冒頭に追記
2022/07/08追記:
●50人以上!大量の閣僚・政府高官が辞任表明し、ジョンソン首相終了
●首相の訴えた2つの実績、むしろ国民が怒っている原因だった…
2022/07/15追記:
●性的な問題ある議員重用、「知らなかった」と嘘をつき致命傷に
2022/07/20追記:
●首相辞任でも首相別邸で税金使った「盛大な結婚パーティー」? 【NEW】
●50人以上!大量の閣僚・政府高官が辞任表明し、ジョンソン首相終了
2022/07/08追記:ジェネリック・トランプ、英国のトランプなどと言われたボリス・ジョンソン英国首相がついに辞任へ。最後は本家トランプ超えとなる感じで、閣僚3人 高官40人以上(合計して50人超との報道も)という多数の幹部が反発して辞任表明する事態に…。英国のトランプのぶざますぎる最後です。
<相次ぐ不祥事で求心力が低下しているイギリスのジョンソン首相を巡って、複数の閣僚のほか40人を超える政府高官が辞任を表明する異例の事態となっています>
<ジョンソン首相を巡っては、新型コロナウイルスの厳しい規制が続く中、首相官邸などでパーティーが繰り返された問題のほか、先週には、みずからが任命した与党・保守党の幹部が性的なスキャンダルで辞任し、その対応をめぐっても批判が強まっています>
(英ジョンソン首相 閣僚3人 高官40人超辞任表明 政権運営厳しく 2022年7月7日 11時58分 NHKより)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220707/k10013705611000.html
側近を含む閣僚などから直接辞任を迫られていた…ということで、ここらへんはむしろアメリカのトランプ大統領よりも日本の自民党・菅義偉首相の最後に似ています。国民に新型コロナウイルスの厳しい規制の中、自分らはパーティーをしていたことへの批判が最も大きな原因で、ここらへんも自民党と似た感じです。
上記の記事の時点ではジョンソン首相は続投すると言っていましたが、そのすぐ後に辞任表明。< ジョンソン首相辞任表明 新政権への円滑な移行が焦点に>(NHK 2022年7月8日 5時14分)によると、自らの非は一切認めず、実績だけをアピールしていたそうで、ここらへんは再び英国のトランプらしいところでした。
<イギリスのジョンソン首相は7日、ロンドンの首相官邸で声明を発表し、与党・保守党の党首を辞任して首相の座からも退くことを明らかにしました。
声明の中でジョンソン首相は2020年のEU=ヨーロッパ連合からの離脱や、新型コロナウイルスのワクチンの接種などの実績を強調し「世界で最もすばらしい仕事を手放すことがどれほど残念かわかってほしい」と述べ、無念さをにじませました。
一方で首相官邸などでパーティーが繰り返し開かれていた問題など、みずからの求心力が低下するきっかけとなった一連のスキャンダルへの言及や謝罪はありませんでした>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220708/k10013707341000.html
●首相の訴えた2つの実績、むしろ国民が怒っている原因だった…
なお、ジョンソン首相の訴えた「実績」は右派らしくデマに近いもの。新型コロナウイルスのワクチン接種推進は事実ですが、前述の通り、そもそも新型コロナウイルス対策絡みのところが最も批判されたところ。このページでは以前、対策を軽視し、「死体が積み上がる方がましだ」と言ったという話も紹介しています。
また、EUからの離脱を進めたのも事実なのですが、これがイギリスに利益をもたらしたことは証明されていません。それどころか悪影響だった可能性も…。政府のEU離脱対応を評価しない国民が圧倒的に多いという調査があり、こちらもやはり実績ではなくむしろ逆にマイナスポイントだった感じ。最後まで国民を見ない人でした。
