2015/04/26に追記とタイトル変更。元のタイトルは「日本にグーグルが生まれない理由 ITエンジニアが評価されないから」でした。追記は最後。
●日本を代表するIT企業は能なし?
最初の記事は実は一度読んだものの、あまりにも胡散臭かったので紹介していなかった記事です。
「早く潰れろ。いい気味だ」 ITゼネコンに注がれる冷ややかな眼差し | キャリコネ 2012.10.05
日本を代表するIT企業であるNECの株価が、この夏、記録的な暴落を起こした。(中略)以前からNECの評判は国内でも散々だった。民生用パソコンの異様なセンスの古さ以上に、いわゆる「ITゼネコン」としてふんぞり返るさまが毛嫌いされている。
税金を使ったおいしい仕事を引き受け、ピンハネして下請けに回す。下請け孫請けの労働環境がどれだけ厳しくなっても知らん顔だ。2ちゃんねらーの批判も容赦ない。
「ピンピンピンハネ、官僚様からの一次請け。ブラック(企業)にポーイ(丸投げ)」
「あんな殿様な営業していたら、こうなることは分かり切ってる。むしろ今までよくもったなって感じ。早く潰れろ。いい気味だ」
http://careerconnection.jp/biz/studycom/content_608.html
ところが、"社内の雰囲気は安泰そのものだ"と言います。
「社員同士では非常に和気あいあいとした雰囲気で、上司もきつくない人が多い。礼儀正しく、おっとりとした性格の人が多く、責任などもあまり追及されない雰囲気。さすがに何度も失敗を重ねると役割が少なくなったりするが、その程度」(20代の男性プロジェクトリーダー)
「一言でいうと、ぬるい。使えない人材も大手をふって仕事ができる」(20代のシステムエンジニア)という危機感を持った声もありますが、逆に言えばそれだけ良い職場だということです。超絶ホワイト企業ですね。
もう一つの"ITゼネコン、富士通"も似たようなものです。
「こちらの会社の社員はマネジメントだけで実務に関しては基本的に自分達でする習慣がありません。(実務は)関連会社に委託したり派遣社員などが行なっています。私も上司に名刺を貰った際、『僕はなんちゃってSEだから』と自分で言ってました」(40代の女性派遣社員)
"たまたま新卒時に大手企業に正社員として入社できたからといって、「なんちゃってSE」が破格の給料をもらい、安定した雇用を得て、下請け・孫請けを搾取しているのは、どう見てもおかしい"と記事ではまとめていました。
●日本でグーグルが生まれないのは前例主義説
ただ、最初に書いたように上の話はどこまで本当かな?というところがあります。イマイチ信じ難いです。…それなのになぜ紹介したのか?となるわけですが、以下の記事を読んで上の評判の悪さを思い出したためです。
日本のITエンジニアの地位はなぜ低いのか:日経ビジネスオンライン グーグル、フェイスブックが日本で生まれないもう1つの理由 小野口 哲 2014年2月5日(水) 1/8ページ
サブタイトルに「もう一つ」とあります。グーグル、フェイスブックが日本で生まれない一つ目の理由、一般的に言われている理由というのはこちらです。
理由として、日本人は新しいことにチャレンジしたがらない、ベンチャーキャピタルなどの投資環境が整っていない、前例主義や過去の実績を重視するのでベンチャー企業の製品やサービスを敬遠しがち、などがよく挙げられる。
「前例主義」に関しては最初の記事の富士通で、良い企画でも前例がないものはことごとく却下されるという話もありました。
●ITエンジニアが評価されないから説
