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米で農薬の効かないスーパー雑草出現!遺伝子組み換え作物のせい?


 <米で農薬の効かないスーパー雑草出現!遺伝子組み換え作物のせい?>、<わりとよくあること?スーパー雑草は日本でも見つかっている!>などの話をやっています。

2022/05/03追記:
●「最も社員に愛されているCEO」6位のモンサント、どんな会社? 【NEW】


●米で農薬の効かないスーパー雑草出現!遺伝子組み換え作物のせい?

2014/1/17:アメリカで"除草剤が効かない「スーパーウィード」と呼ばれる突然変異の雑草が大繁殖しているそうです。そして、これが除草剤耐性のある遺伝子組み換え(GM)作物を使っている農場で多いというので、遺伝子組み換え作物が原因だ!と槍玉に上がっているようです。

 ちょっと前にやった遺伝子組み換え作物への恐怖のせい?トウモロコシ発がん論文撤回では、GM菜種が在来の菜種や白菜と交雑して悪影響を与える可能性を心配している方がいました。これは実際に起きる可能性があるでしょう。ただし、こういった交雑は遺伝子組み換え植物に限らず起こり得るため、遺伝子組み換えが理由ではありません。

 これは当然、普通の植物でもあるという意味だけであり、遺伝子組み換え植物では起こらないという話ではありませんでした。なので、遺伝子組み換え植物由来の困った変種が現れる可能性はゼロではないと思います。とはいえ、結局、今回の「スーパーウィード」(日本では「スーパー雑草」の表記が多い)大量発生は、別の理由じゃないかという話でした。

<米科学誌サイエンス(Science)9月号に発表された研究報告によれば、除草剤に対する耐性をもったGM種子が開発されたために、除草剤が過剰使用されていることが原因だと、多くの科学者が指摘している。(中略)
 アグリビジネスの市場調査会社、ストラタス(Stratus)の最新調査によれば、グリホサート系除草剤が効かない雑草が生えていると答えた農家は、2011年には米国の農家全体の34%だったが、2012年は49%と半分に迫っている>
(農薬の効かない雑草「スーパーウィード」、米国で大繁殖:AFPBB News 2014年01月15日 19:33より)


●わりとよくあること?スーパー雑草は日本でも見つかっている!

 遺伝子組み換え作物だけでじゃなくて、農薬も毛嫌いしている人が多いもの。ただし、こうした農薬嫌いは偏見や迷信の類で非科学的です。一方で、農薬の「使いすぎ」が良くないというのも事実。ところが、過剰使用を指摘されたアグリビジネス業界は、スーパー雑草の繁殖に関する責任を否定していました。

<(引用者注:GM種子や除草剤の開発会社である)モンサントの広報は「除草剤の効かない雑草は、GM作物が開発されるずっと以前からあった」と反論している。米農務省(USDA)も同じく「数十年前から起きている現象」だという見解だ。「時間とともに作物が耐性を選択する結果、自然に起きることで、すべての除草剤でみられる」としている>

 モンサント社の言っていることは間違いではないです。実は日本でもスーパー雑草と呼ばれるものが発生しているため。やはり遺伝子組み換え作物に関係なく見られる現象というのもわかりますね。

<オモダカは農薬に対する耐性をしだいに身につけ、農薬とオモダカの果てしない戦闘がエスカレートします。こうして田んぼは農薬漬けになりました。
 最近になってオモダカが繁殖している田んぼを多く見かけるようになっています。
その理由は二つ考えられます。
一つはオモダカの農薬に対する勝利宣言。もはやどのような農薬も効かないスーパー雑草に変身してしまったからです>
(何有荘のblog: スーパー雑草・オモダカ 2010.7.14より)


●農薬業界の企業も認めている「除草剤の過剰使用」という問題

 ただ、そもそもモンサント社の反論は、原因の指摘とズレたものでした。前述の部分を見てわかる通り、原因の指摘は「遺伝子組み換え作物そのものがスーパー雑草を作り出した」というものだったんですよね。<除草剤が過剰使用されていることが原因>と書いています。

 そして、この除草剤を過剰使用してしまうのは、除草剤に強い遺伝子組み換え作物があるために心置きなく除草剤をばら撒けるせい…ということがあるみたいです。なので、間接的な「遺伝子組み換え作物のせい」といった感じに。直接的には農家の人たちの農薬の使い方が悪いためなんですけどね…。

<USDAは、GM作物ではなく「農家の除草の仕方」にスーパーウィード繁殖の一因があると強調する。GM種子と一緒に、モンサントや競合他社が開発したグリホサート系農薬を使っていることが問題だという主張だ>

 モンサント社の競合他社であるダウ・ケミカルの広報の場合は、「問題は、過去の除草剤耐性作物の栽培システムが、グリホサートの過剰使用につながったことにある」と述べているそうです。

 ということで、悪者のレッテル貼りをされている遺伝子組み換え作物はかわいそうだと思いますが、モンサント社なんかはどんどん自社の除草剤を使ってほしいと思って除草剤耐性のある遺伝子組み換え作物を開発したのでしょうから、やはり責任の一端があると言えるかもしれません。


●だから農薬を使うな!は過激すぎる極論…現実的な対応は?

