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スキー人口減少でもスキー場が多い理由は?廃業した小樽のオーンズスキー場の再生策


 スキー場関連の話をまとめ。<スキー人口減少でもスキー場が多い理由は?廃業した小樽のオーンズスキー場の再生策>の他、<スキー場を夏も楽しめるマウンテンリゾートに 日本スキー場開発が再生>、<日本のスキー場のパウダースノー「JAPOW」、世界のSNSで多数発信>などといった話をやっています。


●赤字だらけなのに減らない!スキー人口減少でもスキー場が多い理由とは?

2014/1/24:リフト・ゴンドラ延べ利用者数を見ると2012年~2013年のシーズンには微増しているものの、以前と比べるとスキー人口は大きく減っておりやはり苦しいようです。日本生産性本部「レジャー白書」によると、全国のスキー・スノーボード人口は1993年の1860万人から2012年の790万人にまで減少。となると、当然スキー場も減る…というのが自然…なのですが、そうはなっていないというのです。

 北海道に存在する約100カ所のスキー場は、民間資本が経営する大規模なスキー場だけでなく、町や第三セクターが経営する公営のものがあります。皆さんわかるでしょうが、問題となるのは後者。公営のものはリフトが1本や2本の規模の小さいものが多く、8割が赤字と2010年の日本経済新聞の記事で報じられているそうです。

 こうした赤字の民間スキー場は、町が赤字を補填しています。なぜそこまでしてスキー場を維持するかと言えば、第一義的には町民の健康維持のため、特に子供たちの体力作りのためといったお題目を掲げているとのこと。雇用の維持というのも大義名分だと思われます。ただ、税金の無駄遣いであり、私はこういうのが大嫌い。同じ北海道の夕張市は雇用維持を名目の一つにして放漫財政を続けたために、町の方が潰れたんですからね。本末転倒でしょう。


●赤字が多いスキー場の成功例 廃業していた民営の小樽のオーンズスキー場

 こうした話があったのは、閉鎖寸前のスキー場はどうやって蘇ったのか?|ザイ・オンライン(2013年12月25日 保田 隆明)という記事で、一方でお手本となる成功例もあるという話。記事で取り上げられていたのは、小樽市にあるスノークルーズオーンズスキー場(オーンズ)です。

 もともとは民営だったが利用者減により2012年に廃業が発表され"、"存続を希望する人々による署名活動が行われ、それにこたえる形で兵庫県のマックアースが運営を引き継ぎ、スキー場は存続されることになった"と説明がありました。「もともとは民営だったが」と言うと、今は民営じゃないのかな?と思っちゃいますけど、マックアースは普通に民間の会社のようでした。(2019/03/13:潰れていないか確認。変わらずマックアースが運営を続けているようでした)

<会社概要 | スノーリゾート・ホテル・ゴルフ場を適正なオペレーションでリゾート再生・活性化する株式会社マックアース
社  名 株式会社マックアース
代表者 代表取締役CEO 一ノ本達己
事業内容 旅館業、野外教育事業、旅行業、損害保険代理業、スノーリゾート事業、グリーンリゾート事業、ゴルフ事業>
http://macearthgroup.com/about/


●当日券の交付場所が大事…廃業した小樽のオーンズスキー場の再生策

 記事にもオーンズにはリフトが2本しかなく、規模的には赤字体質の公営スキー場に近いとありましたし、民間から民間へってことでしょうね。しかし、典型的な赤字スキー場のような設備でもうまく行っているのは不思議ですね。どのような対策を行っているか見えていきましょう。

・シーズン券の大幅値下げ(6万円→2万円)
 値下げ幅がすごいとはいえ、これは正攻法。私はあまり感心しなかった施策です。記事では、もとの収入を維持するには利用者を3倍にする必要があるとありましたが、それだと利益はマイナスですし、元の状態でも赤字なので利用者3倍でも大失敗でしょう。
 ただ、利用者を増やしてリフト代など「シーズン券以外のところで稼ぐ」というのならアリ。次の項目の効果も、単純な来場回数の増加で期待できるところです。

・シーズン券はセンターハウスで当日券が交付することで利用できる
 私はこっちの方が感心しました。とは言っても、最初見たときは「何で?」とメリットが私にはわからなかったんですけどね。シーズン券利用者は毎回必ずセンターハウスに立ち寄ることになるため、センターハウスでの飲食につなげようという意図だそうです。私が先程書いた「シーズン券以外のところで稼ぐ」戦略でしょう。