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世界経済総予測2022 :EU離脱を“後悔”しているかもしれないイギリス国内の大混乱=石野なつみ | 週刊エコノミスト Online(2021年12月20日)
<21年9月に行われた民間の世論調査。英政府のEU離脱への対応を巡り、「評価しない」という回答が53%を超え、「評価する」の18%を大きく上回った。その原因は市民生活の混乱だ。例えば、9月下旬にはガソリンの備蓄不足が発生。英国軍も投入して輸送支援した結果、沈静化したが、ガソリンスタンドに長蛇の列ができる事態が続いた。
英政府は、経済活動の回復や国内の風力発電力不足、コロナ危機で重量物運搬車(HGV)の免許試験が中止されたことが原因と主張する。ただ、EU離脱を受け、欧州域内からエネルギーを安定した価格で調達できなくなり、またEU出身のHGV運転手が帰国してしまったことが状況を悪化させた。英政府は外国人運転手対象の短期ビザを提供したが申請数は少なく、長期的な解消の見通しは立っていない。
食肉加工業の労働力不足も深刻だ。国内で食肉加工ができず、EU加盟国に枝肉を送り、精肉にして再輸入する業者も少なくない。また、クリスマスを前に七面鳥やアルコール飲料などが欠品する懸念も高まっている>
●性的な問題ある議員重用、「知らなかった」と嘘をつき致命傷に
2022/07/15追記:前回の記事の引用部で「みずからが任命した与党・保守党の幹部が性的なスキャンダルで辞任」とあった件を補足。ボリス・ジョンソン首相は過去にも性的な問題行為を起こしていたにも関わらずこの議員を重用した上に、「過去の問題は知らなかった」と嘘をついたことで致命傷となりました。
<イギリスでは、さまざまな政治的混乱が何カ月も続いている。そして5日にはついに、保健相と財務相がわずか10分の間に、相次いで辞任する事態に至った。両閣僚は、ジョンソン氏がこの日、クリス・ピンチャー議員を2月に与党・保守党の院内副幹事長に任命したことについて謝罪した直後に辞任した。同議員は、会員制クラブで男性2人に痴漢行為をしたと報じられ、先月末に院内副幹事長を辞任していた>
<(引用者注:クリス・ピンチャー)議員は、この会員制クラブで男性2人につかみかかり、少なくとも1人の局部に触れたとされている。
これに続いて、政府は報道陣にこう説明した。ピンチャー議員は自分のふるまいに問題があったと認めているため、議員の地位は失わない、これ以上の処分も受けないと。
しかし、舞台裏では保守党の議員たちは激怒していた。ピンチャー氏に対しては同じような性的問題行為の指摘が、過去にも繰り返されていた。それでもジョンソン首相は、副幹事長の職を与えた>
<首相報道官は何日にもわたり、次の説明を繰り返した。ピンチャー氏を副幹事長に任命した際に首相は、指摘されていた具体的な問題行動の内容について知らなかったのだと。
しかし、官邸のこの公式説明は4日夜に崩れた。ピンチャー氏が外務政務次官だった2019年から2020年にかけて、同氏による「不適切なふるまい」に対して正式な苦情が提出され、ジョンソン首相はそれについて報告を受けていたことを、BBCのアイオーニ・ウェルズ政治担当編集委員が報じたのだ>
(
【解説】 なぜ英与党はジョンソン首相に辞任を迫っているのか - BBCニュース 2022年7月7日より)
なお、世論調査機関「YouGov」による2022年7月5日の調査では、ジョンソン氏は辞任すべきと答えたイギリス市民は69%。ジョンソン首相が所属する保守党支持者の間でも過半数が、ジョンソン氏は辞任すべきだと答えており、ボリス・ジョンソン首相の辞任は国民も強く望んだものであったようです。
●首相辞任でも首相別邸で税金使った「盛大な結婚パーティー」?
2022/07/20追記:ジョンソン首相でもう一つブックマークしていたものを。首相別邸で税金使った「盛大な結婚パーティー」は首相任期中であっても問題だと思うのですが、報道時点ではそのまま開催予定だった模様。今検索してみたものの、開催が中止になったという続報は見当たりません。マジでやるんでしょうか?
