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すごいおじいちゃん!コーエイ商会・近藤義治代表の多角化戦略


2014/2/17:
●すごいおじいちゃん!コーエイ商会・近藤義治代表の多角化戦略
●リヤカーも自転車も修理代金はむしろ高い!でも頼まれる理由とは?
●大きな会社や工場もネット販売でピンチ…ただそこからがすごい!
●近藤義治代表はピンチを予想済み…だから次の手を用意していた
●多角化すれば良いってもんじゃない!多角化企業が失敗する理由
●販売終了した部品がやたらとある不思議 仕入先を聞いてみると…?
●停滞し縮小する斜陽産業で成功するには生半可な努力では無理


●すごいおじいちゃん!コーエイ商会・近藤義治代表の多角化戦略

2014/2/17:自転車店の店舗数は減少傾向だそうです。となると、当然、その卸売店も苦しいわけです。そんな業界にあって、工夫し続けるすごいなぁと思うおじいちゃん店主の記事がありました。「三丁目の夕日ビジネス」はなぜ生き続けるのか? 自転車部品とリヤカーで儲ける“やり手店主”の知恵(吉田典史 [ジャーナリスト]  2012年11月6日 ダイヤモンド・オンライン)という記事です。

 すごいおじいちゃんというのは、川崎市高津区にある、有限会社コーエイ商会代表の近藤義治さん(65)のこと。例えば、高齢にも関わらず、数年前からウェブサイトを設け、リヤカーやその部品などを販売し始めるということをやっています。サイトは近藤さんの知人が作ってくれたそうです。

 このリヤカー販売というのは、実をいうと3つめの事業。後述するように、他に自転車の修理などをやっています。近藤義治さんはいろいろとおもしろいんですけど、多角化戦略を取っているというのは、大きなポイントでした。

<以前から店頭で部品を売っていたが、時折地方から問い合わせがあった。そこでネット販売を始めたところ、全国各地から注文が続いた。
 1台10万円近いものがネットで売れるのかと聞くと、近藤さんは太い声を出す。
「それが面白いくらいに売れるんだ(中略)」
 そして、販売実績を書いた台帳を見せてくれた。そこには全国の役所、防災関連団体、小中学校、神社、自治センター、石材店、大手企業の工場などからの注文が書かれてあった>


●リヤカーも自転車も修理代金はむしろ高い!でも頼まれる理由とは?

 ただし、単純にネットだから売れるということではなく技術と経験があってこそだ…としていました。部品の話があったように、客はメンテナンスのことも心配してるためです。

「あのねぇ……リヤカーはネットを見ただけで買うものではないんですよ。お客さんは必ず、電話をしてくる。たとえば、タイヤのサイズや故障したときの対応などでね。
 そんな問いにきちんと受け答えできるようになるためには、数十年の経験が必要。1つずつの対応を大切にしないと、ネット販売であろうと店頭であろうと、商売はダメ」

 コーエイ商会の特徴は「修理」のようです。近くなら出向きますし、遠くであってもタイヤなどを送ってもらい、修理しているとのこと。リヤカーは本体が壊れることはほとんどないそうで、メンテナンスというのが重要な商品なんですね。

 なお、店舗での話で出てきたのですが、自転車やリヤカーの修理代金は高いようです。ただ、"他の店で故障が直らないから、ここに来る人も多い"ということで、やはり技術の高さが売りでした。

 この「修理」に関連しては、完成品の自転車を店頭で売らない理由を、利益が小さく大量販売しないと成り立たないビジネスモデルだからといった説明もしていました。非常に論理的で良い点をついていますね。


●大きな会社や工場もネット販売でピンチ…ただそこからがすごい!

 ネット販売の話に戻ります。実は、リヤカーを作る会社や工場が、独自でネット販売を始めたために、今はリアカーのネット販売も下り坂だそうです。先見の明があったものの、今はダメなんですね。ところが、ここからが私の感心したところになるんですよ。

「まだ、お客さんからうちに依頼はあるけど、そのうちの何割かはいずれ、向こうに行くのかもしれない。まぁ、ネット販売が波を打つことは当初から心得ていたから、驚くことはありませんね」

 上記に「3つめの事業」とあるように、コーエイ商会の収益源は3つあります。既に出てきているものですが、「自転車やリヤカーの部品の販売」「自転車やリヤカーの修理」「リヤカー販売」の三本柱です。

 売れ筋のものをどんどん伸ばす…というのは、素早く利益拡大を目指すには良い方法なのですが、いざダメになった場合に方向転換が難しいとも言えます。その点、3つの事業があるというのは、どこかが崩れても補うことができるんですね。

