2010/6/1:
●高い収益力を持つエーワン精密は「適正価格」を守ってきただけ
●不況のときこそ値下げしない!エーワン精密は逆転の経営で成功
●値下げしても無駄!東大教授が指摘する「モノが売れなくなった理由」
●高い収益力を持つエーワン精密は「適正価格」を守ってきただけ
2010/6/1:エーワン精密というのは、工作機械の小型自動旋盤に取り付ける「コレットチャック」や「カム」という金属部品の製造・販売の会社。聞いたことのない企業ですが、実は日本を代表する企業をはるかに上回る収益力を持つ企業だとされていました。
会社の規模は「町工場」ということで、大企業・大工場といったことではありません。ただ、中身が良いんですね。売上高経常利益率が平均41.5%、創業以来37年間一度も35%を下回ったことがないとのことです。
では、なぜエーワン精密がこのような高利益率を達成できているのか?という話。これは、常に「適正価格」を守ってきたからだとされていました。一見なんてことのないように思えるような理由の説明で、肩透かしを食らった感じです。
●不況のときこそ値下げしない!エーワン精密は逆転の経営で成功
具体的には、「エーワン精密さんから1万6000円で仕入れている製品を、ある業者は8000円で売ると言っているんだが」といったので値引きを断るみたいですね。実際、こういうことはよく言われるものの、創業者の梅原勝彦相談役は「どうぞ、その業者から買ってください」と答えてきたとのことです。
こう聞くと、簡単そうに思うかもしれませんが、なかなか真似できないことでしょう。そう言われると、値引きに応じたくなります。また、値引きに応じなかった場合、不況になったときなどは売上高が減ってしまうようです。それでも「不況時には『注文を取る』より『価格を守る』ことの方が大事」と考え、「仕事欲しさの値引き」はしなかったのがエーワン精密の特徴でした。
また、梅原相談役の口癖は「売り値には不況時の『しのぎ代』を折り込んでおけ」で、利益は繰り返しやってくる不況の波を乗り切るために必要不可欠な命綱でもあるとも考えているとのこと。
このようにした結果、他社に顧客が流れることはあるようですが、その顧客がまた舞い戻ってくるのを見るたびに、梅原相談役はこの「適正価格」の原則の正しさを実感しているようです。
(以上、
日本電産が「脱帽」した最強の中小企業がある エーワン精密の秘密(その1) 日経ビジネスオンライン 2009年1月22日より)
●値下げしても無駄!東大教授が指摘する「モノが売れなくなった理由」
独白 企業腐食編<4> 値下げ合戦なんて消費者をだましてる(2009年5月14日、東京新聞)で出ていた、東大大学院経済学研究科の吉川洋教授が、不況について次のように分析していました。
国内でモノが売れないのは、景気が悪いことに加え、消費者ニーズが飽和して天井に達したからだと見ています。そもそもニーズが飽和しているのですから、値下げしたからと言ってあまり売れるわけではないと考えられます。
ただ、日本全体でみたとき、国内の需要が飽和したのだとしても、やりようがあります。それは、海外の消費者ニーズを掘り起こせば良いというものでした。そこで海外に向かっていったわけですが、リーマン破綻後は、海外への輸出も立ちゆかなくなったという状況だそうです。
ではどうすればいいのか。それは、新たな需要を開花させることだとしていました。時代に先駆けて新しいことをやる、イノベーション(技術革新)だとのこと。新たな産業を作り、雇用につなげれば、人々も安心して財布のひもがゆるみ、好循環が消費につながっていくとされていました。
私も消費者としては商品の値下げはありがたく感じるのですが、企業としては単純な値下げよりもより魅力ある商品を作り続けることに力を注ぐ方が大事なのかもしれませんね。エーワン精密の記事は、
エーワン精密 必勝のバランスに続きますが、今日はここで終わりにします。
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