<英大衆紙デーリー・ミラー(電子版)は7日、ジョンソン首相(58)が7月末にロンドン近郊の首相別邸チェッカーズで「盛大な結婚パーティー」を開く予定と報じた>
<英国では現在、集会参加人数などの規制は撤廃されているが、与党・保守党関係者からは「下品だ」「首相別邸は国家の所有であり、個人の家ではない」と批判の声が上がっているという>
パーティーで辞任のジョンソン氏 今度は自身の豪華結婚パーティー | 毎日新聞 2022/7/8 08:48 別記事
英首相、披露宴のため即時辞任せず? 公式別荘での開催に批判:時事ドットコム(2022年07月08日)によると、次の首相はまだ決まらないために任期中の挙式は可能。ただ、前述の通り、そもそも首相別邸で結婚式ってのがまずおかしいところ。すでに招待状が出ているということですから、本気のようです。
<ジョンソン氏は、保守党の次期党首が選出されるまで首相職にとどまると説明しており、退任は10月になる可能性もある。
だがガーディアンやデーリー・ミラーなどの英各紙は、同氏が即時辞任しない理由の一つとして、チェッカーズを予定通り披露宴会場として利用する意図があると報道。招待状はすでに発送されたと伝えている。
さらに、ジョンソン氏が首相官邸で辞任を表明した際、「ここチェッカーズの素晴らしい職員」に感謝すると言い間違えたことで、同氏がチェッカーズのことを考えていたのではないかとの批判も生まれている>
ロンドンのサディク・カーン市長は「納税者の負担でチェッカーズにてぜいたくな結婚式を挙げたいのは皆同じだが、英国民が許さないため、ジョンソン氏はそれができないだろう」と語っており、盛大な結婚式の税金が投入される予定なのかもしれません。右派はこういう話がなぜか多いですね…。
●ジョンソン英首相、日本叩きするもデマと指摘されるとすぐに逃亡
2019/08/30:タイトルに困って「日本叩き」とまとめたのですけど、「日本は遅れてる、イギリスを見習え」と自慢したら「日本でもやっていますよ」と言われたところ、すねて取材をキャンセルして逃げちゃったという話です。すごいですね。完全に子供です。
堀潤さんの情報なんで本当?と思ったのですけど、ウヨ系な主張が見える加藤清隆さんという人も書いていましたのでマジっぽいですね。
加藤清隆さんがウヨっぽいというのは、上記でもなぜか韓国の文大統領の話が出てるなど、ツイートを見ると韓国批判だらけであること。また、
加藤清隆(自称政治評論家)の「『日本の外相は韓国大統領より格上というのは世界の常識』とタイが報道した」はデマ : 脱「愛国カルト」のススメという記事がヒットする他、以下のように安倍政権ですら批判せざるを得なかった日本維新の会の丸山穂高議員の北方領土を戦争で取り戻す発言にも好意的であったこと、右派雑誌への寄稿などがあります。
加藤清隆(政治評論家) on Twitter: "今回の丸山問題で最も気に入らないのが、同議員の発言を録音していた人間がいるということだ。もちろん酒に酔って、訪問団に絡んだことは十分反省してもらわなければならないが、発言を外に出すことを前提に録音するなど言語道断。そもそも話し合いで北方4島が戻ってくると考える方が甘くはないか?"
(
はてなブックマーク"より、以下はその人気コメント)
only_fall (1) 元々取材途中であった (2) 丸山議員本人も「録って下さい」と発言している …政治評論家を語るならこれくらいの事実確認はしようね
carl_s まあ、事実確認をする習慣が身についている者には非常に困難な"WiLLや正論、Hanadaへの数度の寄稿”を成し遂げている人だからね。
tekitou-manga 政治評論家(笑)単純な事実認識すらできないで放言かますとか恥ずかしくないのかな
take-it バカは丸山一人で十分なんだが。
takashi1982 頭が悪いというのは犯罪だな。愛国ゴッコには丸山の発言が国益を損ねているという思慮すらできないらしい。
shironeko_t この事件、馬鹿のリトマス試験紙になってきている
ackey1973 記者が取材してるところに自分から酔っぱらって絡んでいってるのに、録音してるのがおかしいとは、なかなか異なことをおっしゃる政治評論家。
●日本の保守派は「イギリスのトランプ」はあんまり好きじゃないの?
といった感じなのですけど、本筋じゃないところで疑問に思ったのが、日本の保守派の方はボリス・ジョンソン英国首相をどのように評価しているのかということ。日本の右派は、一時日本批判をしていて今も日本の国益を損ねているにも関わらず、露骨にアメリカのトランプ大統領を支持しています。そのトランプ大統領はイギリスのトランプことジョンソン首相にも好意的。ここらへんはウヨ同士で仲良しだという話です。
ただ、加藤清隆さんは上記の通り、ジョンソン首相をバカにした調子。また、同じ発言を取り上げていた2ちゃんねるまとめサイトの
痛いニュース(ノ∀`) : 英国新首相「ロンドンはカード1枚で地下鉄乗れる!日本もやれ」 記者「随分前からSuicaがある」→「話が違う!」と退席 - ライブドアブログでもあまりフォローされていませんでした。
下調べぐらいしとけよ...
