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理研と国に利用された小保方晴子 予算獲得・女性活用推進の道具


 理研の責任関連の投稿を一部まとめました。

★ 2014/3/16   STAP細胞論文は小保方晴子個人の問題にして良いのか?理研の責任は?
★ 2014/3/18   理研と国に利用された小保方晴子 予算獲得・女性活用推進の道具
★ 2014/3/20   小保方晴子雲隠れ…ではなく、理研が隠してる?説明がないことに批判
★ 2014/3/21   理研に学者らから批判続出 STAP細胞は本当にできた?捏造では?
★2014/4/1 小保方晴子激怒 単独で捏造・改ざん不正との理研報告書に反論
★2014/4/2 理研調査委員会、中間報告での実験ノート提出済み発言は嘘だった
★2014/4/4 STAP細胞論文での理研記者会見 組織や野依良治理事長の責任は?
★2014/4/10 小保方晴子会見「200回成功」「再現した人がいるが名前は出せない」
★2014/4/1 STAP論文最終報告で捏造改竄不正認定 理研は特定法人指定に必死?
★2014/4/6 野依良治理事長悲願の理研特定法人指定、先送り 文科省も不満な理由
★2014/4/22 特定法人化に必死な野依良治理研理事長と文科省 調査期間も短すぎた
★2014/6/20 野依良治理研理事長、小保方晴子懲戒解雇に反対?実験参加のため
★2014/9/2 理研、特定国立研究開発法人見送り・初の予算減額要求も一時的なものか?


★ 2014/3/16   STAP細胞論文は小保方晴子個人の問題にして良いのか?理研の責任は?

 過去の会見に関する投稿にいただいたメールがおもしろかったので、ご紹介。

 私が「ネットでは野依良治理化学研究所(理研)理事長や竹市雅俊・発生・再生科学総合研究(CDB)センター長に対して好意的な声が結構多く、私の印象と大きく違う」といったことを書いたため、好意的な声はなぜ出ているのか?といったことを推測してくださっています。
私は、会見をすべて見ていたわけではありませんが(最初と最後のそれぞれ1時間程度)、非常に意外な方向に展開していると思いました。

調査委員会は、小保方さんに「ねつ造の能力はなかった」と考えているようです。あまりにも能力が低すぎて、意図的なねつ造を行うことはできなかった。ということです。今回調査された点については、「論文としては何の得にもならないような部分で、改ざんが行われている。むしろ行わないほうがよかった。」という発言がありました。つまり、小保方さんは論文に対して、明確な意図をもって改ざんする能力がそもそもなかった、ということです。

コンピューターで自動作成した論文を投稿するという事件が過去にあったそうですが、小保方さんはこのコンピューターのように、適当に改ざんした、ということです。小保方さんは、残念ながらコンピューター並みと、判断されてしまったようです。ある意味、「ねつ造した」と判断されるより、きつい判定と思います。

 "ある意味、「ねつ造した」と判断されるより、きつい判定"には笑ってしまいました。ただ、実際会見では結構ひどいことをおっしゃっていたようです。
では誰が不正にねつ造したのか?

トンデモな人が、UFOは実在する、とか、盗用と創作だらけのトンデモ論文を書いたとします。それを、私(研究者)が面白がって、査読を通るように書き直して、共著で投稿したら通ってしまった。私はねつ造したのでしょうか? 科学者の倫理としてはアウトと思いますが、ねつ造とは違うベクトルの話です。「ねつ造」や「不正」なのか、という議論では捉えきれない方向での、倫理的問題を起こしたことになります。

ソーカル事件はねつ造とは違った問題と捉えられていると記憶しています。「盗用や改ざん」が、「不正やねつ造」とは違うベクトルで行われた、というのが、調査委員の見解と思います。

 ソーカル事件はうちでもやりたいのですが、時間なくてできていません。簡単に言うと、デタラメ論文で雑誌の編集者のチェック能力のなさを確かめた実験です。ソーカル事件ではないですが、類似の実験(メールの方が触れたコンピュータ論文など)については科学雑誌掲載の論文はデタラメだらけ 偽論文を査読は見破れないで複数紹介しています。
共著者の倫理観と責任は今後問われると思いますが、今回の中間発表ではそこまで踏み込めないでしょう。

私は、理研は逃げの会見を行うと思って見ていましたが、正直に話されていたと思います。これらが竹市さんの好印象につながっていると思います。

 なるほどなと思います。ただ、私の性格が悪いのかな? まんまと騙されてしまっているんじゃないかな?という気もしました。

 以下、別にメールを下さった方を責めるわけではないのですが、私が理研の会見内容に感心できなかった点についてです。


◇小保方晴子さんの改ざん能力を含めた「未熟さ」について

 会見では小保方晴子さんの能力の低さについて、確かに強調されていました。しかし、そうなるとなぜそのような能力の低い人を雇ったのか?しかも、研究ユニットリーダーという重要な位置につけたのか?という疑問が残ります。
STAP細胞:理化学研究所の会見一問一答 2014年03月14日

 Q 小保方さんは未熟と言うが、そういう人がなぜユニットリーダーになったのか。

 竹市 私たちの研究室のヘッドとなる人は公募だ。書類審査と、どんな研究をし、今後何をしようとしているかのプレゼンで決める。STAPにインパクトを感じて採用したが、過去の調査が不十分だったことを非常に強く反省している。
http://mainichi.jp/feature/news/20140314mog00m040006000c.html

 私はコネで入れたんじゃないかと思っていましたが、さすがにそうは言えませんね。しかし、審査をして…でも採用や任命に問題があったという事実は全く変わりありません。


◇コンピューターで作ったようなレベルのデタラメ改ざんについて

 これは結局、なぜそのデタラメを見抜けなかったの?という話ですね。理研に責任があります。
 Q 論文発表の際のチェック態勢は。

 川合 理研では所属長の許可を得て投稿する。科学者なので隅々までチェックするかどうかはケース・バイ・ケースだ。著者として参加している者は内容について責任をもつことが倫理的だ。今回は不注意としては多い。理研としては、全員に徹底した教育をしたい。

 Q そもそも今回の論文、世に出る前に不自然な点がないか調査できなかったのか。

 川合 科学論文は出版社との間でオープンになるまでは事実は外に漏らさないという契約がある。どれだけの人が検証するかだが、普通は共著者全員が確認するもの。ただ、今回それがなされていたかどうかは言い切れない。

 チェック体制に不備があったとして、誰も責任を取らないでいいのか?ということになります。しかし、責任を時代のせいにしちゃう野依理事長。
STAP論文:「切り張りダメとは…」小保方さん謝罪 毎日新聞 2014年03月15日 08時20分(最終更新 03月15日 12時45分)

「似たようなことが起こっているのであれば、時代のなせる業、カルチャーが変わったなと非常に心配している」。ノーベル賞受賞者として研究の厳しさを知る野依理事長は険しい表情で述べた。【一條優太、斎藤有香、奥山智己】
http://mainichi.jp/select/news/20140315k0000m040154000c.html

 まるで不正がはびこっていることを知らなかったのような口ぶりです。それはそれで知識不足であり、研究機関の長としての器でないということになるのですが、本当は野依良治理事長もこのことをよくご存知でした。

 これも今度取り上げますが、野依理事長は昨年不正の多さを問題視する記事を投稿されているんですよね。しかも、ミスとは言えない不正が多い、データ不正だけでなく引用隠し・表現の剽窃などもあると分析するものであり、STAP細胞論文で出た疑惑を網羅しています。その癖してさも知らないことのようにすっとぼけるとは、大した役者っぷりです。
(STAP問題渦中の野依良治理研理事長、1年前は論文捏造不正を批判していた)

19:00追記:竹市センター長に関しての記事を追加。
STAP論文:神戸の理研センター長「取り下げやむなし」
毎日新聞 2014年03月13日 15時00分(最終更新 03月13日 17時24分)

 (引用者注:竹市センター長は)00年の同センター設立からセンター長を務め、12年に小保方さんを研究ユニットリーダーに採用する際、研究内容を聞いている。先月上旬、毎日新聞の取材に「データに疑う余地はなかった。聞いた瞬間から信用した」と話していた。【斎藤広子】
http://mainichi.jp/select/news/20140313k0000e040201000c.html

 採用とチェック両方に関わっていらしたんですね。


◇ソーカル事件との対比についてなど
トンデモな人が、(中略)トンデモ論文を書いたとします。それを、私(研究者)が面白がって、査読を通るように書き直して、共著で投稿したら通ってしまった。私はねつ造したのでしょうか? 科学者の倫理としてはアウトと思いますが、ねつ造とは違うベクトルの話です。「ねつ造」や「不正」なのか、という議論では捉えきれない方向での、倫理的問題を起こしたことになります。

ソーカル事件はねつ造とは違った問題と捉えられていると記憶しています。「盗用や改ざん」が、「不正やねつ造」とは違うベクトルで行われた、というのが、調査委員の見解と思います。

 これは申し訳ないですが、ちょっと比較としては不適当でしょう。メールをくださった方がおっしゃる通り、「科学者の倫理としてはアウト」である時点で問題です。捏造じゃなかったと言えたとしても、捏造より著しく軽い悪質性か?と言うと極めて怪しいです。

 ソーカル事件などは編集・査読体制の批判などが主眼です。一方のSTAP細胞論文はそのような意図がないどころか、実績作り・研究費獲得の道具とされました。広報担当者が誇大広告だったことを認めるようなプレスリリースを、理研としても理研CDBとしても出しているのです。この意味でも野依良治・理事長、竹市雅俊理研CDBセンター長には責任があります。

 なお、私はこうした筋道の上ではお二人にも責任があるものの、今回の件は少々気の毒な面があると思っていました。しかし、疑惑発生後の対応の遅さ、重要な調査委員の人選の悪さというのは、個人の問題ではなく組織としての問題です。今回の会見での受け答えなんかも、私としてはむしろ印象が悪くなるものでした。
(私は映像を見ていないため、反省した態度であったかどうかは知りません。ただし、最も評価すべきなのは、態度ではなく発言内容や問題発覚後にどのような行動を取ったかなどの実際の言動でしょう)

 特に証拠隠滅対策をある時期まで行っていなかったなどの調査の様子を聞くと、本気で調査する気がなかったとしか思えません。これは小保方晴子さんの責任ではありません。理研としての問題です。


◇小保方晴子さん個人に問題があったと強調している点について

 小保方晴子さんに問題があると強調していた点をメールくださった方は真摯な態度と捉えていてたようですが、私にはむしろ罪を個人になすりつけて組織としての罪から逃れようとしていると感じました。

 この点で一点だけ違和感があったのは、「このような研究者に研究を続ける資格があるのか。理研はサポートするのか」の質問に野依理事長が「徹底的に教育し直さないといけない」と処分をしないと感じさせる発言をしていたことです。

 しかし、ツイッターの実況では抜けていてわからなかったものの、「処分とは関係ないが」と最初に断っていたようです。ですので、個人の問題にするという方向性の障害にはならない発言でした。
(3/18追記:これツイッターが抜けていたのではなく、明言していないけど文脈上そうなので記事では補足したという話も聞きました)

 ただ、よくよく考えてみると、一部で疑われている組織的な隠蔽がある場合、解雇などの処分を行ってしまうこともリスクがあります。その場合には「教育し直す」と言いつつ、雇用を継続して囲っておくという選択肢もあり得そうです。


 以上です。

 メールくださった方は「理研は逃げの会見を行うと思って見ていましたが、正直に話されていた」とおっしゃっていました。しかし、私にはむしろ「逃げの会見」と言うにふさわしかったように思えます。


(3/17追記:同じ方がメールでお返事くださいました。最後だけ。

"会見内容については、(私の見た範囲で)次の点で評価しています。

・4時間もの会見を行い、野依理事長自らが出席したこと。
・小保方氏の人事の不適切さを認めたこと。
・当初の理研の強気の姿勢について、過ちを認めたこと。(川合理事は、記者の質問に対し「間違っていたと言ってもいいですか?(この言葉は正確に記憶していないですが、同等の意味のこと)」と小声で他の理事に確認し(マイクが拾っています)、言葉を選んで、「楽観的過ぎた」と答えた。)
・竹市センター長が、自らの責任に触れ、処分も覚悟していると発言したこと。

もはや笹井氏、小保方氏だけの問題では済まされず、理研の組織に問題があることを認めた、と私は受け取っています。トカゲのしっぽ切りで終わるということはなさそうだ、と感じました。

これらのことから、最終報告において、公正な報告がなされるものと期待しています。この期待が裏切られれば、ショックですが、待ちたいと思っています"

 箇条書きの後半2つはちらっと見たので気になっていました。竹市センター長は採用と論文チェックに関わっており当然とは思いますが、責任を感じられていたというのは好感します。ただ、竹市センター長は年齢的にどちらにせよ退任間近だったという噂もあります。笹井副センター長昇格予定は会見で否定していましたが、笹井さんの失態でむしろ任期は伸びたかもしれません。
 一方、その前の野依さんの逸話は、結論ありきの調査姿勢で証拠隠滅の機会を与えたことが、野依理事長主導だったのでは?と推測される根拠となっており、良い話とも受け取りづらいです。
 "最終報告において、公正な報告がなされるものと期待"は私もそうあってほしいとは思います。ついでに言うと、徹底した再発防止策は当然として、責任者らの辞職などによる体制刷新や減給などの処分も行うべきです。お二人は問題ある報告が出た場合には辞職くらい言って、覚悟を見せていても良かったと思います)


★ 2014/3/18   理研と国に利用された小保方晴子 予算獲得・女性活用推進の道具

 STAP細胞論文に疑惑が持ち上がったときに、「高給取りで身分安泰のマスコミと違って安月給で必死に頑張ってんだぞ。お前らがとやかく言って良いものじゃない」みたいな全然本筋と関係ない不思議な擁護を見かけました。

 確かに一般的に言って、研究の世界は極めてブラックであり、待遇に関するところは多少正しいと思います。近年でも自殺者を出すほどであり、この点は良いことだとは言えません。

 しかし、小保方晴子さんの所属する理研は日本の研究機関としては、かなり特殊です。主に研究資金の観点からではありますが、過去には「科学者たちの楽園」とも呼ばれていました。

