ニトリの話をまとめ。<家具屋ではない!実はニトリには「ライバルがいない」という指摘>、<先制主義で先行者利益を取るニトリ 利益が出てても早めに閉店>などをまとめています。
運は創るもの 似鳥 昭雄 (著)

●ニトリ似鳥昭雄社長が最も重視しているのは「先制主義」だった
2014/2/24:結構話題になったニトリの似鳥昭雄社長の日経新聞での連載。実は2013年夏のものですが、まとめて5つくらい一気に読んでやっと読み終わりました。ただ、個人的には終盤の連載にそれほどいいなと思った話は今回はあまりなし。連載の前半の方がおもしろかったと思います。
そんな中でも一つ、心に残ったものを。
先んじて「乗り物」を変えよう (似鳥昭雄氏の経営者ブログ) 2013/6/28 7:00 日本経済新聞 電子版には、私好みの話がありました。
<最も重視していることは先制主義ということです。乗り物に例えますと、最初は歩きだったのが自転車に変わり、そしてバイク、四輪車になり、小型セスナ機、ジェット機、ロケットへと進化していきます。新しい乗り物の免許を取るには失敗もするし、時にケガもします。
しかし、怖いからといって乗り物を変えていかないと、会社はだめになります。みんながいいなと思い始めている頃に、すでに乗りこなしているのが理想です。先制主義にこそ、利があります。守ることが経営という方もいますが、私は変えないとだめになると確信しています>
●ビジネスでは「小さく失敗」が大事、ニトリの場合は「早く失敗」か
私も常に世の中は変わっていくものだから、会社も変わり続けるべきという考え方。"失敗もするし"とあるように、新しいものに挑戦することはリスクがあるというのは事実でしょう。ただ、リスクは限定することも可能。いきなり社運を掛けて失敗したらおしまいですから、そういうのはさすがにオススメしません。いつも私が書いているのは「小さく失敗」ですね。
ニトリの場合、「先制主義」という言い方をしていますので、「小さく失敗」というよりは「早く失敗」という感じかもしれません。ライバルがいないときなら安心して失敗できます。いち早く挑戦して失敗するというのは傷が浅くなるだけでなく、失敗した経験によってより良いやり方の確立も早くなりそうです。
そして、良いやり方を確立したとなると、もう普通に「先行者利益」を享受できる段階に。「先行者利益」とは、いち早く新しい新しい市場に参入しておけば、後から来る人たちより利益を得られるという考え方です。当たり前ですね。相手が誰もいないんですもの。
上記のニトリのケースは「新しい市場」ではなく、主に「新しい製品」とか「新しいやり方」とかそういうものでしょうね。やはり「先行者利益」と言って良いところだと思います。
●家具屋ではない!実はニトリには「ライバルがいない」という指摘
あと、「新しい市場」の方に関して驚いたのは、ニトリにライバルがいないという分析があったことです。
ニトリの経営戦略や強みなどを独自分析-経営コム-で、そういう話がありました。本当に「相手が誰もいない」状態なんですね!
なお、ここで出てくるSPAを先に説明しておきます。SPAとは、製造小売業のこと。その名の通り、製造から販売まで自社で行うビジネスモデル。
25期連続増収増益のニトリは不景気とリスクが好きでも少し書いていますが、物流などを含め一貫して自社でやっていることがニトリの特徴。このSPAのせいで「低コスト」なのにも関わらず、「高収益」という一見矛盾した現象が起きています。
<高い利益率とライバルの不在>
<ニトリは家具・インテリアを販売する会社ですが、製造小売業に分類され、他の家具・インテリア販売会社とは一線を画しています。国内企業において家具・インテリア分野でSPAを実践し、全国的に展開・成功している企業は今のところ見当たりません。
厳密な意味でのライバルと言えば、世界展開を仕掛けるイケアとなります。イケアはニトリ同様、企画から製造までを手掛けるSPAで価格帯や商品などで競合となります。したがって、ニトリの実質的なライバルはイケアとなります>
●先制主義で先行者利益を取るニトリ 利益が出てても早めに閉店
冒頭の引用部に関連する話だけでずいぶん長々と書いちゃいましたが、実を言うと、「先制主義」の例として一番書きたかった部分はあそこじゃなかったんですよ。一番印象に残ったのは、以下の部分でした。
<店舗も同じことが言えます。ニトリHDでは営業利益率が5%を下回ると閉鎖の対象になります。というのも老朽化した店では、ライバル店が来るとあっという間に顧客を奪われてしまうからです。このため先回りして悪い店は閉め、顧客が集まりそうな所に新たな店を作ります。
当社の店舗の平均年齢は6歳です。(中略)若さを維持するのは大変ですが(笑)、やはり先手を打ってスクラップ・アンド・ビルドを進め、遅くとも店舗平均年齢は10歳以内に抑えなければなりません>
これ、たぶん利益が出ているうちに閉めてしまうってことでしょうね。本当早いです。ニトリはどっちかと言うと試行錯誤を繰り返して、多少失敗しても踏ん張りつつやってきたイメージでした。ただ、見切りの早いところ、切り替えの早いところがあるようです。
運は創るもの 似鳥 昭雄 (著)

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