こいつ何も知らないんだな
これは恥ずかしい
これ「後進国をバカにしてたら思ったよりも技術が普及してた」系のエピソードだろ
舐められてんぞ
切れて退席とかプライド高すぎだろw
安倍晋三首相激高の脱税疑惑とは?前回の辞任原因とされる相続税問題など、我が国の首相も残念ながらすぐキレて退席してしまうこともあるんですが、今回の件はそれ以上な感じ。他でも書いているように、こういう子供みたいな政治家が今世界各国で人気になっており、困ったことになっています。
●「死体が積み上がる方がましだ」と新型コロナ対策軽視、側近が暴露
2021/05/28:トランプさんに似ていると言われたジョンソン首相ですので、首相になってからもいろいろやらかすと思ったら、トランプさんが目立ちすぎたせいか日本ではあまり報じられず。「ジェネリックトランプは意外にマシだった」というトランプさんと比較した感想も見かけたこともありました。
ただ、ここに来て、ジョンソン英首相の最側近だった元官邸上席顧問のドミニク・カミングスさんが「ジョンソン氏は首相の任にふさわしくない」などと痛烈批判を展開したというニュースが登場。
英首相「任にあらず」=元最側近が酷評、政界に衝撃 | 時事通信ニュース(2021-05-27)という記事が出ています。
とはいえ、この側近は同じEU離脱派の中心で官邸入りしたものの、前年11月に首相との仲たがいが原因で辞任したという人。仲間割れ的な意味合いが大きいのかもしれません。褒め称えていた側近が仲違いして一転して猛批判というのは、トランプ大統領でよくあったパターンで、やっとトランプ似なところを発揮できました。
<ロックダウン(都市封鎖)に後ろ向きな首相の迷走で「何万人もの死ぬ必要のない人々が死んだ」とも強調。(中略)英国では欧州最悪となる約12万8000人がコロナで死亡した>
<カミングス氏は「国民が政府を最も必要としていた時期に、政府は失敗を犯した」と反省。昨年2月以降の官邸の混乱と無秩序ぶりを暴露し、方針転換を繰り返した首相を「ショッピングカートが通路の片側から反対側に突っ込むようだ」とこき下ろした。
首相が経済を最優先し、ロックダウンにずっと否定的だったとも指摘。昨年秋にはロックダウンの実施を迫る周囲に対し、首相が「死体が高く積み上がる方がましだ」と言い放ったと明らかにした。
ハンコック保健相にも矛先を向けた。保健相が国民に「何度もうそをついた」とし、「少なくとも15~20の事柄で彼はクビになるべきだった」と断じた。首相にも解任を進言したが、受け入れられなかったという>
「死体が高く積み上がる方がましだ」と本当に言ったならひどいですね。おそらくジョンソン英首相は否定するでしょうし、録音でもない限り、主張は平行線となりそうです。ただ、一般的に右派は新型コロナウイルス対策軽視・経済重視であり、アメリカや日本やブラジルなど各国でその傾向が見えていることは指摘しておきます。
●自動車のモノマネ、どこまで読んだか忘れて沈黙などでめちゃくちゃ
2021/12/11追記:ボリス・ジョンソン英首相は2021年11月22日、産業連盟の年次総会で演説で、突如、「ブルルン、グォーグォー」と自動車のエンジン音の物まねをしたそうです。続いて、自分は英国企業が気候変動と戦うための“十戒”を手渡したと旧約聖書のモーセに例えました。自分に酔っている感じで、ジョンソン首相らしく、これは想定内でしょう。
ただ、モーセに例えた後、今度は「気が引けますが」と言いながらも、ロシアの革命家・レーニンの言葉も引用したのは謎。右派なのになぜレーニンなんですかね? さらに、途中、手元の原稿を見失って紙をめくり続け、約21秒、会見場に沈黙した時間も流れるという手際の悪さ。また、以下のように、子供向けアニメの豚のキャラクター「ペッパピッグ」に1分間言及し続けたそうです。
