宝くじと貧乏…というテーマの投稿をいくつか書いているのでまとめ。<宝くじは貧乏人が自主的に払う税金・貧乏税 日本では本当に財源に>、<宝くじは「逆進性」のある税金だとも言える、大学教授も指摘>、<貧乏な人ほど宝くじを買うし選挙にも行かないので政治家の好き放題に…>、<競馬でも実は畜産振興事業を実施 ただし、使い道を見ると…?>などをまとめています。
その後、<最近も宝くじ団体は天下りだらけ 収益は省庁関連団体にバラマキ>などを追記しました。
2023/09/11追記:
●最近も宝くじ団体は天下りだらけ 収益は省庁関連団体にバラマキ 【NEW】
●宝くじは貧乏人が自主的に払う税金・貧乏税 日本では本当に財源に
2014/1/26:これまでの宝くじ関連の投稿の中でも、何度も使ってて初めて紹介するものではないんですが、宝くじにまつわる箴言(しんげん、戒めの言葉)・格言のようなものとして以下のようなものがあります。かなり辛辣な内容で、宝くじは税金のようなもの…と指摘しているのが共通点です。
・貧乏人が自主的に払う税金「貧乏税」
・宝くじは頭の悪さに対する税金
・愚か者に課せられたもっとも高額な税金
これは本当の「税金」という意味ではなくたとえて言っているもの。ただ、ふっと気づいたのが、日本の場合は自治体が本当に宝くじの収益金を財源として使っているということ。
Wikipediaでも「収益金の取扱い」という項目で以下のような記載があります。払いたくない人は払わなくていいのですが、税金っぽさがバリバリありますね。
<当せん金支払い分と事務経費を差し引いた残りである宝くじの収益金は、
発売元の都道府県と政令指定都市の収入となる。>
<収益金の使い道は法律で決められており、
主にいわゆる「箱もの」整備の財源に税金の代わりとして使われるが、最近では、高齢者福祉などいわゆる「中身」事業の財源に充てられるケースもある>
<上記のような経緯から、市区町村の中には、日常から広報誌で宝くじの宣伝を行うところもあり、ジャンボ宝くじの時期になると、「○○ジャンボ宝くじは市内(区内、町内、村内)で買いましょう」とのキャッチフレーズを載せるケースもある>
●めちゃくちゃボタックリな宝くじ、還元率は5割すらなかった!
あと、ここを読んでいたら還元率的な話もありました。「還元率」というのは、どれくらいのお金が戻ってくるか?ですので、高ければ高い方が良いということになります。実際にはめちゃくちゃ複雑な計算になるのですけど、例えば、競馬は7割などと言われているんですよね。つまり、3割分は奪われるということになります。
一方、宝くじは還元率が低い、つまり、買う人の損失が大きいギャンブルとして知られています。私は宝くじを還元率50%と覚えていたんですけど、実際にはそれより低くてびっくり。2008年度の宝くじ売り上げは1兆419億円で、内訳は当せん金45.7%、経費14.2%、自治体の収益金40.1%であったとのこと。45%しかありません!
