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実は勝てるとは限らない特許侵害訴訟 その驚きの勝訴率は?


 <実は勝てるとは限らない特許侵害訴訟 その驚きの勝訴率は?>という特許の話の他、営業秘密侵害などの不正競争防止法違反に関する<営業秘密・技術漏洩訴えたトヨタグループ愛知製鋼が裁判で惨敗>、<裁判官「情報漏洩での起訴は無理がある」「自社に都合が良すぎ」>話もやっています。

冒頭に追記
2022/04/05追記:
●営業秘密・技術漏洩訴えたトヨタグループ愛知製鋼が裁判で惨敗 【NEW】
●裁判官「情報漏洩での起訴は無理がある」「自社に都合が良すぎ」 【NEW】


●営業秘密・技術漏洩訴えたトヨタグループ愛知製鋼が裁判で惨敗

2022/04/05追記:「特許」ではなく「営業秘密」の話なのですが、技術情報漏えいを訴えた側が負けたということで、やはり勝つのは難しいとわかる、以下のようなニュースがありました。ただ、今回はそもそも無理筋で傲慢な提訴だったのでは?という感じも…。営業妨害狙いの可能性すらありそうなケースです。

<トヨタ自動車グループの鋼材メーカー「愛知製鋼」(愛知県東海市)の磁気センサー関連技術を他社に漏らしたとして、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)罪に問われ、名古屋地裁で無罪となった元専務本蔵義信さん(71)ら2人について、名古屋地検は4日、控訴を断念したと明らかにした。控訴期限は1日で、無罪が確定した>
(愛知製鋼元専務らの無罪確定 地検、控訴断念―技術情報漏えい:時事ドットコムより)

 名古屋地裁では前月、2人が伝えたとされる情報は「抽象化、一般化されている」などと指摘し、「営業秘密を開示したとは言えない」として無罪を言い渡し。本蔵義信さんらは弁護士を通じ、「ようやく重圧から解放された。無益な裁判で研究開発が妨げられ、悔しい気持ちでいっぱいだ」というコメントを発表しています。


●裁判官「情報漏洩での起訴は無理がある」「自社に都合が良すぎ」

 このニュースだと細かい情報がなく、よくわからず。ただ、この少ない情報の時点でも最近不正などが多いトヨタグループがまた調子に乗って傲慢なことをやったのかな?と思いました。で、検索して見つけた詳しい記事を見ると、実際、無理がありすぎな訴訟だったようで、裁判官からボロクソに言われています。

<名古屋地裁は、起訴に「無理がある」とまで言い切った。また、告訴した愛知製鋼についても「一般化された情報についてまで、自社の営業秘密として保護を受けようとするのは、いささか都合が良すぎる」とたしなめた。「営業秘密」の解釈を広げすぎることへの警鐘ともいえる判決だ。
 問題となったのは、取引先との会議で使用したホワイトボードに書かれた装置の工程図。判決は、図が一般化されており、同社が開発した磁気センサー「MIセンサ」とは「大きく異なる」と指摘、「愛知製鋼の営業秘密であるとは認められない」とした>

 これを書いた愛知製鋼裁判 何が「営業秘密」なのか:中日新聞Web(2022年3月24日)によると、訴えられた本蔵義信さんは、国内最高峰の技術者だったものの、事業方針について経営陣と対立して独立。日本人は転職する人を憎む傾向が強く、報復だったのかも…と思ってしまいました。

 なお、こちらでは特許の話もあり、本蔵義信さんが独自に開発した「GSRセンサ」を自社のMIセンサを模倣だとして、特許無効を特許庁に二度申し立てたものの、いずれも退けられていたとのこと。特許侵害が認められなかったので、無理筋な提訴に持っていた感じでしょうか。感情的になっていましたね。

 記事では、磁気センサーは、自動運転の開発に不可欠な技術で、グローバルな開発競争は一分一秒を争うために、裁判による空白で技術的な損失が大きくなったことも指摘。ただでさえ地盤沈下の激しい日本の「ものづくり」がさらに駄目になりそうですね。日本の製造業は自滅している感じです。


●実は勝てるとは限らない特許侵害訴訟 その驚きの勝訴率は?

2017/03/12:別件で検索していて驚いたのが、この特許侵害訴訟の勝率に関する話。弁護士事務所のサイトで、特許侵害らしきものを見つけた際にただちに警告状を出すべきではないですよ、と説明する中で、勝訴率の話があったのです。

 警告状を出すべきか出さざるべきか | 知財弁護士.COM 内田・鮫島法律事務所によると、2001~2007年の特許庁調べのデータを元に、判決件数と、一部勝訴を含む権利者勝訴件数を調べて、勝訴率を出してみると、大体2割程度になるとのこと。驚きの低さです。

 調査した最新年2007年とその前の2006年はやや特殊で30%、13%と極端でした。ただ、これも2年合わせればやはり2割程度だと言えます。モデルケースとして良さそうのは、その前の2005年ですね。この年は、63件の判決が出て、勝訴は11件。勝訴率は17%であり、ほぼ2割。他の4年も15~22%で、2割前後でした。

 一部勝訴を含んでこの勝率というのは衝撃的です。実際には判決前に和解に至ったなど、勝訴に近いケースもあるのかもしれないと思うものの、やはり意外な数字だと思います。なかなか特許侵害を認めさせるのは難しいのかもしれません。


●特許は中身がなくても先に出せば勝ち?研究不正疑惑で擁護

2014/2/27:ここから最初の投稿。この投稿は、もともとは小保方晴子さんがネイチャーで発表したSTAP細胞論文で追試が成功しないのは、方法論が詳細に書かれていないからという主張から調べ始めたものでした。そういう風に詳細を隠す特許申請がアリなのかどうかはよくわからないので、これについては断定しません。

