2014/1/13:
●いかにも俗説な「テレビを見ると頭が悪くなる」って本当?
●頭が悪いからテレビを見る…という順番?
●大人にも悪影響?受動的になって思考しなくなるという問題
2018/12/23:
●疑似科学批判のある川島隆太教授の研究だけれども大丈夫?
2020/04/25:
●高齢者でもやっぱり同じ?テレビの視聴時間と記憶力低下の研究
●テレビではなく長時間座るのが悪いという説、データで見てみると?
●いかにも俗説な「テレビを見ると頭が悪くなる」って本当?
2014/1/13:「テレビを見ると頭が悪くなる」というのは俗説っぽいのですけど、これについて研究した人がいるそうな。長時間視聴、脳の成長に悪影響 テレビっ子、言語能力低下(2013年11月21日木曜日 河北新報)では、以下のように書いていました。
<東北大加齢医学研究所の川島隆太教授(脳科学)と竹内光准教授(同)らのグループは20日、子どものテレビの長時間視聴が、言語知能などをつかさどる脳の前頭極に悪影響を与えるとする研究結果を発表した>
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/11/20131121t15018.htm
記事によると、従来、心理学研究でテレビが子どもの読書能力や注意能力を低下させることが確認されていたものの、脳のどの部分に作用するかが明らかになったのは初めてだとのこと。つまり、テレビを見ることが、もともと「読書能力や注意能力を低下させる」ことはわかっていたようです。
「テレビを見ると頭が悪くなる」なんて話の類は、「ゲームをやると犯罪者になる」などといっしょで、私はもともと馬鹿らしいと一笑に付すような言説だと思っていました。ところが、ネットの皆さんはテレビ叩き、マスコミ叩きが好きですので、この問題は大いにウケたようです。
●頭が悪いからテレビを見る…という順番?
そういった感想の中には、「もともと頭が悪いからテレビを見るのでは?」と書いている人がいました。私も冒頭の時点はそう思いました。追跡調査をして能力が低下しているのを確かめないと、「テレビを見ると頭が悪くなる」とは言えません。しかし、ちゃんとやってるみたいです。
記事によると、これは、脳画像解析と追跡調査によって解明したもの。「テレビを1日に何時間見るか」といった生活習慣を問うアンケートと知能テストに加え、脳を磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影し比較検討したそうです。
2008年7月に始まった1回目調査で「テレビを長時間見る」と答えた子どもほど、3年後の2回目調査の知能テストで言語能力が低い傾向があった。
脳画像解析による調査では、本来、成長に伴って減少する灰白質と呼ばれる部分が、「テレビを長時間見る」と答えた子どもの方が減少幅が小さかった。
この傾向がみられたのは前頭前野の一番前側にある前頭極などで、自ら考える高次認知機能を担うとされる。この部分での発達の遅れが言語能力の低下に関連していると考えられるという。
●大人にも悪影響?受動的になって思考しなくなるという問題
その他の感想としては、「テレビというより内容が悪い」「子供に限らず大人にも悪影響」といった感想もありました。内容の問題ではないものの、「大人にも悪影響」の可能性は感じました。受動的になってしまうため、自分で考える時間が少ないという問題が考えられるためです。
私が読んだのは幼児のものであり、今回の調査対象である「5~18歳」とはだいぶ異なるのですが、
幼児教育で赤ちゃん用DVDは逆効果、幼児IQには2年で既に相関性無しでは以下のような話が出てきました。
間違いだらけの子育て―子育ての常識を変える10の最新ルール
のレビュー
ワシントン大学の研究によれば、赤ちゃん用DVDを観る時間が長い子供ほど、しゃべれる単語数が少ないことが判明した。例えば、1日のDVD視聴時間が1時間の乳幼児(1歳未満)は、全くDVDを観ない乳幼児に比べて、知っている言葉の数が6~8語少ない。このような乳幼児が理解できる単語の数は平均で16語なので、6~8語を知らない差は大きい。
ワシントン大学のパトリシア・クール博士の研究によれば、赤ちゃんの脳はビデオテープやオーディオテープから流れる外国語を全く学習しないことが判明した。しかし、赤ちゃんは、目の前にいる人の口から出た言葉は無条件に学ぼうとする習性がある。
うーん、やっぱり関係ないかな? さっき書いた「思考力を発揮する時間がない」ってことの方が大きいのかも…といった感じで、こんな風にいろいろと自分で考えてみるってのがいいんじゃないでしょうか?