民主党のときでしたっけ、宝くじ団体を問題視して「国民の夢を壊すな」って叩かれたことがありました。でも、これはむしろ国民のための行動だった感じ。宝くじ経費から事業資金が拠出されている6公益法人はしっかり天下り団体でもあり、6公益法人の歴代理事長43人全員が所管の旧自治省、総務省からの天下りであることが明らかになっているそうです。
●宝くじは「逆進性」のある税金だとも言える、大学教授も指摘
それから、宝くじが税金的である、特に低所得者層に対して重くかかる税金であるということを考えると、「逆進性のある税金」という言い方もできるかもしれません。本来なら高所得者ほど税金を収めるべきなのに、逆になっているということですね。本物の税金で言うと、「消費税」がこの逆進性のある税金として有名です。
「宝くじ 逆進性」というキーワードで検索かけてみると、やはり既に書いている方がいらっしゃいました。例えば、
宝くじの異常、幅3000kmのボウリング、世界で最も有利なギャンブル - 吹風日記 2006年6月30日 というページが見つかります。ギャンブル社会学というおもしろい専門分野も持っている谷岡一郎・大阪商業大学教授のJGSS研究論文「宝くじは社会的弱者への税金か?」では、以下のような話があったそうです。
<詳細は略しますが、(中略)要するに、宝くじは一発あてるために買う、ってことですな。
さて、谷岡はさらに「宝くじは形を変えた税金」だと述べています。(中略)
ここで、さきほど見たように、宝くじの購入者が社会的弱者に偏っていることを考えあわせると、実はこの「税金」には大きな問題があることが分かります。それは、強烈な「逆進性」です>
●弱者が成り上がるには宝くじ以外にない?誰でも1億円手に入れる方法
そうは言っても社会的弱者が強者の側に立つには宝くじ以外にないじゃないか!と言っている方もいらっしゃり、それもまたなかなかごもっともな意見ではあるとは思います。ただ、1人の金持ちを生み出すために多くの人が搾取されている、という現実があるんですよね。やり方として望ましいのかどうか?という話になってきます。
なお、ある方が誰でも1億円手に入れる方法ってのを書いていました。
東大教授流! (ほぼ)確実に1億円儲ける方法 | 東洋経済オンライン 瀬地山 角 :東京大学教授 2013年12月26日に載っていた話です。読み直してみると、このときにも先程出てきた大阪商業大学の谷岡一郎さんが登場する話でしたね。この分野では有名なようです。
その肝心な「誰でも1億円手に入れる方法」というのは何か?と読んでみると、男性なら結婚して奥さんにも働いてもらうという…なんじゃそりゃ?というものでした。ちょっと違いますが、うちでやった
貯金好きはお金持ちになれないは嘘?億万長者は意外に貧乏人思考を思い出します。ここでは共働きなら1億円の貯金は意外にたやすいという話があったんですよ。
ということで、実はこういう風に1億円くらいなら結構行ける人が多いのです。何も宝くじを買わなくちゃいけないということはありません。ところが、宝くじを買う人はそういう1億円の獲得の仕方は全然望んでいないででしょうね。一気にパッと何億円も貰えるのが良いのでしょう。この説明では説得が難しそうでした。
●貧乏な人ほど宝くじを買うし選挙にも行かないので政治家の好き放題に…
2016/12/1:
宝くじに投じられるマネーは本・映画・ゲーム・スポーツへの合計金額よりも多いと判明、一体誰がどうして大量に買っているのか? - GIGAZINE(2016年03月30日 08時00分00秒)という記事はアメリカの話。なので、すべての傾向が日本とはいっしょにならないかもしれませんが、後述するように日本と同じ傾向のものもあります。
<2014年にアメリカ国内で宝くじに投じられた金額は705億ドル(約8兆円)。これはアメリカ人の大人全員が300ドル(約3万4000円)、子ども全員が230ドル(約2万6000円)を費やした計算になるそうで、なんとスポーツ観戦チケット、書籍、ゲーム、映画、音楽に投じられた金額をすべて合わせたよりも高額という、にわかに信じられない巨額となっています>
さて、日本でも見られるであろうという傾向はこの後から。宝くじをたくさん買っているとは言っても、もちろんかなり地域によって違います。そして、どんな地域の人がたくさん買うか?と言うと、貧しい地方の人たちがたくさん買っていました。このために、前半でも書いたように、宝くじは貧乏税だとも言われているわけです。
<デューク大学が1980年代に行った大規模調査によると、貧しい地域であるほど宝くじが積極的に買われているということが判明。また、NC Policy Watchの調査では、最も貧しい地域に住む人のほとんどが宝くじを購入しているという事実が明らかになるなど、宝くじは貧しい人々によって大量に買われているという実態が明らかになっています>
貧困者層ほど宝くじでお金を失ってしまうことが多いというのは知っていましたが、"宝くじに大金を投じる人は貧困からの脱出を夢見る貧しい人が多いという実態とともに、そのような貧困な人は選挙で一票を投じていないという事実も分かっている"という話は初耳でした。
