過去の岡山大学の研究不正問題をまとめ。<岡山大不正告発の報復で名誉毀損?森山芳則・榎本秀一教授らが提訴>などをまとめています。
2023/06/24まとめ:
●研究不正を指摘したところ報復でパワハラを認定?互いに反論
2023/11/18まとめ:
●岡山大森田潔学長らは戦前の特高?森山芳則・榎本秀一を処分 【NEW】
●岡山大不正告発の報復で名誉毀損?森山芳則・榎本秀一教授らが提訴
2014/2/14:
岡山大で不正論文とその隠蔽を内部告発 告発者は森山芳則薬学部長らの件で別の記事を発見。だいぶごちゃごちゃしているみたいですね。前回使った記事は「週刊ポスト2014年2月21日号」で、ウェブで公開されたのが「2014年2月10日07時00分」でした。
一方、今回紹介する記事はそれより1月ほど前である2014年01月11日のもの。<提訴:岡大を教授が訴え 副研究科長の地位確認求め /岡山 毎日新聞 地方版>【平川義之】というタイトルの記事です。
<岡山大(北区)の大学院医歯薬学総合研究科の副研究科長だった榎本秀一教授(50)が10日、「特別な理由がないのに再任されなかったのは不当」だとして、岡山大を相手取り、地位の確認と未払い賃金を求める訴訟を岡山地裁に起こした。
訴状などによると、榎本教授は2011年4月1日から2年間、副研究科長に就任。特別な事情がなければ続けて数期にわたって再任されるのが慣例なのに、大学側に再任を拒絶されたと主張。地位の確認と未払いとなっている副研究科長としての9カ月分の手当計72万円の支払いなどを求めている>
http://mainichi.jp/area/okayama/news/20140111ddlk33040476000c.html 週刊ポストでの告発者はこの榎本秀一・副薬学部長(週刊ポストでの記載)と森山芳則・薬学部長の二人でした。該当記事をネット上で発見できなかったものの、2ちゃんねるには以下のような記事の転載らしき書き込みがありました。こちらだと森山芳則・薬学部長の名前が出ています。
653 : 学籍番号:774 氏名:_____[] 投稿日:2014/01/17(金) 23:37:22.23 ID:W94xJKwp [1/1回]
岡山大学の薬学部長ら3人が、学内の不正をめぐって大学側から不当な扱いを受けたとして、森田学長らを岡山地検に告訴しました。
告訴状などによりますと、岡山大学薬学部長の森山芳則教授ら3人は、去年9月、薬学部の教授らに対してハラスメント行為をしていたとして、学内の調査委員会に申し立てをされました。
http://www.logsoku.com/r/student/1357376450/ ハラスメント行為告発は「去年9月」とあります。どうもこれが最初みたいなので、ハラスメント行為で申し立てられたのを、論文不正告発でうやむやにしているのでは?と言われていました。ただ、森山教授や榎本教授は時系列が逆だと主張しています。上記のソース不明の記事ではこう書いていまいした。
<しかし、調査委員会は十分な調査を行わずに3人を処分しようとしているのは、公務員職権乱用罪にあたるとして、岡山大学の森田学長と許理事の2人を告訴したということです。
3人は、17日、会見を開きハラスメントとされた行為は、不正を質すためのものだったとして、自分たちの行いに違法性はないと訴えました>
最初の毎日新聞でも同様。<榎本教授と弁護団は10日、岡山大薬学部棟で記者会見を開き、「大学側には、再任を拒絶された理由を一切説明されていない。研究の不正行為に関することを大学に告発したためではないかと思う」などと話した>と書かれています。不正告発が最初でその報復との主張です。
一方の岡山大側はそれぞれ「事実関係がわからないのでコメントできない」、「訴状が届いていないのでコメントできない」といった回答。毎日新聞は実はもう一つ記事があって、こちらはおそらく上のソース不明の記事と同じときのネタだと思われます。以下のような記事でした。
・岡山大:教授3人、学長らを告訴 名誉毀損など容疑 /岡山 毎日新聞 2014年01月18日 00時00分 【小園長治】
<虚偽の文書を不当に放置したり、役職の再任を一方的に拒絶したりしたことは、名誉毀損(きそん)と公務員職権濫用(らんよう)の疑いがあるとして、岡山大の森山芳則薬学部長(60)ら教授3人が、森田潔学長と同大学ハラスメント防止委員会委員長の許南浩理事を、岡山地検に告訴した。森山教授らが17日、北区の同大学薬学部棟で記者会見して発表した。
告訴状によると、「森山教授は研究論文をねつ造・改ざんした」とする虚偽の文書が匿名で大学や新聞各社に送付され、名誉を傷つけられたのに、「ハラスメント防止委は不当に扱った」としている。森山教授は「私は科学者の一人として研究に人生をかけています。見過ごすことはできません」と訴えた。
また、大学院医歯薬学総合研究科の副研究科長だった榎本秀一教授(50)が他の教員の研究不正行為を告発したことが「あたかもハラスメント常習者と称して告発を不当に放置、隠蔽(いんぺい)し、一方的に副研究科長の再任を拒んだ」とし、公務員職権濫用になるとしている>
http://sp.mainichi.jp/life/edu/news/20140118ddlk33100536000c.html といった感じでややこしいのですが、私の考え方は割と明快です。
岩坪威東大教授、J-ADNI内部告発者杉下守弘教授は個人的報復が理由と批判で書いたように内部告発において、内部告発者の動機は問われません。告発した人が清廉潔白な人でなくても良いというか、そうじゃなきゃ訴えられないと考える方がどうかしています。
