ゴーストライターが9割と言われるほど、ビジネス書はゴーストライターによる本が多いとのこと。これが正しければほぼゴーストライター本だと考えて良いのですが、見分け方・判別方法も紹介されていました。また、ゴーストライターを立てる著者は、わかる日本語を書けないし、虚栄心の強くてたいへんといった話も出ています。
2014/2/10:
●大手出版社役員「ビジネス書はゴーストライターが9割」と断言
●まず社長などの著者への聞き取り作業…これがいきなり最大の難所
●そもそもゴーストライターを立てる人は虚栄心が強いに決まってる!
●彼らの日本語は意味不明なので理解できる日本語に治す必要がある
●3つのポイント…ゴーストライター本の見分け方・判別方法とは?
2017/12/04:
●トランプ大統領がビジネス書的な自叙伝もゴーストライター
2020/07/14:
●別の書籍もやっぱりゴーストライター?トランプ大統領のめいが執筆
●大手出版社役員「ビジネス書はゴーストライターが9割」と断言
2014/2/10:吉田典史さんは東日本大震災の報道で知った方ですが、昔読んでブックマークしていた記事が実は彼のものだったようです。
(関連:
東日本大震災 自衛隊の影に隠れた消防団の働き)
その記事というのは、
吉田典史の時事日想:約9割のビジネス書は、ゴーストライターが書いている Business Media 誠 2010年05月21日 08時00分というもの。
それによると、ビジネス書の多くは、フリーライターが書いているといいます。いわゆる“ゴーストライター”のことです。東京・神田近辺の大手出版社Sの役員は、「ビジネス書の約9割はゴースト(ライター)が書いている」と言い切っていました。
ただ、こういう主張は裏取れないですしね。大げさに言っている可能性もありそうです。
●まず社長などの著者への聞き取り作業…これがいきなり最大の難所
とりあえず、吉田典史さんもゴーストライターをやっているそうですので、大体その仕事の流れがわかります。
「○○社の社長を著者にして、○○というテーマの本を今年の夏に出すことになりました。つきましては、口述をお願いできないものでしょうか?」という連絡が来て、「口述」という作業をするそうです。ところが、この最初の“口述”というのが、曲者なのだとしていました。
<常識的には「著者」(企業の経営者、芸能人、タレント、政治家、コンサルタント、医師、研究者など)がライターや編集者の取材に応じる形で答えていく。大体、1回の取材が通常2時間。それを5回ほどに分けて行うので、計10時間ほどの取材だ。それらを録音し、1つの話になるように構成し、1冊の本に仕上げていく。その期間は、早くて2カ月。長いときは半年を超えることもある>
●そもそもゴーストライターを立てる人は虚栄心が強いに決まってる!
特にベンチャーや中小企業の経営者に多いそうですが、話に脈略・ストーリー性がないのでたいへんなようです。彼らは話や著述のプロではありませんからね。ただ、彼らはその事実を認めたがらない…というのも特徴です。
ライターが何度も聞き返していると、虚栄心の強い著者が怒ることがあるとのこと。そもそもゴーストライターを立ててまで本を出す人は虚栄心が強い傾向があるとされており、これはそりゃそうだろうな…と思いますね。
<ベンチャーや中小企業の経営者は、他人から何かを言われることに慣れていない。人から仕切られることに抵抗を感じるから、会社を飛び出して創業をしたようなタイプが多い。ライターは、この虚栄心と自己顕示欲の塊とも言える著者を刺激しないようにいかにうまく聞き出すかが、腕の見せどころとなる>
●彼らの日本語は意味不明なので理解できる日本語に治す必要がある
そして、聞き出した情報を「商業用日本語」に直します。この「商業用日本語」というのは、1回で読んで"意味がおおむねすんなりと分かるように書かれている"新聞や雑誌、ビジネス書などの文章だそうです。個人的にはそういうものでもわかりにくいのもあると感じていますが、素人の文章よりは100倍マシだと私も思います。
吉田典史さんはライターを志す20代の人たちに「詐欺みたい」と言われたそうですが、仕方ないですよね。出版社としては本を売ることができるブランド力のある人が欲しいのですが、彼らは読める日本語を書けません。そうなれば、文章の方は別の人が書かなきゃいけません。極端な話をすると、欲しいのは名前だけで中身は別でも良いという格好でしょう。
記事では"大学教授やコンサルタント、研究員らが書く文章は何度も読まないと、その意味が分からないことが多い"として、以下の例を出していました。"知名度は日本で上位10番以内に入るコンサルタント"さんのブログ記事が元ネタだそうです。
日本は中国などの追い上げに対応できうるフレキシビリティーを整え、それぞれの業界の規制を取り払い、柔軟かつ競争性のある社会にしていくことで中国などに対抗できうるし、アジアにおいてプレゼンスを明確にしていくことで対応もできる。
ただ、読む方も結構こういう文章好きじゃありません? 私はわかりやすく伝えられない人を評価しませんので特に良いと思いませんが、やたらと横文字を使ったり、難しい言い方をしたりすることで、「自分はすごいんだぞ」と見せたがる人は多いです。
信者…という言い方をすると怒られることがありますが、ファンの方もそういうわけのわからない文章をありがたがり、何だかわかった気になってご満悦です。なかなかうまく回っているんじゃないでしょうか?
