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日本のGDPあたりCO2排出量はなぜ多い?理由は原子力発電ではない


 日本のGDPあたりCO2排出量の削減が、米中と比べて進んでいないという話がありました。ただ、米中は元が悪すぎですので、そりゃそうだろうという話でもあります。ところが、経済規模や経済成長の影響を除いたGDPあたりCO2排出量で見ても、日本はドイツやイギリスより昔から悪かったようです。環境先進国のイメージと違いますね。

 この時期は日本の原発がまだ元気だった頃でもあります。にも関わらず、ドイツやイギリスに負けていたということは、このときの差は原発の差ではないとも言えます。じゃあ何?というのはわからなかったのですけど、日本が悪いというのは予想外すぎて驚く話でした。(2018/01/10)

2018/01/10:
●CO2排出量を抑えるには経済成長を諦めるしかない…はすでに嘘に
●日経新聞「米中に比べて日本は削減できていない」
●日本のCO2排出量削減が進まないのは原発稼働停止のせいだ!
●日本のGDPあたりCO2排出量はなぜ多い?理由は原子力発電ではない
●石炭多用のイギリスでも日本よりGDPあたりCO2排出量が低かった
2019/01/22:
●日本のGDPあたりCO2排出量が多いのは、あの産業が強すぎるため?


●CO2排出量を抑えるには経済成長を諦めるしかない…はすでに嘘に

2018/01/10:WIREDで"経済成長とCO2排出量は「比例しなくなっている」:IEA報告書"という記事がありましたが、「比例」とまで言うと言い過ぎでちょっと問題ありますね。「比例」はタイトルだけであり、本文でも「比例」という言葉は使われていませんでした。

 ただ、「経済が成長すればCO2排出量も増加する」といままで考えられていたのが、そうではなくなってしまったとは言えます。というのも、世界経済が全体的に成長を続けているにもかかわらず、二酸化炭素の排出量は2016年まで3年連続でほぼ一定にとどまっていたためです。
(経済成長とCO2排出量は「比例しなくなっている」:IEA報告書|WIRED.jp 2017.03.29 WED 21:00 TEXT BY JOHN TIMMER TRANSLATION BY MAYUMI HIRAI/GALILEOより)

 このように経済成長しながら温暖化防止に向け二酸化炭素(CO2)排出量を抑えることを、デカップリング(切り離し)と言っている記事がいくつかあります。デカップリング(decoupling)というのは要するに「分離」という意味で、CO2問題に限らずいろいろな分野で使われているものです。


●日経新聞「米中に比べて日本は削減できていない」

 このデカップリングという言葉を使っていたのは日経新聞だったのですが、CO2排出量の多いアメリカと中国が大きく減らしているのに対し、日本は停滞していると強調していました。

 ただし、最大排出国の中国は、発電部門を石炭から太陽光などに転換したことが大きいです。石炭が多かったということで、元が悪すぎたんですよ。100基単位の石炭火力発電所の閉鎖も検討するということで、まだまだ中身は悪いです。とりあえず、14年の発電量は石炭が73%を占めていたのが、30年51%、40年43%に下がる見込みです。

 世界2位の排出国、アメリカも元が悪すぎて今なお悪いところ。加えてにシェールガス革命という特殊事情もあります。これにより、発電燃料として石炭からの転換が進みました。CO2対策は経済に悪影響だと主張するトランプ政権はパリ協定離脱を宣言したものの、企業の動きは止まらないとされています。

 一方の日本は16年時点で世界資源研究所(WRI)が選んだデカップリング達成21カ国からも漏れました。GDPあたりのCO2排出量は2.6トン。米中より00年からの減少幅は小さいとしています。
( 成長しながらCO2抑制 世界、GDPあたり15年で2割減 米中大幅減、日本は停滞 2017/11/5付 日本経済新聞 竹内康雄、草塩拓郎、榊原健より)


●日本のCO2排出量削減が進まないのは原発稼働停止のせいだ!

 日経新聞は、日本のCO2排出量削減が進まない理由として一つ再生エネルギーのコストが他国より高いことを指摘していました。またこれに加えてさらっと「原発は再稼働の進め方に知恵を絞る必要がある」と書いていました。今回の記事では露骨ではなかったものの、CO2削減のために原発再稼働せよ!という声は出てくるものと思われます。

 実を言うと、WIREDでは、中国は石炭の削減と再エネ利用が二本柱としつつ、"中国では、新たに5基の原子炉が運転を開始し、原子力によって発電できる電気量を25パーセント増やした"ということも伝えていました。

 また、本文では触れられていなかったものの、原子力発電所だらけのフランスのGDPあたりCO2排出量は以前から日本より低い上に、2015年はさらに減っています。これらだけ見ると、原発が重要そうに見えます。


