以前やった
財政破綻は悲惨 鈴木直道夕張市長「政治家もわかっていない」において、「北海道出身者としては、穴に入りたくなる話でした」と書きました。でも、恥を晒すついでに夕張市の「財政難に陥った経緯」についても見ておきます。マジでひどい話がガンガン出てきました(2014/3/5)
2017/07/17追加:「全国最低の行政サービス」と「全国最高の市民負担」
2017/07/19追加:自治体を滅ぼすようなことをする政治家たち
●炭鉱の町として栄えた夕張市、石油シフトで没落し雇用確保で放漫財政
2014/3/5:
Wikipediaから関連する部分を抜き出すという形で見ていきます。
まず、北海道外の方がご存知かはわかりませんけど、"かつて夕張は炭鉱の街として栄え"ていました。夕張市に限らずあの近隣は炭鉱で栄えた町が多いです。
しかし、"「石炭から石油へ」のエネルギー政策転換により、次々と炭鉱が閉山"。"1990年(平成2年)には最後の三菱南大夕張炭鉱が閉山し"、夕張から炭鉱がなくなっ"てしまいました。
さらに、"これにより、炭鉱会社が設置した鉱員向けのインフラを市が買収することとなる"と続いていましたが、これはよく理由がわからず。首を傾げましたが、次は明らかに悪いです。
また、こうした施設の建設に際して地元業者優先の随意契約が多く行われ、建設費も適正な価格に比べて相当高くついたケースも見られたほか、事業が観光客誘致よりも雇用確保に傾いたため、各施設が余剰人員を多く抱えていたことも観光関連施設の収支を悪化させる要因となった。
●北海道新聞の警告を無視した夕張市
さらに、以下のようなことに。本当、恥ずかしいです。
1982年12月20日の北海道新聞では「(市は)財政再建団体への転落必至」と報じられ、自治省は財政緊縮を強く指導したが、市は従わず前年度比17%増の積極予算を組んだ。
この後やっと少し危機感をもって「炭鉱から観光へ」と取り組みますが、そこは商売のセンスのないお役人のやることです。"ことごとく振るわ"ないという結果になります。結局、"観光・レクリエーション投資における放漫経営が累積赤字として重くのしかかった結果、市の財政を圧迫"と余計悪くなりました。
●北海道庁の不許可で、夕張市は「ヤミ起債的行為」を選択
これに加えて"2002年3月、市はマウントレースイスキー場を26億円で買収"しようとしますが、"北海道庁は負担が重すぎるとして許可し"ませんでした。無謀な買収なのですから、北海道庁のこの判断は賢明だったのですが、夕張市はこれに対して驚くような行為に出ます。
なんと"市は土地開発公社に買収させ、市が肩代わり返済する
「ヤミ起債的行為」に手を染めた"というのです。
これは難しそうな話なので飛ばしてもらって結構ですが、Wikipediaでは以下のような説明でした。
「ヤミ起債」問題について
産炭法の失効により、同法に沿って行われていた地方交付税の手厚い分配がなくなり、地方債への依存度が高まった。そもそも地方債発行には都道府県知事の許可が必要で、2006年(平成18年)4月からは、財政難の自治体を除き、国と地方自治体が事前協議したうえ、地方自治体の判断により発行する制度に移行、夕張市など6市町(他に歌志内市、赤平市、三笠市、上砂川町、芦別市)は限度額に近い金額を起債して極端な財政危機に陥った。そこで、「空知産炭地域総合発展基金」など各種基金や、銀行・信用金庫など金融機関からの借り入れという形をとって急場をしのいだと言われている。こうしたスキームは本来、一時的に税収が不足したときや、会計制度上財政が逼迫しやすい会計年度末に少額・短期間採られることが多い常套的手段ではあるが、6市町は税収不足の補填や融資自体の返済のために借り換えに借り換えを重ね、債務は累積し、いわゆる自転車操業状態に陥った。4月1日から5月31日は決算の出納整理期間だが、その期間を悪用して旧年度の会計に新年度の会計から貸して見かけ上黒字に見せかけるなどの違法な決算操作が行われていた。さらに、北海道拓殖銀行の破綻と道内不況が追い討ちをかけた。