 現在でも東スポ記事ですが、以下のように書いていました。
論文騒動の裏に“理研の利権争い”? | 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社 2014年03月16日 16時00分

元理研職員いわく「周りを見渡せば、東大や京大出身ばかり。小保方さんクラスなら年収約800万円ほどで、75%の家賃補助も出る。あと、私がいた当時、食堂のそばやうどんは75円でした(笑い)。至れり尽くせりです」。
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/245127/

 ただ、理研内にも競争がある…と元理研職員は続けます。

「小保方さんのいる神戸研究所は格が一つ落ちる印象。成果を上げないと研究予算が削られることもあるので、功を焦ったのかもしれない」

 また、ずさんな理由が通ってしまった理由として、この焦りがあったとしています。

「論文を発表する際、社内で何回も会議を行うが、今回はいつになくスピーディーだったと聞いている。神戸研究所全体で『本社にばかりいい格好はさせない』という気持ちがあったのかも」(内部関係者)

 それにしたって、ひどいですけどね。理研は会見で内容的にはかなりの部分を、笹井芳樹理研CDB副センター長という大御所が書いたとしますから、解せない話でもあります。

 とりあえず、こうなってしまってとても怒っているのが、理研の野依良治理事長だと書いていました。
 それが理研全体の名誉を著しく傷つける結果になっては元も子もない。「何でこうなったんだ!?」と激怒したのは、ほかでもない野依理事長で、この日の会見でも小保方さんを「未熟な研究者」と言い放った。

「本社の職員も、理研全体の問題とは認識しつつも、今回の神戸研究所には不満を持っています。あの野依理事長に頭を下げさせたのですから。芸能界で言えば、ジャニーズ事務所の人気タレントの後ろで踊っているジュニアの不祥事に、ジャニー喜多川社長が謝罪するようなものですよ」とは前出の元理研職員。

 STAP細胞の真偽が最終的に「クロ」となれば、野依理事長の責任も問われかねない。理研は2015年4月に新設される特定国立研究開発法人の候補になっているが、それにも影響を及ぼす可能性が高い。

 こういった「野依理事長は被害者」というスタンスは、東スポだけでなく多くの新聞紙がとっています。しかし、同時投稿のSTAP問題渦中の野依良治理研理事長、1年前は論文捏造不正を批判していたなどで書いたように、野依理事長は不正が多発していることを知りながら、後手後手に回る対応を取りました。そのせいで被害者ではなく当事者になってしまいました。

 また、これ以外にも小保方晴子さんの責任ではなく、理研の責任にしてしまった理由があります。実際には完全に制限しきれていないものの、理研が言動を制限したいと考えていること、小保方晴子さんに説明責任を果たす機会を与えていないことというのもその一つです。(私の想定以上に海外からは小保方晴子さんが出てこないことへの批判が強いようです)

 「研究者は独立している、企業といっしょにする奴は馬鹿」という理研擁護があり、私もその主張はわからなくはないのですが、それは単に研究者の世界が社会的常識に欠けているというものですし、上記の露出の制限は主張と矛盾するものです。

 そして、本当ならこれも大きい理由だろうなと感じたのが、東スポが書いたような「成果主義」は、他ならぬ野依理事長が推進してきたというものです。
(個人的には不正が成果重視のせいというのは単純に過ぎると思いますが、野依理事長被害者説に基いています)
激震・STAP細胞:/中 予算獲得に勇み足 理研、ヒロイン作り上げ
毎日新聞 2014年03月16日 東京朝刊

 理研は03年、ノーベル化学賞受賞者の野依良治氏が理事長に就任した際、運営方針「野依イニシアチブ」を発表。最初の項目に「見える理研」を挙げた。一般社会での理研の存在感を高めるという意味だ。限られた科学技術予算を全国の研究機関が奪い合う中、「目立つ成果」は必須だ。理研経験者は言う。「理研は、組織として得か損かを基準に動く。膨大な予算獲得につながる成果と考えたのではないか」【須田桃子、斎藤有香】
http://mainichi.jp/shimen/news/20140316ddm002040054000c.html

 作られた小保方晴子像 壁紙も割烹着も宣伝用の演出で、広報らと考案の件や誇大広告的なプレスリリースは、研究資金獲得のためではないか?と想像していましたが、実際にここまで書いている記事は初めてですね。毎日新聞は以下のように続けます。
 実際、文科省は発表前からSTAP細胞論文の情報を把握し、下村博文文科相に説明していた。「今どんな政策ができるかすぐにあげてくれ」と下村文科相から命じられ、STAP細胞関連の研究費の検討が始まった。「予算獲得のチャンスだと思った」と、ある文科省幹部は明かす。そして1月30日、大々的に報道され、社会では再生医療の進展や「リケジョ(理系女子)」への注目が高まり、下村文科相は翌31日、STAP細胞研究への財政支援を表明した。「演出」ともとられる発表が、理研や文科省の「思惑通り」に世の中を動かし始めた。

 国ぐるみっていう可能性も考えていましたが、本当に話が出てきました。この前書いたように、過密スケジュールの安倍晋三首相が会うなんてのもよっぽどな出来事だと思います。政府は女性活用推進を最近の謳い文句にしていますし、"文科省も「ヒロインとして期待して」(文科省幹部)"いたようです。また、安倍政権に近い産経新聞が誤報と言って良い再現成功を伝えるなど、提灯記事っぽいのを書いていたのにも胡散臭さを感じさせました。

 ただ、安倍晋三首相の面会の件などは誤算だったかもしれません。誇大広告的な宣伝や割烹着や壁紙などの女子力、リケジョの強調は予定通りでしたが、あまりにも成功しすぎて予期せぬほど注目を浴びてしまいました。

 "ある再生医療研究者は「理研はやりすぎた。従来、科学研究は淡々と発表するものだ」と指摘"しています。宣伝が成功したせいであっという間にボロが出ました。
 CDBの研究者22人が14日、理研のホームページに「科学の公正性を回復、担保するあらゆる努力を払う」との声明を発表した。その一人は「今後、相当影響があると思う」と不安を口にする。CDBは今年、世界初のiPS細胞を使った臨床研究に取り組む。14日の会見で、理研幹部は「(今回の騒動の)影響はない」と話したが、CDBによると論文の疑惑が浮上後、中止になった視察も出ている。

 私は小保方晴子さん自身に問題があったのは間違いないと言いつつ、彼女だけの責任にしてはいけないとも書いていました。彼女は一面においては被害者です。若き女性研究ユニットリーダーの道具や予算獲得の道具として、小保方晴子さんは理研や国に利用されていたのです。


★ 2014/3/20   小保方晴子雲隠れ…ではなく、理研が隠してる?説明がないことに批判

 理研の記者会見では小保方晴子さん個人の能力の問題といった感じで、小保方さんに罪をなすりつける印象がありました。ただ、この問題はもはや小保方晴子さん個人の問題ではなく、理研という組織の問題となっています。

 その理由はいくつもありますが、筆頭著者である小保方晴子さん自らが今回の件について語らず、理研が隠しているような格好になっているためというのが一つです。

 もちろん理研は小保方晴子隠しを行っているとは言いません。勝手に雲隠れしているだけで自由だというのが建前です。
【小保方氏問題 理研4時間会見詳報】 (2)「科学者としては非常に未熟」小保方氏をバッサリ 産経新聞

 《14日、米紙ウォールストリート・ジャーナルの取材に対し、盗用が指摘されている博士論文について、「学位審査をパスした(最終的な)ものではなく下書き」と反論した小保方氏。記者からは、これまでの沈黙を破った小保方氏の現在の心境について質問が出た》

 記者「小保方さんは、もしかしたら発言したいのではないか。この行動についてはどう考えているか」

 川合真紀理事「本人の発言の自由を妨げることはできません」
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140314/scn14031422180016-n1.htm

 小保方さん自身がそういう精神状態ではないというのもあるでしょう。
自宅引きこもり状態の小保方氏 研究仲間が食料運んで手助け 2014.03.19 16:00 ※女性セブン2014年4月3日号

 3月14日に開かれた理研の会見でも、彼女の近況について質問が相次いだが、「(理研のある)神戸にいるはずだが、研究所には来ていない。相当、心身を消耗した状態だ」とだけ発表され、詳細は明かされなかった。

 小保方氏の自宅マンションは職場である理研から電車で20分ほどの場所にある神戸市・三宮駅近くにある。彼女はここで、一歩も外へ出ず、引きこもりの生活を続けていた。
http://www.news-postseven.com/archives/20140319_246918.html

 ただ、川合真紀理事は前述の発言に続けて、「調査を公平に行うために、これに関することは今はお答えしないでいただければな、という思いはあります」と本音を漏らしています。

 産経新聞も" 《「最終報告まではコメントは控えてほしい」。理研の、そんな本音が透けてみえる答えだった》"と注釈をつけていました。

 さらに東スポも以下のような解釈です。(なお、タイトルの「24時間監視下」は、研究員が常時張り付いて自殺しないように見守っているという話です)
疑惑の小保方氏「24時間監視下」に | 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社

 精神状態の不安定さを示すように14日、米紙「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」に対し、小保方氏は理研に許可を取らずにメールを送っていたことも判明。WSJによると、小保方氏は早稲田大学に提出した博士論文の無断引用疑惑について「現在、マスコミに流れている博士論文は審査に合格したものではなく下書き段階のものが製本され残ってしまっている」とメールで回答したという。

 会見で小保方氏の独断を知った川合真紀理事(研究担当)は「発言の自由を妨げることはできないが、調査中ということもあり、今はお答えしないでいただきたい」と不快感を表明。理研が入手している博士論文は「早稲田から直接入手しているので正本です。調査委員会も正本でやっています」(同理事)と、下書きという主張に首をかしげた。理研に無断で個人の見解を語ったことでも小保方氏の錯乱ぶりがわかる。
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/245124/

 建前としては「自由」ということになっていますが、外部と連絡を取らないように暗にプレッシャーをかけている印象は受ける発言でした。

 また、14日の会見の前にはこういったツイートもありました。
Tsuyoshi Miyakawa ‏@tsuyomiyakawa 宮川剛 博士(心理学)
今回の件では残念なことがたくさんあります。その中でも最大のもののうちの一つが理研が責任著者に緘口令をだしてしまっていること。この段階で小保方さんのみならず笹井副センター長すらからも公式な説明がないのは大問題。理研のガバナンスのあり方がかなりまずいです。@RIKEN_JP
18:23 - 2014年3月12日
https://twitter.com/tsuyomiyakawa/status/443920184881840128

 これは根拠ある情報なのかな?とちょっと怪しみましたが、笹井副センター長が全然発言していないというのも確かに不思議です。笹井副センター長は論文、組織どちらに対しても責任が大きいです。

 あまり憶測を書くとあれなものの、理研が最終的に出す調査結果のシナリオと笹井副センター長や小保方晴子さんの発言が食い違うと困るので、下手に喋らせたくないのかな?という勘ぐりもしてしまいます。
(正確には調査委員会が出す調査結果なのですが、これが理研メンバー中心で独立しているように思えないのです)

 なお、同じ方が以下のようなツイートをしています。
責任著者がコメントを出すのを差し止める一方で再現実験を継続させる、というのも全く理解にくるしむところです。コメントを出すのを差し止めるくらいの強い措置をとるのであれば、研究もストップしローデータや実験ノートの保全などに力を注ぐべきであったのではないでしょうか。@RIKEN_JP
18:24 - 2014年3月12日
https://twitter.com/tsuyomiyakawa/status/443920497097469952

 会見前には小保方晴子さんが再現実験に参加しているというニュースがちらほらあったばかりか、再現に成功したという怪しい記事まで出ていました。

 これは何度か書いているように、研究室には来ていないという記者会見の報告と異なります。証拠隠滅機会の関係で気になるんですが、マスコミがツッコミませんね。誤報だったんでしょうか?


 理研の小保方晴子隠しについてに戻りますが、実は記者会見ではもう一つ関連する発言がありました。
(4)完 聴取時の小保方氏「心身ともに消耗した状態」 2014.3.15 00:02 (1/4ページ) 産経新聞

 《小保方(おぼかた)晴子研究ユニットリーダーらの会見がいまだに開かれていないことに対し、不満を持っているのか、記者はさらに追及を続けた》

 記者「どなたが決定したのか。はっきりしてください」

 川合真紀理事「調査結果を出すことを優先して、今そういう判断をしています。一方で本人たちが話したいということも理解していますので、(論文執筆メンバーが)外に出ても問題ないというように判断すれば、そういうような手続きをとります」
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140315/scn14031500040000-n1.htm


 やはり「個人としては自由」というところは崩していないのかもしれませんけど、理研としては「本人たちが話す場は用意しない」という意志がはっきりあることがわかりました。

 私は調査が終わるまではそれでもいいとは思っていました。ただ、理研が研究者らの発言機会をコントロールしようとすることで、研究者らの問題ではなく理研の問題ということに拡大しています。

 また、どうも専門家らは私と違ってこの状況が理解できないようです。前述のツイートも学者のものでしたが、STAP細胞捏造疑惑、海外の反応「なぜ小保方晴子は説明しない?」で紹介したように、海外の研究者に説明を求める声が大きく驚きました。

 おそらく海外では本人が出てきてきちんと説明するのが当たり前であるとともに、発言しない=批判を認めるという認識もあるのだと思われます。ですので、なぜ出てきた上で反論して身の潔白を主張しないのか?と疑問に思われているのでしょう。

 会見より前の時期でしたが、こういうツイートもありました。
TJO ‏@TJO_datasci
このアメリカ人のSTAP細胞騒動にかこつけた日本人叩きのコメントをNature編集部が承認したという事実が既にヤバい。日本人はマニュアル人間で怠惰で責任も取りたがらない上に自分のアタマで考えない云々。抗議が必要なレベル。 http://blogs.nature.com/news/2014/03/call-for-acid-bath-stem-cell-paper-to-be-retracted.html …
19:06 - 2014年3月12日
https://twitter.com/TJO_datasci/status/443931101455593472

 理研の対応には私もイライラしていますので、個人的にはそう思われるのも無理はないんじゃないかと感じますが、それはともかく理研だけでなく、日本のイメージまで悪くされてしまっては堪りません。

 これ以上イメージを下げないように、理研には誠意ある対応をお願いしたいです。


★ 2014/3/21   理研に学者らから批判続出 STAP細胞は本当にできた?捏造では?