これらに対する「もう一つ」の理由というのは、"「日本ではエンジニアが評価されない」ことが、大きな阻害要因になっているのではないか"というものです。このインタビュー記事で出ているギノの片山良平CEOの指摘です。
そういや、以前にも
日本企業がアップル・グーグル・マイクロソフトに追いつくのは不可能 ソフトウェアとセキュリティの重要性を理解できない日本ってのを書いていますけど、それとはまた違いますね。
片山:以前から、グーグルやフェイスブックのような会社が、何で日本から生まれてこないのかと、思っていたのです。
私も以前、プログラムを書いたり、プロジェクトマネジャーをやったりしていたのですが、その当時、システム構築プロジェクトがうまくいかずに炎上することが多かったのです。そんなとき、会社の上の人たちの方針は、「エンジニアは必要なときだけ調達をしてきて使えばいい」というものなのです。
“ただ作るだけ”の製造プロセスの人というふうにエンジニアは見られていたわけです。すごく軽視されている風潮があったんですよ。 (中略)
――IT業界では、エンジニアのことを基本的に「人月単位」で計算しますよね。エンジニアを「何人を何カ月投入する」という考え方で、個々の能力がどうこうというよりは、単純労働の単位として投入するという考え方がずっとありますね。
片山:そうですね。やったことがない人だと、プログラムを書くことは単純労働だと思っちゃうので、新卒でもできるじゃないか、みたいな話になるんです。特に、「資源を輸入して、それを加工して輸出する」というような、古い日本のビジネスモデルをやってきた人たちにすると、どうしても単純労働者扱いになっちゃうんです。
「IT土木」って言葉があること自体がもう既に認識を誤っている証拠なのかもしれません。
片山:プログラムをしたことがない人たちが、会社の上司や上層部にいっぱいいるのですが、彼らは、今、言ったようなことをまったく理解できない。エンジニアを正しく評価できないから、優れた人をうまく使えない、それであまり優れてない人を上に持ってきちゃうというようなことが起きるわけです。
ソフトウエアを作れる優秀な人は上にいかないし、上の人は分からないまま、という状況が続いているわけです。こんな状況では、テクノロジーを大切にする、グーグルやフェイスブックのような会社は、日本から出てこないんじゃないか、と、以前からおぼろげながらに思っていたわけです。
NECはありませんでしたが、富士通の名前も出ていました。
特許庁システム刷新頓挫で55億円の税金が無駄に 失敗の東芝、賄賂のNTT 悪いのは官僚?政治家?のNTTデータも出ています。
片山:日本のIT業界では、システムインテグレータ(富士通、日立製作所、NTTデータなどに代表されるシステム構築会社)は、依然として極めて大きな位置を占めています。
各ユーザー企業には、コストセンターとして「情報システム部」のようなところがあって、そこから「コスト削減のための情報システムを組め」みたいな命令があって、システムインテグレータが受注するような“連なる構造”があるわけです。こういう構造だと、基本的に情報システム部って売り上げとかで評価されない組織なので、いかにコストダウンをしたかというところに評価が行き着いちゃうわけです。
そうなると、やっぱりそれが実際にモノ(ソフトウエア)を作るといったときにも、品質がどうとかいうよりも、いかに安く、それなりのものを作れたかということになっちゃうので、末端にいるエンジニアの人たちも、“一山いくら”という世界にどうしてもなっちゃうんです。
●では、どうしたらいいのか?