<前日、家族でペッパピッグのテーマパークに行ってきたと語り、「行ったことがある人は挙手してください」「私の理想とする場所」だと大絶賛したのだ。あまりの事態に呆気にとられる会場。そして演説後、記者が「色々、大丈夫でしょうか?」と声を掛けると、首相は「スピーチは上手くいった」と自信満々に答えたのだった>
(
物まね、沈黙、豚アニメ絶賛…英首相の謎演説に「大丈夫か」 | 週刊文春 電子版より)
ただ、そもそもジョンソン首相はヘンテコさや知的でない言動で「親しみやすい」と庶民に人気だった人なんですよね。支持者には影響ないような気がしますし、むしろ喜ばれてさらに人気になるかもしれないと思いました。途中でスピーチが詰まってしまうというのは本来政治家としては大減点ですが、彼のキャラならアリかもしれません。
あと、原稿トラブルは日本でもあったことを思い出します。広島市の平和祈念式典の菅首相です。菅首相の場合は、原稿にのりがついていたせい…と官僚に責任転嫁。でも、菅首相の場合は「読み飛ばし」のため、内容を考えず棒読みしていただけだったこともがわかります。しかも、一番大事な部分を読み飛ばしていたため、平和祈念なんかどうでもいいと考えていたことがわかった一件でした。
<菅義偉首相が6日の広島市で開かれた平和記念式典で事前に予定されたあいさつの一部を読み飛ばしたのは、「原稿がのりでくっついて剥がれなかった」ことが原因だったと複数の首相周辺が明らかにした>
(
首相の読み飛ばし 原因は「原稿がのりでくっついてはがれず」 毎日新聞 2021/8/6 21:22(最終更新 8/6 22:42)より)
●国民に外出制限を課してる中、政府内では飲食ゲームパーティー
2021/12/22追記:イギリス下院は、コロナの集団感染防止策として、ナイトクラブや劇場などでワクチン接種証明や陰性証明の提示を義務付ける政府方針を賛成多数で承認しています。しかし、与党である右派・保守党議員361人のうち少なくとも99人が反対票を投じる事態に。ボリス・ジョンソン首相の身内から大量造反が出た形です。
右派・読売新聞の<英で「パーティーゲート疑惑」…「首相はウソをついている」との指摘も>(2021/12/15 21:49)によると、行動の制約に対して反発が強い地方に与党議員が多いというのが理由のひとつ。ただ、読売新聞が文章量を割いていたのは、「ジョンソン氏の政権運営に対する根本的な不信感の広がりだ」という別の理由でした。
<ジョンソン氏は2019年7月、欧州連合(EU)離脱の断行を掲げて首相に就任。半年後の総選挙で大勝し、一時は60%台後半の高支持率を誇った。ところがその後、EU離脱の影響による物価高騰やコロナ禍の打撃に見舞われ、支持率は下降線をたどる。今年5月、首相の元側近が政権のコロナ対応の迷走ぶりを暴露したことも響いた。
さらに追い打ちとなったのが、昨年12月に首相官邸で開かれたパーティーの問題だ。国民に厳格な外出制限が課されていた時期に、何十人もの政府職員が深夜まで飲食しながらパーティーゲームに興じていたことが、先月末の大衆紙の報道で発覚。米ウォーターゲート事件にちなんで「パーティーゲート疑惑」と名付けられ、他メディアも次々と出席者の証言などを報じている。
ジョンソン氏は関与を否定し、「激怒している」と述べて関係者の責任を問う考えを示したが、「首相はウソをついている」(野党議員)との見方もある。
ジョンソン氏の求心力低下は避けられそうにない。最新の世論調査では、支持率は就任後最低の24%に落ち込んだ>
https://news.infoseek.co.jp/article/20211215_yol_oyt1t50213/
国民に外出自粛を求める中、自分たちは会食やらパーティーやらキャバクラやら…というのは、日本の政府与党・自民党と同じですね。奇しくも右派というのも同じです。ただ、イギリスの上記報道では政治家の参加の有無ははっきりしません。日本の場合は、政治家自ら参加していた…ということが確実で、今のところイギリスよりずっと悪質です。