 ただ、とりあえず、科学としては駄目ですね。科学で言うのなら、原則的にはきちんと実験手法を記載していない論文、他の人が追試して再現性を得られない論文に価値はありません。また、仮に小保方晴子さんの例はそうではなかったとしても、成功していないのに結論だけ言っておいて手法は適当、後で誰かが本当に成功したら「それ、先に言ったので私のもの」とされるケースが出かねない考え方だとも思います。

 「言ったもの勝ち」でOKとなると、まじめに実験する研究者が馬鹿を見るということになりかねません。科学も分野によっては先見性を示すだけで価値を認められるのかも知れませんが、何か腑に落ちませんでした。で、その擁護的なコメントというのは、以下のようなものでした。

<追試にの件でちょっとググって見ましたが、追試が成功しないのは、特許がまだ認められていないので、何かノウハウを隠しているのではないかという分析がされていました。
理論自体は単純でも、成功させるには実は(わかってしまえば単純な)コツがあり、そういうものが秘匿されているのではないかと>
(STAP細胞の論文に「酷似した2枚の画像が使われている」との指摘、著者側は「単純ミス」を説明 |スラッシュドット・ジャパン サイエンスより)

 ただ、<特許は成立した時点ではなく申請した時点で「先願」が成立する(もちろん、審査請求して不成立ならチャラ)ので、「特許がまだ成立してないから」ってのはちょっと筋が通らないような>という疑問を呈するコメントもついています。たとえ方法論をわざと不十分にしていろいろと隠していたとしても、特許とは直接関係ない気がします。前述の通り、私は科学論文で手法を隠すこと自体が腑に落ちないんですけどね。科学的ではありません。


●特許出願(申請)における先願主義と先発明主義

 上で想定していたのは先願主義というものでしょう。ここらへんについて検索。Wikipediaでは、以下のような説明です。
先願主義(せんがんしゅぎ)とは、最初に特許出願を行った者に特許権を与える制度。例えば、同じ発明をした者が二人いた場合、どちらが先に発明をしたかにかかわらず、先に特許庁に出願した者(出願日が早いほう)が特許を受ける権利を有する。これに対して、先に発明した者が特許を受ける権利を有することを先発明主義という。

現在では米国以外のほとんどの国で、先願主義が採用されている。また米国においても2006年、国際会議において先願主義の採用に同意しており、米国特許法改正が2012年から段階的に開始され、2013年3月16日には移行が行われる 。(特許、先発明主義、米国の特許制度参照)。

先発明主義と比較すると、先願主義では出願状況を見ることによって他者によって発明されているかどうか知ることができ、二重投資を避けることができるという長所がある。

 "米国特許法改正が2012年から段階的に開始され、2013年3月16日には移行が行われる"とありますが、実はアメリカの場合、まだ他国の先願主義とはかなり異なるようです。これについては後述します。

 ここでは先にそのアメリカがつい最近まで採用していた先発明主義についてのWikipediaを。先発明主義は、<最初に発明をした発明者に特許権を与える制度。例えば、同じ発明をした者が二人いた場合、出願日にかかわらず、先に発明した者が特許を受ける権利を有する>とした上で、長所と短所が書かれていました。

長所
・  発明が出願に値するか否か見極めてから出願することができ、無意味な出願が減ること
・  発明者保護の効果は強いとされている

短所
・  発明日を立証するためには常にラボノートなどを付けておく必要があり研究者の負担が大きいこと
・  権利成立後に新たな発明者が現れ事後的に権利が不安定になる場合があること
・  先に発明した者を特定する手続(インターフェアレンス)が煩雑であること


●アメリカはまだ先願主義じゃない?先「発表」主義ともいうべきか

 アメリカというのは不思議な国で、世界一の大国でありながら、何でそんな遅れたことを?と思うことをたまにやっています。先発明主義から先願主義への転換というのもアメリカが世界で一番遅かったそうです。そして、先願主義に転換したはずの新しい特許法というものも、前述の通りきっちりした先願主義になっていないんですね。

 難しくてよくわからないところもあるのですが、下記によれば、改革への抵抗勢力のせいで中途半端で複雑なことになったみたいです。
第66回「新米国特許法は純粋な先願主義ではない」 日米特許最前線

 6年前に最初の先願主義の改正案が発表された時、米国大学は「我々は学会で新しいアイディアをすぐ発表してから特許出願するから純粋な先願主義は受け入れられない。先発明主義では発明して発表したら必ず特許が取れたので、先願主義でも同じように発表しても特許が取れるような特許制度にしろ」と要求して先願主義が変形されたのである。

 変形点は、もし発明者が発明を発表して(世界のどこでもよい)1年以内に出願したら、自分の発表は自分の出願の先行技術にならないだけでなく(標準的グレース期間であり、世界の国々はほとんど6ヶ月のグレース期間を設けている)、その後に第3者が同じ発明を発表しても、米国出願をしても、先に発表した者に特許が得られるようにするという先発表主義の改正点が入ったのである(こういう絶対的グレース期間を用いている国は他にない)。

 米国企業は先発表主義を入れると発表合戦になり、他社にすぐにまねされるからと大反対したが、米国では特許制度については学会の方が発言力、政治力がはるかに強いので押し切られたいう背景がある。

 先に発表すれば、特許が取れる事(絶対グレース期間)は、結局米国は先発明主義の亡霊から抜け切れないのである。
http://dndi.jp/08-hattori/hattori_66.php

 元サイトはちょっと長い文章ですが、この先「発表」主義のメリット、デメリットなど、他にもいろいろ書かれていますので、ご興味ある方はどうぞ。


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