以前書いた
できない理由を探すか、できる理由を探すか?カクヤスは社員もすごいでは、大手スーパーも宅配が可能という話をしました。それ以外にもアマゾンの話も途中で出していました。このうちアマゾンについては配達も将来乗り出すのでは?と言われていますが、今のところどちらも宅配業者に届けてもらっています。
一方、カクヤスは自前で運んでいます。これがどこまでの力を発揮できるかわかりませんが、自分たちで宅配していることの強みというのもあるのだなと思って感心したのが以下の部分です。
甘んじるな! 本当の強みとは「次に生み出される強み」だ:日経ビジネスオンライン
配達員は、社員やアルバイトの子たちです。いつも、自分たちの商品を自分たちで運んでいます。
すると、玄関口でお客様と会話ができます。「いつもアサヒのスーパードライを頼んでるんだけど、何か新しいの出てない?」とお尋ねいただければ、「最近、こんなの出ましたよ」「良かったらサンプルを持ってきますか」と、会話ができます。
これが、「玄関が売り場になる」ということです。ただ運んで届けるだけでは、売り場になりません。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130704/250682/?n_cid=nbpnbo_leaf_bn
「玄関が売り場になる」は飛ばした部分にあった話です。かつての小売業の主役は百貨店。この百貨店は駅近くでした。しかし、そこから幹線道路沿いにあるスーパー、今は家の近くのコンビニ…と主役が変わっていきます。どんどんと家に近づいているのです。ですから、次の小売業の売り場は玄関かもしれないという話です。
これは委託して宅配しているところでは無理でしょう。アマゾンが将来配達するようになったとしても、社風からするとちょっとやりそうにないと感じます。最初に書いたように、これがどこまでの力を発揮できるかわかりませんけどね。おもしろいとは思います。
もう一つ書きたかった話も以前出てきた話と重なるもの。
価格で勝つか、付加価値で勝つかどちらかしかない カクヤスの選択で少し書いた多角化についてです。
カクヤスは何と花屋さんを買収したんだそうです。似ても似つかないお花とお酒。何で?と思いますが、結婚式、お葬式、高級クラブ、レストラン…シーンで見ると、意外なことにとても近いのです。で、両方があることでシナジーが起こるかもしれないという狙いのようです。
一方でお酒とやはりともにある食材の会社を買収したこともありました。しかし、こちらはシナジー効果を出せませんでした。"食材の配送には冷凍、チルド、常温の3温度帯が必要"であり、お酒の配達とは全然合いません。"食材の方は、大型の物流センターを拠点に翌日配送"であり、2時間で配送するカクヤスのお酒とも統合できなかったのです。
多角化については、
縮小市場を生き残るための多角化戦略 成功事業にしがみつかないの話との共通点を感じたと書きました。このときはピンチのときに前向きに考えられることも共通だと思いました。
そして、さらにもうひとつ。多角化とセットになる話で、「今現在好調な事業もそうじゃなくなるときが必ず来る」と考えているという点にも同じものを感じました。
カクヤスの強みは何か。すぐに思い当たるのは、受注から2時間でお届けする宅配サービスです。もし、それでカクヤスが成長したということであれば、多くのライバル企業は、2時間配達を実現するでしょう。
ですから、本当に強い企業は、今ある強みには頼っていないはずです。今ある強みは、簡単に真似ができますから。
すると何が企業の強みなのかというと、それは、これから作っていく強みです。これは、新しい仕組みやサービスを常に生み出し続ける力ということです。
よくアップルの例を出していますが、アップルはもともとは携帯電話の会社ではありませんでした。パソコンが主体だったのをiPodのヒットで携帯型音楽プレイヤーを主戦場に変え、さらにiPhoneへという形です。
前半に出た百貨店、スーパー、コンビニという栄枯盛衰を見てもわかるように、世の中は変わり続けています。売れる商品というのは常に変わりますし、市場が飽和すれば収益源としての魅力が薄れるというのもあるでしょう。
カクヤスはメーカーではありませんので、これが「製品」の変化ではなく「強み」の変化になっています。カクヤスの最初の記事
価格で勝つか、付加価値で勝つかどちらかしかない カクヤスの選択に合わせると、「強み」は「付加価値」と言い換えても良いと思います。
今ある「付加価値」がいつまでも顧客にとって「付加価値」があると感じ続けるとは限りません。むしろ多くの場合、「付加価値」はよそに真似されて当たり前になり、価値を失います。「多くのライバル企業は、2時間配達を実現するでしょう」というのはそういう話です。
今現在成功していても常に次を探さなくてはいけない…という考え方はメーカーであろうと小売業であろうと、本当に大切なことです。
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