2019/09/25:
●太っている人にスポーツしろ!は非現実的…食事以上に個人差がある運動
●運動嫌いの人に運動させたら危険だし、ますます運動しなくなる
●長時間運動しないと意味ない!…言ってくる人ほどなぜか肥満
●今より10分多く運動・今より体重を1%減量…だけで効果がある?
●痩せたい!と言うくせにに太ってる人が運動をしない科学的な理由
●太っている人にスポーツしろ!は非現実的…食事以上に個人差がある運動
2019/09/25:近藤慎太郎医師によると、運動についての解説は、食事についての解説以上に難しいところがあるとのこと。これは運動が食事以上に個人差があるため。
例えば、「ランニングをしてください」と言った場合、一人ひとり走れる距離や運動後の疲労度合いは大きく変わり、中には全く走れない人まで出てくる始末。人によってかなり運動量が異なるのです。
私が以前から書いている「太っている人や運動不足の人にスポーツや激しい運動を勧めるのは間違っている」という主張もこの関係。そもそも太っている人や運動不足の人は運動が苦手でなかなかできません。怪我などのリスクも高いでしょう。むしろハードルをできるだけ低くして、まずはこれくらいでいいんですよ、と甘やかさないと非現実的です。
このような考え方を持っていましたので、冒頭の話があった記事がすごく気になりました。実はこの記事、
太ると運動したくなくなる科学的な根拠があった!:日経ビジネス電子版(近藤 慎太郎 医師兼マンガ家 2019年7月10日)というタイトルだったのです。
●運動嫌いの人に運動させたら危険だし、ますます運動しなくなる
記事では、やはり私が想定しているパターンが出てきました。「運動をしましょう」と説明すると、しばしば「仕事が忙しくて時間が取れない」という答えが返ってくるという話。「運動」というと何か特別なことをしなくちゃならないと思っていますし、実際、世の中の情報もほとんどがそうなんですよね。
「太っている人こそ運動が必要なんだから甘ったれるな!」と言いたい人もいるでしょうが、これは前述の通り非現実的でデメリットもあります。精神論を言っているだけで、現実的ではありません。
心肺機能が低下している人や、整形外科的な問題を持っている人などはそれすらできないそうですが、近藤慎太郎医師によると、運動習慣が全くない人が運動を始めるのであれば、第一にオススメできるのはウオーキング。いきなり走りだして心臓に負担をかけるのは非常に危険ですし、膝などの関節を痛めると、運動習慣を身につける上で大きく後退すると指摘。厳しく言えば良いという精神論では逆効果なんですよ。
●長時間運動しないと意味ない!…言ってくる人ほどなぜか肥満
しかも、こうした運動は特にまとめてやらず、細切れでやってもいいと考えられているとのこと。合いた時間で少しずつやれば良いのです。私はパソコン仕事の合間のちょっとした休み時間でウォーキングしているのですけど、これで良いんですね。
長時間運動しないといけない!と信じている現代人はこれに「そんなの意味ない」と指摘してくるのですけど、それこそ科学的根拠のない主張のようです。余談ですが、なぜか私に「そんなの意味ない」と否定してきた何人かの人は、すべて明らかに肥満でなおかつ運動を実践していない人。長時間運動しないと意味ないという思い込みが、悪影響になっていそうです。
記事によると、例えば、10分のウオーキングを1日3回と、30分連続のウオーキングを比べたら、中性脂肪と血圧が同じぐらい改善したと報告されているとのこと。また週のランニングが51分間未満、距離が6マイル(約10キロ弱)未満、回数が1~2回など、運動量が少なめであったとしても、全く運動しない群と比べて死亡リスクは低下したと報告されています。
以上の研究結果でわかるように、意味ないということは全然ないんです。過去に紹介したものでは、座り仕事の人が合間にちょっと動くだけでも良い効果がある…といった報告もあったと思います。
●今より10分多く運動・今より体重を1%減量…だけで効果がある?
厚生労働省が策定した「アクティブガイドーー健康づくりのための身体活動指針」では、今より10分多く体を動かすことを推奨。現時点での運動量に関わらず「今より10分」ですからわかりやすいですね。そして、これもちゃんと効果があり、なんと死亡のリスクが2.8%、生活習慣病の発症が3.6%、がんの発症が3.2%低下することが示唆されているといいます。
体重も同様。170㎝、80kgの人は、170㎝の人の理想体重(BMI=22)64kgまで減量しないと意味がないかというと、そうではなし。特定健診(いわゆるメタボ健診)・特定保健指導のデータによれば、1~3%の減量(80kgの人であれば0.8~2.4kgの減量)でも中性脂肪、悪玉コレステロール、善玉コレステロールなどなどが改善したことがわかっています。
「それが実現できなければやらない」というオール・オア・ナッシングの考え方は不合理だと、近藤慎太郎医師は指摘していました。論理的な考え方ではないと思います。ただ、人間って0か100かという単純な話を好むんですよね。これは非常に多くの事象において見られるもので、様々な問題を引き起こしています。
●痩せたい!と言うくせにに太ってる人が運動をしない科学的な理由
全体タイトルになっていた「太ると運動したくなくなる科学的な根拠があった!」は、だいぶ後になって出てきました。肥満になると、レプチン(食欲を抑制するためのホルモン)が産生されて高値に。すると、結果的に運動がもたらす脳内報酬が減弱し、自発活動が低下するメカニズムが明らかになっているといいます。
簡単に言うと、肥満になると運動をするのが億劫(おっくう)になるということ。それがますます肥満を助長するという負のスパイラルが発生するということです。こうなると、なんだかんだ屁理屈をこねて、運動をしないようにしないように…と頑張ってしまうのかもしれません。
なので、やはりハードルは低く。先程の「今より10分多く運動」よりもさらに低くして、まずは1日1回いつもより多く歩いてみる…で良いんじゃないでしょうか。最初は低いところから初めて、クセをつけていけば良いのです。
「太ると運動したくなくなる」というのは、おそらく逆に言うと、「痩せると今までより運動したくなりやすい」ということなのでしょう。歩くクセがついてくると、意外に大したことないと感じられる人も結構いると思われます。
(21時追記:読み直していて、最初タイトルにした<痩せたい!と言う太ってる人ほど全然運動をしない科学的な理由>は、だいぶ違うと気づきました。微妙に変更して、<痩せたい!と言うくせにに太ってる人が運動をしない科学的な理由>にしました)
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