 先週14日に行われた理研(理化学研究所)の中間報告については、ネットやマスコミの一部では主に「不正に怒る野依良治理研理事長」みたいな感じでなかなか良い反応もありました。私はこれが小保方晴子さん一人に罪を負わせる形になるのでは?と不安に思っていました。

 ただ、時間が経ってくると「やっぱりいかんかったのかも」と思ったのか、専門家サイドの厳しい意見も載せるようになってきています。特に学術団体のトップの意見はマスコミに報じられやすいですので、追及続行の流れを作るには良さそうです。

 以下は、現役の学術団体の現役トップではない方に、マスコミがコメントを取りに行った例です。
「小保方氏個人の問題だけではない」 教育の重要性指摘 2014年3月16日13時03分 朝日新聞

 日本学術会議会長や、東京電力福島第一原発の国会事故調査委員会委員長を務めた黒川清・政策研究大学院大学教授は「日本の研究者は、次の世代の研究者をトレーニングすることの重要性をどこまで自覚しているのか心配になる。欧米では、どんな大学院生を育てあげたかで、教員の評価が決まる。小保方さんをスケープゴートに仕立てて終わってはいけない」と語る。
http://www.asahi.com/articles/ASG3H5JXMG3HULBJ002.html

 小保方晴子さん一人を生け贄にしちゃいかん!という、理想通りのコメントです。

 さらに朝日新聞では、前科学技術振興機構理事長の北沢宏一・東京都市大学長にもコメントを求めていました。

「一般的に学生は、教授がこうだと言うと、それに沿ったデータを出したがる。いいデータを早く出したいと思う気持ちがある。今回はその典型ではないか」

 これと同様の趣旨のものを以前引用しましたが、上の人が下の人に暗に不正を求める場合があるんですよね。今回も若い小保方晴子さんが一番大事な筆頭著者になっています。この場合責任を取らされるのは空気を読んだ下の人、上の人は手を汚していないので安泰…というわけです。

 理研のケースもそうだと決めつけるわけではないですし、朝日新聞の方は大学院教育の話であるものの、一般にそういった例が見られるというのは調べているとよく出てきますので、注意しておかなくてはいけません。


 それから、マスコミが必ず報道してくれるために心強いのが、日本分子生物学会の声明です。既に一度声明を出していたのですが、会見直前に異例の二度目の声明を出していました。
分子生物学会、STAP論文「単純ミスである可能性は遥かに超えている」と声明 | マイナビニュース  [2014/03/11]

日本分子生物学会は3月11日、理化学研究所が発表したSTAP細胞の論文に不自然な画像や記述がある問題に対し、理事長の大隅典子氏の声明を発表した。

声明では「今回の論文等に関しては、データ自体に多くの瑕疵(かし)が有り、その結論が科学的事実に基づき、十分に担保されているものとは言えない」とコメントし、「多くの作為的な改変は、単純なミスである可能性を遙かに超えており、多くの科学者の疑念を招いている」と強く批判した。

同学会は「Nature論文2報に関する生データの全面的な開示および同論文への適切な対応(掲載撤回、再投稿などを含む)」、「公正性が疑われるような事態を招いた原因に対する詳細な検証と報告」の2点を求めている。
http://news.mynavi.jp/news/2014/03/11/428/

 しかし、理研の中間報告は一部の人を除いて、たいへん残念な内容でした。そのため、大隅典子理事長は「個人としての見解」と断った上で、さらに苦言を呈しています。
理研中間報告「肝心な部分が謎」…大隅教授不満

 【ワシントン=中島達雄】STAP細胞の論文への対応を理化学研究所に求めてきた日本分子生物学会理事長の大隅典子・東北大教授は14日、「理研の中間報告は画像流用など肝心な部分の謎が解明されておらず、非常に残念。調査委員会の委員長が理研内部の人なのも不思議」などと、読売新聞の取材に述べた。
(2014年3月16日09時13分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140315-OYT1T00990.htm?from=y10

 内部の人が調査に加わっているどころか、調査委員長であることは、私はしつこく文句を言っていました。過去に内部調査で大失敗している例があり、間違ったことは言っていないと思ったものの、他ではあまり言われていなかったのでちょっとホッとしました。

 それから、新たに日本学術会議が理研包囲網に加わりました。
STAP検証で要望「調査委員長は理研外部に」

 科学者の代表機関である日本学術会議の大西隆会長は19日、「STAP(スタップ)細胞」の論文問題に関する理化学研究所の調査委員会について、中立性を保つため委員長を外部に依頼するよう求める談話を発表した。(中略)

 談話は、

〈1〉早期解明に向け、調査の日程を明示
〈2〉調査委員の職や立場を明かし、委員長を外部に依頼
〈3〉STAP細胞作製の真偽検証
〈4〉論文作成、発表における理研の管理体制を検証

――の4点を求めた。
(2014年3月19日21時37分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140319-OYT1T00858.htm

 ただ、日本学術会議の大西隆会長も問題のある方です。2ちゃんねるで言及されているのを見るまで気づきませんしたが、「あぁ、あなたか…」とがっくり。今年の初めにうちでも以下のものを書いていました。

  ■研究不正対策提言の大西隆学術会議会長、論文数1000件と水増しか

 この研究不正対策提言ってのはノバルティス者のディオバンの問題についてです。不正対策について提言している方も、論文水増しというポピュラーな不正を行っていたんですね。本当この世界はどうしようもありません。

 あと、ディオバン問題を非難している厚生労働省が、J-ADNI臨床研究という別の問題で出た不正の内部告発を握りつぶそうとしていたというこれまた「お前が言うな」があります。めちゃくちゃですわ。


 暗澹たる気持ちになってきましたが、日本学術会議はかなり大事なことを言っています。日本分子生物学会の大隅典子理事長と同じく「委員長を外部に」と触れています。また、「理研の管理体制を検証」というのも、もはや個人の問題ではなく理研自体の問題だと指摘するものです。

 それから、「STAP細胞作製の真偽検証」というのもかなりツッコんでいます。これは2ちゃんねるで、「これから再現実験を行ってSTAP細胞を作るという意味ではない、理研はわざと議論をすり替えている」と指摘されていました。

 日本学術会議が調査を求めているのは、「発表に至る前にSTAP細胞は本当にできたのか?捏造では?」といった過去の問題だというのです。

 ただ、上記の記事からは未来の話か過去の話か読み取れませんでしたので、検索して確かめます。
日本学術会議会長「STAP細胞の有無解明が必要」 2014.3.20 05:02 SANSPO.COM(サンスポ)

 日本学術会議の大西隆会長は19日、「理化学研究所はSTAP細胞が作製できたのかという核心を解明することが必要」との談話を発表した。
http://www.sanspo.com/geino/news/20140320/sot14032003340005-n1.html

 過去形ですね。まさに核心部分です。

 記事ではさらに"小保方氏が早大に提出した博士論文についても「きちんとした調査を」と早大に促した"とも書かれていました。

 大西隆会長はご自身の件であれですが、重要な点をズバズバと指摘して本当大活躍です。この談話が理研や早稲田大に効いてくれるといいのですけど…。




★2014/4/1 小保方晴子激怒 単独で捏造・改ざん不正との理研報告書に反論

 STAP論文最終報告で捏造改竄不正認定 理研は特定法人指定に必死?を見るとわかるように、理研の調査委員会による最終報告書では、小保方晴子さん単独での不正と読み取れる内容でした。関係の最も深い笹井芳樹副センター長についてすら、大きな問題を認めたものとはなっていません。

 報道でも以下のように伝えており、報告書の内容からすれば妥当だと感じます。
STAP細胞:理研「研究不正は小保方氏単独で」
毎日新聞 2014年04月01日 11時21分(最終更新 04月01日 12時18分)

 新たな万能細胞「STAP細胞」の作製成功を発表した英科学誌ネイチャーの論文に多数の疑問点が指摘されている問題で、理化学研究所の調査委員会(委員長、石井俊輔・理研上席研究員)は1日午前、東京都内で会見を開き、研究を主導した小保方晴子・研究ユニットリーダーが「捏造(ねつぞう)にあたる研究不正行為を行ったと判断した」との最終調査報告を発表した。不正は小保方氏単独で行ったとしている。
http://mainichi.jp/select/news/20140401k0000e040205000c.html

 これは中間報告の内容からすると予想できたものであり、小保方晴子さんに罪をなすりつけるスケープゴートになるのでは?トカゲのしっぽ切りになるのでは?といった危惧の声が一部では上がっていました。

 読み飛ばしていた記事で今まで紹介していなかったものの、以下のような記事も出ていました。
時事ドットコム:STAP論文「なぜ」を問わずに組織防衛に走る「理研」 - Foresightコンテンツ-新潮社ニュースマガジン 塩谷 喜雄 科学ジャーナリスト

 会見に同席した野依良治理事長は、論文には重大な過誤があると述べ、川合真紀・研究担当理事は、科学者の常道を逸脱していると指摘し、竹市雅俊・発生・再生科学総合研究センター(CDB)長は、重大な倫理上の問題があるので著者らに論文撤回を勧めたと明かした。理研幹部は一様に、不正という表現を使うことなく、容疑は「真っ黒」だと盛んに「ほのめかした」のである。

 これを、日本を代表する高等研究所らしい口頭を使った高等戦術というのだろうか。それにしては、論文の筆頭著者である若い女性研究者を「未熟」と決めつけるなど、個人への非難はかなり直截で、“高踏”とは言い難い。

 研究不正と公式に認めれば、組織としての理研も責任を厳しく問われる。一方、功を焦った1人の若い研究者の前のめりの「暴走」というストーリーを、それとなく世間に広げれば、組織への責任追及は甘くなる。理研幹部の結論先送りと「ほのめかし」に、そんなイヤーな構図を見て取るのは、考え過ぎだろうか。
http://www.jiji.com/jc/foresight?p=foresight_12701

 今回は「不正」を認めたものの、小保方晴子さん個人を攻撃する内容は中間報告を継承しています。

 この小保方晴子さんの処遇を決めるには、かなり時間を要するようです。まあ、仕方ないですかね、これは。
STAP細胞:小保方さん処分は1カ月後 理研
毎日新聞 2014年04月01日 12時16分(最終更新 04月01日 12時24分)

 調査委の最終報告では、小保方さんら論文著者らの処分については言及を避けた。理研の「科学研究上の不正行為への基本的対応方針」(2005年)によると、研究不正が認定された場合、懲戒委員会を経たうえでの不正認定を受けた研究者の処分▽研究費使用の禁止▽研究費の返還−−などの対応が取られる可能性がある。処分については、対象者の弁明を聞く機会などを設定するため、懲戒委の結論が出るまで1カ月程度はかかるという。
http://mainichi.jp/select/news/20140401k0000e040215000c.html

 一方、捏造・改ざんという研究不正を認定された小保方晴子さんはお怒りのご様子。
時事ドットコム:STAP論文、不正認定=「捏造」小保方氏は反論-理研調査委が最終報告

 小保方氏は代理人弁護士を通じ、「驚きと憤りの気持ちでいっぱい。このままではSTAP細胞の発見自体が捏造と誤解されかねず、容認できない」とのコメントを発表。理研に不服を申し立てる考えを示した。(2014/04/01-13:09)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014040100056

 「憤りの気持ちでいっぱい」という言葉を選んでいることから、「激怒」と言ってよいでしょう。徹底抗戦の構えに見えます。

 理研としては、おもしろくない反応でしょう。不正を小保方さん個人の問題としてすんなり片付けてしまうのが困難になるためです。私は小保方晴子雲隠れ…ではなく、理研が隠してる?説明がないことに批判などで、理研は小保方さんに発言させたくないのでは?と書いていたのは、こういう理由です。

 毎日新聞ではもう少し、長いコメントを紹介していました。
STAP細胞:小保方さん「不正認定2点、承服できない」
毎日新聞 2014年04月01日 11時43分(最終更新 04月01日 11時58分)

小保方晴子・研究ユニットリーダーは1日、「驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。研究不正と認定された2点については、理化学研究所の規定で研究不正の対象外となる悪意のない間違いであるにもかかわらず、改ざん、捏造(ねつぞう)と決めつけられたことはとても承服できません。近日中に理研に不服申し立てをします。このままでは、あたかもSTAP細胞の発見自体が捏造であると誤解されかねず、到底容認できません」とコメントした。
http://mainichi.jp/select/news/20140401k0000e040208000c.html

 やはり揉めそうですね。

 以下の朝日新聞が載せているのが、おそらくコメントの全文です。

小保方さん「最終報告、承服できない」 不服申し立てへ:朝日新聞デジタル 2014年4月1日12時20分
http://www.asahi.com/articles/ASG413W60G41PTIL00S.html

 他にない部分としては、改ざんおよび捏造とされた画像への細かな反論です。興味ある方だけどうぞ。
 画像を合成し「改ざん」と認定されたレーン3の挿入について

 Figure 1iから得られる結果は、元データをそのまま掲載した場合に得られる結果と何も変わりません。そもそも、改ざんをするメリットは何もなく、改ざんの意図を持って、Figure 1iを作成する必要は全くありませんでした。見やすい写真を示したいという考えからFigure 1iを掲載したにすぎません。


 「捏造(ねつぞう)」と認定された画像の取り違えについて

 私は、論文1に掲載した画像が、酸処理による実験で得られた真正な画像であると認識して掲載したもので、単純なミスであり、不正の目的も悪意もありませんでした。

 また、中間報告で竹市雅俊CDBセンター長が本人がネイチャー論文の撤回に同意していると説明していたことは、間違いもしくはミスリードだった可能性があります。小保方さん自身は以下のようなコメントです。
上記2点を含め、論文中の不適切な記載と画像については、すでにすべて訂正を行い、平成26年3月9日、執筆者全員から、ネイチャーに対して訂正論文を提出しています。

 ここらへんも理研が小保方さんにはなるべく喋らせたくなかった理由だろうなという内容です。理研には事前チェック以上に、事後対応の悪さをいろいろな面で感じています。


 