なお、「ヤミ起債」問題については道の関与も疑われているが、同様の問題を抱えた産炭地域自治体も多く、北海道に限った問題ではない。産炭地など鉱山地帯が終掘後自治体として維持された存続例は、日立グループが旧炭鉱や日立銅山の労働者の大部分を吸収した常磐炭田、宇部興産を中心に重化学コンビナートに造り変えた宇部炭鉱程度しかなく、世界的に見ても極めてまれである。
これ、犯罪じゃないんですかね? 市をまるごと一つ壊しておいてお咎め無しというのも腑に落ちません。
この後の話は飛ばしてしまいますが、財政破綻までは結構時間がかかります。しかし、それは単にバレるまで時間がかかったというだけの話であり、別に状況が良くなったというわけではありません。結局、"ほぼ破綻状態にあったことが表面化"するには、2006年まで待たなくてはいけなかったそうです。
本当にひどい話でしたね。
●「全国最低の行政サービス」と「全国最高の市民負担」
2017/07/17:
夕張市破綻から10年「衝撃のその後」若者は去り、税金は上がり続け…(NHKスペシャル取材班) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)(2017/07/17)という記事が出ていました。財政破綻した自治体の悲惨な実態が書かれています。
夕張に残った住民たちは、以下のような「全国最低の行政サービス」と「全国最高の市民負担」を強いられることになりました。
「行政サービス」
・7つあった小学校、4つあった中学校はそれぞれ1校ずつに統廃合
・図書館や美術館などの施設は軒並み廃止
・公園は整備されなくなった
・医療機関を縮小
「市民負担」
・市民税が3000円から3500円に引き上げ
・軽自動車税は1・5倍に引き上げ
・下水道使用料は10立方メートル当たり1470円から2440円に引き上げ(下水道料金は東京23区の約2倍)
また、特に大きく減らされたのが、職員の人件費。もともと地方自治体は田舎でも、赤字自治体でも給与が高く、格差が大きすぎておかしいとは思います。ただ、夕張市の場合は一気に減りました。極端になっちゃいますね。
・財政破綻後、55人いた管理職のうち定年退職を控えた部長は全員、課長級は3人を残していっせいに退職。
・残った職員の給与は年収ベースで平均4割削減。
公務員の4割減で給与で、本当に「家族を養えない」かは気になるところですが、とりあえず、"これでさらに退職する職員が相次ぎ、260人だった職員数が瞬く間に減少"しました。
おかげで、人件費は圧縮されたものの、"事務量がそれに比例して減るはずもなく、市職員の一人当たりの仕事量は増大"。これは夕張市に限った問題じゃないでのですが、自治体での仕事量は見直しが必要ではないか?と。今は多くの自治体が苦しんでおり、本当に必要な仕事を見極めた方が良いと思います。
●自治体を滅ぼすようなことをする政治家たち
2017/07/19:夕張市の極端な緊縮財政は国の要求なのですが、ほとんど見せしめみたいなものであり、妥当なものとは言えません。ただ、もともと書いていていたように、夕張市の破綻は人災の面が大きいものであり、破綻に追い込んだ人たちには罪があるはずです。
これに絡んで、夕張市に次いで財政破たんすると見られている銚子市の話についても少し。実は、こちらも人災的な側面があり、安倍首相の友人が率いる今話題の加計学園グループの千葉科学大誘致で、借金がものすごいことになったという事情がありました。
(関連:
加計学園の木曽功千葉科学大学長「巨大な忖度の塊」 安倍晋三総理の意向文書も「違和感はない」)
夕張市も不可解でしたが、この銚子市も不可解。政治家はなぜこうやって自治体をぶち壊すようなことをするのか、そして、どうしても誰も責任を取らないのかと考えると、やるせないです。
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