●首相の側近議員の利益誘導を報告した委員会を問題視しルール変更
2021/12/30追記:就任前に予想したほどトンデモ行動が少なくて意外だったイギリスのボリス・ジョンソン首相ですが、強化形態であるアメリカ・トランプ大統領の影に隠れて目立たなかっただけなのかもしれません。トランプさんがいなくなって相対的に目立つようになったのか、トンデモ行動的な報道がだいぶ増えてきた感じです。
で、今回追記するのは、
英首相に近い下院議員が辞職 倫理ルールめぐる「身びいき」批判される英政府 - BBCニュース(2021年11月8日)という記事の話。身内への利益誘導や身内の特別扱いというのは右派の十八番で、前述のトランプさんの他、日本の自民党でもよくやっていますね。
BBCニュースによると、倫理規定違反を指摘された与党・保守党の下院議員の処遇をめぐり、政府対応が二転三転する騒ぎがあったそうです。ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)などについてボリス・ジョンソン首相の盟友だったオーウェン・パターソン下院議員の身に発生した問題でした。
(1)オーウェン・パターソン下院議員の関連企業に便宜供与したロビー活動が議会規則違反にあたると議会基準委員会が報告。
(2)与党はパターソン下院議員ではなく、議会基準委員会を問題視。議員行動を審査する議会基準委員会の手順が不公平だとして、手順そのものの見直しを決定。
(3)政権に近い議員を身びいきしてルールを変えるのかと与党内からも強い反発が起こり、ジョンソン政権は急きょ方針を転換。パターソン下院議員は議員辞職に。
利益誘導を報告した委員会の方を問題視しルール変更ってのは、あまりにもひどかったですね。ふだんは保守党を支持する保守派メディアも「政府の腐敗」と批判。また、保守党の支持率は前週から3ポイント低下。たった3ポイント…と思いましたが、ジョンソン首相の支持率は30%で、「支持しない」が「支持する」を20ポイント上回っており、もうすでに相当低かったようです。
●「密かに住居のリフォーム費用を出させようと…」首相の側近が暴露
2022/01/09追記:前回の追記部分でボリス・ジョンソン首相の支持率が低いと聞いて、理由が気になったので検索。<ジョンソン英首相の支持率が急低下、過半数が辞任望む=世論調査>(ロイター / 2021年12月13日 15時21分)によると、与党である右派・保守党の支持率とともに急低下しているとのこと。以下のような説明でした。
<ジョンソン氏を巡っては、ダウニング街にある首相官邸の改修費用や、8月のアフガニスタン退避作戦で自らペットの退避を指示した疑惑などを巡りここ数週間で批判が強まっていた。これに追い打ちをかけたのが、2020年のロックダウン(封鎖措置)下に官邸でクリスマスパーティーが開かれたとの報道だった>
クリスマスパーティー以外の話は初耳。いろいろひどいですね。とりあえず、「首相官邸の改修費用」について検索すると、
英官邸の改修費用めぐり、ジョンソン首相に疑惑浮上 どう支払った? - BBCニュース(2021年4月27日)という記事が出てきました。以前も出てきた元側近のカミングスさんが暴露したようです。
<首相が住居整備のために受け取る公費は年3万ポンド(約450万円)だ。しかし、リフォームにかかった費用は、最大20万ポンドに上るのではないかとの見方が出ている。
この問題が一気に注目を集めるようになったのは、首相の上級顧問だったドミニク・カミングス氏が23日、ブログで世間を驚かせる発信をしたのがきっかけだった。
カミングス氏は、ジョンソン首相がかつて、住居の改修費用を献金者らに「ひそかに支出」させようとしたと主張。「不道徳で、おろかで、もしかすれば違法で、彼の意図した通りに実行されたのなら政治献金に関する適切な情報公開のルールをほぼ間違いなく破ったことになる」と訴えたのだ>