★2014/4/2 理研調査委員会、中間報告での実験ノート提出済み発言は嘘だった

 小保方晴子さんらのSTAP細胞論文での理研の調査委員会最終報告記者会見について。調査委員会というか、石井俊輔委員長(独立行政法人理化学研究所 石井分子遺伝学研究室 上席研究員)が全く信頼できないなと思ったのが実験ノートの件です。
【STAP細胞最終報告会見詳報(3)完】「論文全体の調査不可能」「150日でまかなえない」+(1/6ページ) - MSN産経ニュース  2014.4.1 17:26 (1/6ページ)
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140401/scn14040117380008-n1.htm

 《STAP細胞の最終報告会見で調査委員会と記者側の質疑応答が続けられている。記者の関心は、調査委の行った調査に不備はなかったかという点に集まる。ノートや研究データ、パソコンなどについて、どのように提出を求め、実際に何が確認できたのか厳しい質問が投げかけられる》

 記者「実験ノートの提出を受けたのはいつか」

 眞貝洋一委員(引用者注:独立行政法人理化学研究所 眞貝細胞記憶研究室 主任研究員)「3月19日です。いくつかの件に関しては小保方(晴子ユニットリーダー)さんにお願いをしていましたが、ノートをこちらに提出いただいたのは3月19日です

 ところが、14日の中間報告での記者会見では石井俊輔委員長がこう言っていました。
STAP細胞:理化学研究所の会見一問一答 2014年03月14日 毎日新聞

 Q 継続になっているのは不正の疑いが強いから継続なのか。捏造(ねつぞう)はあったのか。

 石井 (小保方さんの博士論文記載の画像と同じとみられる)画像の取り違えについて(故意ではなくミスだとする)虚偽説明があるかどうかということだが、データを集めて客観的にヒアリングをしないと判定できない。既に実験ノート、作成日のデータがある画像が提出されている。これまでで完全に捏造というものはない。
http://mainichi.jp/feature/news/20140314mog00m040006000c.html

 もうこの時点で調査委員会の話なんか信用できませんわ。

(4/3追記:竹市センター長は否定していたという話も。

"野尻美保子(平常モード) ‏@Mihoko_Nojiri
ああでも「実験ノートの存在は確認できてない」といってたよね、竹市さんが。RT @JuuichiJigen: 理研調査委員会、中間報告での実験ノート提出済み発言は嘘だった (千日ブログ)http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-4904.html …
15:37 - 2014年4月2日"
https://twitter.com/Mihoko_Nojiri/status/451488511632228353

 気になったので確認。記者会見の一問一答は産経新聞もやっていて両方とも全文コピーしておいたのですが、産経にはノートのやりとりは一切なし。上記の発言は毎日新聞でこちらをもう一度確認したら、前述のもの以外にももう一つ言っていました。
" Q 小保方さんの3回のヒアリングは、どんな表情で、変化はあったか。
 石井 1回目は非常にクールに対応してもらった。ある程度緊張しながらも冷静に答えられたと思う。相当たくさんの資料提供を求めた。ノート、コピー、資料写真をそろえてもらったので、3回目はお疲れの様子だった"
 竹市センター長のノート発言はどちらにも記載ありませんでしたが、石井委員長と認識が食い違っていたのかも。本来センター長ではなく、調査委員会が知っていなくてはならない情報ですのでおかしいですけどね)


 もう一つ、何言っているの?と思った話がこちら。
 記者「(引用者注:調査項目は)なぜ6つなのか」

 渡部委員(引用者注:渡部惇委員 渡部法律事務所 弁護士)「そのあたりの科学的な事柄については答えられません。当然のことながら調査期間をどこまで延ばすかということも関わってきます。おおよそ150日と規定されていました。その期間内でおおよそのめどでやるということ、どういう項目でやるかということもあります。全ての論点について疑義があるかどうかを全部調べるとなると、150日ではまかないきれないのかなと思っています」

 えっ、いや、150日というと5ヶ月程度なんですが…。まだ、全然5ヶ月経っていませんよね。

 第一報がこちらでしたから、おそらく1ヶ月半程度、45日くらいです。
STAP細胞:「不自然な画像」指摘受け理研が論文を調査 毎日新聞 2014年02月15日 04時30分

 新しい万能細胞「STAP細胞(刺激惹起=じゃっき=性多能性獲得細胞)」を作ったと発表した小保方晴子・理化学研究所研究ユニットリーダーら日米の研究チームの論文について、インターネット上で「不自然な画像データが使われている」と指摘があり、理研広報室は14日、外部の専門家も加えて調査を始めたと明らかにした。理研は「研究成果そのものに問題はないと考えている」と説明する。【須田桃子】
http://mainichi.jp/select/news/20140215k0000m040163000c.html

 150日近く調査した上でこれ以上は無理でしたというならともかく、45日間やった最終報告で「150日だとここまでです」と言われても全く意味がわかりません。

 渡部委員は「全ての論点について疑義があるかどうかを全部調べるとなると」としていますから、話をすり替えています。「6点以上は調査できないのか?」を「全部調査する」と勝手に置き換えて、自分で作った質問に自分で答えた形です。詭弁の一種ですね。

 この点は下書き終えた後に、不服申立て期間を含めて150日間かな?とも考えました。しかし、以下のような報道もありました。
STAP細胞:小保方さん処分は1カ月後 理研
毎日新聞 2014年04月01日 12時16分(最終更新 04月01日 12時24分)

理研の「科学研究上の不正行為への基本的対応方針」(2005年)によると、研究不正が認定された場合、懲戒委員会を経たうえでの不正認定を受けた研究者の処分▽研究費使用の禁止▽研究費の返還−−などの対応が取られる可能性がある。処分については、対象者の弁明を聞く機会などを設定するため、懲戒委の結論が出るまで1カ月程度はかかるという。
http://mainichi.jp/select/news/20140401k0000e040215000c.html

 理研は弁明を聞く機会などを1ヶ月と見込んでいます。足しても75日程度で150日間の半分くらいにしかなりません。やはり言い訳できません。


 これ以外の話も一応見ていきますけど、そういう調査委員会だってことはお忘れなく。

 今回は冒頭で話の出た実験ノートについて。
【STAP最終報告会見詳報(2)】細胞は存在するのか?「われわれの範疇ではない」 募るいら立ち+(1/4ページ) - MSN産経ニュース 2014.4.1 15:00 (1/4ページ)

 記者「2冊の実験ノートにはどのような記載があったか」

 石井委員長「内容に詳しいものはなく、断片的なものなので、テラトーマのスライドと付き合わせて実験することはできない。日付も単発的だが、そのような実験が行われていたことは推測できた。また、われわれから見たら断片的な情報だとしても、研究した本人が見れば、そこからいろいろと思い出して実験を再現できるものかもしれない」
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140401/scn14040115030007-n1.htm

 他でも書きましたけど、これでは全く証拠になりません。証拠を出せない科学は科学ではなく、捏造を疑われて証明できないのですから、本来ならこれでダメって判断するものです。

 それなのに石井さんは以下のようなわけのわからないことを言っていました。
 記者「調査の中で、研究を証拠づけるだけのもの、物的証拠などはあったか」

 石井委員長「科学的なことについては、まだまだ検証が必要な段階です。短期間では網羅できないので調査委員会はポイントを絞って、不正行為があったかどうかについて調べました」

 《記者の関心は否が応にもSTAP細胞が本当に存在するのか、という核心に向けられる。なんとか答えを引きだそうとする記者に対し、調査委は「調査が必要」「われわれの範疇(はんちゅう)ではない」を繰り返す。双方ともにいらだちが募る》

 科学的な主張は主張する側に証明の義務があり、否定する側にはその義務はありません。否定する側に証明を求めるのは、俗に言う悪魔の証明であり、STAP細胞がないことを証明することはそもそも不可能に近いです。

 たとえ本当にSTAP細胞ができていたとしても、存在を証明する証拠を十分に残していなかった時点で本来は終わりだと思いますけどね。もうほとんど疑似科学(ニセ科学)の世界になっています。

 実験ノートについてはもう一つありました。
【STAP細胞最終報告会見詳報(3)完】「論文全体の調査不可能」「150日でまかなえない」+(1/6ページ) - MSN産経ニュース  2014.4.1 17:26 (1/6ページ)

 記者「2冊しかないと言われると、ノートは破棄したのではないか」

 眞貝委員「出していただいたノートは2冊ということで、本当に全て2冊だけしかなかったかどうかは完全には把握していません」
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140401/scn14040117380008-n1.htm

 繰り返すように破棄していた時点で、実験の正当性は証明できません。終わりです。

(4/3追記:珍しく2ちゃんねるから100PVくらいのまとまったアクセスあったので見に行ったら(うちはほとんど2chからのアクセスはないので100でも多いです)、
"そのサイト読んだ。サイト主は『小保方擁護ありき』の立場の人間。公平性、客観性に著しく欠け、内容もひどく頭が悪い。 はい、解散 "
と書かれていて笑いました。擁護どころか、証拠ないならそれで終わりって書いているのに…。引用なしでアクセスしないと内容がわからない形でしたので、たぶんよほど読まれたくなかったのかと。こういうのもあるんですね)


 下書きを書いた後に読んだツイートでこういうのも。
TJO ‏@TJO_datasci
STAP事件調査の実験ノート関係続報「2年間でたったの2冊のみ」「日付の記載なし」「3月13日のロックアウト&3月14日の中間報告より後の3月19日に提出」これは提出された実験ノートには証拠能力がない+証拠隠滅の疑いがあると見るのが妥当では。警察だったらそう見るでしょ。
19:57 - 2014年3月31日
https://twitter.com/TJO_datasci/status/450829252066148352

 こういった言い訳が通るのであれば、間違いなく捏造があったという実験ですらまかり通ります。他の投稿で触れたように過去にも記録なしでOKという甘々な話があった(ただ、それは相当古い実験だったかも)のですけど、それを認めてきたというのも不正が頻発している原因です。こういった悪習は断ち切らなくてはいけません。


★2014/4/4 STAP細胞論文での理研記者会見 組織や野依良治理事長の責任は?

 調査委員会での記者会見だけで時間がかかりました(理研STAP会見が理解不能中間報告での実験ノート提出済み発言は嘘だった)が、理研幹部の方の一問一答の方もやっと読みました。(2)の方は取り上げたい話はなかったですけど、リンクだけ。

STAP細胞:「論文は不完全」理研幹部の一問一答(1)
毎日新聞 2014年04月01日 20時13分(最終更新 04月01日 20時51分)
http://mainichi.jp/select/news/20140402k0000m040051000c.html
STAP細胞:「論文は不完全」理研幹部の一問一答(2)
毎日新聞 2014年04月01日 20時35分(最終更新 04月01日 22時20分)
http://mainichi.jp/select/news/20140402k0000m040065000c.html

 出席者は以下の通りなのですが、"回答者の氏名が分からない場合は「A」と表記してい"るそうです。そして、この「A」が多いです。映像ではなく、音声だけで記録していたのかもしれません。

 野依良治理事長▽川合真紀理事(研究担当)▽米倉実理事(コンプライアンス担当)▽竹市雅俊・発生・再生科学総合研究センター長▽石井俊輔・研究論文の疑義に関する調査委員会委員長


 理研調査委員会、中間報告での実験ノート提出済み発言は嘘だったで書いたように結局第三者が見てわかるようなものがなかったようですから、もう「STAP細胞を証明する十分な証拠はない」と言って良いと思います。

 それでも、気になったのは以下の辺り。
 Q 論文で書かれたことが本当に行われていたのかどうか。キメラマウスの元になった細胞が本当にSTAP細胞だったのか。受精卵の意図的な紛れ込みなど、理研が主体となって検証することは、事実の確認として重要だと思うが?

 竹市 過去にさかのぼって調べることは調査委員会がやっているように、やれないことはないし、私が述べた声明文にもあるが、センターそのものになぜこの問題が起きたのかを検証したいと思っている、失われてしまった材料では検証はできないことが想像される。あいまいな結論を出すよりは、STAP細胞があるのか、検証した方が早い。近道であると思う。

 これは論理のすり替えだと思います。これからできるSTAP細胞というのは新たなSTAP細胞であり、小保方晴子さんらがSTAP細胞を作製していたという証拠にはなりません。

 煮え切らない理研の説明には「科学的には捏造と断定できない」「科学的にはSTAP細胞がなかったと断言できない」という趣旨の擁護がありましたが、捏造とはいえなくても「STAP細胞を証明する十分な証拠は見つからなかった」とは言えます。やはり論理のすり替えです。

 新たな主張をする側が証明するというのが科学であり、捏造の証拠を求めるというのは科学的ではないです。小保方晴子さんが作製したという証拠を出せなかったのであれば、「STAP細胞を証明する十分な証拠はなかった」と結論づけるより他ないでしょう。

 もちろん捏造を決定づける証拠があればそれでも良いわけで、質問にあったような調査が可能ならやるべきです。

 離れたところでのやりとりでしたが、似た系統の質問ですかね、以下は? だとすれば、竹市センター長より前向きな回答であり、こちらの方がより望ましいものです。
 Q ES細胞混入などSTAP現象の根幹は早急に調べ得るのか。

 川合 指摘がどれほど確度あるかを調べる。竹市先生の研究と併せ最終的には報告できると思う。


 2ちゃんねるで不満が上がっていたのは科学的な質問以外のものが多かったせいでしょうが、こういうのも。
 Q 結果としてはリスク管理として謝罪が必要では?

 野依 科学的に検証がされるべきで、機関の所属長が謝罪する必要はないと思うが。研究そのものについては著者が全責任を持つものだ。

 これはひどい回答で笑いました。非常に野依理事長の性格の出た発言とも言えそうです。

 以前も書いていますけど、プレスリリースを出すといった成果では組織が利益を得ているのに、問題が起きたときだけ著者の責任ってのはないですわ。直後にそのプレスリリースについて突っ込まれています。
 Q 問題はない? 当初の発表について、iPS細胞よりも優れているという内容の会見は?

