新型コロナウイルス問題でデジタル化が急務になり、そんなこと言ってられなくなってきた感じがあるのですが、以前<IT化は仕事の効率化の敵? 脱IT化・パソコン禁止のメリット>という話を書いていたのを思い出して再投稿。後半には、最近のデジタルトランスフォーメーション(DX)の話も追記しています。
2014/3/24:
●IT化は仕事の効率化の敵?今風より昭和のあの頃の会社が強い!
●脱IT化・パソコン禁止のメリットは、パソコンのデメリットでわかる
●●ITの問題というか会社方針の問題か メール地獄や社内向けパワポを禁止
●社員のPCを監視して無駄をなくそう!商売にしてたキヤノン電子
●椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる! キヤノン電子が評判悪すぎ
2021/10/22追記:
●「DX」の「D」はできるが「X」ができない日本…「脱IT化」も同じ原因
●進んでいるからこそ乗り遅れ…日本でDXが遅れた意外な理由とは?
2022/05/15追記:
●転職して「脱IT業界」することも「脱IT」と呼んでいる例がある 【NEW】
●IT化は仕事の効率化の敵?今風より昭和のあの頃の会社が強い!
2014/3/24:スマホやパソコンはビジネスの敵、仕事の効率を下げる! …そんな感じのタイトルの記事を見つけて気になって読んでみました。
IT断食で増益の企業、なぜ増加?スマホやPC導入がもたらす“甚大な”経営的損失(ビジネスジャーナル 2014.03.12)という記事です。
どうも「日経ビジネス」(日経BP社/2月17日号)の『昭和な会社が強い スマホ・パソコンを捨てる』という特集を読んだ感想記事みたいですね、これは…。平成に入ってから「業務効率」や「社員の意欲向上」などの理由により、職場環境の改善。しかし、本当に日本の職場は昭和の「あの頃」より効率的に、働きやすくなったのだろうか?とここでは書いています。なんか懐古主義の老害っぽいですね、ここだけ読むと…。
ただ、とりあえず、IT化で社内の対話がなくなり、知(ナレッジ)の共有ができなくなる恐れが高まっているのが今の日本の職場だとのことです。そして、時代遅れにも見られがちな反IT経営に乗り出した企業は、収益性が高い傾向にあるとの報告があるとされていました。
●脱IT化・パソコン禁止のメリットは、パソコンのデメリットでわかる
本当かな?と思いますが、その事例を見てみましょうか。具体的な話が全くないという説得力ゼロの部分もあったので、そこらへんはサクッとカット。比較的マシだったのは、ITには厳格な規制を打ち出したキヤノン電子の例。このキヤノン電子は成功例らしく、IT化の弊害に悩む企業からの視察が相次ぐといいます。
「ある中堅会社では、友人とのメール交換やネットサーフィンなどで時間を潰し、わずか3分しか働いていない女性がいた。またあるサービス系企業では1日50通以上のラブメールを交換しているカップルもいた」とキヤノン電子社長は言っていました。パソコンの業務外利用によって、年間1億100万円の損失が発生した中堅商社もあるのだといいます。
これがIT化というか、パソコンのデメリット、逆に言うと、脱IT化・パソコン禁止のメリットだということみたいですね。理由としてはわかります。でも、これって普通に用途外利用をしているからじゃありません? IT化というか、単にサボっているからというもので、ちょっとズレている気がします。
過去に
会社のパソコンの監視はどこまで見てる? 答え:ほぼ全部ですでやりましたけど、監視して指摘すれば割と防げそうな気がしますけどね。ITやパソコンが悪いというよりは、むしろ企業側のIT関連技術が低すぎるために対策が打てず、パソコンなどのメリットをうまく活かせていない…という可能性を感じてしまいました。
しくみとしてIT機器を使う機会を最低限にして、監視の労力そのものを減らせるのならそれはそれで選択肢の一つ。アリと言えばアリです。でも、何と言うか極端ですし、具体的にキヤノン電子が何をやったのかが書かれていませんでしたので、モヤモヤしました。結局、全然詳細がわからない話ばかりな記事ですね。
●ITの問題というか会社方針の問題か メール地獄や社内向けパワポを禁止
そして、実を言うと、次の例もやはり明らかに無駄な使い方をしているという極端な話。ドリーム・アーツという会社の社長は、パソコンを導入すればするほど、「新規のプロジェクトや新しい受注があるわけでもないのに、社員がなぜか忙しそうに働いている」ことにまず気づきました。
そこで社長は徹底的にIT断食に。例えば、会って話せば1分で完了するコミュニケーションが、メールでは何倍も時間がかかってしまうというデメリットがあるとのこと。しかも、部下はCCメールを送っただけで責任回避のツールとなり得るが、幹部クラスになれば、大量のCCメールの中から重要なメールを探すだけでも余計な時間がかかってしまうことに。
また社内向けにパワーポイントで凝った資料を作成する時間は、顧客訪問に充てるべきとして、パワポによる資料作成を禁止。こうしたIT断食の結果、競争激化の業界にあって13年12月期は前期比3割増を達成したといいます。社長は「安易なITの導入こそが業務効率を悪化させている」という結論を導き出しました。
CCメールの嵐や無駄なパワーポイントはよく言われますね。私が勤めていた会社も、顧客ではなく上司の説得のための資料作りばかりに労力を注いでいました。上司がそういう要求をしてくるんですよ。なので、本質的にはITの問題ではないのでは?と思うものの、無駄さそのものは一応理解できます。
また、ここらへんは脱IT化ではなく、ルール作りで回避という感じなのでしょう。というのも、ドリーム・アーツはソフトウェア会社です。パソコンなしじゃ仕事できないと思われます。その前のキヤノン電子もハイテクなところで、スキャナー、携帯情報端末を作っています。キヤノン電子の場合は作っている方なのでパソコンはそんなにいらないかな?と思いましたが、ITサービス事業もやっているそうです。ITが必要ないという話ではなさげです。
●社員のPCを監視して無駄をなくそう!商売にしてたキヤノン電子
このキヤノン電子を検索かけたら、脱IT化を含めて業務改革のコンサルティングやっていました。しっかり商売にしていますね。だから、前述の通り、極端な話で熱心に言っていたのか!と納得です。また、内容を見ると、結局私が言ったパソコン監視もしていました。脱IT化・パソコン禁止じゃないじゃん!という話です。
<キヤノン電子株式会社 | セキュリティマネジメント
1.業務改革
ムダの徹底排除でホワイトカラーの生産性を劇的にアップ!