●日本のGDPあたりCO2排出量はなぜ多い?理由は原子力発電ではない

 ただ、日経新聞でGDPあたりCO2排出量を見ると、ドイツやイギリスは2000年時点で日本よりやや低いんですよ。本文では数字の記載がなく正確な数字はわかりませんが、今回の削減割合も日本より大きくなっていました。かなり減っています。しかし、私が一番気になるのは、日本の原発が動いていたは2000年時点で日本より低いというところです。

 日本がCO2削減に熱心に取り組まない言い訳はいくつかあり、一つが排出量の多いアメリカと中国がやらないから意味がないというもの。この言い訳は前述の通り、使いづらくなってきました。

 また、外国がCO2排出量を減らせるのはもともとの排出量が多すぎるため、既に環境対策を施している日本は減らしようがないといった反論も見たことがありました。これは中国などには当てはまるものの、2000年時点で日本よりGDPあたりCO2排出量が少ないドイツなどには当てはまりません。

 なお、「GDPあたり」で見ているために、日本とドイツとの経済規模の違いは考慮されていますし、好景気・不景気の影響もあまり関係なくなっています。

 それから、前述の通り、2000年時点で日本の原発は元気に動いていましたので、少なくとも原発のせいとは言えません。理由はなぜだかわからないものの、日本はもともとドイツやイギリスよりもCO2を抑えられていない国だったようです。


●石炭多用のイギリスでも日本よりGDPあたりCO2排出量が低かった

 WIREDではEUで特にCO2削減が進んだ国として、イギリスを挙げていました。意外なことにイギリスも石炭からの転換が主な要因。他に天然ガスの価格が安いことや、排出1トン当たり18ポンド(約21ユーロ、2,500円)という高い炭素税などが挙げられるそうです。

 炭素税は、日本ではアベノミクスを肯定したというところが強調されるスティグリッツ教授が、安倍首相に提案しているものでもあります。ちなみにスティグリッツ教授は、法人税の減税は無意味だとも言っており、法人減税は無意味、炭素税導入を ノーベル賞のスティグリッツ教授が日本の安倍首相に提言)で書いています。

 イギリスの削減成功に話を戻すと、再生可能エネルギーの役割も大きいとのこと。英国では2015年第2四半期、再生可能エネルギーの割合(25.3パーセント)が石炭火力(20.5パーセント)や原子力発電(21.5パーセント)を初めて上回りました。また2016年には、風力発電が石炭火力を上回ったということで、どんどん増えていました。

 イギリスで石炭が多かったということは、やはり「元が悪すぎた」と言えそうなものなのですけど、前述の通り、それだけ内容が悪くても2000年時点で日本よりGDPあたりCO2排出量が低かったわけなので、むしろ余計謎が深まってしまう情報。原発ではない別の何かが、日本のネックになっているのかもしれません。


●日本のGDPあたりCO2排出量が多いのは、あの産業が強すぎるため?

2019/01/22:日本が悪い理由を思いつきました。GDPに占める製造業の割合が多い国のためではないでしょうか。以下のように、製造業・建設業・電気ガス事業などが含まれる第二次産業の比率は、イギリスより高くなっています。

日本のGDP構成比
一次産業(農林水産) 1.1%
二次産業(鉱業、電力を含む) 25.6%
三次産業(通信や金融、小売などサービス関連) 73.2%

イギリスのGDP構成比
一次産業(農林水産) 0.7%
二次産業(鉱業、電力を含む) 20.5%
三次産業(通信や金融、小売などサービス関連) 78.9%
(日本の経済 - 世界経済のネタ帳イギリスの経済 - 世界経済のネタ帳より)

 製造業は、二酸化炭素の排出量が多くなる産業でしょう。加えて、日本の製造業は労働生産性の低い仕事ばかり 国も海外委託を推奨、工場国内回帰信仰は間違いだったでやっているように、従来型の製造業は労働生産性が低いため、GDPが低い割にCO2の排出ばかり多いといった風に、二重に効いてくる感じがありそうです。

 これが理由だった場合、日本は製造業が強い国なので仕方ない…という声はあるかもしれません。ただ、日本の製造業は労働生産性の低い仕事ばかり 国も海外委託を推奨、工場国内回帰信仰は間違いだったは、従来型の製造業は途上国向きの産業で、労働生産性が低いという話でした。労働生産性の低さはブラック企業を生みやすくするとも考えられるため、脱製造業の方向性は進めた方が良いでしょう。

 …と書いてから、ドイツを調べていなかったことに気づいて見てみたら、日本よりむしろ二次産業が多くなっていました。うーん、製造業の多さだけでは説明できませんね。

ドイツのGDP構成比
一次産業(農林水産) 0.8%
二次産業(鉱業、電力を含む) 30.1% (日本は25.6%)
三次産業(通信や金融、小売などサービス関連) 69.0%
(ドイツの経済 - 世界経済のネタ帳より)


【本文中でリンクした投稿】
  ■法人減税は無意味、炭素税導入を ノーベル賞のスティグリッツ教授が日本の安倍首相に提言
  ■日本の製造業は労働生産性の低い仕事ばかり 国も海外委託を推奨、工場国内回帰信仰は間違いだった

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