●3つのポイント…ゴーストライター本の見分け方・判別方法とは?
ところで、記事ではこうしたゴーストライターの見分け方・判別方法についても触れていました。
1.ビジネス書とブログなどの文体が異なる。 理由:ビジネス書はゴーストライターが書いているため。
2.ビジネス書によって文体が異なる。 理由:複数のゴーストライターが書いているため。
3.奥付に「編集協力 ○○○○」とか「編集(執筆) ○○○○」などと書いてある場合も、ゴーストライターの可能性が高い。
ビジネス書じゃなくて自伝でしたが、私も著作によってずいぶん印象が違うなぁと不思議に感じた人がいました。ゴーストライターが書いたとすれば納得ですわ。
先に言ったように私はこういったやり方は、商業的には仕方ないところがあると思います。ただ、「ゴースト(幽霊)」状態にするのでなくきちんとライターが書いたことを明記して、「取材して書いた本ですよ」という正直な形にした方が良いことは間違いありません。
●トランプ大統領がビジネス書的な自叙伝もゴーストライター
2017/12/04:全体に見直したついでに何か追記をと思って検索。すると、トランプ大統領の自叙伝もゴーストライターによるものだという話が出てきました。虚栄心が強いに当てはまりすぎて笑いました。
この記事そのものは、
トランプ氏は任期途中で辞任する、自伝ゴーストライターが予言 :AFPBB News(2017年8月18日 15:55)というタイトルであり、ゴーストライターに関するものではありません。
ゴーストライターは、トニー・シュワルツさんという方。今出したらすごく売れると思うのですが、1987年に出版されたものであり、ビジネスマン時代のもの。「トランプ自伝──不動産王にビジネスを学ぶ(The Art of the Deal)」というタイトルですし、たぶんビジネス書的な意味合いが強いのでしょう。
政治家も虚栄心が強く、ゴーストライターが多いんじゃないかと思いますが、「ビジネス書はゴーストライターが9割」という当初のテーマにも合うものでした。
●別の書籍もやっぱりゴーストライター?トランプ大統領のめいが執筆
2020/07/14:前述のトランプ自伝はビジネス書的な意味合いが強いのではないかと書いたのですけど、実際、トランプ大統領は「ビジネスのバイブル」であると自慢してきたみたいですね。この書籍の原題は、「Trump: The Art of the Deal」で1987年の出版でした。
トランプさんが書いたとされる書籍は他にも多数あり、シリーズ的に似たようなタイトルの本もいくつか出ています。1997年の「Trump: The Art of the Comeback」がそういったもの。「Trump: The Art of the Deal」と名前がよく似ていますよね。この1997年の方は邦訳はされていませんが、「返り咲きの技巧」と訳しているニュースがあります。
そして、この書籍もゴーストライターによるもの…といった告白が出ていました。トランプ大統領のめいのメアリ・トランプさんの暴露本では、ゴーストライターを頼まれて作ったと書かれているとのこと。加えて、ゴーストライターとして執筆したにも関わらず、その対価はまったく支払わなかった…とも書かれているんだそうです。
(
トランプ米大統領のめいの暴露本、5つの注目点 大学受験は「替え玉」 - BBCニュースより)
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