アフリカの話をまとめ。<アフリカはアジアのようには発展しない!人件費が高すぎるため>、<予想外!アフリカは食料自給率低い食料輸入大国で人件費が高い>、<輸出用作物の問題ではない…農家が多いのに世界最大の穀物輸入>などをまとめています。
2023/04/19追記:
●「通説とは逆にアフリカは超有望!」…記事を読んで肩透かし 【NEW】
●「中国のアフリカで経済開発」は「日本のアジア開発援助」と同じ
2014/2/20:リンク切れしちゃったんですけど、"「開発の時代」はアジアまで、アフリカは離陸できない?:日経ビジネスオンライン"(2014年1月9日)は、確か池上彰さんが、平野克己・アジア経済研究所上席主任研究員に、アフリカについての話を聞いた…という記事だったと思います。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20131227/257672/
この平野克己研究員によると、「中国のアフリカでの経済開発」は「戦後日本が行ったアジアの開発援助」でした。日本が戦後アジアで行った支援と同じことを中国がアフリカで行い、アフリカの発展を促している…ってことでしょうね。池上彰さんはこの日本のアジア経済開発のセオリーについて、以下のように簡単にまとめています。
1.援助でインフラを整える。
2.商品を投下して消費マーケットを作る。
3.現地の安価な労務費を活かした工場移転。
●予想外!アフリカは食料自給率低い食料輸入大国で人件費が高い
ところが、上記のうち3つ目の段階について、平野克己研究員はアフリカは無理だと否定していました。先進国的な性質の南アフリカを除き、
アフリカへの工場移転は極めて難しいというです。この理由が完全に予想外。「最大の理由はコストです。労務費が高いんです」とのこと。アフリカはイメージとは違って人件費がむしろ高いおです。
また、食料品輸入大国であることも指摘されており、意外でしょう。このため、当初この投稿は、<アフリカの貧困がなくならない理由とは?食料自給率と人件費という予想外の問題点>や<アフリカの貧困がなくならない理由とは?食料自給率と人件費という予想外の問題点>などといったタイトルにしていました。
・平野克己研究員
<なぜアフリカの人件費が高いのかというと、それはアフリカの物価が高いからなんです。では、なぜアフリカの物価が高いのか。それは主食を自国でまかなえないからです。つまり農業が発達していない。これがアフリカの物価高を招き、高人件費を招いている。
そもそも低開発とは、低所得のみならず高コストであることを意味します。安くて豊富な財は、優れた産業や企業にしか作れません。産業力が劣るところでは、財やサービスが不足していて、しかも高価なのです>
・池上彰
<たしかに、アジアは東アジアでも東南アジアでも自国でコメを大量生産できています。中南米でしたら大豆やトウモロコシを大量生産できている。けれども、アフリカは熱帯で乾燥した地域が多く、灌漑も難しいことから、穀物の大量生産が難しい、と現地取材でうかがいました>
・平野克己研究員
<その通りです。主食となる穀類の多くを、アフリカ各国は輸入に頼っています。当然、割高になりますね。食料の値段が高い、というのは、あらゆる物価に跳ね返ってきます。なにより人件費に跳ね返る>
●アフリカの貧困はなくならないのか?初めにすべきは「緑の革命」
具体的な数字らしきものも出ていました。アフリカでは例外とされた南アフリカですが、南アフリカですら「コストはタイの3倍。生産性はタイの3分の1」という目安みたいです。勝負になりません。凝り固まった先入観のせいで不思議ですが、実感としてもアフリカでは東南アジアより金がかかると感じるそうです。
なお、アフリカは道路不足であり、中国が一生懸命作っている最中なのですが、現状物流が悪いということは物流コストも高いということで、これまた物価高の一因となっているとのことでした。何もかもが高いんですね…。本当イメージとは違っていて驚いてしまいます。
では、アフリカで工場を作れるようにするには、どうしたらいいでしょう? アフリカで工場が作れないのは人件費が高いせいですから、人件費を下げなくてはいけません。じゃあ、人件費を下げるには、どうしたらいいか?という話。この人件費が高いのは食料自給率が低いせいでしたから、食料自給率を上げなくてはいけません。
そして、その食料自給率を上げるにはどうすればいいか?という話にたどり着くわけです。平野克己研究員は「産業革命は近代農業革命が起こったところにしか成立していない」として、"「緑の革命」=近代農業革命を遂行して生産性を上げるしかありません"とおっしゃっていました。