 A 当初の発表は広報の誇張があったと思う。

 しかも、理研CDBが発表内容を撤回したのときに、理研本体は撤回しませんでしたからね。そりゃ責任あるでしょう。

 あと、最初の質問の「リスク管理」というのがわかりづらかったのですが、これも話のすり替えで回答していませんか? 「リスク管理」という言葉から想像するに、不正がないかの事前チェックのことでしょう。そういえば、次のような話もありました。
Q ノートの記録のずさんな状態。データ管理は個人に任されていたのか。特許のバックアップ体制は。

 川合 個人が管理しているのは理研のルールと違う。機関で管理するのが理研のルール。当然そういう運営がされていると思っていたが、徹底されていなかった。再発防止のところで、機関保管であることを徹底したい。

 こういったところにも組織として責任があるんですが、そういう意識がないというがそもそも組織として「未熟」ですね。

 「機関の所属長が謝罪する必要はないと思うが。研究そのものについては著者が全責任を持つものだ」は野依理事長の言葉ですから、野依理事長だけの問題でしょうか? 野依理事長は中間報告のとき小保方晴子さんを「未熟だ」と言って叩いていましたが、野依理事長も組織の長として「未熟だ」と感じます。

 また、「機関」としては私は事後対応が最もマズかったと思います。厳格な事前チェックを求めるのが現状では高望みというのは多少わからないでもないですし、起きてしまったことはこれ以上どうしようもありませんでした。

 しかし、事後対応が後手後手に回ったことは全く言い訳できません。他が悪くてもここで挽回することができたのに、理研は真摯な対応をせず、調査する前から「研究成果そのものに問題はないと考えている」などと結論ありきの姿勢を見せていました。

 具体的な対応の悪さとしては、たとえば、中間報告でも気になった証拠保全があります。
 Q 今回疑義が上がり、すぐに研究室を封鎖しなかった。そのことが全容解明に影響を与えないか?

 川合 予備調査の段階、調査初期の段階は非常に協力的だった。それで調査できるとの判断だった。PCを出すときには依頼を出しているが、それ以外は非常に協力的だった。13日以降は研究室の者は出ていて、鍵は事業所で管理していた。

 やはりこれは失敗です。そして、研究者個人ではなく、組織としての責任です。


 以下の2つ目は誰が答えたんでしょうね?
 Q 意図的な不正があったと、その動機を直接小保方さんには。

 川合 直接は聞いていない。

 Q 単純に見て、意図的なら名声を高めたかったのでは。

 A 私も長いこと研究をしているが、新しい発見は非常に喜ばしい。ただ、新しい発見か確認することが研究者の責務。意図的に、そんなことで論文は通らないので、私には理解できない。

 「私には理解できない」は意図的な不正を行う人がいることを言っているのか、「名声を高めたかった」限定で言っているのか? この言い方からすると前者だと思われますが、こういった理解は問題です。野依理事長に聞いて今どれだけ不正が多いかを教わった方がいいです。(参考:STAP問題渦中の野依良治理研理事長、1年前は論文捏造不正を批判していた)

 うーん、しかし、研究機関の幹部が不正の実態を知らないってのはひどいですね。やはりその地位にはふさわしくないと言わざるを得ないです。

 というか、同じ記者会見でこの質問より前にこういう話もありました。聞いていなかったのでしょうか?
 Q 生命科学で撤回された論文の4割が詐欺的論文だと。

 野依 研究不正が行われる背景というのはたくさんある。研究費の獲得競争が非常に激しいのも一つ。若手が職を得るのも厳しい。インパクトファクターの高いところに投稿した人が評価されることもある。今回のことがそうかは分からないが、その思いはいろいろあるかと思う。

 「そんなことで論文は通らない」ってことはなく、雑誌掲載まではバンバン行くのです。

 あと、野依理事長の「研究費の獲得競争が非常に激しいのも一つ」発言ですが、理研の野依良治理事長、過去に3300万申告漏れ 脱税で追徴課税にで出てきたように、研究費の獲得競争を重視したのは他ならぬ野依理事長だと報道されています。

 どうしても責任逃れ的な様子が全体に感じられたのですが、最初は一応こういう話をしていました。
 Q 野依理事長の責任は?

 野依 理研で起こったことだから厳粛に受け止めている。責任者として管理運営に責任を感じている。場合によっては、しかるべき段階で対処しなければならない。現在、私がなすべきことは高い規範を再生させること。これを全うしたい。

 あれ? というか、ここだと"管理運営に責任を感じている"って言っていたんですね。「リスク管理」のところでは、記者が「謝罪が必要では?」なんて嫌らしい言い方をしていたので、プライドが高いであろう野依理事長はカチンと来たのかもしれません。

 野依理事長の過去の言動を見ていくと、後の方の応対の方がイメージ通りで、建前ではない本音が現れたのかなと感じます。研究不正に対する今回の対応は、雑誌に投稿した不正批判の内容からすれば詐欺みたいなもので、本音と建前の差でしょう。でも、最初の言葉通りに組織を再生してくださることを期待しています。

(個人的な願望ですが、高い規範の再生よりシステム的な整備を優先すべきとは思います。工場などの安全管理の話を何度かしていますが、人が理想通りに動くことを前提としたシステムは欠陥システムです。今回の場合だと不正を行う人が必ずいるということを前提として、不正を防止するシステムを作る必要があります。倫理教育ももちろんやるべきです。しかし、より優先すべきはシステム的な問題でしょう。高い規範の再生には時間を擁するという理由もあります)


★2014/4/10 小保方晴子会見「200回成功」「再現した人がいるが名前は出せない」

 小保方晴子さんの記者会見。正論であっても個人相手には書きづらいんだよなぁと思っていて、どうするか決めていませんでした。

 で、「そろそろ記事出ているかな?」と検索かけて、最初に出てきた記事タイトルを見て笑いました。
小保方氏、STAP細胞「200回以上作製に成功」 2014/4/9 14:03 日経新聞

 理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーは9日午後、STAP細胞の論文問題に関する記者会見で、新型万能細胞「STAP細胞」について「200回以上、作製に成功している」と述べた。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL090OT_Z00C14A4000000/

 大きく出ましたね、200回か! ダメだ、笑いすぎて腹痛いです。しばらく笑いが止まりませんでした。これは想像できませんわ。…それだけ成功しているのに、何で出せる証拠がないのでしょう?

 私はこの200回にはあまりこだわらなかったのですが、以下のような指摘は多かったです。
Ken ITO 伊東 乾 ‏@itokenstein
折からのきな臭い世情とあわせ、メディア・ファッショの危機感を覚える。一回一週間程度掛かるというSTAPの実験を200回以上成功させるというのは、ぶっ続けでやっても4年掛かる話だが、まだ着任してそんなに時間はたっておらずどうなっているか?という疑義を拝読。何一つ信用できない再確認。
0:29 - 2014年4月9日
https://twitter.com/itokenstein/status/453796901604048896

 1つが終わるまで待っている必要はないので、理論的には可能です。ここのツイートでも似たような会話が。しかし、本気で信じているわけではありません。
Yagurt Tomoaky ‏@Tomoaky88
@itokenstein 工程が1週間なのであって、並行しての作業は可能なのでは? 但し200回以上という言葉の信憑性は曖昧ですね。

Ken ITO 伊東 乾 ‏@itokenstein
@Tomoaky88 そんなに複数並行してラインが走るような実験か? ということが もうひとつのポイントでしょう。 この能力の人が さらに人使って複数でやってた?・・・

もにか姐さん ‏@Rockhopper55
@Tomoaky88 @itokenstein 横から失礼します。平行して作業しようがしまいが、結果として出てきたものが記録されたもの、すなわち研究ノートが200回以上のもの実験結果を2,3冊程度の冊子に収めることは不可能だと思われます。

Yagurt Tomoaky ‏@Tomoaky88
@itokenstein ユニットリーダーという職位では可能でしょう。 但し、理研自体が再現実験に成功していない以上、虚言の可能性は大きいとは言えます。

 STAP細胞の懐疑点 PART250 覗いてみると、会見のまとめはこんな感じみたいですね。

ノートは出せねえ
コツも出せねえ
成功者も出せねえ
マウスも出せねえ
保存してある細胞も出せねえ
1000枚ある写真も出せねえ
でも、STAP細胞はある

 あれもこれも無くって「オラ、こんな村いやだぁ~」の「俺ら東京さ行ぐだ」みたいということで、「吉幾三乙」と言われていました。

 でも、この後読めばわかるように「ノートは出せる」と言っていますし、上記には「出せない」と明言されていないものも含まれていると思います。「成功者も出せねえ」は最後に載せています。(20時追記)


 会見の様子ですが、珍しいところが一問一答を載せていました。神戸新聞NEXTです。たぶん地元神戸の理研CDBということで、注目しているんでしょう。

神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(1)「STAP細胞は真実」
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849414.shtml
神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(2)
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849465.shtml
神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(3)
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849486.shtml
神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(4)「まとめるなかで取り違えてしまった」
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849485.shtml
神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(5)「自己流でやってしまい反省している」
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849544.shtml
神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(6)「200回以上作成に成功」
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849543.shtml
神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(7)「実験ノートはもっと存在する」
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849559.shtml
神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(8)「ゼロからではなくマイナス100から」
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849558.shtml
神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(9)「論文撤回は正しい行為ではない」
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849570.shtml
神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(10)「予想外の報道、恐ろしかった」
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849581.shtml

 気になったところを。一問一答以外の部分はあんまりまじめに読んでも仕方ないと思ったのですが、弁護士さんの説明で一つわからないところが。
神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(2)
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849465.shtml

弁護士 最後のポイントだが、ここで問題となった画像。論文掲載の画像は、学位論文の画像を切り貼りしたはずという推論をもとに判断されている。それが前提になっているようだ。こちらで確認したら、学位論文の画像を切り貼りしたのでなく、パワーポイントのものを切り貼りしたものだ。理研としては、学位論文の画像と、文字の色や画像と文字の位置関係が異なるという点を指摘している。これを根拠に学位論文を切り貼りしていると言っている。

 そこはこだわるところなんでしょうか? どちらにせよ大間違いなんですから、意味なくないです? …ああ、この話続きがありましたわ。
神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(3)
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849486.shtml

 弁護士 ここで述べたいのは、間違って載った画像が何由来かということを十分に分かって掲載したわけではないということ。この画像の処理に関することが調査委の大きな根拠になっているわけだが、学位論文から持ってきたものでないということになると、調査委が言う捏造(ねつぞう)とする根拠は『重要な図だから間違わない』ということだけになる。

 うーん、そういう論法なの。詐欺師くさいですね。こんな主張したら、弁護士さんの経歴に傷がつきません?

 「画像が何由来かということを十分に分かって掲載したわけではない」ってのは、小保方晴子さんは馬鹿だからよくわからずに貼り付けたって話ですね。失礼だな…と思いますが、たぶんこの線で行くしかないのでしょう。理研が小保方晴子さん一人に罪を着せたのと同じ論法です。

 ただ、非常に重要な画像ですからね。自動車会社の新車のプレスリリースで、旧型の写真をどーんと貼って出すようなものです。普通間違わないでしょ?という話。

 あと、学位論文(博士論文)といえば、マスコミに出回っている学位論文が下書きだって言っていた件、どうなったんですかね? 急に思い出しました。あれは本当に下書きだったとか、下書き発言そのものがデマとか、小保方晴子さんの虚言だったとか、わかったんでしょうか?

神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(5)「自己流でやってしまい反省している」
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849544.shtml

 ‐ねつ造と言われたものについて、ご自身から申し出られた。学位論文と非常に似た画像であるという指摘に対し、立証できるようなものを含めて説明を。

 小保方氏 取り違えに気付いたのは2月18日と記憶している。気付いた段階でネイチャーと大学の…(沈黙)。すいません、少し考えを整理していいですか。載せたデータに間違いないか、すべてチェックした。生データがなかなか見つからなかった。古いデータまでさかのぼったら、気付いた。博士論文のデータを調べると、それにも載っていたので、早稲田大の先生に学位論文の投稿に用いるのが間違ったことでないと確認した。そして理研の上司に大変な間違いと報告した。間違ったのはネイチャー(引用者注:の論文?)だから、ということでネイチャーに問い合わせを出した。その後、調査委にも間違いを発見したと申し出た。投稿論文ではないので、調査委にそこまで報告する必要はないと判断した。

 この「理研の上司」って笹井芳樹副センター長ですよね。博士論文のデータだと笹井芳樹副センター長も承知していたのかどうか? この言い方だとちょっとわかりづらいですね。

神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(7)「実験ノートはもっと存在する」
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849559.shtml

 ‐若山さんがいうにはSTAP細胞作成のマウスは、DNAを調べると違う系統だった。それはなぜか。

 小保方氏 報道でしか見ていないが、論文に関係ない情報だ。

 納得の行く説明が難しそうなものですが、ノーコメント。

 ‐実験ノートは2冊だけだった。詳細なノートが存在するのか。

 小保方氏 はい、最終報告の中では3年で2冊となっているが、実際にはそんなことはなく、もっとノートは存在する。理研提出のノートが2冊だった。

 ‐それは求められればすぐに出せるのか。

 小保方氏 はい。

 これは理研調査委員会の最大の落ち度の一つですね。全部回収するべきでした。そもそも2冊のノートも回収のタイミングが遅すぎましたが、これだけ時間が経っちゃうと信頼性が極めて低いです。まあ、それでも公開してもらった方がいいですが…。

 ‐真剣に取り組んできたが、なぜこのようなことになってしまったか。いま生じている疑問は晴らせるか。

 小保方氏 私は学生のころから、いろんな研究室をわたり歩いてきた。研究の仕方が自己流でここまで走ってきてしまった点は、不勉強であり、私の未熟さで、情けなく思っている。今回の疑義に関しては、第三者的な観点からの証明を弁護士にお願いしているので、晴らせると信じている。

 記者もよくわからん質問しているなというもの。ただ、何度も言うように、科学的に証明義務があるのは主張をしている研究者です。第三者ではありません。今回はインパクトが大きいのであれですが、信頼できない論文なんか第三者は普通追試しません。第三者の再現実験が行われるのは論文が信頼できそうで、追試する価値がある内容の場合でしょう。

 ‐STAP細胞が確立すれば人類への貢献が大きいが、論文についてのマナーや誹謗(ひぼう)中傷が問題になっている。本来はSTAP細胞があるかどうかの問題を深めるべきだ。これについてどう思うか。理研が再現性を確認するが、この実験には小保方さんは入らないのか。

