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STAP細胞共同研究者大和雅之「iPS細胞はがん化に課題」発言していた


 STAP・iPS細胞比較に山中教授反論 罪はマスコミだけでなく理研にもでは、マスコミ報道で問題があった点=iPS細胞の山中伸弥教授が訂正した点は、以下の3つだと書きました。

1.作製に要する期間 iPS細胞 2~3週間 STAP細胞 2~7日間
2.細胞が変化する確率 iPS細胞 1%未満 STAP細胞 7~9%
3.がん化するおそれ iPS細胞 ある STAP細胞 ない

 しかし、向こうで私は"マスコミ側でこういった情報をスッと出せたんだろうか?というとちょっと不思議です"と書きました。要するに「新聞記者やテレビ関係者にこんな情報出せる人いると思う?誰か入れ知恵した人いるんじゃない?」という話です。

 それで、とりあえず、理研のプレスリリースを前回見ました。理研の記者会見でどんなことを言っていたかはわかりませんが、ネット上の報道向け資料はまだ残っていたためです。(そのうち消されるかもしれません)

 その情報だけで上記のうち、以下の点は理研自ら主張していたことが確かめられました。ですので、この点はマスコミの創作ではなく、理研が元ネタである可能性が高そうでした。

1.作製に要する期間 iPS細胞 2~3週間 STAP細胞 2~7日間
2.細胞が変化する確率 STAP細胞 3分の1~2分の1(途中の確率?7~9%の記載はなし)


 で、今回さらにもう1点。"「さすがにそれは理研は言っていないよな」というのは、がん化のおそれです"と書いた「がん化」に関する話でも、リスクを大げさに強調した物言いをしている方がいらっしゃることがわかりました。

 理研ではありませんが、STAP細胞共同研究者という直接的な関係者である大和雅之東京女子医科大教授です。(2ちゃんねるの論文不正追及スレに載っていて知りました。ただ、スレを荒らす人が出ていますのでリンクは控えます)
【新型の万能細胞「STAP」】東京女子医大・大和雅之教授「10年以内に臨床研究」、慶応大・岡野栄之教授「慎重な検証が必要だ」+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

東京女子医科大・大和雅之教授 

 --生物学への影響は

 「未解明の生命現象が解決する可能性がある。例えば、がん細胞の根源とされるがん幹細胞は、突然変異とストレス(刺激)の組み合わせでできるのかもしれない。生物学に与えるインパクトや波及効果はiPS細胞より大きい」

(中略)

--臨床応用の見通しは

 「iPSは腫瘍ができる課題が解消されていないが、STAPはできにくい。(略)」
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140210/scn14021014270002-n1.htm

 やっちゃった。確かに言ってますよ、これ。

 まあ、一応ズバリ「がん」とは言っていません。ただ、「腫瘍」ってのは以下2つに分けられます。
良性腫瘍(Benign tumor)
 一般に増殖が緩やかで宿主に悪影響を起こさないもの。

悪性腫瘍(Malignant tumor、Cancer)
 近傍の組織に進入し、遠隔転移し、宿主の体を破壊しながら宿主が死ぬまで増え続けてゆくもの。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%85%AB%E7%98%8D

 そして、悪性腫瘍がいわゆる「がん」です。
悪性腫瘍(あくせいしゅよう、英: malignant tumor)は、遺伝子変異によって自律的で制御されない増殖を行うようになった細胞集団(腫瘍、良性腫瘍と悪性腫瘍)のなかで周囲の組織に浸潤し、また転移を起こす腫瘍である。悪性腫瘍のほとんどは無治療のままだと全身に転移して患者を死に至らしめる。

一般に癌(ガン、がん、英: cancer、独: Krebs)、悪性新生物(あくせいしんせいぶつ、英: malignant neoplasm)とも呼ばれる。

「がん」という語は「悪性腫瘍」と同義として用いられることが多く、本稿もそれに倣い「悪性腫瘍」と「がん」とを明確に区別する必要が無い箇所は、同一語として用いている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E6%80%A7%E8%85%AB%E7%98%8D

 「良性腫瘍のことを言ったかもしれないじゃん」と擁護されるかもしれませんが、良性のものに「課題が解消されていない」とは言いません。「悪性腫瘍」=「がん」と捉えられて当然です。

 山中伸弥教授が間違っていて、大和雅之教授が正しいという可能性があるかもしれませんが、とりあえず、はっきりと食い違う発言をされているのは確かです。

 また、悪質な報道だと批判されたのと同じことを、STAP細胞の共同研究者が言っていたわけです。マスコミ報道が問題だったのであれば、当然当事者のアピールというのも大問題だと言えるでしょう。

 上記をもって最初で問題にしたマスコミ報道の情報提供元が、大和雅之教授だということにはなりませんよ。でも、少なくとも産経新聞の上記インタビューに関しては、自分たちの研究を有利に見せるために虚偽の情報(前述の通り間違っていたのであれば)を流していたわけです。


 以上ですが、大和雅之教授の現在のWikipediaを少し。

 "小中学における分数の計算や二次方程式の解の公式暗記などの教育は不要であり、九九の暗記も不要だ"みたいなおもしろいこともおっしゃっているようです。
大和 雅之(やまと まさゆき、1964年 - )は日本の生命科学者。東京女子医科大学教授。専門は再生医療、組織工学、幹細胞生物学。東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士 (理学)(東京大学)。