これは、Garrick Blalockさんらが書いた論文「Hitting the Jackpot or Hitting the Skids.」でわかっているんだそうです。初耳だったとはいえ、「宝くじ」という話は抜きに、単に「貧困者層が選挙になかなか行かない」って話であれば、そりゃそうだという話なので納得できます。
とりあえず、これによって、"宝くじ事業の収益をどうするかという政策決定プロセスに、「宝くじを最も買っている人」の意見が反映されていない"という奇妙なことに。したがって、貧困者層は自主的に税金を献上しながら、なおかつ税金の使い道を全部お任せにしているというたいへん気前の良いことになっています。もったいないですね。
●アメリカは宝くじを教育事業に投入 日本よりは良い使い道だと思いきや…
前半に書いた<宝くじは貧乏人が自主的に払う税金・貧乏税 日本では本当に財源に>に絡む話としては、アメリカの場合は学校などの教育事業に多く使われているという話がありました。前半で書いたように、日本では箱モノに使われることが多いですので、日本よりずっと良い使い方だと思います。教育なら貧困者層も恩恵を受けられるはずです。
ただ、記事ではそもそも宝くじを買う貧困者が多いのは、この教育がうまくいっていないためではないか?ともしていたんですよ。これはたぶん「宝くじを買うような頭の悪い人に育ってしまった」という意味ではないと思われます。そうではなくって、おそらく教育が十分に効果があれば所得が上がり、一発逆転を夢見て宝くじを買わなくちゃいけないほど貧困にはならないはずだという意味でしょう。
この解釈が正しいかどうかはわからないものの、とりあえず、前述したように、貧乏な人ほど損することがほとんどである宝くじを買う…ということによって、宝くじが貧しい貧困者層をさらに貧しくする働きをしているというのが現実。たとえ教育がうまくいっていた場合でも、悲惨なことには変わりありません。
●宝くじを買うという社会貢献 復興支援宝くじの他、地方財源に
2014/11/21:ある「宝くじに関するアンケート」(2005年4月25日(月)から4月30日(土)に実施)を見ていて気になったのが、「新潟中越大震災復興宝くじ」に関するものです。この宝くじについて、聞いたことがあるような気がする・知らなかったと回答した方に新潟中越大震災復興宝くじに関する説明文を読んでもらい、「買いたいと思うか」を尋ねています。すると、結果は以下のようになりました。
“どちらともいえない”38%
“買いたい”12%
“まあ買いたい”29%
(
宝くじ調査結果_DIMSDRIVE独自の公開アンケートによる最新調査結果【DIMSDRIVE】より)
さらに、"買いたい・まあ買いたいと回答した方(N=968)に「なぜそう思ったのですか」と尋ねた"結果が以下の通りで、「復興」というのは、結構大きな購入意欲に繋がっている模様。自由回答でも、“どうせ買うなら役に立つ方がいいから”や“役に立てれば嬉しいから”、“阪神淡路大震災の時も買ったから”、“自分の為だけじゃないから”などがあったそうです。
“収益金が復興事業にあてられるから”83%
“1枚200円だから”29%
“抽選が早いから”15%
もともと宝くじ好きの人が買うことも多いでしょうが、そうだとしても「社会貢献だから」という後押しが宝くじを買う動機に繋がっているかもしれません。うちでは何度も宝くじのことを書いているのに、私はあまり今までこのことを考えていませんでした。例えば、以前書いた<宝くじは貧乏人が自主的に払う税金・貧乏税 日本では本当に財源に>(同じページの前半ににまとめたもの)も肯定的なものではなく、「騙し取られているよ」というスタンスです。
このときの話は通常の宝くじであり、復興支援宝くじではなかったんですが、地方財源として使われることで貢献している…ということで、買う動機の一つにしている人もいるかもしれません。箱モノみたいな私の嫌いなものに主に投資されるわけですが、それも含めて賛成な人はいるにはいるのでしょう。
●サッカーくじtotoも社会貢献、スポーツ振興が目的になっている
こういった社会貢献を兼ねているというか、社会貢献そのものを本来の目的としたくじが他にもあります。サッカーの指定された試合の結果あるいは各チームの得点数を予想するスポーツ振興くじ、いわゆるtotoやBIGです。
スポーツ振興くじ - Wikipedia(2014年11月3日 (月) 14:11)では目的について以下のように書いています。
<toto(サッカーくじ)は、以下の
スポーツ振興に必要な財源確保のため、宝くじのように広く小口の寄付を募るという考えのもと導入された>
1. 誰もが身近にスポーツに親しめる環境の整備
2. トップレベルの選手の国際的競技力向上のための環境の整備
3. 国際的スポーツ活動への支援
4. スポーツ指導者の養成、資質の向上
では、通常の宝くじと似たイメージのあるロトやナンバーズはどうなっているのでしょう?