  本文では"20代の頃から心に秘めた、ビジネスモデルがあった。個人商店として3つの事業を賄うものだ"とありましたので、これは意識的なものでしょう。きちんと考えてやっているということに、素晴らしいと思いました。


●近藤義治代表はピンチを予想済み…だから次の手を用意していた

 前述の通り、せっかく三本柱に育ったネットの「リヤカー販売」は下り坂。ただ、考えてやっている…ということですから、当然、柱が傾いたときというのも想定できていました。前述のセリフの後はこう続きます。

「それで新たにネット販売を始めたのが、実用車の部品。店頭では前々から売っていたんだけど、今度はネットでも売るわけ。今、実用車は静かなブームなんですよ……」

 実用車というのは自転車の一種で、昔の豆腐屋さんや今の一部地域の郵便局員さんが使うものだそうです。どうもレトロブームのせいみたいですね。作者はこの判断について以下のように書いていました。

<実用車の部品販売が4つめの新規事業と言える。近藤さんのビジネスの嗅覚は、たたき上げであるだけに鋭い。1つの事業の販売動向などから行く末を見据え、タイミングよく新規のビジネスを始めていく。そのさじ加減が冴えている>


●多角化すれば良いってもんじゃない!多角化企業が失敗する理由

 多角化戦略は大事だというのは、他社でもわかっている企ところがあります。ただ、上手に多角化できているように見える企業でもそれが活かせずにダメになる企業ってあるんですよ。そういう企業と近藤義治さんの違いが、上記の話の中ですでに出てきていました。

 私がコーエイ商会代表の近藤義治さんですごいと思ったのが、成功例にしがみつかないこと。せっかく見つけたリヤカーネット販売なのですけど、それにこだわっていません。普通はこんな風にはなかなか吹っ切れないんですよね。

 陰りが見えたときにすっと次に移って捨てることができないと、多角化戦略というのは絵に描いた餅となり、逆に重荷とすらなることがあります。継続は力なりと言いますけど、実は継続しないということもとても大切なことなのです。


●販売終了した部品がやたらとある不思議 仕入先を聞いてみると…?

 また、次の話でもその卓見ぶりに驚きました。作者は、多くの自転車メーカーが実用車の生産を中止したと聞いているのに、その部品が販売していることを不思議に思い、どこから調達しているのかと聞いてみました。この答えが予想外なんです。

 近藤さんは、「いずれ売れる時期が来ると思い、メーカーが処分するときに安い値段で買いこんでおいた」とのこと。目先の利益にはならないのですけど、あらかじめ仕込んでいたんですね。

「買うときは、たたいて買い込む。売るときは、通常の値段で売る。その差が儲けとなる。これが、商売の鉄則。しょいこむ(売れなくて、在庫になるという意味)ことの怖さはあるけど、そのあたりのさじ加減は長年の経験でわかる」

 長期的視野を持っています。上記のようにリスクがあることは認めているように、普通できないですよ、これは…。

 近藤さんは経験を強調していました。ただ、一方で人間は年を取れば取るほど保守的になります。先ほどの成功事業からの転換なんか特にそうですよね。年を取ってからもこれだけチャレンジを続けられるというのは本当すごいですよ。


●停滞し縮小する斜陽産業で成功するには生半可な努力では無理

 この記事はシュリンクする業界について取材した一連の記事の一つでした。「シュリンク」というのは「縮小」と思っていれば大体合っています。要するに停滞し、縮小する斜陽産業の特集だったのです。

 シリーズで出てきたこういった業界の登場人物は近藤さんのように前向きにやり方を探している人ばかりでなく、景気が悪い、環境が悪い、世間が悪いと自分以外のせいにばかりする人も多かったです。私は書店店長「本を買って。町の本屋がなくなります」→どうぞどうぞなどで書いた書店の人の姿勢にも似たものを感じました。

 でも、そういった人たちはやっぱり成功しないんですね。ただでさえ縮小市場なのですから、努力しない人がうまくいくわけがありません。シュリンク業界の人もそうじゃない人も近藤さんの姿勢を見習った方が良いでしょう。


【本文中でリンクした投稿】
  ■書店店長「本を買って。町の本屋がなくなります」→どうぞどうぞ

【関連投稿】
  ■選択と集中・経営の多角化で成功と失敗を分けるもの 日立の例とユニ・チャームの例
  ■GEジャック・ウェルチは嫌われ者だった 徹底した選択と集中に非難
  ■中国による海外企業買収一覧 ボルボ,ピレリ,セグウェイ,プジョー,IBMなど
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