデマ?アメリカの調査では驚きの結果に
赤ピーマンと赤黄色オレンジのパプリカの緑黄色野菜・淡色野菜の分類
アマゾンロッカーってそんなにすごい?日本のコンビニ受け取りは?
就職率100%国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
ミント・ハッカでゴキブリ対策のはずがシバンムシ大発生 名前の由来はかっこいい「死番虫」
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台
ビジネスの棲み分け・差別化の具体例 異業種対策には棲み分けがおすすめ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
トンネルのシールドマシンは使い捨て…自らの墓穴を掘っている?
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由
好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?
大塚家具がやばい 転職社員を通報、「匠大塚はすぐ倒産」とネガキャン
不人気予想を覆したアメリカのドラえもん、人気の意外な理由は?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由