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日本企業が環境汚染、中国で処分 花王・三井化学・ダイキン工業・クレハ・JUKIなど


 中国の環境汚染はひどくて対策が遅れているというイメージがあり、実際、以前はそうでした。しかし、最近は環境規制に熱心で、日本より厳しい基準値があったり、抜け道対策のために夜間に調査したり。

 また、中国の環境汚染がひどかったというのは、日本企業が加担している面もあったので、日本人としてはバカにしづらいところでもあります。そして、今回の規制強化では、中国国内企業だけでなく日本企業もガンガン処分を食らっていました。環境対策をむしろ売りにしていた企業まで処分されており、お前ら何やってたんだ?という感じです。(2018/01/10)


●日本企業「中国の環境汚染はひどいけど賄賂さえあればなんとかなる」

2018/01/10:インドとともに中国の環境問題は、これまで問題視されてきました。ただ、経済成長を優先する地方政府は、経済の足を引っ張りかねない環境保護に本腰を入れることはありませんでした。現場には厳格に取り締まるより私腹を肥やすことに熱心な役人も数多くいたとされています。
(揺らぐ日本企業の「環境先進」イメージ:日経ビジネスオンライン 中国政府の規制強化で摘発相次ぐ 小平 和良 2017年9月6日より)

 「厳格に取り締まるより私腹を肥やす」というのは、要するに賄賂を貰った企業はお咎めなしという意味。WEBRONZAでは、環境対策に使う費用と賄賂に使う費用とを天秤にかけた場合、明らかに賄賂を使って見逃してもらう方法が安上がりだと指摘していました。なので、こちらの方法が中国ビジネスの「王道」という感さえあったといいます。

 日本企業もそういったイメージでこれまでやってきたみたいですね。要するに、中国のひどい環境汚染に一役買っていたというわけ。日本企業の認識はおおよそ以下のようなものだったといいます。

1.中国では環境規制が甘く、生産コストを低くできる。
2.日本の環境技術は高く、中国では楽々、規制値をクリアできる。
3.いざとなったら賄賂や個人的な関係によって対応できる。
4.問題となっているのはそうした「裏の対応」をしっかりとしていないためだ。
(厳しい中国の新たな環境対策、対応遅れる日系企業 - 児玉克哉|WEBRONZA 2016年12月29日より)


●中国政府が環境保護に本気になって、さあたいへん!

 最初の日経ビジネスオンラインによれば、そんな中国でもようやく環境保護意識が高まりつつあるそうです。経済成長で人々が豊かになり、健康や食の安全などにも関心が向くようになったからだと、説明されていました。

 環境保護意識の高まりというのは一般国民、世論の話でしたが、中国政府も近年、環境問題に本腰を入れ始めています。もう既にだいぶ経っていますが、2015年1月には環境規制を強化。違反企業への罰則を強化するだけでなく、なんと違反を取り締まらない地方政府当局も処罰の対象としたというので本気度が高いです。こうなると、賄賂貰って許すなんてことはできません。

 日本企業も数多く進出している江蘇省常熟市では今年6月、当局が夜に実施という異例の取り締まりを行いました。夜の調査そのものが日本では考えられないものの、環境対策を施していない工場は、当局の監視の目が厳しい昼間の操業をやめ、夜間に稼動するケースも少なくないというのが理由。

 さらにすごいなと思ったのが、取り締まる企業に関する情報が事前に漏れないように、職員のチーム分けや担当企業はすべて抽選で決める徹底ぶりだったということ。これはガチです。(ここまで、日経ビジネスオンラインより)

 FACTA ONLINEによれば、なかでもエコ意識が高い沿岸部では、排水や揮発性有機化合物(VOC)の一部項目では、日本を上回る基準になっていたそうで、これまた中国の本気度が伝わってきます。
(中国当局が苛烈な環境規制 処分を受ける日系企業続出 :FACTA ONLINE 2017年1月号 BUSINESS [インサイド]より)


●中国政府による日本叩きではないか?