・19歳はリフト代を無料に
 この理由も最初はなぜ19歳?と思いました。実は多くの高校でスキー合宿が行われているものの、卒業してしまうとスキーに触れる機会が減ってしまうそうです。そのため、高校卒業したばかりの彼らの取り込みをはかろうというものでした。
 とはいっても、どうもこの施策は真新しいものではないみたいです。オーンズのある地域以外のスキー場では、最近少しずつ導入されているとありました。でも、なるほどなぁと感心するものです。
 また、このサービスでは19歳といっしょに来る他の年齢層の集客も期待できます。そして、彼らは無料の対象ではないために、リフト利用料を支払ってくれる…というわけ。こういう特定の年齢層を招きながら、いっしょに連れてくる人の方で稼ぐというのは良い戦略。子供や女性を狙って…というやり方はよく見られます。


●3回利用すると癖になる?19歳や20歳を優遇している理由

・20歳はリフト1日券を980円に
 上の「19歳はリフト代を無料に」という施策はスキー業界全般のために役立つなと思いました。しかし、もちろんオーンズを利用し続けてくれた方が嬉しいです。ということで、このようなこともやっているみたいですね。

 これについては、以下のような無印良品の良品計画の試みを思い出しました。定着率さえ高まれば、最初の薄利もしくは赤字の分も後々回収できます。長い目で見たやり方ですね。こういう長期的視野のものは大好きです。
 私たちのいまの目標は半年のあいだに3回ネットで買い物をしてほしいというものです。というのもネットストアの利用回数が3回を超えると離脱率がグンと落ちるのです。その後継続してご購入いただける方が多いのです。

 ですから、会員登録をしていただいて、まずは未購買フォローメールで1回ご購入いただきたい。その後半年のうちの半分の会員にはお誕生日が来ます。そのときに300円もしくは500円のクーポンが届きます。それでもう1度ご購入いただきたい。そして、2回ご購入いただけると、さきほどのロジックで、再び少なくとも300円のクーポンが送られる。そこで3回目のお買い物をしていただきたいと思っているのです。
(3つのアイデア広告:キンチョールが読者にゴキブリを作らせる新聞広告で話題にの"メルマガで稼ぐコツ 1回で売上数千万円の無印良品の良品計画(MUJI.net)"よりより)

●なぜか人気のリゾート・トマムとの共通シーズン券も発行

・トマムリゾートとの共通シーズン券の発行
 トマムは全国的にも人気のスキーリゾートだそうです。"オーンズからは距離が相当に離れているので、顧客を食い合うことはない"ということで、やはりよく考えられています。
 逆にトマム側のメリットがよくわからないと思いましたが、トマムとしても今まで来なかったクラスのお客を引き入れることにより、将来の有望顧客をゲットするという期待ができそうです。

・夏場はユリの花を植えて、一面お花畑にする
 私はスキー場のようにシーズンや時間帯によって稼ぎどきが集中するサービスっていつも気になります。記事にも"スキー場にとっては通年で稼ぐことが一つの課題"とあり、その対策のようです。

・気温がそれほど低くない時期のスキー場のオープン
 この項目はWikipediaから私が勝手に追加。上の夏季営業に繋がる考え方です。通常、人工雪は人工降雪機を使い、霧状にした水を空気中にまいて作る"とのこと。しかし、オーンズの場合は、"事前に製氷機で作った氷を機械で細かく砕いてゲレンデにまく人工造雪機を導入している"ため、融通が利くようです。
 マックアースの工夫なのかどうかは不明ですけど、他場のやっていない時期にオープンできることは大きなメリットだと思いました。




●スキー場を夏も楽しめるマウンテンリゾートに 日本スキー場開発が再生

2019/03/13:日本スキー場開発は、「スキー場の再生請負人」と呼ばれているそうです。ただ、スキー場の経営という言い方をして良いのかは迷います。夏や秋でも楽しめる「マウンテンリゾート」に転換することいった戦略を取っているためです。

 夏や秋に何が楽しめるのか?と言うと、やはり景色的なところ。特に秋は本来山に魅力ある季節ですよね。北アルプスの絶景が迫り、雪山と紅葉が同時に望めるという長野県・白馬岩岳は「想像以上にすごい景色」「山に手が届きそう」と好評でした。また、スリリングなアトラクションも用意しているとのこと。写真を見ると、自転車で水の上を渡るような遊具でした。

 また、竜王は標高が高く、高山植物の観察や避暑地需要を狙う、首都圏から近い川場はサバイバルゲームやスケートボードの会場などとして活用するなど、場所によってやり方も変えています。
(「雪なし」でも楽しいスキー場:日経ビジネス電子版 北西 厚一 日経ビジネス記者 2019年1月4日より)


●その道のプロが素晴らしい…は錯覚?日本スキー場開発は~の子会社だった!