 小保方氏 研究を前に進めたいという強い思いから発表した。それにもかかわらず、私の不勉強、未熟さのせいで研究内容以外のところに注目が集まってしまい、どんどん研究が遅れていることが、本当に情けなく、支えてもらった方に申し訳なく思っている。再現実験に参加するかしないかは、理研から何の連絡も受けていない。どういう体制で再現実験が組まれるのかも分からない。未熟な私に、もし研究者の今後があるのなら、このSTAP細胞がだれかの役に立つ技術にまで発展させていくという思いを貫いて研究を続けていきたい。

 だから、この論文は再現性以前の問題なんですってば…。何か他にも「過去の話はどうでもいい、時間の無駄、未来の話を…」などと言っている人がいらっしゃいますが、論文の信頼性はその場合にむしろ重要です。

 今回の論文じゃないケースで考えてみてください。ある捏造論文があったときに、それを元にした研究をしても無駄だってのはわかりますよね? ですから、怪しいと思われる論文が正しいものかどうかをはっきりさせることは、全く無駄ではありません。

 そして、確かめる場合には証拠は絶対に要ります。たとえ本当にSTAP細胞作製に成功していたとしても、証拠がないと正真正銘の捏造との区別できません。科学的に区別できないものは、もうどうしようもないです。STAP細胞は何か疑似科学、思想信条、政治といった問題になってきています。

神戸新聞NEXT|医療ニュース|小保方氏会見(9)「論文撤回は正しい行為ではない」
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006849570.shtml

 ‐小保方さんは1月28日から、公の場に姿を現さなかった。研究集中のためというが、姿を現さなかったのはどういう理由か。どのような思いだったのか。

 小保方氏 この論文に関し、たくさんの疑義が上がる中で何度も私の口から説明させてほしいと言ってきたが、理研が、それは適切ではないという判断で、きょうまで発表できなかった。申し訳なかった。

 ‐説明したいという意思は伝えたか。

 小保方氏 はい、伝えた。

 これも小保方晴子さんを信じる必要性はないのですが、理研にはそれらしい態度が見えましたからね。理研の隠蔽工作の可能性はあります。かなり結論を出すのが早かったことから、理研は特定法人指定で頭がいっぱいなのでは?という感じもありました。


 冒頭でもひとつ出しましたが、今回はツイッターの検索で適当にコメントを見てみました。何かこれで笑いを取っている方が多いですね。
バナメイエビ ‏@banameiebi
小保方さんの会見の場所がバナメイエビを食品偽装した新阪急ホテルというのはレベルの高いジョークなんやろな。

#小保方さんを救うためのとんち
0:38 - 2014年4月9日
https://twitter.com/banameiebi/status/453799013611868160

所沢駅前で「STAP細胞は存在する! 小保方晴子氏の守護霊が激白」という看板を立てて冊子を配ってる人がいた。今日も所沢は平和です。 pic.twitter.com/5SuSMXAKpC
https://twitter.com/holy12blue/status/453793300516855808

小保方さん耳聞こえてるじゃん
21:42 - 2014年4月8日
https://twitter.com/myozurim/status/453754748173160448

 違う、違う、それ別の人だから!

 真面目なもので気になったのは以下。神戸新聞だと該当部がなかったかも。ただ、他紙では報じているところがありました。
畠山理仁 ‏@hatakezo
小保方晴子さんは第三者による再現実験を「できた人がいる」と記者会見で発言。しかし、カタセ記者から研究者の名前を聞かれると「公の場で個人名は出せない」と。出せば有力な情報になるのだから、事前にご本人に了承を求めてから記者会見に臨めばよかったのではないか。
0:17 - 2014年4月9日
https://twitter.com/hatakezo/status/453793813274714112

@hatakezo 「できた人がいる」っていうのであれば聞かれるのは少し考えればわかることなのに この方の話し方って細かな所にたくさんの曖昧さがあり疑問がわいてきますよね 普通に考えて、会見の前に打ち合わせはするものですし 結局、なにがしたかったのかよくわからない会見って感じです

 畠山理仁さんって自由報道協会で上杉隆さんを支えていたけど、途中で離脱したフリージャーナリストさんですよね。上杉隆さんもこれと似たような話あったなと思ったら以下でした。(上杉隆と毎日新聞記者斗ヶ沢秀俊との相互取材、文字起こしされるで使ったもの)
896 :文責・名無しさん[sage]投稿日:2013/06/15(土) 00:08:10.75 ID:MEGtBgxC0[1/1回(PC)]
斗ケ沢:いつ私が「被曝の安全」と書きましたか?
上杉:それは「被曝の安心」の間違いでした。お詫びします。
斗ケ沢:ではいつ私が「被曝の安心」と書きましたか?
上杉:それは今新たに出た質問なので資料を用意してない

おまえが言い出した事じゃねーかw
根拠なしのその場しのぎが見事に失敗w 

上杉隆76
http://www.logsoku.com/r/mass/1371031048/


 疑惑払拭には程遠い記者会見…という感じかと思いきや、多くの人にはこれが効果的だったようです。私は相変わらず映像もの見ないのであれですが、絵面的に同情を誘ったみたいですね。理研幹部の会見でもそういった効果が感じられましたので、おそらく若い女性なら効果は抜群でしょう。

 ここらへんは仕方ないことですが、少なくとも疑惑追求する人の足だけは引っ張らないようにお願いしたいです。

(会見効果については小保方晴子に同情・擁護が多いのは男性・女性?アンケートの結果でも書きました。私は見落としていましたが、たいへん巧妙だったようです)


★2014/4/1 STAP論文最終報告で捏造改竄不正認定 理研は特定法人指定に必死?

 最終報告はもっと遅らせるのかな?と思っていました。しかし、ここに来て慌ただしく最終報告。全く他意はないのかもしれませんが、何しろ以下のようなニュースのあった直後ですのでいらぬ憶測をしてしまいます。
理研優遇法案を先送り STAP問題で政府与党 2014年3月29日 02:00 沖縄タイムス

 政府、与党は28日、世界最高水準の研究を目指す「特定国立研究開発法人」(仮称)に理化学研究所を指定して優遇する新法案について、閣議決定を当初予定の4月中旬から先送りする方向で調整に入った。STAP細胞の論文問題をめぐる対応を見極める必要があると判断した。安倍政権が成長戦略の一環とする法案は、6月22日に会期末を迎える今国会中の成立が困難となった。

 自民党行政改革推進本部が27日の幹部会合で対応を協議。出席者からは「理研を特別扱いする政策に国民の理解が得られるのか」などの意見が相次ぎ、閣議決定の前提となる法案了承を当面見送ると確認した。(共同通信)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=65774

 以前書いた理研の野依良治理事長、過去に3300万申告漏れ 脱税で追徴課税に9割が税金の理研 報酬増要求の一方、高級家具カッシーナに1000万円の件もあって、理研は「特定国立研究開発法人」指定に必死なのかな?と思わせる行動です。まあ、考え過ぎかもしれませんけどね。

 そう言いつつもう一つ気になったのが、以下のニュース。
STAP論文最終報告書「踏み込んだ内容に」 理研:朝日新聞デジタル

 最終報告書には4項目についていずれも結論が盛り込まれる見通し。政府関係者は「踏み込んだ内容になる」と話した。(中略)

 理研広報室によると、小保方ユニットリーダーら論文の著者は出席する予定はないという。下村博文・文部科学相は3月20日の閣議後会見で、4月中旬までに最終報告をまとめるよう、理研に求める考えを示していた。
http://www.asahi.com/articles/ASG4101WVG30ULBJ02P.html?iref=comranking_realrank01

 "4月中旬までに最終報告をまとめるよう、理研に求める考えを示していた"というのは前述の通り、閣議決定時期と同じなため間に合わない、だから今出したのでは?という話です。

 私が気になったというのは前半部分、"政府関係者は「踏み込んだ内容になる」と話した"の方です。なぜか政府関係者が内容を知っているという点が気になりました。STAP細胞論文自体も発表前から文科省が把握しており、予算獲得に利用しようとするなど不自然な点が見られたため、嫌な感じがします。


 では、最終報告の内容について。
2014年4月1日

独立行政法人理化学研究所
研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査報告について

昨日3月31日に「研究論文の疑義に関する調査委員会」より最終報告書の提出があり、受理致しました。

研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)
研究論文の疑義に関する調査報告書(スライド)

http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140401_1/

 上記2つのリンクはどちらもPDFですが、このうちの1つ目を見ていきます。

 これ自体も納得できない人が多いそうですが、調査委員会が不正を認めたのは6点のうち2点です。1つは電気泳動についてです。
(1-2)論文1:Figure 1i の電気泳動像においてレーン3 が挿入されているように見える点。

調査結果

 小保方氏と笹井氏の連名により提出されたFigure 1i の元になったゲルの写真の電子ファイルと実験ノート類及び同図の作成経緯と方法の書面による説明、並びに両氏からの個別の聴取内容を精査した結果、Figure 1i の図は2 つのパルスフィールド電気泳動ゲルを撮影した2枚の写真に由来する加工画像であることを確認した。(中略)

評価(見解)

 論文に掲載された画像が、2枚の別々に電気泳動されたゲルの写真から作成された合成画像であることは、画像の詳細な解析から間違いない。この論文で重要な役割を持つFACS-Sorted Oct4-GFP 陽性細胞群2 つに由来するサンプルが泳動された2 つのレーンを含む複数のレーンの画像を、意図的に且つ軽微とは言いがたい約1.6 倍の倍率で縦方向に引き伸ばした画像に、ポジティブコントロールの役割を持つ1 つのレーンをコントラスト調整して配置することで合成している。加えて、当該1 レーンの貼り付け操作において、科学的な考察と手順を踏まないでT 細胞受容体遺伝子再構成バンドを目視で配置していることなどは、2枚の異なるゲルのデータをあたかも1枚のゲルで流したかのように錯覚させるだけでなく、データの誤った解釈を誘導する危険性を生じさせる行為である。

 (中略)研究者を錯覚させるだけでなく、データの誤った解釈へ誘導することを、直接の目的として行ったものではないとしても、そのような危険性について認識しながらなされた行為であると評価せざるを得ない。T 細胞受容体遺伝子再構成バンドを綺麗に見せる図を作成したいという目的性をもって行われたデータの加工であり、その手法が科学的な考察と手順を踏まないものであることは明白である。よって、改ざんに当たる研究不正と判断した。

 上記は「改ざんに当たる研究不正」。もう一つ、一番まずかった博士論文(報告書内では「学位論文」)からの流用画像も、当然不正と判断されています。こちらは「捏造に当たる研究不正」という言い方をしていますね。
(1-5)笹井、小保方両氏から、以下の修正すべき点が見つかったとの申し出を受け、この点についても調査した。論文1:Figure 2d, 2e において画像の取り違えがあった点。また、これらの画像が小保方氏の学位論文に掲載された画像と酷似する点。

調査結果

 2 月20 日に笹井氏と小保方氏より、修正すべき点についての申し出とこれに関する資料の提出を受けた。申し出の内容は、論文1の脾臓の造血系細胞から作製したSTAP 細胞からの分化細胞並びにテラトーマの免疫染色データ画像の一部(Figure 2d 下段中央の1枚とFigure 2e 下段の3枚)が、実際には骨髄の造血系細胞から作製したSTAP 細胞を用いた画像であること、正しい画像に訂正することを考えているという2点であり、提出された資料はこれらの画像のファイルであった。(中略)

 その後、論文1の画像は、小保方氏の早稲田大学における学位論文に掲載された画像と酷似することが判明した。上記の申し出の際、これらの図が小保方氏の学位論文に掲載されたデータから得られたものであるとの言及はなかった。笹井氏と小保方氏の両氏より、学位論文のデータは、学術雑誌への投稿論文に使用することが可能と理解していたため言及する必要はないと考えていたとの説明を受けた。(中略)

評価(見解)

 小保方氏が学位論文の画像に酷似するものを論文1に使用したものと判断した。データの管理が極めてずさんに行われていたことがうかがえ、由来の不確実なデータを科学的な検証と追跡ができない状態のまま投稿論文に使用した可能性もある。しかしながら、この2つの論文では実験条件が異なる。酸処理という極めて汎用性の高い方法を開発したという主張がこの論文1の中核的なメッセージであり、図の作成にあたり、この実験条件の違いを小保方氏が認識していなかったとは考えがたい。また、論文1の画像には、学位論文と似た配置の図から切り取った跡が見えることから、この明らかな実験条件の違いを認識せずに切り貼り操作を経て論文1の図を作成したとの小保方氏の説明に納得することは困難である。このデータはSTAP 細胞の多能性を示す極めて重要なデータであり、小保方氏によってなされた行為はデータの信頼性を根本から壊すものであり、その危険性を認識しながらなされたものであると言わざるを得ない。よって、捏造に当たる研究不正と判断した

 ここでもう1点ポイントとなるのは、笹井芳樹CDB副センター長が調査開始後に問題を把握していた点です。これは他の疑惑と異なります。しかし、報告書ではこの点を軽く済ませてしまっています。
 なお、上述のとおり、画像の取り違えに関する笹井氏らの当初の説明には、不十分なものがあった。このような行為は委員会の調査に支障をきたす恐れがあり、真摯な対応が求められるところである。

 調査委員会の性質としては深く問わないということなのかもしれませんが、捏造と判断されるような画像の重要な情報を隠ぺいする行為が"真摯な対応が求められるところである"で済ませる内容なのかどうか…。

 報告書では結局、結局笹井副センター長について、若山照彦山梨大学教授と同じ扱いにしています。
確かに、小保方氏以外の調査対象者について、研究不正は認められなかったが、若山、笹井両氏については、シニアの研究者でありながら、上述したとおり、データの正当性と正確性等について自ら確認することなく論文投稿に至っており、そのため、過失とは言え、研究不正という結果を招いたものであって、その立場や経験などからしても、その責任は重大であると考える。

 また、ずっと気になっていた実験ノートの記述もありました。確か中間報告では実験ノートを回収したと言っていた気がするものの、実験ノートがないのでは?という疑惑は以前から言われていました。
小保方氏の過激バッシング報道続々 文春「乱倫な研究室」新潮「捏造にリーチ!」 2014/3/19 17:54 J-CAST

