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倒産しない書店?恵文社一乗寺店、新井賞、ルヌガンガにヒント


 恵文社一乗寺店は、ベストセラーが売れない本屋さんです。ただ、ダメなお店か?と言うと全く逆で、書店の倒産が続く中で好調なお店でした。この書店が支持される理由は、書籍以外のセレクトも含めた恵文社一乗寺店らしさ。「モノ」を売っているわけでなく「体験」を売っているお店のようでした。

2014/2/1:
●実際いらない!倒産して当然な本屋さん、生き残りの道はあるのか?
●ベストセラーが売れない恵文社一乗寺店 むしろヒントになる?
●売れる本は求めてない…書店倒産続く中、恵文社一乗寺店が好調な理由
●本以外も売っている ただ、セレクトに“恵文社らしさ”があるのが大事
●恵文社は「モノ」を売っているわけでなく「体験」を売っている?
2018/02/23:
●くつろぎながら読める本屋さん、高松市の「本屋ルヌガンガ」
2020/04/09:
●芥川賞・直木賞より売れる「新井賞」は、書店員が勝手に選考


●実際いらない!倒産して当然な本屋さん、生き残りの道はあるのか?

2014/2/1:書店の苦戦に関してはいくつか書いており、たぶん書店店長「本を買って。町の本屋がなくなります」→どうぞどうぞというのが最初でした。

 その後書店の倒産は必然か?店員「この本どこ?と聞くな。Amazonで買え」を書いたところ、「本屋が生き残るにはどうすべきか?」というリクエストのようなものをもらいました。

 そこで、本屋にとって立ち読みは邪魔者か?など 書店倒産ラッシュへの抵抗を書いたのですど、大した話はできなかったので気になっていました。しかし、今回やっとちょっとおもしろそうな話を見つけました。

 ハリー・ポッターの新刊が売れない京都の書店に学ぶ商い手法- NEWSポストセブン(2014年1月30日07時00分)(【評者】染色家・吉岡更紗)という『街を変える小さな店 京都のはしっこ、個人店に学ぶこれからの商いのかたち。』(堀部篤史/京阪神エルマガジン社)の書評記事です。


●ベストセラーが売れない恵文社一乗寺店 むしろヒントになる?

 ここで紹介されていた本屋「恵文社一乗寺店」は、あるとき当時世界的ベストセラーだった『ハリー・ポッター』の新刊を店頭に並べてみました。ところが、これが"全く売れなかった"のです。

 「じゃあ、駄目じゃん、何の参考にもならないじゃない?」と思うかもしれませんが、今まで見てきた通り売れ筋の本を買うのであれば街の書店である必要性はなくなっています。そこは重要じゃありません。

 むしろベストセラーが売れないこの本屋こそ、倒産ラッシュの本屋生き残りのヒントになるのでは?という話でした。


●売れる本は求めてない…書店倒産続く中、恵文社一乗寺店が好調な理由

 「恵文社一乗寺店」でベストセラーが売れなかったのは、お客さんが"取次による配本に頼らず、独自のセレクトで本を入荷し運営してい"る同店"ならではのセレクトを求めてい"るためです。話題の本なんか眼中にないのです。

 逆に言えば、他の店では満足しない「恵文社一乗寺店」を求めている客をしっかり掴んでいるということ。"「恵文社へ行くために、電車を乗り継いで」向かう"お店だと記事では書かれており、"日本全国から、そして近頃では台湾などアジアからの観光客も訪れる"ほどだそうです。

<店側が「これ」と見込んだ一冊に思いを込め、それを売り切る覚悟を持って仕入れていることを知り、その本を求めて来店していたのだ。そこで生まれるのは、ベストセラーではなくロングセラー。本は物理的な消費対象ではなく、手にした人の心に何かを残すものだ、ということを同店はそのとき体感したのだという>


●本以外も売っている ただ、セレクトに“恵文社らしさ”があるのが大事

 また、同店は本以外にも取扱商品を広げています。ギャラリーやイベントスペースを新設したり、雑貨や食品、衣服を扱うなどしています。ただ、単に取り扱いを増やしているのではなく、商品アイテムが増えても“恵文社らしさ”はひとつも変わっていないように感じるとのこと。

 こうなると特殊すぎてヒントにならないと思うかもしれませんが、こうした方向性は書店が生き残るには必要なものでしょう。

 うまい言葉が見つからないのですが、恵文社一乗寺店は本という「モノ」を売っているわけでなく、その「思想」というか「センス」というかそういったものを売っていると考えられます。「店の佇まい(たたずまい)」なども特徴があるそうで、「セレクトセンス」に加えて「場の雰囲気」も含めて価値があるんじゃないでしょうか?

 本当うまく言い表せなくてすみませんが、たとえば喫茶店でもその価格にはコーヒーそのものの値段だけでなく、店内の雰囲気や過ごし方も含めて支払っているというタイプのお店があると思います。


●恵文社は「モノ」を売っているわけでなく「体験」を売っている?