たとえば、殺人犯が共犯者の別の殺人を非難し、訴えたとして、「おまえが言うな」と嘲笑されるのはともかく、「殺人犯の言っていることだから共犯者の新たな罪は調べません、無実です」とはならないでしょう。私はいつも二元論的に考えないように、絶対的な正義と悪がいると思わないようにと書いていますが、訴える側が紳士であろうが外道だろうが訴えられた側の罪は変わりません。
訴えられた側にも否があるからと片付けてしまうのは、潔癖主義による弊害。あるいは、話のすり替えによって自己保身をはかりたいからってことでしょうかね? この後者のパターンは実に多いです。今回は時系列が逆とされていますが、ハラスメント行為をごまかすための論文不正告発説というのも、このパターンに近いです。
ということで、私としては、以下のようにやればいいと思います。
・告発があった以上、岡山大の多量の論文不正は調べる。
・森山教授の研究論文のねつ造・改ざん疑惑も同様に調べる。
・ハラスメント行為も適切に立証した上で処分する。
一つを立証すると他が否定されるような話ではなく、独立しています。全部やればいいだけの単純な話です。ただ、背景に権力争いもあるのかな? 結局、片方に都合の悪いことだけを押し進めようとしておかしくなるんでしょうね。
2023/04/02追記:以上のように書いていたのですが、その後、
岡山大、不正告発されたことを理由に森山芳則・榎本秀一を解雇などを書いているように、どうも岡山大学側も不正告発への報復を行ったことはあまり隠していない感じ。思った以上に片側の悪さが目立つ形になっていました。
●研究不正を指摘したところ報復でパワハラを認定?互いに反論
2014/11/24:岡山大の問題は何度か書いていますが、ややっこしいんですよね。ややっこしくなっている理由は、お互いに相手こそが悪いことをしていると言い合っているためです。通常の研究不正問題でしたら、「不正をした」「いや、してない」で済みます。ところが、今回は不正以外の話が混ざってくるんですよ。
岡山大の場合は「不正をした」「不正はしていないし、その指摘はパワハラしたことへの目くらましだ」となっています。そして、目くらまし攻撃という主張に関しても、「いや、違う。不正の指摘が先で、パワハラ認定はそれに対する報復行為だ」と再反論されています。
不正の指摘が必ずしも正しいのは限らないというのは、普通の研究不正問題でも同様なのですが、この問題はそれだけでなく、不正を誤魔化すために別の攻撃をしているとお互いが言い合う展開です。こうなると、情報の少ない第三者としては判断を保留せざるを得なくなってきます。
この問題を報じた
内部告発者の「懲戒」で言論統制強める岡山大の「窮状」-集中|MEDICAL CONFIDENTIAL(2014年11月21日 13:10)の場合は、はっきりと研究不正を指摘している側、パワハラ認定された側に立つものでした。というのも、研究不正の告発が「12年1月」であるとしているためだと思われます。かなり早い時期であり、不正告発が早く、パワハラ認定は内部通告者潰しという見方なのでしょう。
この研究不正を指摘している側、パワハラを認定された側というのは、薬学部長の森山芳則教授と副学部長の榎本秀一教授です。"他の教員にハラスメント行為をしたとして、9月25日付で両氏を停職9カ月の懲戒処分"となっています。
一方、研究不正を指摘された側、パワハラを認定した側というのは、森田潔学長や許南浩教務担当理事らです。正確には「論文不正の常習者」(岡山大関係者)と言われているのが許理事で、「学内で不正はない」としているのが森田潔学長みたいですね。
●岡山大森田潔学長らは戦前の特高?森山芳則・榎本秀一を処分
"森山・榎本両氏の代理人弁護士"が懲戒委員会の委員の氏名公表は要請。ただ、今も「隠蔽されたまま」だそうです。この懲戒委員会について、岡山大の関係者は「論文不正告発でふたりを憎んでいる大学院医歯薬学総合研究科長が委員で、論文不正の常習者である理事が裏で操っている」(要約)としていたそうです。
また、記事では、岡山大関係者が「まるで戦前・戦中の特別高等警察そのもの」というコメントも出していました。これはたぶん森山芳則さんと榎本秀一さんにパワハラ認定したというだけでなく、以下の出来事も踏まえているものと思われます。
・9月26日に「緊急薬学部教員会議」を開催。森山・榎本両氏がメディアを通じ、学長や理事らを愚弄したと糾弾。
・10月10日には岡山大薬学部の全学生宛てにメール。森山・榎本両氏を糾弾し、「様々な情報に惑わされ」ることのなきようにと注意を促す。
・10月中旬、薬学部の全教員を対象にした「面談」を実施。
以上のように、大学内部のゴタゴタとしてはものすごいことになっているんですが、この件はあまり注目されません。最近では、
みんなの党柏倉祐司議員、岡山大特任准教授当時の論文に不正改竄疑惑の件があった程度です。
でも、一応…と検索すると、直接的に不正問題を取り上げていないものの、後任の薬学部長が決まったという関連ニュースが先月末にありました。
岡山大 薬学部長に檜垣氏 「パワハラ解任」で選出(毎日新聞 2014年10月29日 地方版 原田悠自)という記事です。
ただ、パワハラで停職・解任された2人が「ハラスメントの事実はない」と申し立てているという話だけしか載っておらず、不正の話に触れられていません。これだと、処分されて文句言っているだけにしか見えませんね。
柏倉祐司議員の件でも産経新聞は不正を指摘されている側の肩を持ちかねない雰囲気を感じましたし、マスコミ各社にはもっと深く突っ込んで情報を出してほしい問題です。
【本文中でリンクした投稿】
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