同日発売の週刊新潮も刺激的だ。「捏造にリーチ!『小保方博士』は実験ノートもなかった!」と題した特集記事で、小保方氏の研究姿勢を問題視した。記事で紹介している理研関係者の話によれば、小保方氏は研究者にとって「命」ともいえる実験ノートをしっかり整理しておらず、実験で使った細胞切片もすぐに捨ててしまうなどずさんに管理していたそうだ。また、共同研究者のハーバード大学医学部教授、チャールズ・バカンティ氏の過去の業績も「怪しい」と指摘し、「エアSTAP細胞」の可能性を暗示する。
http://www.j-cast.com/2014/03/19199680.html?p=all

 報告書では下記の通り。
 委員会では、実験ノートの記述や電子記録等から、上記各画像データの由来の追跡を試みたが、3年間の実験ノートとして2冊しか存在しておらず、その詳細とは言いがたい記述や実験条件とリンクし難い電子記録等からこれらの画像データの由来を科学的に追跡することは不可能であった。

 実験ノートに関しては実は他の研究不正問題でも「ないなら仕方ないよね」というひどい調査があったのですが、きちんと証明できるデータを出せない時点で論文の正当性は示せないと本来考えるべきです。証拠を出せない科学論文は何の価値もありません。

 なお、実験ノート提出日に関しては以下のようなツイートがありました。
論文捏造&研究不正 ‏@JuuichiJigen
小保方氏の実験ノートについて。 *3年間の実験ノートが2冊しか存在なく、これらの画像データの由来を 科学的に追跡することはできなかった (小保方氏がノート自体を調査委員会に提出したのは、3月19日。)
19:31 - 2014年3月31日

論文捏造&研究不正 ‏@JuuichiJigen
小保方氏は理研での研究用に私物のPCを使用しており、理研の調査委員会は強制的に押収できなかったとのこと。
https://twitter.com/JuuichiJigen/status/450822668443746304

 ソース不明で本当かな?と思いますが、19日と言うと、中間報告より後です。さっき書いた"確か中間報告では実験ノートを回収したと言っていた気がする"を確認してみます。
STAP細胞:理化学研究所の会見一問一答 2014年03月14日 毎日新聞

 Q 継続になっているのは不正の疑いが強いから継続なのか。捏造(ねつぞう)はあったのか。

 石井 (小保方さんの博士論文記載の画像と同じとみられる)画像の取り違えについて(故意ではなくミスだとする)虚偽説明があるかどうかということだが、データを集めて客観的にヒアリングをしないと判定できない。既に実験ノート、作成日のデータがある画像が提出されている。これまでで完全に捏造というものはない。
http://mainichi.jp/feature/news/20140314mog00m040006000c.html

 19日回収だと上記と食い違っていますね。ですから、石井俊輔調査委員長が嘘をついている可能性はあります。ただ、特にソースが無いですし、‏@JuuichiJigenさんの勘違いかもしれません。

 と書いていましたが、19:30に追記。どうもツイートは記者会見をベースにしていたようで、後で出てきたメディアの一問一答に載っていました。つまり、石井委員長が嘘をついていました。調査委員会がもうどうしようもないですね。


 とりあえず、最終報告書からは以上ですが、問題はこれを受けてどういう対応をするか?ですね。もうすぐそこらへんも発表になるようですが、小保方晴子さんは徹底抗戦の構えのようですのでまだすんなり収まらない感じがします。


★2014/4/6 野依良治理事長悲願の理研特定法人指定、先送り 文科省も不満な理由

 日曜日だし何か軽い話でも…と思ったはずなのに、「特定法人」という重そうなテーマを選んでしまいました。STAP細胞の話はエネルギー使うのでなるべく軽く書きたいところですが…。

 「特定法人」に関しては、理研幹部の記者会見でツッコまれていて笑いました。
STAP細胞:「論文は不完全」理研幹部の一問一答(1)
毎日新聞 2014年04月01日 20時13分(最終更新 04月01日 20時51分)

 Q 調査委員会の結論を急いだのでは? 法人改革の関係もあり、中途半端な幕引きをされたのではないか。

 野依 そういうことではない。社会の関心が高いので、できるだけ早く結果を出していただいたが、それ以外の理由はない。
http://mainichi.jp/select/news/20140402k0000m040051000c.html

 そんなこと聞かれても「はい、そうです。特定法人の指定が欲しくてやりました」とは言いませんね。

 ただ、質問した記者の気持ちは私もよーくわかります。ズバリそういうタイトルのSTAP論文最終報告で捏造改竄不正認定 理研は特定法人指定に必死?というのを書いている(以下に一部引用)ように、必死さを感じる流れでした。
 最終報告はもっと遅らせるのかな?と思っていました。しかし、ここに来て慌ただしく最終報告。全く他意はないのかもしれませんが、何しろ以下のようなニュースのあった直後ですのでいらぬ憶測をしてしまいます。
理研優遇法案を先送り STAP問題で政府与党 2014年3月29日 02:00 沖縄タイムス

 政府、与党は28日、世界最高水準の研究を目指す「特定国立研究開発法人」(仮称)に理化学研究所を指定して優遇する新法案について、閣議決定を当初予定の4月中旬から先送りする方向で調整に入った。STAP細胞の論文問題をめぐる対応を見極める必要があると判断した。安倍政権が成長戦略の一環とする法案は、6月22日に会期末を迎える今国会中の成立が困難となった。

 自民党行政改革推進本部が27日の幹部会合で対応を協議。出席者からは「理研を特別扱いする政策に国民の理解が得られるのか」などの意見が相次ぎ、閣議決定の前提となる法案了承を当面見送ると確認した。(共同通信)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=65774

 以前書いた理研の野依良治理事長、過去に3300万申告漏れ 脱税で追徴課税に9割が税金の理研 報酬増要求の一方、高級家具カッシーナに1000万円の件もあって、理研は「特定国立研究開発法人」指定に必死なのかな?と思わせる行動です。まあ、考え過ぎかもしれませんけどね。

 また、理研幹部ではなく、調査委員会での記者会見においてもそれらしい話がありました。
【STAP細胞最終報告会見詳報(3)完】「論文全体の調査不可能」「150日でまかなえない」+(1/6ページ) - MSN産経ニュース  2014.4.1 17:26 (1/6ページ)

 記者「(引用者注:調査項目は)なぜ6つなのか」

 渡部委員(引用者注:渡部惇委員 渡部法律事務所 弁護士)「そのあたりの科学的な事柄については答えられません。当然のことながら調査期間をどこまで延ばすかということも関わってきます。おおよそ150日と規定されていました。その期間内でおおよそのめどでやるということ、どういう項目でやるかということもあります。全ての論点について疑義があるかどうかを全部調べるとなると、150日ではまかないきれないのかなと思っています」
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140401/scn14040117380008-n1.htm

 上では150日、およそ5ヶ月と言っていますが、実際には1ヶ月半程度で終わっています。5ヶ月を目安とした調査が突如1ヶ月半程度になってしまったというのですから、どういうこと?と思います。

 これらに対する野依理事長の「社会の関心が高いので、できるだけ早く結果を出していただいた」という回答は無難なものですし、実際そういう要求もあったと思います。私自身、調査を長引かせて事件を風化させて非難の声を交わす…という点を危惧していました。

 ただ、それなら捏造・改ざんが確定的とおぼしき重要な点に絞って「第二次中間報告」という形にしても良かったと思います。先に論文不正を確定的だとしておいて、より細かな点は後から詳細を調べるという流れです。

 今「論文で不審な点はまだ多数ある。その点をはっきりさせるべきだ」という声が出ていますが、これはまさにこの第二次中間報告で捏造・改ざんの不正認定、引き続き調査という形です。


 野依理事長が特定法人に必死だったとすれば、「その努力むなしく」と言うべきですが、結局特定法人「先送り」が決定的になりました。
STAP論文:理研の特定国立研究開発法人指定は先送り
毎日新聞 2014年04月01日 21時35分(最終更新 04月02日 01時04分)

 文科省は、理研の「特定国立研究開発法人」指定のため、今回の論文疑惑について早期の決着を目指していた。(中略)理研も指定候補だが、STAP細胞の論文疑惑が世間の関心を集め、政府内からも理研の指定に「国民の理解が得られるのか」との疑問が相次いだ。

 このため、文科省は4月中旬までの閣議決定を目指し、下村博文文科相は先月20日、理研に対して「4月中旬までに最終報告を出す」ことを要請。その結果、中間報告からわずか半月というスピードで、1日に最終報告が公表された。文科省幹部は「新法人指定を意識して、理研も頑張った」と語る。だが同日夕、下村文科相は理研の野依良治理事長と面会した際、「今月中(の閣議決定)は難しい」と告げた。【斎藤有香、大場あい、三木陽介】
http://mainichi.jp/select/news/20140402k0000m040101000c.html

 ただ、私が気になるのはこれがまさに「先送り」であり、理研指定ありきの政策だということです。「本当に理研が特定法人にふさわしいのか?」だけでなく、9割が税金の理研 報酬増要求の一方、高級家具カッシーナに1000万円なんて話を見ていると、「本当に特定法人というものが必要なのか?」が十分に吟味されていないようにも思えます。

 上記リンクの投稿でもそういうところを集めましたけど、理研指定ありきの話は今回の記事でも散見されます。
文科省幹部は「STAP問題はタイミングが悪すぎる」と吐き捨て、別の幹部も「新法人の制度をつくろうと文科省が汗をかいたのに、最後に経済産業省所管の産総研だけが指定される事態は避けたい」と語気を強めた。

 これはどうも理研が文科省管轄だからってことみたいです。STAP細胞の研究についても文科省は先に知っていて、予算獲得の動きに繋げていたとありました。文科省と理研は共犯関係みたいなものです。

 次の部分なんかは「理研指定ありき」に加えて、「野依理事長が特定法人指定に必死」という話です。
 「レーバー(労働者)からリーダーへ」。昨年4月の同省の審議会で、野依理事長は、研究者が労働力としてではなく、研究を自ら主導できる環境を整える施策の推進を強く訴えた。山本一太科学技術担当相もその後の記者会見で「今の制度では、野依先生の言葉のような環境はなかなか生まれない。新しい研究開発法人が必要だ」と応じた。

 出来レースくさいエピソードですよね。

 古いもの(2ちゃんねるで載っていたもの)ではありますが、文部科学省の懇談会に呼ばれた「有識者」の一覧を見ると、理研(理化学研究所)のための「特定法人」という思いがいっそう強くなります。
国立研究開発法人(仮称)制度の在り方に関する懇談会について:文部科学省 平成21年11月21日
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/015/gaiyo/1291947.htm

有識者一覧(第1回~第6回)
第1回 11月13日
野依  良治 独立行政法人理化学研究所理事長
野間口  有 独立行政法人産業技術総合研究所理事長
柘植  綾夫 芝浦工業大学学長

第2回 12月8日
野依 良治 独立行政法人理化学研究所理事長
平 朝彦 独立行政法人海洋研究開発機構理事
岡﨑 俊雄 独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長
児玉 敏雄 三菱重工業株式会社執行役員技術本部副本部長
米倉 義晴 独立行政法人放射線医学総合研究所理事長

第3回 12月11日
野依 良治 独立行政法人理化学研究所理事長
北澤 宏一 独立行政法人科学技術振興機構理事長
中村 栄一 東京大学大学院理学系研究科教授
五神  真 東京大学大学院工学系研究科教授
大垣眞一郎 独立行政法人国立環境研究所理事長

第4回 12月22日
野依 良治 独立行政法人理化学研究所理事長
角南  篤 政策研究大学院大学准教授
小倉  康 国立教育政策研究所教育課程研究センター基礎研究部総括研究官

第5回 1月26日
野依 良治 独立行政法人理化学研究所理事長
丸島 儀一 金沢工業大学教授
佐々木 毅 学習院大学教授
笹井 芳樹 独立行政法人理化学研究所発生・再生科学総合研究センターグループ・ディレクター

第6回 2月4日
野依 良治 独立行政法人理化学研究所理事長
相澤 益男 総合科学技術会議議員
長岡 貞男 一橋大学イノベーション研究センター教授
青木 昌彦 スタンフォード大学名誉教授
中村 道治 産業競争力懇談会実行委員長、株式会社日立製作所取締役
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/015/attach/1292081.htm

 優秀な研究者の海外流出は確かに問題だと思います。ただ、9割税金で運営と言われる理研における不正で、「お金が足りないのが原因」と言われてしまうと他はそれ以上ということになりますし、さっきの高級家具の話がどうしても脳裏をよぎります。

 大学で最も税金をもらっているのは確か東大だったと思いますが、その東大はむしろ研究不正でも日本のトップレベルという感じです。また、研究不正ではない東大の研究費詐欺疑惑(医療IT化の権威・天才肌の秋山昌範東大教授 研究費の詐欺容疑で逮捕)のときにも、「日本は海外と比べると研究費用が少ないから」と擁護されていました。

 成果主義・競争の激化などが不正の動機になることは否定しませんし、さっきも言ったように海外流出にも危機感を覚えます。ただ、それ以前の問題が放置されていないでしょうか?