 なお、この問題はさらに加速して悪化するおそれがあります。除草剤が効かない雑草に困った農家がその対策として、さらに除草剤の使用量を増やしているためです。こういった過剰使用がスーパー雑草発生の理由だと書きましたが、除草剤を使っている限り、ある程度免れることができない問題ではあります。いわゆるイタチごっこがどこまでも続いてくということになりそうです。

 では、除草剤を使わないようにすればいいと思うかもしれませんが、これは弱者切り捨て的な副作用があります。除草剤を使わないとなると、生産効率が悪化して収穫量が減ったり、コストがかかったりで、農作物を気兼ねなく食べられるのはお金持ちだけ…ということになりかねません。

 除草剤の使用量を適正にして、イタチごっこのペースを抑えるというくらいが、現実的な解だと思われます。


●「最も社員に愛されているCEO」6位のモンサント、どんな会社?

2022/05/03追記:「スーパー雑草」とは関係ないのですが、上記の話の中で出てきたモンサント社が出てくるランキングがあったのでこちらでも紹介。ついでにモンサント社の説明も引用しています。「最も社員に愛されているCEO」にグーグルのラリー・ペイジ氏(GIZMODO6月13日(土)7時0分)では、Glassdoorが行なった社員調査を紹介。今回で実施3回目となる大手リクルーティングサイトにて匿名&ボランティアベースで回答されたものだそうです。

1位 グーグル ラリー・ページ
2位 ナイキ マーク・G・パーカー
3位 H-E-B チャールズ・バット
4位 フェイスブック マーク・ザッカーバーグ
5位 アルティメット・ソフトウエア スコット・シェール
6位 モンサント ヒュー・グラント
7位 ゴールドマン・サックス ロイド・C・ブランクファイン
8位 ノースウェスタン・ミューチュアル ジョン・E・シュリフスキー
9位 インサイトグローバル グレン・ジョンソン
10位 アップル ティム・クック 

 ランキングではほとんど日本語情報がない会社もありますが、モンサントはちゃんと日本語Wikipediaもあります。多国籍バイオ化学メーカーという紹介ですね。<遺伝子組み換え作物の種の世界シェアは90%。研究費などでロックフェラー財団の援助を受けている>といった情報の他、以下のように説明されていました。

<自社製の除草剤ラウンドアップに耐性をもつ遺伝子組み換え作物をセットで開発、販売している。バイオ化学メーカーとして世界屈指の規模と成長性を誇り、ビジネスウィーク誌が選ぶ2008年の世界で最も影響力があった10社にも選ばれた。
 一方、民間療法と有機栽培を強力に推奨し遺伝子組換え作物を拒否している団体であるNatural Societyは、モンサント社の遺伝子組換え作物やラウンドアップなどが人間の健康と環境の両方を脅かすとし、モンサント社を2011年最悪の企業に認定している>

 Wikipediaでは非難に関する話が多いので、もう少しそこらへんを紹介。ただ、上記で出ていた団体なんかは、モンサントよりおかしそうですね。有機栽培が優れているというのは非科学的な迷信なので、これもあれですが、「民間療法」を推進はもっと問題外でトンデモさんっぽさがあります。

<除草剤ラウンドアップを開発し、近年ではラウンドアップに耐性をもつ様々な遺伝子組み換え作物(ラウンドアップ・レディー: Roundup Ready)を分子育種して、セットで販売している。なお、ラウンドアップの有効成分グリホサート(glyphosate)自体の特許は既に有効期限が切れている。その他、雄性不稔や病害虫抵抗性やストレス抵抗性や成分改変の様々な組換え品種も開発している。モンサント社の遺伝子組換え作物の強引なシェア確保商法に対して欧州を中心に問題となっている。そのため、農業分野における米国の世界支配を支える企業という批判の的となることがある>

 古くはPCBやらベトナム戦争の枯葉剤やらという、別のイメージの悪い話も…。これらの場合は実際に問題があった…というものですね。例えば、催奇形性があり、妊婦で問題が出るダイオキシンは、イメージと違い、ゴミではなく農薬が主な原因となっています。でも、こういう企業が社員には人気のようです。

<同社を有名にした商品の一つはPCBであり、アロクロール(Aroclor)の商品名で独占的に製造販売した。日本では、三菱化成(現三菱化学)との合弁子会社であった三菱モンサント化成(現在は三菱樹脂へ統合)がPCB製造メーカーの一つであった。また、農薬のメーカーとしても著名で、ベトナム戦争で使われた枯葉剤の製造メーカーでもある。この枯葉剤には不純物としてダイオキシン類が含まれており、後に問題となった>


【関連投稿】
  ■後天的な遺伝とエピジェネティクス 恐怖の記憶で遺伝子にスイッチ
  ■有機農業は化学肥料よりずっと危険 食中毒では死ぬが、残留農薬では死なない
  ■日本の食料自給率問題 肥料(特にリン)は輸入頼りであり、自給は困難
  ■その他の科学・疑似科学について書いた記事

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