 日本スキー場開発の創業は2005年。駐車場関連サービスを手掛ける日本駐車場開発の社内ベンチャーとして立ち上がりました。プロや職人、専門家というのを世の中の人々は好みますが、素人の方がうまくいくということがあります。今回の件もスキー場関連でなかったのが良かったのではないかと感じました。

 ただ、すんなりうまくいったわけではなく、最初は苦戦。稼働するのが冬と春の150日ほどに限られるスキー場は「宝の持ち腐れ」に映ったとして、夏秋シーズンも集客しやすい施設を次々と買収していましたが、少しずつテコ入れして魅力を高めて…と地道にやってきたようです。

 また、白馬については、同社が運営しない施設を含めて約10あるスキー場を連携させ、一つのリゾートとして売り出したいとも、鈴木周平社長は考えていました。しかし、各スキー場は集客で競っており、なかなか一枚岩になれなかったそうです。

 転機はインバウンド(訪日客)。白馬がこの波に乗り遅れたことで、ライバルが北海道や志賀高原のスキー場に変わってから、やっと一致団結。白馬のスキー場は共通チケットシステムを導入した他、「ハクババレー」というブランドを立ち上げ、100以上のリフト・ゴンドラを1枚のICカードで利用できるようにしたとのことでした。追い込まれないとなかなかできませんね。今では白馬で運営する3つのスキー場を利用する訪日外国人の数は全体の2割となったそうです。


●スキー場として大勝利しているのはガーラ湯沢

 最近読んだスキー場の話としては、ガーラ湯沢のすごさを思い出しました。




 ツイートを見ていると、どうも首都圏から新幹線で直結、降りたらすぐスキー場みたいな感じですね。


 ただ、こちらも結局、インバウンド効果が大きい感じでした。


●ガタゴト揺れる日本のスキー場のリフトは世界から見ると異常

2020/03/19:新型コロナウイルスで今はそれどころじゃないんじゃないかと思いますけど、2019年12月7日の時点では日経新聞にスキー場、バブル期以来の大型投資 ゴンドラ新設などという記事が出ていて、この頃は久しぶりに日本のスキー場に勢いがあったようです。

 記事によると、吹きさらしの中でガタゴトと揺れるリフトは世界から見ると異常。世界の潮流から大きく遅れた日本を象徴するものだといいます。日本のスキー場の利用者はピーク時の4割の水準に落ち込み、どこも投資がままならない状態のため、古い設備もそのまま使い続けていなくてはいけなかったんでしょうね。

 アプレスキーの白川直樹社長は「日本は博物館行きの古い設備ばかり。快適で維持費も安い欧米や中国が導入する世界標準から大きく遅れている」と指摘しています。

 ただ、バブル経済が崩壊して以降、右肩下がりが続いていた日本のスキー場にも、ゴンドラなど大型投資の動きが出始めていました。記事では、多数の投資の例を挙げています。やはりインバウンド・訪日外国人効果が大きかった模様です。


●日本のスキー場のパウダースノー「JAPOW」、世界のSNSで多数発信

 とはいえ、どこでも大型投資している…というほどの状態ではありません。それどころか、多くのスキー場は投資もままならない状態だとのこと。「業績不振で投資どころではない」という運営会社や投資を回収できないと見て支援しない金融機関が多いようです。

 記事では、雪質は世界でも日本が優れ、日本のパウダースノーを指す「JAPOW」(ジャパウ)という言葉が各地に広まっていることを指摘。インスタグラムでJAPOWは28万件もヒットし、世界の人が日本の雪を発信しているともされていました。こういう自然環境というのは真似したくても真似できないものですから、非常に強力な魅力になり得るというのはわかります。

 記事ではこのパウダースノーに加えて、成功しているスキー場の需要をつくったのは投資とマーケティングだ、という話も紹介しており、積極的な投資をおすすめしている感じでした。ただ、前述の通り、現在では日本のインバウンド自体が壊滅状態であり、状況が大きく変わってしまったでしょうね。


【本文中でリンクした投稿】
  ■3つのアイデア広告:キンチョールが読者にゴキブリを作らせる新聞広告で話題に


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