★2014/4/22 特定法人化に必死な野依良治理研理事長と文科省 調査期間も短すぎた

 前もやった気がしますが「理研の責任」というテーマだけで一つ…と思っていたら、特定法人の話だけでいっぱいになりそうでしたのでそちらに限って。ただ、特定法人も既に過去に書いていますね。

 ストックで一番古かったのは、4月4日の記事。上の2つ目のタイトルでわかるように、理研の特定法人指定は野依良治理事長の悲願であったとともに、文部科学省の悲願でもありました。
日刊ゲンダイ|特定法人へシャカリキ 理研&文科省が怪しい“自民党詣で” 2014年4月4日

小保方論文を“捏造”だと発表した今月1日、野依良治理事長は下村文科相を訪ね、最終報告を伝えた。翌2日には自民党の会議(文部科学部会/科学技術・イノベーション戦略調査会合同会議)に出席していた。桜田文科副大臣も一緒で、「皆さまから意見を賜りたい」と頭を下げた。

「自民党の部会に独立行政法人の幹部が自ら出て行くなんてことは通常、あり得ません。普通は文科省の担当者が説明する。『特定研究法人』の指定は、自民党の了承という手続きを踏んでから閣議決定、法案提出へと進みます。野依理事長がわざわざ出向いたのは、『反省しています』という姿勢を見せ、自民党の批判を和らげようという狙いでしょう。文科省の役人と相談した上でのことです」(霞が関関係者)

 この会議の後、野依理事長は、「組織的な問題や再発防止策を4月中にまとめる」と明らかにした。「4月中」というところに、なんとか今国会で法案を成立させたい文科省と理研の意向が透けてみえる。(中略)

「もともとこの法律は、理研と産総研(経済産業省所管の産業技術総合研究所)を特定研究法人に指定するためのものです。理研が外れることも、産総研だけの指定も想定されていません。文科省にとって理研はプライドの象徴。日本一の研究機関であり、産総研の後塵を拝することは絶対に許さないと思っている。臨時国会にズレ込んだとしても、指定は揺らぎませんよ」(元経産官僚の古賀茂明氏)
http://gendai.net/articles/view/news/149220

 「有識者」の懇談会出席者では、野依理事長だけがレギュラー出演していました。特定法人に関する施策は、「理研と産総研」ではなく、「理研のみ」のために作られたものという報道もありましたが、そういうのを見ていると理研のための施策と呼ぶのもわかる気がします。

 この特定法人見送りはたぶん遅らせるだけで長くても数年のうちには指定されると思っていたんですが、4月11日時点ではまだ諦めていなかった下村博文文部科学相。さすがに今年はもう先送りを認めたのだろうと思っていたんですが、未練たらたらです。
小保方氏会見:下村文科相「私も両方の感情」 毎日新聞 2014年04月11日 10時50分

 STAP細胞の論文不正問題で、下村博文文部科学相は11日の閣議後記者会見で、理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダー(30)による9日の記者会見について、「多くの国民から非常に好意的な見方と、(STAP細胞を)200回以上作製したことが本当かという疑問の声が上がっていると思う」と分析し、「私も率直なところ両方の感情を持った」と話した。

 そのうえで、理研の指定を目指す「特定国立研究開発法人」の法案について、「理研の(調査などの)結果次第だが、今国会での成立に向けて全力で対応したい」と話した。【大場あい】
http://mainichi.jp/select/news/20140411k0000e040202000c.html

 本当、理研と文部科学省はズブズブだなと思う話でもあります。

 同じ日には日刊ゲンダイがこういう記事を書いていました。
小保方論文問題 早期幕引きで浮上する野依理事長「辞任説」 2014年4月11日 掲載

 もともと特定法人の構想は文科省と野依理事長が進めてきた。03年に理事長に就任した際に「野依イニシアチブ」を発表。巨額の科学技術予算を獲得するために、インパクトのある研究を良しとする現在の理研の“体質”をつくってきたのは、他ならぬ野依理事長だ。「目立つ成果」を求め過ぎた結果が「小保方論文」問題を招いた――との指摘も文科省は当然、承知しているはずだ。
http://gendai.net/articles/view/news/149422

 STAP問題を招いたのは、文科省と野依良治理事長というものですね。

 ただ、記事でタイトルになっているのは"野依理事長「辞任説」"です。
 理研や科学者以上に苛立っているのが文科省だ。「STAP細胞」騒動で、理研を「特定国立研究開発法人」に指定する法案の今国会成立が困難な状況となったからだ。

(中略)指定は「既定路線」とはいえ、菅官房長官は9日の会見で「(STAP)問題のメドが立たないうちは(法案の)閣議決定はしない」と明言した。ということは、騒動がこじれて法廷闘争――なんて絶対避けたいはずだ。そこで、霞が関で「早期幕引き策」として急浮上しているのが、理研の野依良治理事長(75)の“引責辞任”説である。(中略)

 文科省も「組織として責任を取った」と、国会で法案審議の説明がしやすくなるのは間違いない。

 うーん、どうなんでしょうね? 文科省としてはそれで良いでしょう。万々歳です。しかし、野依理事長にとっては全然良い話じゃありません。

 野依理事長としても理研の特定法人への道が進むのは大歓迎でしょうけど、自分が首になっては意味がないと考えそうです。それでもいいと思うタイプはいると思いますよ。野依理事長も理研という組織の防衛を優先した行動をしてきました。

 でも、理研の野依良治理事長、過去に3300万申告漏れ 脱税で追徴課税にで出てきた逸話を見ていくと、それ以上に自分を優先しそうな気がします。プライドも高そうですしね。まあ、これらは私の勝手なイメージですので、どうなるかはわかりません。

 上は自分の地位・メンツか、理研の組織保護か?という形で書いています。しかし、もちろんそれらよりも、不正防止や不正疑惑発生時の適切な対応を優先してくれた方が嬉しかったです。ここまでは選択肢のうちの悪い方ばかり選択されている感じです。


 理研は疑惑発生当初、調査する前から結果には影響ないと信じている…みたいな「本気で調査する気あるの?」ということを言っていましたが、結局ネットで次々と問題点を指摘されてしまい、小保方晴子研究ユニットリーダーの不正は認めざるを得なかったのだと想像します。

 野依理事長はそれでも小保方さんか、それプラス共著者くらいの処分で乗り切るという方向を期待していたのでしょうが、小保方さんの反撃でこれももつれましたし、世論の味方もつけられませんでした。

 他に理研が早期の特定法人指定でやれそうなことと言うと、改革姿勢で理解を得るというところでしょうか? うっすい希望を見出すことはできそうです。ところが、その「研究不正再発防止のための改革委員会」がこんな話をしていました。 
中日新聞:理研改革委、提言は緊急策に限定 組織見直し困難:社会(CHUNICHI Web) 2014年4月13日 21時48分

 STAP細胞論文の問題を受けて理化学研究所が設置した「研究不正再発防止のための改革委員会」の第2回会合が13日、東京都内で開かれ、緊急に実施すべき対応策に限定して提言をまとめることを決めた。

 岸輝雄委員長が会合後の記者会見で述べた。1カ月をめどに作業を進め、理研の組織全体の見直しまで踏み込むことは難しいとの見方も示した。

 岸委員長は、理研から1カ月程度で議論をまとめることを依頼されていると説明。議論の対象を緊急対応策に絞り、研究不正を防ぐルール作りやルールを運営する体制、広報の在り方などが論点になるとした。
(共同)
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014041301001677.html

 そりゃ、対策を急がせれば抜本的なものは無理です。付け焼刃的にしかなりません。

 こういう拙速感は不正を調べた調査委員会でもあったと思われます。Twitterでこういう話が出ていました。
世界変動展望 著者 ‏@lemonstoism
小保方晴子氏の不服申立書を読みました。科学的、法的側面から意見を述べたいと思います。

まず小保方氏は弁明と防御の機会が不十分だった点を主張。
http://mainichi.jp/graph/obokata/20140408stap/004.html …
これは賛同します。調査はわずか約45日で他の事件と比しても早すぎます。
6:52 - 2014年4月8日
https://twitter.com/lemonstoism/status/453530919228301312

浅井文和認証済みアカウント ‏@asai_fumi
#STAP細胞 問題。小保方晴子氏の不服申立書を読みました。私もそのとおりと思う指摘は「申立人への聴取が不十分」という点。理研規程には「弁明の機会を与えなければならない」と書いてある。他大学での事例でも、書面か口頭による「弁明の機会」を設けた後に最終報告書の決定という手順です。
6:46 - 2014年4月8日
https://twitter.com/asai_fumi/status/453529213983662080

 で、11次元さんが比較してみました。
論文捏造&研究不正 ‏@JuuichiJigen
研究不正告発から調査結果発表までの期間

理研:約2ヶ月
東北大:約10ヶ月
東大セルカン:約3ヶ月~2年3ヶ月
獨協医大:約1年
名市大:約1年1ヶ月
東京医科歯科:約9ヶ月半-1年1ヶ月
三重大:約2年2ヶ月半
筑波大:約2年1ヶ月半
東大分生研(中間報告):約1年11ヶ月半

13:06 - 2014年4月8日
https://twitter.com/JuuichiJigen/status/453624978941153280

 大体こういうのは長すぎて「いつまでやってんだよ!」とイライラするものですが、本当だ、今回は比較にならないほど短いですね。STAP細胞論文は不正がはっきりしてわかりやすそうでしたが、さすがに早すぎですね。私も以前「第二次中間報告でいいじゃん」といったことを書いたように、疑惑はまだ山ほど残っています。

 こうやって記事を並べてみると、特定法人指定に必死な様子がよくわかり、滑稽に思えるほどです。


★2014/6/20 野依良治理研理事長、小保方晴子懲戒解雇に反対?実験参加のため

 やっぱり野依良治理事長がそもそもマズいんだと思うんですよね。こんなこと言い出しました。
理研理事長 小保方氏解雇に慎重な姿勢 6月19日 20時50分 NHK

STAP細胞が本当に存在するのかを確かめる再現実験を巡っては、理化学研究所の、外部の有識者で作る改革委員会が、熟練した研究者の監視の下で、小保方リーダーに行わせるよう求めています。
この再現実験について、理化学研究所の野依理事長も、19日、報道関係者に対し、「小保方さんがやらないと決着がつかない」と述べ、STAP細胞の存在を主張している小保方リーダーが参加すべきだという考えを示しました。
そのうえで、野依理事長は、「懲戒解雇になれば実験に参加できない」と話し、小保方リーダーに対する解雇を伴う処分には、当面、慎重な考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140619/k10015356731000.html

 別に解雇してでもできる、全く問題ない…という話もあったんですが、野依理事長自らわざわざ解雇の問題と絡めてきました。非常に悪い話です。

 さらにこの問題は理研を管轄する文科省が、ガンガン悪い形で介入をしているというものも気がかりです。
小保方氏抜きで検証は不可能 STAP細胞で文科相-北海道新聞[道外](06/17 10:14)

 STAP細胞論文問題で下村博文文部科学相は17日、「(理化学研究所研究ユニットリーダーの)小保方晴子氏がいなければSTAP細胞の検証をするというのはほぼ不可能に近い」と述べた。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/545816.html

★2014/9/2 理研、特定国立研究開発法人見送り・初の予算減額要求も一時的なものか?

 なぜ理研は検証実験を続けるのか?に関してですけど、理研がそもそも疑惑発生直後から迷走し続けている理由の一つとして、以前は「特定法人」と言われていた「特定国立研究開発法人」指定の関係があるのではないか?とも言われていました。

 この「特定国立研究開発法人」は以前は単に「特定法人」と呼称されていました。呼び名が正式に決まっていなかったためです。現在でも「特定国立研究開発法人(仮称)」と「(仮称)」付きで報道しているメディアもあります。

 「特定国立研究開発法人」になると何が良いことあるか?と言うところですが、文科相 理研の指定法案「臨時国会は困難」 NHKニュース(8月29日 13時28分)では、「研究者に高額な報酬を支払うことができる」と説明していました。理研はこの「特定国立研究開発法人」指定を悲願としているのです。

 ところが、その大事な大事な「特定国立研究開発法人」指定が遠ざかる事態になっています。


 先のNHKニュースによると、"STAP細胞の問題を巡って、理化学研究所の野依良治理事長は27日、文部科学省を訪れ、研究不正の再発防止策"を下村博文文部科学大臣に提出しました。

 下村大臣は「再発防止策には信頼回復に向けて必要な取り組みが盛り込まれていると承知している。文部科学省として、理研の取り組みがスピード感を持って着実に実施されるよう適切な指導やフォローアップをしていきたい」と述べたそうです。しかし、理研を「特定国立研究開発法人」に指定する法案については、「少なくとも臨時国会に提出することは事実上、難しい」としました。努力の甲斐虚しく、今期の法案成立は難しくなったようです。

 ただ、理研の「特定国立研究開発法人」指定は既定路線であることは変わりありません。野依良治理研理事長が構想の段階から関わっているように、もともとこの法案は理研のための法案だとすら言われています。

 下村大臣も「再発防止策を含め理化学研究所が改革をきちんと行うことで、国民から見て研究不正やいろいろな疑義が解決したという形が取れれば、改めて法案を出す」として、来年の通常国会以降に"法案の提出時期を判断する考えを示しました"。今は国民の顔色を窺っているものの、指定自体はいつやるか?の問題です。今回の再発防止策も法人指定の前のアリバイ作りみたいな形です。

 同様に、他の研究不正ではほとんど見られない検証実験を始めたこと、論文撤回後も実験を継続するとしたことなども、理研なりの国民の理解を得る手段の一つなのではないか?と思われます。もしかしたら、時間稼ぎという意味もあるかもしれませんね。不正解明を先延ばし、できることならうやむやにして、検証実験終了をもってSTAP細胞問題も終了とできれば、理研としては言うことないでしょう。


 こうした理研の不可解な動きの中で、理研、初の予算減額要求 STAP論文への対応を優先:朝日新聞デジタル(2014年8月29日20時08分)というニュースも出ています。

 "文部科学省は29日に発表した来年度予算の概算要求で、理化学研究所予算を今年度予算より約5億円少ない528億円とし"ました。なんと"2003年に独立行政法人化されてから要求額が前年度の予算額を下回るのは初めて"のことだそうです。"今年度予算の概算要求は648億円だった"からすると、大幅減です。

 理由はやはりSTAP細胞問題の余波であり、"STAP細胞論文を巡る問題への対応を優先し、新規研究を絞り込んだため"とのこと。先の再発防止策とともに発表した理研発生・再生科学総合研究センター解体の影響もありそうで、"発生・再生科学総合研究センターの予算も組織改編で減るとみられる"としていました。

 ただ、これも結局一時的なものでしょう。STAP細胞問題では不正発生に現在の予算配分のあり方も関係あるのでは?と問題提起されていましたが、理研がそもそもなぜ不正が起きたのか?という点の解明に消極的なために全く顧みられる気配がありません。予算の問題はたぶん国としても触れられたくない点でしょうから、理研とは利害が一致します。

 こういった問題の本質に迫ることができない状況が続いているのを見てしまうと、検証実験には目くらましのような役割があるように思えます。


 関連
  ■理研の野依良治理事長、過去に3300万申告漏れ 脱税で追徴課税に
  ■科学雑誌掲載の論文はデタラメだらけ 偽論文を査読は見破れない
  ■9割が税金の理研 報酬増要求の一方、高級家具カッシーナに1000万円
  ■医療IT化の権威・天才肌の秋山昌範東大教授 研究費の詐欺容疑で逮捕
  ■STAP細胞は世界三大不正?小保方晴子=詐欺師という海外マスコミも
  ■研究不正疑惑についての投稿まとめ

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