●疑似科学批判のある川島隆太教授の研究だけれども大丈夫?
2018/12/23:今回読み直して、あっ!と思いました。ニセ科学批判のある川島隆太教授の研究です。当時は知らなかったのか、何も触れていませんね。紹介しちゃいけなかった話かもしれません。
また、川島隆太教授うんぬんに関係なく、改変前のうちのタイトルである「テレビを見ると頭が悪くなる?長時間視聴の子供、言語能力低下」を見た時点で思ったのは、「長時間」がポイントではないか?ということ。テレビそのものが悪いというよりは単純に長く時間をかけているため、他のことができなくなるという問題です。
タイトルの時点でこれをパッと思いついたのは、後にゲームの研究かなにかで時間との関係を読んだため。ちょっとどこで紹介したか思い出せないのでうろ覚えなのですけど、極端に長い時間でなければ問題ないという結果になっていたはずです。
テレビの研究も、極端ではないテレビ視聴時間でどのような差が出たか知りたいですね。極端じゃなければ大丈夫で、子供のテレビ視聴時間を厳しく制限する必要はない可能性を感じます。
●高齢者でもやっぱり同じ?テレビの視聴時間と記憶力低下の研究
2020/04/25:研究論文が間違っているというのは日常茶飯事であり、ひとつの論文が出て決定なんてことはありません。類似した研究がたくさんあった方が良いですね。で、別の研究の話も見つけたので、追加します。
これは、
テレビ見過ぎの年配者、記憶力低下 刺激がストレスに?:朝日新聞デジタル(小坪遊 2019年3月6日 11時46分)という記事の載っていた話。つまり、また、テレビ視聴で悪影響という説でした。
英国の研究チームが、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに論文を発表しました。50歳以上の男女計約3600人(平均67・1歳)を対象に、1日あたりのテレビ視聴時間と認知機能との関係を調べるために単語記憶テストを受けてもらったものです。
テストは、6年間の間隔をあけて2回実施しており、こちらも追跡調査を行ったものでした。高齢者ですのでテスト結果は加齢とともに低下しましたが、低下具合で差が出ました。テレビを1日平均3・5時間以上見ていた場合は、そうではない人より有意に下がっていたといいます。
●テレビではなく長時間座るのが悪いという説、データで見てみると?
ただ、ちょっと気になるところもあります。例えば、記憶力低下しづらい頭の良い人が、もともとテレビの視聴時間も短いだけ…といった可能性が考えられますからね。<性別や年齢、喫煙などの習慣の違いを考慮しても、この傾向は変わらなかった>とはあったものの、学歴や職業、年収などを考慮したかは不明です。
とりあえず、研究チームは、テレビを長時間見ることで、読書など認知機能によい影響を与える頭を使う時間が減ることや、暴力や災害など刺激の強い番組がストレスになる可能性を指摘しています。一方、テレビを長く見ると、座ったままの姿勢が長くなるため、それが記憶力を衰えさせるとする説もあったものの、今回の研究で否定されました。
また、テレビゲームやインターネットなど、「双方向の活動」は認知機能に良い面もあるとされていたとのこと。
依存症対策でゲーム1日60分の規制条例、専門家でも意見が分かれるなどでわかるように、ゲーム嫌いの人が結構いるのですけど、むしろ良い面もあるんだそうです。
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