 主な業績

学生時代から、『現代思想 (雑誌)』に論稿を寄稿し、経済人類学者で東京農業大学国際食料情報学部教授(当時、明治大学法学部教授)の栗本慎一郎から、(『意味と生命』という著書の後書きで)「少壮の学生」という評価を受ける。

東京女子医大が世界で最初に細胞シートの開発に成功するのを導いて 、日本バイオマテリアル学会賞を受賞。ハーバード大学やMITからも講義の要請を受ける。2003年度にデザイナーとしてグッドデザイン賞を受賞。

2006年より経産省技術戦略マップ再生医療分野作成委員会委員、2009年より同委員長。厚労省自己由来ヒト細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針、他家指針検討委員会委員、再生医療における制度的枠組みに関する検討会委員。G-COE再生医療本格化のための集学的教育研究拠点拠点リーダー。 これらの業績に加え、最大の業績といえるのは後にSTAP細胞の作製に成功する小保方晴子を育てたことであろう。

 ハーバード大学の名前がありますが、STAP細胞の共同研究者のチャールズ・ヴァカンティ教授の名前が「共著」という項目で見えます。
共著

・再生医療技術の最前線 (岡野光夫との共同監修)
・図解ナノテクノロジーのすべて
・再生医療生物学 (岩波書店)『第5章 組織工学』(山中伸弥らとの共著)
チャールズ・ヴァカンティ教授の「ネズミの背中に載ったヒトの耳」(ミミネズミ)の写真を解説


 それから、大和雅之教授は産経新聞において、以下のような発言もされていました。

「検証は必要だが、再生医療にとっての意義は非常に大きく、臨床に向けた研究はかなり速く進むだろう。今後、世界中で再現実験が行われ、ヒトに移植する臨床研究が10年以内に始まるのではないか」

 前述のようにがん化で猛烈アピールしていた大和雅之教授ですら、"ヒトに移植する臨床研究が10年以内に始まるのではないか"というのは私には意外でした。

 というのも、以前小保方晴子さんのノーベル賞受賞について「早ければ5年後くらいにノーベル生理学賞を受賞できるかもしれません」という専門家さんの発言を読んでいたためです。

 この発言を引用した小保方晴子がSTAP細胞ではノーベル賞を受賞できないかもしれない理由は捏造疑惑が出る前のことで、私は別の理由でノーベル賞に懐疑的だったのですが、私より専門家さんを信じてくださいと書きました。

 しかし、それでも「5年」については、"さすがに短すぎじゃないでしょうか? "と書いてしまいました。STAP細胞作製の手法が確立されて広く人類に役立つようになるまでには、かなりの時間を要するだろうと思ったためです。

 大和雅之教授の発言が非常に悲観的なものでなければですが、ヒトに移植する臨床研究は「5年」では無理そうです。そうなると、専門家の方は何を根拠に「早ければ5年後」と言ったんでしょうね?

 うーん、何かSTAP細胞の件は、専門家の方々の胡散臭さも際立せてしまった気がします。


(3/11追記:この件でメールをいただきました。ありがとうございます。

"iPS細胞にがん化の恐れがあるのはその通りですよ。
初期の方法と比べると格段に下がってはいますが、0というわけではないです"

 この投稿はSTAP・iPS細胞比較に山中教授反論 罪はマスコミだけでなく理研にもを踏まえたものであり、そちらで書いた通り「がん化のリスクが大幅に減」っているということです。
 がん化の確率0%という主張をしたつもりはなかったんですが、「山中伸弥教授が否定していた点を強調している方がいらっしゃる」と書いていたのでそこのところでしょうか? 確かに勘違いする書き方でしたので「リスクを大げさに強調した物言い~」と訂正しました。申し訳ありませんでした。
 あと、"その通り"がどこにかかっているのかわかりませんが、大和教授の"iPSは腫瘍ができる課題が解消されていない"は、がん化の確率が極めて高く実用化は困難だと感じる言い方です。"初期の方法と比べると格段に下がってはいます"を踏まえたものとは取りづらいでしょう)


 追加
  ■小保方晴子STAP論文問題 岡野光夫教授のセルシードとの利益相反などに飛び火(大和雅之教授は株や過去の小保方晴子論文での利益相反の問題も出ています)
  ■小保方晴子の師大和雅之、脳梗塞から復帰 入院中にTWins所長に昇進
  ■STAP細胞発表でセルシードの株価高騰、大和雅之教授の株保有は?

 関連
  ■STAP・iPS細胞比較に山中教授反論 罪はマスコミだけでなく理研にも
  ■小保方晴子がSTAP細胞ではノーベル賞を受賞できないかもしれない理由
  ■小保方晴子STAP細胞論文捏造疑惑、海外の反応「非常に疑わしい」
  ■山中伸弥教授もSTAP細胞再現失敗と報道 ハーバード大が調査示唆
  ■小保方晴子報道で「リケジョ」を避けた新聞はどこ? 理由は?
  ■その他の科学・疑似科学について書いた記事

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