作者は"ブラック企業アナリスト・新田龍"って宣伝されていましたが、ブラック企業擁護が無理やりでどうかなぁ?って方です。でも、今回は違う話ですので良いでしょうか?
銭湯、客数減でもなぜ潰れない?多額補助金、水道料金実質無料、税金免除…(1/3) | ビジネスジャーナル 2014.03.02 新田龍
http://biz-journal.jp/2014/03/post_4275.html タイトルでわかる通り、銭湯はなぜ客離れが激しいのにやっていけるのか?という話です。そして、これまたタイトルでわかる通り、銭湯が潰れない理由は税金です。
確かに事業者も減っており、産業として衰退していることはその通りなのだが、実はその業界内部においては、利権と規制に守られた「経営努力をしない組織」が温存され、その維持に対して多額の税金が投入されているのである。
"銭湯は報道などでは「厳しい経営環境」「燃料費の高騰や消費税増税などで今後さらに厳しく」「古きよき日本の伝統がまた一つピンチに」といった同情的な論調で語られる"ものの、実態を知るとあまり同情できないという感じですね。
なお、この潰れない銭湯というのは、「公衆浴場法」における「一般公衆浴場」と「その他の公衆浴場」のうちの「一般公衆浴場」だけだそうです。作者は"既得利権化している"と書いていました。
「一般公衆浴場」…いわゆる「銭湯」。施設の衛生基準や浴槽水の水質基準、そして入浴料金などが法律で定められている。
「その他の公衆浴場」…俗にスーパー銭湯、健康ランド、サウナなどと呼ばれる施設。「温湯や温泉で公衆を入浴させる施設」であることは同じだが、営業形態が銭湯とは異なる浴場であり、料金規制などは受けない。
「一般公衆浴場」いわゆる「銭湯」がやっていけるポイントは、「料金減免」と「補助金」の二点だそうです。
実は、銭湯の水道料金は実質無料で、さらに施設と土地の固定資産税はその3分の2が免除されるのだ。(中略)
東京都水道局のホームページをみてみると、通常の料金表のほかに、公衆浴場用の水道料金、および下水道料金が載っている。いずれも、銭湯だけの特別枠だ。しかも、そもそもの基本料金自体が優遇されている。(中略)
さらに銭湯には「水道料金の減免」が適用され、「従量料金について、1月当たり5平方メートルを超える使用水量1立方メートルにつき15円を乗じて得た額に100分の105を乗じて得た額」が引かれることになる。
最初に流し読みしたときになぜこれで「実質無料」と言っているのかわかりませんでした。でも、その理由はこの後にありました。
さらにはここに各自治体からの補助金が投入されるため、銭湯は実質無料で水道を使えることになるわけだ。
でも、これはこじつけみたいな書き方ですね。水道代が特別料金なのに加えて、様々な補助金が出ていると言った方がすっきりです。
その補助金については、"用水のみならず、人件費や光熱費、減価償却費として設備補修などにも用いることができる"とありました。ただ、自治体によって様々なようですので、ほとんど補助していないところもあるかもしれません。
とりあえず、東京都世田谷区の場合は以下。
銭湯を対象にした予算として13年度で約1億9,800万円が支出されている。区内銭湯1軒当たり年間で約566万円にも上る計算になる。同区では待機児童問題などいろいろと優先度が高い課題があるにもかかわらず、銭湯に慣習的に多額の支出が継続されているのだ。
最初の方で出たように「古きよき日本の伝統」ということで、こういった補助金についてはお咎め無しかと言うと、そうでもないようです。"多くの地方議会で問題となっている"としていました。
しかし、自治体は以下のような理由で対策を拒否しているとのこと。
・一般公衆浴場は「物価統制令」に基づき入浴料金が決まっており、事業者が自由に設定することができない。
・また「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律」において、地方公共団体は、助成その他必要な措置を講ずるよう努める旨規定されている。
・公衆浴場は、健康保持だけでなく、高齢者の憩いの場や地域のふれあいの場として大きな役割を果たしている。
ただ、この根拠の一つとなっている制度については、終戦間際に作られたものみたいです。当時は"公衆衛生が喫緊の課題"でしたので、「公衆浴場の確保」が必要だったことは説明できます。しかし、現在のように"内風呂の普及率がほぼ100%となった"中では、全く説得力を持ちません。
また、スーパー銭湯などは対象外とあるように、助成金なしでも自助努力でやっていっていけることを証明している地域もあります。私はこの格差よりも、また自治体が余計な手を出して民間に介入しているなぁというのが気になりました。政治的にきな臭いところもありますね。
このスーパー銭湯については本当に補助金がないか確認。多少あったとしてもあまり結論は変わらないのですが…。検索して出たのはこういうのです。
埼玉県議会/平成18年6月定例会 質疑質問・答弁全文 吉田芳朝議員
Q 吉田芳朝議員(地方主権の会)
補助金や助成金の在り方について伺います。
これも県が支出している補助金、助成金等についていろいろと調べてみました。
例えば「公衆浴場近代化設備資金補助金」を御存じでしょうか。昭和23年に制定された公衆浴場法によると、公衆浴場が住民の日常生活に欠くことのできない施設で、国民の公衆衛生向上のためと、昭和23年の時代背景がよく分かりますが、この補助金は、昭和48年から県の要綱により初めて助成されました。
今でも毎年1500万前後補助金が出ています。ちなみに、これは今はやりのスーパー銭湯等には出されていません。あくまでも銭湯に出されているものであります。本当にこれが今の時代必要でしょうか。これはかなり細かいものですが、ほかにもたくさんあります。(中略)
A 中村健二 保健医療部長
まず、一般公衆浴場に対する補助金についてでございます。
いわゆる銭湯と言われている一般公衆浴場は、「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律」において、地方公共団体は、助成その他必要な措置を講ずるよう努める旨規定されております。
現在、本県には一般公衆浴場は116施設あり、毎日およそ1万2千人の方が利用されておりますが、利用者数は減少傾向にあります。
また、一般公衆浴場の経営状況は厳しいところですが、入浴料金については事業者が自由に設定することができないこととなっております。
これは物価統制令に基づき、知事が公衆浴場入浴料金審議会に諮問を行い、その答申を受け、定められているからでございます。
こうしたことから、県といたしましては、一般公衆浴場の経営の安定化と施設の確保を図るため、浴場の根幹に係る設備の更新に必要な資金について、限度額を定めて経費の2分の1の助成を行ってきたところでございます。
また、一般公衆浴場は、健康保持だけでなく、高齢者の憩いの場や地域のふれあいの場として大きな役割を果たしております。
今後は、少子高齢社会の進展の中で、保健福祉の向上の観点、また、利用者数等の推移を見ながら適切な助成を行ってまいりたいと考えております。(略)
http://www.pref.saitama.lg.jp/s-gikai/gaiyou/h1806/1806c030.html
回答はさっきの記事通りですね。ひょっとしたらこれが元ネタだったのでしょうか?
さっき書いたスーパー銭湯に補助金が多少あったとしてもあまり結論は変わらないというものですが、私が思うのは銭湯とスーパー銭湯を同じ土俵に立たせるべきではないか?という考え方のためです。
多くの補助金の貰える銭湯について、先ほどの記事では"今、新規開業を届け出たとしても、補助金・助成金対象となる「銭湯」としては認可されない"としていました。まさに既得権益です。
こういったもろもろの話を見ていくと、どうしても住民のための税金の使い道とは思えません。
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