●高齢者向け弁当宅配で業界の先駆者ワタミの宅食がまさかの失速
(読まれないワタミ関係の過去投稿が多すぎるのでまとめたいのですけど、とりあえず、まず一度見直していきます)
2014/2/25:以前も書いたように、意外なことに今のワタミは居酒屋の占める割合はそう大きくありません。居酒屋は介護、宅食(高齢者向け弁当宅配市場)との三本柱の一つに過ぎないんですよ。で、その三本柱の一つである大切な「ワタミの宅食」。これがまさかの失速だそうです。
<「今後の成長市場」といわれる高齢者向け弁当宅配市場(以下、弁当宅配市場)に大手企業としていち早く参入し、急速な営業拠点拡大により成長してきたワタミの弁当宅配事業「ワタミの宅食」の息切れが、昨年後半から明らかになってきた>
(急拡大の高齢者向け弁当宅配市場、先駆者ワタミ失速で、なぜ異変?競争激化で課題露呈(1/3) | ビジネスジャーナル 2014.02.23より)
http://biz-journal.jp/2014/02/post_4203.html 「配食数が実質横ばい」なのですが、営業拠点数は横ばいなわけではありません。実際には「431カ所から522カ所へと21%も拡大している」とのこと。拠点は増えているのに、配食数が増えていないのです。「既存拠点の配食数が前年度割れしている」としか考えられないという深刻な内容。ワタミはこの分野の草分け的な存在であり、意外です。
<高齢者向け弁当宅配事業はもともと、自治体に委託されたNPOや地場弁当事業者が手掛ける社会福祉事業の1つだった。「そこへ居酒屋チェーンの経営ノウハウを持ち込み、営利事業としての弁当宅配を確立したのがワタミだった」(外食業界関係者)といわれる。前出の証券関係者は「その意味で、高齢者向け弁当宅配から社会福祉の枠を取り払い、成長産業に転換したワタミの先見性と功績は大きい」と評価する>
●業界全体が伸びてるのにワタミだけ苦戦…理由はメニューのせい?
しかも、矢野経済研究所の予測では、「06年に463億円だった高齢者向け弁当宅配市場規模は、15年には775億円に拡大」とすると見られています。業界のパイオニアで、市場が拡大している中で、店舗も増やしているのに、宅配している弁当の数が増えていないというのは異常です。いったいなぜでしょう?
その理由は三つ。元記事は二つでしたが、うちで一つ目を二つに分けて説明します。その最初の一つ目は競争の激化というありがちな理由です。ただ、市場の拡大が停滞しているわけでもないのに、「先発の競争優位」を活かせるワタミが失速する理由としては、やはり解せません。
しかし、業界全体としては伸びているのに、後発組に客を奪われるほどワタミの宅食が苦戦していると考えれている理由は、意外にわかりやすいものでした。記事では「固定客をつかんでいないから」としていましたが、要するにワタミのお弁当メニューが魅力的じゃないためだったようです。うちではこれを2つ目の理由としました。
「同社は『トータルで数百種類の献立を用意しているので飽きがこない』と宣伝している。ところが実際に注文してみると毎日似たような特徴のない弁当が配達されてくるため、1コースか2コース利用すると、やめてしまう利用者が多い。つまり、リピーターではなく新規開拓で成長してきたと思われるが、それは今になってワタミが慌ててかつての利用者に訪問営業攻勢をかけていることからもうかがえる。後発組が続々と誕生、利用者に選択肢が増えた結果、メニュー的な特徴のないワタミの弁当に先発の優位性がなくなったのではないか」(ワタミに詳しい専門家)
成長市場では既存客の満足度上昇より新規客獲得に力を入れるというのは、正統派。ワタミの戦略が必ずしも悪いとは思えませんでした。ただ、そうしたビジネスの常識すら通用しないほどメニューがひどかったってことなんでしょうね…。なかなか不思議なことになっています。
●ワタミの宅食失速の3番目の理由がワタミらしい…「ブラックだから」
ここまでの話だけでもすごい話だと思ったのですが、もっとすごい…さすがワタミ、期待を裏切らない!ってのが、最後の理由。それは「ブラック企業体質」でした。<渡辺美樹会長時代のワタミグループ高齢者宅配弁当事業で“偽装請負”の疑い | スクープ速報 - 週刊文春WEB>(2013.07.09 18:00)などという記事も出ています。
<「まごころスタッフ」と呼ばれるスタッフがワタミと業務委託契約を結んだ個人事業主として、仕事を請け負う形になっている。請負の場合、ワタミ側は労災保険料や社会保険料、ガソリン代などの経費を負担する必要がないが、日々の業務に関する指示などができないことになっている。
週刊文春が入手した社内メールや文書によると、一部のまごころスタッフには「リーダー手数料」の名目で1万~3万円程度の手当てが支払われていた。こうしたスタッフは、業務委託契約にない仕事をしており、まごころスタッフが従業員に代わって営業所の電話を受けるなどの業務もあった>
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/2908 ビジネスジャーナルの方の記事では、前出の専門家が別の点でもスタッフの待遇が低いことを指摘。何でもワタミの"スタッフの業務委託契約は完全出来高制"で、募集広告では『月20日間、1日20軒程度で月収7万円』となっているそうです。さらにこれに前述の"労災保険料や社会保険料、ガソリン代などの経費"の負担を考えると、相当低賃金になるといいます。
ここらへんの計算がよくわからなかったのですが、検索すると「車の維持費だけで給料を上回る」って声もありました。そうなんですかね? まあ、たぶんそれはワタミの宅食以外の用途に車を使わなかったらという話でしょうけど…。とりあえず、極めて低賃金だとすればスタッフの意欲も高まらず、サービスにも影響しそう。お弁当メニューの件とあわせて、ワタミの宅食が負けっぱなしなのも当然だと感じる話でした。
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