「改修を超えた部分にかかった今年の費用は、すべて首相が個人的に負担した」と説明されているものの、もともと首相の側近が指摘したのは「ひそかに支出させようとした」というもの。経緯の説明や献金などの報告が不透明なこともあり、問題あることをしようとしたと強く疑われてしまったようです。
●アフガン首都陥落で「人より犬の避難優先を首相が指示」と告発
2022/01/18追記:書くたびにどんどん新しいひどい話が出てきてなかなか終わらなかったのですが、とりあえず、今回で一区切りつくはずです。今回は、前回のところで出てきた、ボリス・ジョンソン首相の支持率が低迷している理由の一つ「アフガニスタン退避作戦で自らペットの退避を指示した疑惑」について見てみました。
検索で最初に見つけたのは、
英、アフガン退避「人より犬を優先」? 内部告発の証言公表:中日新聞Web(2021年12月9日 05時00分)という記事。タイトルだけで大体内容がわかるものの、有料記事でこれ以上の内容は不明。別記事の
「犬の避難優先を首相が指示」英外務省元職員が内部告発 アフガン撤退時 ジョンソン首相は介入否定:東京新聞 TOKYO Web(2021年12月8日)の方が良さそうでした。
記事によると、アフガニスタンで2021年8月にイスラム主義組織タリバンが首都カブールを制圧した際、英政府がアフガン人協力者らよりも犬の国外退避を優先したなどとする内部告発者の証言が公表され、波紋が広がっているとのこと。内部告発しているのは、首都陥落後、現地特別班の一員として退避申請者の資格審査に従事した英外務省元職員のラファエル・マーシャル(25)さんで、以下のような内容だったそうです。
<「申請者は最大15万人に上ったが、何らかの援助を受けられたのは5%未満だろう」とし、タリバンの報復を恐れて必死に助けを求める人々の申請メールが常に5000件以上「未読」のままだったと証言。優先順位を付ける作業は「恣意的」で「機能不全」に陥っていたと指摘した。
逼迫した状況下で、特別班は英動物保護団体がアフガン国内で保護している動物の移送に力を注ぐよう「首相からの指示」を受け取ったとも証言。大混乱のカブール空港に動物を運ぶために、英兵が危険にさらされたと主張した>
ジョンソン首相は、介入疑惑を「全くのナンセンスだ」と当然否定。ただ、犬や猫を運んでもらった英動物保護団体関係者は、ジョンソン首相の妻で動物愛護に熱心なキャリーさんへの度重なるロビー活動が奏功したと述べていたようです。当時はいい話だと思って言ったのでしょうが、介入の証言のようになってしまいました。
また、検索してみると、内部告発よりだいぶ前の退避当時の記事で、カブールを制圧したタリバンからの報復を恐れる多くの人々が空港の外で待機する中で「人よりもペットを優先する」のは間違っている…と述べていた国防相が一転して許可したという話も発見。「首相指示」と辻褄が合う内容になってしまっています。
<ベン・ウォレス(Ben Wallace)英国防相は25日、アフガニスタンで動物保護施設を運営する英国人男性に対し、約200匹の犬や猫を首都カブールからチャーター機で退避させることを許可すると発表した。
カブールでは31日の米軍アフガン撤退期限を前に、大勢の人々がイスラム主義組織タリバン(Taliban)から逃れようとしており、そうした中で元英海兵隊員のペン・ファージング(Pen Farthing)さんが始めた動物退避の試みは批判を呼んでいた>
<ウォレス国防相は以前、15日にカブールを制圧したタリバンからの報復を恐れる多くの人々が空港の外で待機する中で「人よりもペットを優先する」のは間違っていると述べていた>
(
英、犬猫200匹のアフガン退避許可 英国人運営の施設から 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News 2021年8月26日より)
●パーティー関与を否定し激怒してた首相、実は自分も参加してた!
