a2014/1/13:
●バリアフリーじゃなくてバリアアリー 夢のみずうみ村方式の介護
●自己選択重視など…夢のみずうみ村方式と通常の施設との違い
●「気分しだい」や「何もしない」もある多様なプログラム
●脳の活性化を促すために、施設内通貨をやりとりすることも
●手厚い介護は逆効果?逆に利用者の生活力を奪うという矛盾
●バリアフリーじゃなくてバリアアリー 夢のみずうみ村方式の介護
2014/1/13:うちではあんまりやらない介護の話。最初「バリアフリー」と誤読しちゃったのですが、「バリアフリー(障害なし)」ではなく「バリアアリー(障害有り)」というコンセプトみたいですね。
高齢化に伴い、お年寄りにやさしい街づくりが推進され、至る所でバリアフリーが定着。一方、バリアアリー」というコンセプトのもとで、あえて段差や階段を設けたり、廊下に手すりを付けないなどの独自の方針を打ち出し、注目を浴びている介護施設が「夢のみずうみ村」です。
(
段差だらけの「バリアアリー住宅」介護業界を驚かせた取り組みの狙いとは?|ダイヤモンド・オンライン 2013年11月7日 加藤 力 より)
下書きのときには書いていませんでしたが、ネットの人は高齢者や障害者に対して冷たいのでここに少し補足。この介護施設をもってして「バリアフリーは甘え」みたいなことは書かないでくださいね。至る所でバリアフリーが定着しているというのは、公共の場ですから全く間違いではなく、むしろもっとやるべきだと考えられます。
不特定多数の人が使う場所においてはその設備を使えない人や使いづらい人が出てくる「バリアアリー」は選択できません。業者の方針で利用者が選択可能な介護施設や、住む人の自由である住宅などといっしょにしてはいけませんよ。
●自己選択重視など…夢のみずうみ村方式と通常の施設との違い
では、「夢のみずうみ村」の話に戻ります。フランチャイズ事業を宣伝した
オフィシャルサイトの事業紹介では、夢のみずうみ村方式としての特徴を説明していました。ここではよその場所とどう違うか?というのも載っていましたので、以下、「一般的な運営方針・内容 → 夢のみずうみ村の運営方針・内容」で書き直してみます。
<プログラム>
集団プログラム中心 → 個人プログラム中心
ほぼ定例化したメニュー → 個人の自己選択制によりばらばら
メニューに限りがあり少ない → 多種多様で豊富なメニュー
<スタッフ>
全面的にお世話・介護をする → できる能力を見守る介護
<利用者>
利用者本人が休むための施設 → 利用者自身の能力を伸ばす施設
<家族>
家族が休むための施設 → 家族も生きがいをもって楽しむ施設
<施設>
高齢者を一日お預かりするところ → リハビリテーションするところ
●「気分しだい」や「何もしない」もある多様なプログラム
これだけだと宣伝ばっかであれなので、ダイヤモンド・オンラインから具体的な話。上の違いで出てきた「プログラム」の例でが出ています。
上記にもあったように、プログラムは利用者が1日の行動を自分で決めていくシステム。夢のみずうみ村新樹苑の管理者、半田理恵子さんは、「普通は施設が用意したプログラムを全員が同じように受けるのですが、うちは朝来所してまず自分でやりたいメニューのプレートを貼っていくのです」としていました。
例えば、「カラオケ」「パン作り」「料理教室」「カジノ」「パソコン」「気分しだい」「何もしない」など。前述の通り豊富ですが、「気分しだい」や「何もしない」があるってのもおもしろいですね。利用者が自ら楽しみ意欲的に取り組むことで、自然と脳を活性化させるというのが狙いだそうな。
●脳の活性化を促すために、施設内通貨をやりとりすることも
さらに、こうしたメニューへの参加は、すべて施設内通貨「ユーメ」でやりとりするというのも特筆すべき点でしょう。利用者は最初に7000ユーメを支給され、メニューの参加費を支払いながら通貨を自己管理していきます。
半田さんは、「支払うだけでなく、朝バイタルを計ったら50ユーメをもらえるなど、ゼロにならないよう配慮がなされています。こうしてお金を自己管理することも脳の活性化につながるのです」としていました。
プログラムで見られた特徴の多様性というのは、食事でも見られます。利用者がテーブルに坐って食事が配膳されるのを待つのが、普通の施設では普通。しかし、ここはバイキング形式。利用者はそれぞれ自分の箸、茶碗、湯呑みを使用するのですが、ここでまたひと工夫。それらが収納されている箱の中から自分のものを探さなくてはいけないのです。
トレーにマイ食器をのせて、料理を自分で取り分けていく。メニューを取るために机に寄り掛かりながら移動し、しゃもじを使ってごはんをよそうなどの行為すべてが、身体や手指を動かすリハビリになるとされていました。
●手厚い介護は逆効果?逆に利用者の生活力を奪うという矛盾
タイトルになっている「バリアアリー」の話が短かったので、ここを再びオフィシャルサイトから補足します。
夢のみずうみ村とは - 夢のみずうみ村の特徴「1.バリアアリー」では、以下のような説明がありました。
<夢のみずうみ村には、段差、坂、階段等日常で遭遇する可能性のあるバリアを意図的に配置した「バリアアリー」施設です。どこにも手すりがあって、段差がない施設は、高齢者が自らがんばって、身体を回復させようとする意欲を奪ってしまうという考え方によるものです。
バリアを意図的に設けて、バリアの克服方法をマスターしていただき、自宅での生活範囲を広げていただくことを目的としています>
ダイヤモンド・オンラインによれば、施設代表の藤原茂さんは、作業療法士として、高齢者リハビリテーションなどでの手厚い介護が逆に利用者の生活力を奪うという矛盾を経験したそうです。
このような矛盾はリハビリ施設に通うような高齢者に限らずあるでしょうね。たとえば、歩くのが苦手な人は疲れるのでなるべく歩かないようにしますが、適度な負荷をかけなければますます足腰は弱っていきます。
ただし、過酷な運動を課せば怪我に繋がりかねず、それもまた問題だということも私は強調しておきたいところ。なので、バランスを考える必要があると思いますが、コンセプトとしては理解できます。
【関連投稿】
■
老人VS子供 「子どもの公園や幼稚園での私語禁止!」 訴訟相次ぐ 老保一元化は夢のまた夢か? ■
寝たきり高齢者問題は欧州にない 理由は延命しないため ■
長寿遺伝子の操作で寿命が延びる?酵母菌で初確認 小林武彦教授のグループ ■
日本人の平均寿命 26年連続世界1位だった女性が震災で首位転落 ■
日本の餓死者数2053人は間違い、2011年は45人 過去30年の最高は93人 ■
その他の医療・病気・身体について書いた記事
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|