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部下を殴る上司が許される日本でどう身を守る?パワハラ・暴力問題


 体罰問題のときにこれまで日本では学校や家庭の中で大きな力が許容されてきたからといった話を書き、同様に会社における上司にも治外法権的に大きな権限が認められてきたという話を書きました。

 今回はこっちの会社での話。会社における上司の権力では暴力OKとまでは書いてこなかったと思いますが、部下が上司を殴ったら犯罪・上司が部下を殴るのは許容範囲という考え方がまだ廃れていないみたいですね。

上司だからって部下を殴っていいのか?罪に問えるかは暴力の証拠がカギを握る|ダイヤモンド・オンライン 2014年1月8日 曽我紀厚[弁護士]
http://diamond.jp/articles/-/46845

 上の記事タイトルは「上司だからって部下を殴っていいのか?」と書いているものの、最初からその是非は問題となっておらず、「当然殴っていいわけがない」として話が進められています。
今やほとんど企業の現場では行われていないだろうが、上司の部下に対する“鉄拳制裁”はまだまだ日本社会に存在するようだ。(中略)しかし、業務で失敗したり指示に従わなかったりするだけで、上司は部下を殴っていいのだろうか。暴行罪や傷害罪、民事の不法行為に問われることはないのだろうか。またそうした上司を是としている会社に責任はないのだろうか。(中略)

「ミスをした際に、上司に平手打ちで顔を叩かれました。頭を殴られることも時々あります。こうした体罰を受けたことについて、社員は法的に守られるのでしょうか。上司や企業にどんな請求ができるのでしょうか」

 実際にこうした相談事も、弁護士事務所には寄せられる。

 上司には、指揮命令権限がある以上、部下たる社員に対して業務を命じ、これに従わない社員に対して一定の叱責をすることは社会通念上も許容されており、適法である。しかし暴力となれば、雇用契約によって許容されるものではない。

 暴力がダメってことは明快です。しかし、これで解決とはなりません。暴力の証明が非常にたいへんなのです。
 暴力を受けた社員にとって、直観的に思いつく解決の方法として、当該上司に刑事罰が科されるように対処する方法が考えられるが、あまり現実的ではないケースも多い。

 暴力といっても幅があり、①加療を要する程度の有形力の行使(傷害罪・刑法204条)、②これに至らない程度の身体に対する有形力の行使(暴行罪・刑法208条)、③身体以外に対する有形力の行使(机を叩く、怒鳴り声を上げる等)がある。③が刑事手続きの俎上に載る見込みは低い。

 ①及び②においても、刑事罰を科すためには検察官が起訴(刑事裁判を求めること)をしなければならず、一私人たる社員が刑事裁判を起こすことはできない(起訴便宜主義、刑事訴訟法247条)。起訴の見込みの無い事件の捜査を警察は回避しようとするから、社員が告訴をしたとしても、暴行の程度が低い場合、暴行の事実や身体に生じた損害を立証する証拠が乏しい等の場合には、実際には警察は動かない。

 嫌な世の中ですが、現状こうなのですからどうしようもありません。記事では弁護士さんの書いたものらしく、「弁護士に相談をすることをお勧めする」とありました。これが現実的な方向でしょうね。

 上は刑事の話ですが、民事においても同様でしょう。"上司の責任を追及するためには、上司が暴力を行ったこと、これによって損害を被ったこと、さらに損害額を主張、立証しなければならない"といった感じでたいへんです。

 ただでさえ虐げられているのに負担ばかりで何一つ良いことがないですが、自らの身を守るにはいろいろと証拠を集める必要があります。

 やり方の一つはここでもやっぱり弁護士さんに早く関わってもらうという話。
 訴訟に至る前、特に弁護士が代理人として交渉の前面に出る以前であれば、日常の会話やメールでのやりとりのなかで、暴行の存在を認める可能性はある。

 早期の時点で、関係者や上司本人から、暴行の事実を聴取して証拠化(メモ、録音等)しておくことは、訴訟において重要である。のみならず、訴訟に至らない場合でも、証拠の有無及びその質を見れば、仮に判決に至った場合の大まかな落とし所が見えるため、交渉段階においてもこの結論を軸に着地点を探ることになる。したがって、暴行の事実に関する決定的な証拠は、訴訟外の交渉を有利に運ぶ上でも大きな武器になる。訴訟による解決を念頭においていない場合であっても、証拠収集を怠ってはいけない。

 あとは当人がやるという話かな?というところを。

・暴力のあった日時、場所、前後の具体的なやりとり、同席していた者等を日記やメモに記載しておく。

 特に暴行が継続的に反復して行われるような場合に有用。記憶が薄れるのはやむを得ないとはいえ、裁判所は、曖昧な事実に基づいて事実を認定して判決を書くことはできないため。

・録音や動画を撮る。

 暴行が反復継続するようなケースの場合には、録音や動画を撮ることが可能であろうから、勇気を出して試みる価値がある。早期かつ有利に解決をする極めて価値の高い証拠になる。

・暴行による怪我等の写真を残すことや、医師に診てもらう。

 損害及びその額に関して、治療費だけではなく、精神的な損害(慰謝料)を立証するためにも望ましい。特に精神疾患や睡眠障害に至った場合、医師に診てもらうと証拠化しやすい。通院の日数は慰謝料の額を算定するに際して指標となるため、通院はきちんとすべき。


 なお、"他の社員(特に現職)に、企業に不利な証言を期待することは困難であるから、暴行の事実は極力客観的な証拠であることが望ましい"としていました。自分だけが頼りです。

 それから、へーと思ったのが、"上司の暴力だけではなく未払残業手当の請求等、他の請求も併せて行うことが早期かつ有利な解決を導く場合もある"という話。暴力の件を立証できなくても、未払残業手当の方で請求を取れる場合があるからのようです。


 途中で書いたように殴られた上に社会的な救援も少ないという非常にやるせない状態なのですが、たぶんあまりこの状況は改善しないのではないかと思います。

 一つは記事であった"暴力を用いてまで指導を行う上司は企業にとって熱心に部下を指導するという点で便利な存在であるが故、案外企業において評価されている場合も多い"というもの。むしろ暴力が容認される現状が望ましいと思う人も多いのです。

 また、私が同質のものとした体罰問題なんかは信条的にむしろ好ましいと思っている政治家(特に日本の主流である保守系)が多く、パワハラ防止といった方向性の政策に熱心に取り組むと考えづらいだろうというのも改善しないと思う理由です。

 途中で未払残業手当の話がありました。この残業代の他にセクハラの問題なども含めて、記録・証拠を残しておくというのはたいへん大事です。残念ながら自分の身を守るためには相当努力しなくちゃいけないというのが現実ですので、前述のポイントを心がけておいてください。


 関連
  ■パワハラ(パワーハラスメント)の定義と事例 職場のいじめ被害
  ■会社の酷い話・変なルール セクハラ事例多数で体育会系パワハラも
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