2022/01/26追記:前回でストック分は終わりと書いたのですが、以前書いていた「首相官邸で開かれたパーティー」で新たな事実が判明していたのを見逃していたので補足。
英ジョンソン首相、ロックダウン中「お酒持参」パーティー参加を謝罪 [新型コロナウイルス] [オミクロン株]:朝日新聞デジタル(2022年1月13日)などの記事が出ていました。
<英国のジョンソン首相は12日の議会下院で、新型コロナウイルスの感染拡大で英国がロックダウン下にあった2020年5月に開かれた官邸でのパーティーを巡り、自身も参加していたと初めて認め、謝罪した。辞任を求める声が相次いだが、パーティーとの認識はなかったと弁明し、応じなかった>
ボリス・ジョンソン首相は前年末の時点だと、関与を否定し、「激怒している」と述べていました。自身が参加した・しないについてははっきり言っていなかったものの、まるで参加していなかったような口ぶり。事実上嘘をついていた状態で右派らしいです。マスコミはあまり強調していませんでしたが、私はパーティー参加以上にこの嘘が問題だと思います。
●首相を支えた重鎮議員「頼むから去ってくれ」と首相に辞任迫る
先の朝日新聞記事によると、このパーティー以外にも、一昨年のクリスマス時期に官邸や保守党本部などで集まりがあったことをうかがわせる写真や証言が次々と明るみに出ている状態だとのこと。また、
反首相の動き強まる 「去れ」と与党重鎮、くら替えも―英官邸パーティー問題:時事ドットコム(2022年01月20日)は以下のように報じており、党内の反発もいっそう強くなっているようです。
<下院質疑では、野党のみならず与党保守党からも首相への不満が爆発。保守党の重鎮デービス議員は「頼むから去ってくれ」と辞任を強く迫った。欧州連合(EU)離脱相として首相を支えたデービス議員は、「リーダーたる者は行動の責任を背負わなくてはならない。ジョンソン氏は反対のことをした」と指摘>
首相は「全ての責任を取ると既に言ったはずだ」と反論していますが、「責任を取る」と言うだけで何もしていないため批判されているのです。「責任を取る」と言うだけで責任を取ったつもりになっているのは、同じ右派の日本の安倍首相を思い出してしまいました。時事ドットコム記事によると、与党内ではさらに以下のような動きもあるといいます。
<反首相の動きはほかにも顕著で、下院質疑の直前には、首相に反発する保守党議員の一人が野党労働党へくら替えを表明。(中略)党内では不信任を目指す「総意」ができつつあるとも言われ、近く投票に必要な規定人数の54人に達するとの臆測も出ている>
なお、コメント欄では「英は与党からも批判が出るが、自民党は弁護あるいは本人が説明すること。で終わり」「日本だとこういう批判は出てこないだろう」といった反応。日本でも与党自民党や大阪で与党の右派・大阪維新の会が自粛破りをしていましたがこうした動きはなく、有権者からも人気。ここらへんは日英で違いが大きいところですね。
●首相のお誕生日会など、自粛破りパーティー疑惑が多すぎて混乱
2022/02/19追記:ボリス・ジョンソン首相らの自粛破りパーティーがあまりにも多すぎて、頭が混乱してきました。とりあえず、一番ひどさがわかりやすいのが、自分の誕生日パーティーをやっていたという話。<英首相 今度は官邸で誕生日パーティーの報道 さらに苦境に>(2022年1月25日 14時25分 NHK)などの記事が出ています。
<イギリスの民放、ITVは24日、おととし6月19日、官邸内でジョンソン首相の誕生日パーティーが開かれ職員などおよそ30人が参加したと伝えました。
当時は新型コロナの感染対策として同居する人以外と屋内で会うことは禁止されていました。パーティーではケーキも用意され出席者たちが誕生日の歌を歌って祝ったとしています。
首相官邸は、誕生日を祝うために職員らが短時間集まったことを認め、「首相が参加したのは10分未満だった」と説明しました>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220125/k10013448951000.html
ジョンソン英首相、パーティー疑惑めぐり警察から質問状 - BBCニュース(2022年2月12日)という記事は、ロックダウン中に英首相官邸などでさまざまなパーティーが開かれていた問題で、ボリス・ジョンソン首相が警視庁からのこの質問状を受け取ったことを伝えるものですが、問題視されているパーティーの多さもわかります。
<パーティー疑惑をめぐっては先月31日、レベルアップ・住宅・コミュニティー省のスー・グレイ第二事務次官が調査報告書の「途中経過」を発表。対象となった16の会合のうちのいくつかは「開催を認めるべきではなかった」とし、問題の背景に「指導力の欠如」があると指摘した>
警察が捜査対象としている集まりのうち、ジョンソン首相が出席していたのは以下の3件だとのこと。ただ、これは現時点で判明しているものなのでまだ増えるかもしれません。例えば、英紙デイリー・ミラーが2020年12月15日に官邸で開かれたパーティーに参加するジョンソン首相と側近の写真を新たに掲載し、警察が再検討中です。
2020年5月20日、官邸の庭で行われたパーティー
2020年6月19日、閣議室で行われたジョンソン氏の誕生日を祝う集まり
2020年11月13日、特別顧問の退任に伴う送別会
一連の疑惑とその対応をめぐっては与党・保守党からも批判が噴出。首相の辞任を求めて不信任を表明する議員も出ています。また、これまでにパーティー疑惑を受けて5人の官邸職員や側近が辞任というめちゃくちゃさ。似ているとされたアメリカの右派のトランプ首相にいよいよもって似てきましたね。
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