数字選択式全国自治宝くじ - Wikipediaによると、くじ券本券の裏面に、<この宝くじは全国都道府県及び全指定都市が発売し、その益金はそれぞれの公共事業等を行うための資金になります>という表示がなされており、地方財源になっています。(ここだけ2020/06/30に訂正)
●競馬でも実は畜産振興事業を実施 ただし、使い道を見ると…?
ついでに…と競馬、中央競馬を見てみます。
日本中央競馬会 - Wikipedia(2014年10月24日 (金) 02:00)によると、政府が資本金の全額を出資する特殊法人であり、こちらは国の持ち物です。
そして、"日本中央競馬会は競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため、1954年に設立された"、"2013年には2553億円(第1国庫納付金・第2国庫納付金の合計)を国庫に納入し畜産の振興や社会福祉へ役立てられている"などとあります。
しかし、こちらの場合、問題がありました。日本中央競馬会は売上の75%にあたる的中券の配当と国庫納付金や経費を支払った後の余剰金で畜産振興事業を実施しているものの、畜産振興を名目とした2008年度交付金の99%以上が所管の農林水産省OBが役員を務める法人に渡ったことが判明しています。極めて不健全ですね。
ただ、本当に有効な使われ方をしているのか?ということを言い出すと、先の宝くじの方でもかなり怪しいもの。こちらも前半で書いているように、やはり天下り団体に金が流れていることが判明しています。結局、宝くじを買っても、効果的な社会貢献をしているとは言いづらいかもしれません。
●最近も宝くじ団体は天下りだらけ 収益は省庁関連団体にバラマキ
2023/09/11追記:比較的最近でも宝くじ団体への天下りの問題が報じられていました。2020.12.24に
天下り総務省OBに多額報酬、無駄な広報費に売上から年100億円支出(松岡久蔵/ジャーナリスト ビジネスジャーナル)という記事が出ています。
<今回は存在意義が不明な割に宝くじ全体の売上から約100億円(引用者注:105億円。販売額の1%程度)もの巨額なカネが割り振られる「社会貢献広報費」を取り上げる。(中略)
日本宝くじ協会のホームページによると、「宝くじの社会貢献性について、一般財団法人日本宝くじ協会による公益法人助成を通じた広域的な広報や、一般財団法人自治総合センターによる市町村向け助成を通じた住民に身近な広報を実施しています」とのことだ>
この105億円が割り振られるという、「一般財団法人日本宝くじ協会」と、「一般財団法人自治総合センター」の2団体は、民主党時代に廃止しようとしていたもの。ただ、撤回されています。当時はマスコミのバッシングやそれに伴う国民の反対もありましたからね…。
<そもそも当時の議論では、この2団体の幹部を総務省OBなど天下り役人が占めており、宝くじの収益の⼀部が高額な⼈件費に利⽤されているということに加え、両団体が公益法人に対して行う助成金が実効性の極めて疑わしい事業に流れているといった不透明な点が問題となっていた>
一応民主党時代の成果として、社会貢献広報費は事業仕分けを受けて予算額が半額。ただ、その後の自民党政権が問題視しなかったのか、未だに毎年約100億程度も投入されている状態みたいですね。2団体トップは相変わらず官僚OBで、理事にもOBがズラリ。使い道も作者は疑問視していました。
<宝くじ協会の令和2年度の事業計画によると、総助成額は消費税込みで27億円。内訳をみると、広報効果の怪しい冊子の制作に数百万円から数千万円もの助成金が突っ込まれていることがわかる。この事業計画によると、冊子やパンフレットなどに3分の2に当たる約18億円が投入されている。>
具体的な使い道としては、肝心の若者が読んでいるか怪しい「若者向け選挙啓発冊子」など。また、「日本さくらの会」には宝くじ桜1万9000本のために6500万円程度の助成金が支払われており、これは恒例のもの。「日本さくらの会」に限らず、例年継続の事業が多いのも特徴だそうです。
<全体として、地方自治や消防など総務省の所管分野はもちろんとして、警察など旧内務省系の省庁と関係が深い団体に助成金が支払われている。しかも、91の助成先のうち、この年の新規事業はわずか14で、ほとんどの事業が例年継続されていることがわかる。つまり、社会貢献広報活動と謳っている割には、毎年関係者しか読まないであろう冊子にほとんど定額で最低数百万円単位のカネが振り込まれていることになる>
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