●輸出用作物の問題ではない…農家が多いのに世界最大の穀物輸入
上記の話が事実であれば、現状、アフリカの農産物の生産性は著しく低いみたいですね。本当かな?と検索すると、「アフリカ農業の低生産性に関する考察」というものが出てきました。でも、結局それより読みやすかったのは、今回と同じ平野克己研究員の話でしたので、そちらから引用します。
主張する人が同じですと全然確認になりませんが、こちらではどの程度の生産性かという具体的な目安の数字が出ていたのが良いところ。<視点・論点 「アフリカの食糧・農業問題」 | 解説委員室:NHK 2013年11月12日 JETROアジア経済研究所 上席主任研究員 平野克己>では、以下のような説明でした。
<アフリカ人の60%はいまだ農村に住んでいて、農業に従事しています。彼らの最大の生産物は食糧穀物、すなわちトウモロコシ、コウリャン、コメ、アワなどです。
図は穀物の土地生産性、つまり1ヘクタール当たりでどれくらいの穀物がとれているかを、世界各地域で比べてみたものですが、ご覧のとおりサブサハラ・アフリカが最低で、1ヘクタール当たり1トンほどしかとれていません。これは世界平均の3分の1以下です。
しかもアフリカの一般的な農村には農業機械が入っておらず、牛などの家畜力もめったに使われません。したがって、農民が耕して管理できる面積には限りがあります。つまり、土地生産性が低いだけではなく、農民一人当たりの農地も狭いわけです。
ですから、農民一人当たりの穀物の生産量、すなわち穀物の労働生産性もとても低くて、ざっといってアジアの途上国の3分の1、日本の8分の1、アメリカの300分の1くらいしかありません。このような低生産性農業のなかに、アフリカの大多数の労働力が閉じ込められているわけです。これでは貧困はなくなりません>
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/173125.html さらに前述の通り、これだけたくさんの人が農業に従事していても、食糧を自給できず輸入に頼る状態。"アフリカは、東アジアを抜いて、いまや世界最大の穀物輸入地域になっている"そうです。第一次産業従事者は次第に減る…というのは学校で習いますが、それは労働生産性が上がってことなんでしょうね。
なお、一部の人が好む、"アフリカが食糧を自給できないのは、食糧生産より輸出用作物を優先しているからだという意見”について、平野克己研究員は否定。おそらくこの生産性の低さが根拠でしょう。生産性が低すぎて輸出用作物をやめたところで自給は無理だと思われます。一にも二にも農業の生産性が大切なようです。
●「通説とは逆にアフリカは超有望!」…記事を読んで肩透かし
2023/04/19追記:
人口と経済の成長続く/逆説のアフリカ・データ編:日経ビジネス電子版(庄司 容子 他1名 日経ビジネス記者)という、2019年3月1日の記事をブックマークしていました。タイトルを見ててっきり「アフリカは超有望!」という話だと思っていたんですよ。しかし、冒頭のまとめを見ると、通説通り「課題が大きい」という話。肩透かしです。
<アフリカ経済は長い停滞を経て、2000年代から成長を始めた。それまでは名目GDPが伸びず人口は増えたため、1人当たりのGDPは減少、貧困が拡大した。アフリカは石油やダイヤモンドなどの鉱物資源または特定の1次産品の輸出が経済の柱である国が多く、00年代以降の成長は、資源価格の上昇によるところが大きい。原油価格が暴落した15年には成長率も下落。現在は成長を取り戻したが、安定成長には資源や1次産品頼みの構造からの脱却が欠かせない>
残りはグラフがいろいろ載っており、「人口は多く、国民は若い」というのは良いところ。人口構造は最も信頼できる指標であり、日本が停滞したことや中国が急成長したこともこれだけで説明可能です。他に「人口の伸びとともに経済成長が続く」というのも人口の関係。このため、少子化対策というのは、経済対策としても最重要課題なのです。
アフリカと言えば中国であり、「対アフリカ直接投資額」のところでは、「伸び率は中国が圧倒的」という指摘も。日本は「中国がアフリカを侵略している!危険!」と叩くのですが、そもそも日本や欧米がアフリカを助けていないから中国ばかり目立つというのが現実です。カネは出さずに偉そうに口だけ出す…嫌な人間の典型ですよね。
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