  日経ビジネスオンラインによると、上海市の環境保護局が公表している取り締まり企業の情報を見ると、15年7月から16年12月末までに日系企業が処罰を受けたケースは50件以上ありました。こういう話を聞くと、日本叩きだ!と思う人もいるでしょう。

 ただ、現地企業を含めると、毎月数百件の違反企業が出ている中で、日系企業は決して多いとは言えないとのこと。WEBRONZAでも、「日系企業への嫌がらせとだけ捉えるのも間違いで、中国企業はもっと処分を受けている」と指摘されていました。

 これらは悪いのは日本企業だけではないことがわかる情報ではあるものの、日本企業叩きだ!という願望を否定するものでもあります。


●環境イメージで売っていた日本企業が違反

 また、日本企業にとって痛いのは、「中国企業と違って環境対応のレベルが高い」というイメージが傷ついてしまったこと。前述の賄賂の認識からすると実際そういう部分があるのでしょうが、今回の件で環境対応に不熱心だと思われてしまいました。

 さらにひどいのが、違反企業に名を連ねた日系企業の中には、環境への取り組みを喧伝している企業もあったということ。環境を積極的に売りにしながら、実態は全然違ったわけです。

 また、ある大手日本企業の現地法人は、数回にわたる当局の調査の結果、単に環境規制の違反として取り締まられただけでなく、調査を忌避したとして処罰を受けています。調査を嫌がった時点でもう答えはわかったようなもの。日本叩きではなく、マジでダメだったようです。

 こうやって見ていくと、以前書いた<中国の日本企業にカルテルで制裁 外資たたきという見方は間違い>(腐敗する日本企業は賄賂に甘い 日本いじめではないオリンパスへの罰金・制裁金740億円という別のという後にまとめ)を思い出しました。


●日本企業が環境汚染、中国で処分 花王・三井化学・ダイキン工業・クレハ・JUKIなど

 日経ビジネスオンラインでは、具体的な企業名を挙げていなかったです。ただ、先のFACTA ONLINEでは、容赦なく名前を出していました。

 環境保護局が違反企業をホームページで公開している上海市だけでも、2016年1月~10月に約40社の日系企業が罰金や生産停止処分を受けており、三井化学、花王、ダイキン工業、JUKI、クレハといった名だたる大企業の名前が出ていました。

 繰り返すように日本企業だけがひどいわけではないものの、「FACTA」は「日系企業は変化への対応が遅れている」と指摘していたようです。


●日本企業が処分されたのは、環境対策に熱心でないため

 WEBRONZAによると、環境対応で機敏な反応を見せられなかったのは、日本企業特有の問題があります。日系企業は本社からの決定を待っての判断となる場合が多く、この時点で対応が遅れてしまうためです。

 これだけならまだ言い訳できるのですが、前述の通り、法律が変わったのは結構前ですからね。経費の削減を最優先事項としている本社が多く、この事態を理解しないという問題も指摘されていました。

 WEBRONZAの記事を書いていた児玉克哉さんは、以前よりこの事実を紹介し、ずっと警笛を鳴らしてきたものの、その重大性に気づかないのか日本企業の対策は後手後手に回ってしまった、としています。これまでの中国の甘い環境対策や賄賂でどうにかなっていた賄賂社会の発想から抜け出せず、環境対策を敢えてしなかったわけです。

 こうなるともう自業自得ですし、日本企業が環境対策に熱心というイメージが大嘘であったということもよくわかります。


【本文中でリンクした投稿】
  ■<中国の日本企業にカルテルで制裁 外資たたきという見方は間違い>(腐敗する日本企業は賄賂に甘い 日本いじめではないオリンパスへの罰金・制裁金740億円という別のという後にまとめ)

【関連投稿】
  ■環境汚染ひどい中国に日本のような公害病はなぜない?隠蔽してる?
  ■科学・疑似科学についての投稿まとめ

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