では、どうするの?と言うと、もっとプログラムを重視していこう…と片山良平CEOは考えているんじゃないかと思います。8ページもある話なんでポイントをつかうむのは難しいのですが、それらしいところだけ引用。
片山:何か困っていると、とにかく人を増やせばいいんじゃないかと思っちゃうみたいなのが根底にある。
日本の工場がどんどん海外に流出しちゃったというのになぞって、プログラマーもいずれ必要なくなるみたいなことを言う人が結構多いんです。
システムインテグレータの人ってそういう発想がすごく多くて、インドとか安いですよねとか、ベトナム、安いですよねという話をするんですけど、じゃあ、彼らが企画みたいなことをできますかというとできないし、日時でどんどんアップデートをかけていくみたいな仕事を、毎日企画会議が朝にあって、夜には実装が終わっているみたいなことを、そういう体制でできるのかというと、やっぱり難しいわけです。
うーん、でも、インド人はアメリカのIT業界で活躍していますよね。最近昇格したマイクロソフトのサトヤ・ナデラCEOが有名です。
水を差してしまいましたが、まあ、外国人がどうかという話ではなく、問題点となっているのは「何を評価軸とするか?」です。
片山:今、必要としている人って、取りあえず何か仕様書が完全に固まってプログラムを書くだけの人じゃなくて、緩い要件の中で率先して考えながらどんどん作ってということができる。しかも、プログラムだけじゃなくて、サーバー回りも、フロントエンドも少し分かるしみたいな、なるべく縦に深いというか、全部の工程が1人でできるようなタイプの人が求めてられています。
なので、“口だけの人”は本当にいらないというのが、企業の声としてはすごくあります。かなり切実に感じていて、「とにかく(プログラムが)書けるの?」みたいなことがすごく求められています。「CTOといえども、書けるの?」みたいな。何かあったら取りあえず書いてもらいますよ、みたいな要求がすごく増えていますね。
なので、エンジニアを評価したり、採用したりするときは、やっぱりプログラムを書けるかどうかを見ないといけないわけです。
で、プログラムを評価するサービスを始めた…ということみたいですね、片山良平CEOは。要するに宣伝なわけですが、考え方自体は悪くなさそうな気がしましたので、ご紹介。
優秀なITエンジニアの方々が評価されず、活躍もできないというのなら、それは不幸なことに違いありません。
●日本にグーグルが生まれなかったのは政府のせい? 著作権問題説
2015/04/26の追記分。政府のドローン規制に関して、
はてなブックマークでは規制に批判的なコメントが並んでいました。
hatekun_b "検索サーバーもP2Pも潰したし、次はドローンも潰すけど、愚民どもはグローバル競争に勝って納税しろよ"2015/04/24
rti7743 "悪意を持った操縦者が規制を守るのかな? 暴走族に制限速度を守らせるぐらい難しいと思う。 飛行禁止エリアを定めてそこに入ったものは撃墜する制度と技術の方がいい。未来の産業を潰さないためにも。"2015/04/24
hitac "規制はバランスを考えてやらないと。ドローンは恐らく今後の社会には無くてはならないインフラになる。その発達を阻害しないように。少なくとも免許制なんて論外。"2015/04/24
hiby 本当この爺どもは自分たちの理解できないものの規制に関しては速攻やるから困る。ことは自転車の道交法と同じだけど、圧倒的にユーザが少ないからいいように制定されて文化が滅ぶ。いつものパターン。"2015/04/24
hisamura75 "従来のラジコン飛行機だってカメラと毒ガスくらい余裕で積めたのになぁ。"2015/04/24
moegi_yg "あ、これダメなパターンじゃ?winnyのようにしないでおくれ。てか政治家はなんでこうも安直なんだろう。政治家をやるくらいなら四方八方の知識や可能性くらい勉強してほしいものだ"2015/04/24
P2Pはわかります。人気コメントではありませんでしたが、Winnyを潰したことについて触れたものがあり、規制による新たな産業潰しの例でしょう。ただ、検索サーバーってのがわからんと思って検索しました。すると、こんな話が。
日本製検索エンジンが生まれなかったわけ: 花水木法律事務所 2011年11月 2日 (水)
Googleのような検索エンジンが日本で生まれなかった理由は、日本の著作権法にある、という見方が一般的だ。例えば2008年9月1日の週刊東洋経済には、「検索サーバーに情報を一時蓄積することは『無断複製』にあたり、検索結果を表示することが『自動公衆送信』になるため」、日本に検索エンジン用のサーバーを置くことができないと書いてある。
日本にグーグルが生まれなかったのは、著作権法の問題という意見も強かったんですね。知りませんでした。
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