いきなり本題と関係ない話をしてしまってすまないのですが、「佐村河内守」というお名前。これが気になりました。
昔、国司(こくし)という官吏があり、その中に「守」(かみ)という役職がありました。これは後に有名無実化し、戦国時代には勝手に名乗るようにもなりました。
室町時代になると、守護に大幅な権限、例えば半済給付権、使節遵行権などが付与された。これらの権限は、国司が管理する国衙領においても強力な効力を発揮し、その結果、国司の権限が大幅に守護へ移ることとなった。
こうして国司は名目だけの官職となり、実体的な支配は守護(守護大名)が執行するようになった。ここに至り、国司は単なる名誉職となり、被官される人物の実効支配地に関係なく任命された。戦国時代の武将の中には国司を自称、あるいは僭称する者も多かった(百官名)。
Wikipedia
たとえば戦国時代の剣の達人である「上泉信綱」は、「上泉伊勢守(いせのかみ)」という呼び名が広まっています。「上泉伊勢守信綱」みたいに、ミドルネームのように言われることもあります。
で、私はこの「佐村河内守」さんも「佐村(さむら)河内守(かわちのかみ)」だと思って、変わったお名前だなぁと最初勘違いしてしまいました。
でも、本当は「佐村河内(さむらごうち)守(まもる)」さんでした。こちらでも十分に珍しいお名前ですけどね。
余談は以上。本題はゴーストライターの話です。実はゴーストライターの話で一つストックがあるのですが、そちらは書籍の話(
ビジネス書はゴーストライターが9割 その見分け方・判別方法は?)。今回は作曲の話です。
ただ、マスコミは遠慮しているのか、なぜか「別人の作曲」と言葉を濁しており、「ゴーストライター」という言葉を使っているところは少なめでした。
佐村河内さんの楽曲は別人が作曲
広島市出身の被爆2世で、両耳が聞こえない作曲家として知られる佐村河内守(さむらごうちまもる)さん(50=横浜市在住)の「交響曲第1番 HIROSHIMA」などの主要な楽曲は、別の音楽家が作ったものだったと、佐村河内さんの代理人の弁護士が5日未明、明らかにした。(中略)
代理人によると、十数年前から佐村河内さんが別の人物にイメージなどを伝え、曲にしてもらっていた。
公式サイトなどによると、佐村河内さんは作曲を独学。「バイオハザード」「鬼武者」などのゲーム音楽で注目を集めた。35歳で聴力を失った後も、絶対音感を頼りに作曲を続けた。[2014年2月5日2時24分]
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20140205-1253277.html
いい迷惑なのは、フィギュアスケートの高橋大輔選手。もう目前に控えている"ソチ冬季五輪のショートプログラムで使用予定の楽曲「ヴァイオリンのためのソナチネ」"は佐村河内さんのものなのですが、これまたゴーストライターの作品だそうです。イメージ悪化しますね。
また、何気なく
Wikipediaを覗いてみるとこちらもひどいことになっていました。ほとんどの記述に[要出典]タグがついているのです。
これだけ[要出典]だらけのWikipediaは、自民党の片山さつき議員の夫片山龍太郎さんのページくらいしか見たことがありません。(関連:
片山さつきと夫龍太郎のWikipedia、関係者の削除疑惑)
Wikipediaには、
"この記事の正確性に疑問が呈されています。問題箇所に信頼できる情報源を示して、記事の改善にご協力ください"
とあり、これはエピソードに関する要出典のことだと思いましたが、今回のゴーストライターの関係もあるようで、
"疑問点:ゴースト作曲家利用のため実際にどの曲を本人が作曲したか不明"
とも書かれていました。
出典が書かれていないだけで本当の話もあるのかもしれませんが、ゴーストライターのせいもあって相当にエピソードを盛っているのではないか?と思ってしまいます。実際の要出典つきの部分は、量が多すぎますので少しだけ引用。
4歳で母親がピアノの厳格な英才教育を始める。その他、幼少からヴァイオリン、尺八、マリンバなどを習う。5歳で「マリンバのためのソナチネ<無の弾劾>Op.1」を作曲。小学校(広島市立五日市南小学校)4年生でベートーヴェンのピアノソナタやバッハを弾きこなす。10歳のとき「もう教えることはない」と母親から告げられて作曲家を志望。これ以後は楽式論、和声法、対位法、楽器法、管弦楽法などを独学。中学生時代は音楽求道に邁進する一方で、学年の番長との喧嘩や他校への出張抗争を繰り返す悪童でもあった。[要出典]
1981年頃、崇徳高等学校卒業後に上京したが現代音楽の作曲法を嫌って音楽大学には進まず、肉体労働者として働きつつ独学で作曲を学ぶ。[要出典]
1982年頃、19歳の時に失職して家賃を払えなくなり、アパートを追い出されてホームレスとなり、半年間の路上生活を送った。[要出典]
1988年、ソロのロック歌手としてデビューしたが、その直後に音楽的理解者だった実弟を交通事故で失ったことがきっかけでプロダクションとの契約を解除。以後もアマチュアのロック歌手としてバンド活動を行っていたが、その頃から聴覚異常を発症し、1989年、健康上の理由でバンドから脱退。[要出典]
ところで、ゴーストライターの件はなぜこのタイミングで発表だったのでしょう? 先述の通り、高橋大輔選手にとっては最悪のタイミングです。気になったのでもう少し見ていると、以下の記事がありました。
佐村河内守氏の曲は別人作 フィギュア高橋大輔のSP使用曲も ― スポニチ Sponichi Annex 芸能
佐村河内氏の作品を「本当は自分が作曲している」という人物が、その事実を告発する準備。背景には佐村河内氏との間で意見の対立など何らかのトラブルがあったようだ。[ 2014年2月5日 02:10 ]
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/02/04/kiji/K20140204007522750.html
最初の記事ではまるで自分から言い出したかのように書いていて、「佐村河内さんは深く反省しているという」ともあったので勘違いしてしまいましたが、元から揉めていたんですね。今回は隠しきれずに発表せざるを得なくなったということのようです。(通常の場合でも契約が曖昧であることがありますから、待遇で揉めたのかも)
ただ、代理人は「(作曲した)人物の側にも作曲者として表に出づらい事情があると聞いており、佐村河内が自身を単独の作曲者と表記するようになった」として、ゴーストライターも望んでいたといった口ぶりです。
こういう言い方してしまうところを見ると、まだこじれるかもしれませんね。(別記事によると、本当の作曲者は桐朋学園大非常勤講師の新垣隆さんという方だそうです)
追加
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佐村河内守の耳は聞こえる?ゴーストライター新垣隆、全聾が嘘と示唆 ■
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