 そういった意識は実際お店側にもありそうで、検索して出てきたCOTTAGEのこと|COTTAGE|体験を共有する、新しい「場」のカタチlには、以下のような説明がありました。

<COTTAGE(コテージ)は恵文社一乗寺店がプロデュースする新しい「場」のかたちです。「モノ」や「商品」が中心にあるのではなく、場所と人が中心になって体験を共有するスペース。
 これまで本を中心に、カルチャーやアート、ライフスタイルをご提案してきた当店と、それに共鳴してくださるお客さまや作家さん、お取引先の皆さんが共に、ワークショップやトークイベント、ライブや上映会、期間限定ショップに受注会などさまざまな可能性に挑戦する「場」です>

 ああ、そうか、「モノ」を売っているわけでなく「体験」を売っていると書けば良かったですね。思いつきませんでした。こういったタイプのお店を作ることは非常にたいへんなことなのですが、従来型の書店の行き詰まりが明らかな中では、ひとつのヒントになると思います。


●くつろぎながら読める本屋さん、高松市の「本屋ルヌガンガ」

2018/02/23:東京 渋谷にある創業40年の「幸福書房」は、林真理子さんも愛した老舗書店。小田急線代々木上原駅前にある20坪ほどの家族経営の書店です。店長こだわりの品揃えに加え、朝8時から夜11時まで店を開けて、夜遅く立ち寄る客のニーズにも応え、地元の人たちから愛されてきました。

 近所に住む作家の林真理子さんのサイン本が購入できる店として「林真理子さんのファンの聖地」としても知られています。ところが「幸福書房」は2月20日で閉店。閉店の理由は、インターネットの普及で雑誌や本の売り上げが減少していることや、体力的にも長時間、店を開けることが難しくなったからとしていました。

 ということで、セレクトがあってもダメだったというものなのですけど、体力の問題もあり、複合的な理由です。また、記事で良い例として出していた八戸ブックセンターも、結局セレクトに特徴という説明。ただし、ここは、大赤字の見込みの八戸ブックセンターに批判 図書館充実ではなぜダメなのか?で書いたように、税金の問題があり、褒めづらいところでした。

 それより、民間でやっていた高松市の「本屋ルヌガンガ」の例の方が良いですね。ここは、2017年8月に、オープンしたお店で、「クラウドファンディング」を活用し、インターネットを通じて一般の人から開業資金の一部を募っていました。民間で完結しているので、素直に褒められます。

 こちらは、やはり最初の話でも出てきた"「モノ」を売っているわけでなく「体験」を売っている"的なところが売りのようです。自宅でくつろぎながら本を読んでいるような空間にしたいと階段状のいすや大きなダイニングテーブルを置き、コーヒーを飲みながら本を選ぶことができるとのことでした。
(あの老舗書店も閉店 本屋さんどうしたら残せる? 2月19日 17時25分 NHKより)
https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_0219.html


●芥川賞・直木賞より売れる「新井賞」は、書店員が勝手に選考

2020/04/09:前回の追記は「体験」に重きを置いた本屋の話。今回はそれよりも「セレクト」部分、目利き力に重きを置いた話を。直木賞より売れる「新井賞」 書店員一人で勝手に選考|ブック|NIKKEI STYLE(2019/6/6)という記事があったのです。

 タイトルの通り、記事によると、芥川賞・直木賞より売れる文学賞があるといいます。とは言っても、別に権威あるものではなく、書店員の新井見枝香さんが、半年で一番面白かった本をたった一人で“勝手に”選んで、芥川賞・直木賞と同日に発表するものなんだそうな。その名も「新井賞」です。

 「新井賞のきっかけは、2014年上期の直木賞候補作の『男ともだち (文春文庫)』(千早茜著)をもっと知ってほしいと思ったこと。ただ、「直木賞受賞作」に対して、「候補作」では弱いです。そこで、自分の名前を冠した「新井賞」の手書き帯を苦肉の策として巻き、真剣度を伝えようとしたのが始まりだとされていました。



 当時勤務していた三省堂書店有楽町店では、直木賞受賞作を超える売り上げという大成功。当時から、新井さんには固定ファンがいたというのも理由です。常連客に話し掛け、的確な本を薦めていて、わざわざ遠くから足を運ぶ人もいたため、ある程度売れることは予想していました。

 ただ、完全に予想外だったというのが、他の大手書店もライバル会社店員の「新井賞」に乗っかったこと。蔦屋書店が新井賞のコーナーを展開するなど大手チェーンも参加したんだそうです。ただ、知名度がさらに高まったことで、新井さんがいる書店での売り上げも上昇したということで、相乗効果もあり、Win-Winな感じになれました。


【本文中でリンクした投稿】
  ■書店店長「本を買って。町の本屋がなくなります」→どうぞどうぞ
  ■書店の倒産は必然か?店員「この本どこ?と聞くな。Amazonで買え」
  ■本屋にとって立ち読みは邪魔者か?など 書店倒産ラッシュへの抵抗
  ■大赤字の見込みの八戸ブックセンターに批判 図書館充実ではなぜダメなのか?

【関連投稿】
  ■本屋でトイレに行きたくなる現象 インク説などWikipediaが詳しすぎ
  ■アマゾンの電子書籍、小説・漫画のセルフ出版(KDP)のインパクト
  ■商品・サービス・技術についての投稿まとめ

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