資源価格の高騰、世界的なインフレ、景気の悪化などによる売上げの伸び悩み・・・これからの企業の未来を考えたとき、人材の有効活用は不可避であり不可欠です。
およそ400社に導入実績のある、「売上が横ばいでも利益率を10倍に」したキヤノン電子が実践した手法をご提案します。
社員がパソコンを稼動させている時間は平均約7時間です(弊社実測値)。人件費の約80%がパソコンの前で消費されているということです。つまり、
パソコンの操作履歴(ログ)を分析することにより、ホワイトカラーのムダを見える化することができます。ムダを生み出す組織の体質から見直し、業務量に対する適切な人員配置などの業務改革を行います。
パソコンを怠惰の隠れ蓑にさせない適切なマネジメントにより社員が生き生きと働ける明るい職場づくりをお手伝いいたします>
https://www.canon-elec.co.jp/products/security/s-manage/index.html●椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる! キヤノン電子が評判悪すぎ
「監視」からの連想で、キヤノン系の会社で椅子ないところがあったなと思ったら、それもこの会社でした。ズバリ
椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!
という本を出しています。でも、感想を読んだら酷評すぎて笑いました。以下のうちの3つめレビューのタイトルなんかは「強制収容所」というものです。
<内容どうこう以前に、読み進めているうちに、不愉快な気持ちにさせてくれます。いくら内容のいい本であっても、これでは読者の共感は得られないでしょう。
筆者の重視する「教養」をお持ちの方なら、アホ、バカメール等といった表現を用いて、本を出版することはまずないといえます。単に利益を上げた自慢話のような印象を読者に与えてしまううようでは、筆者のこき下ろす、金のことしか頭にないIT社長たちとなんの変わりもありません。
筆者の文体からは、従業員に対する思いやりも、とてもではないですが、感じられません。不快感を催すレビュワーが多いのもむべなるかなというところです>
<言いたい事は分かる。合理的でもあり、結果も出している。
ただ、自分がこの会社で働く事を考えるとゾっとする。
子供を入社させたいとも決して思わない。
追記:
キャノンは親会社としての監督責任があると思う。
是正しないのはキャノングループ(御手洗会長)としての肯定の意思表示でしょう>
<社員には椅子もあたえず、休める場所すらない。
逆に、自分は大きな椅子にふんぞり返っている。
(中略)1年ぐらいは良いかもしれないが、
長い目で見たら淘汰されるべき企業でしょう。
社員を道具以下としか見ていない>
脱IT化の評価はともかく、本の評価はあまりよろしくないようです…。
●「DX」の「D」はできるが「X」ができない日本…「脱IT化」も同じ原因
2021/10/22追記:日本が「脱IT化」「パソコン禁止」などと言っていたところ、新型コロナウイルス感染が流行。感染対策として在宅勤務が求められるようになりましたが、対応できる企業が少ないことが判明します。この問題でデジタル化が急務になり、「脱IT化」「パソコン禁止」などと言ってられなくなってきた感じがあります。
この関係で何か記事出ていないか?と検索。いろいろ出てきましたが、検索結果の中で一番気になったのは、
スタンフォード大学ダッシャー氏「日本のDXが世界から遅れている理由」 – TECHBLITZ(2021.06.16)という記事ですね。デジタルトランスフォーメーション(DX)というのは最近の流行り言葉で、「デジタル技術による変革」です。
DXでポイントとなるのは、「X」であるトランスフォーメーションであり、デジタル技術を導入して満足してては意味がありません。良い方向性に変えていかなくちゃいけないんですね。ただ、このXの方が日本でうまくいっていないともよく言われます。「脱IT化」「パソコン禁止」と言っていたのも、ITをうまく活用できていなかったため。そういう意味では今も昔も変わっていません。
●進んでいるからこそ乗り遅れ…日本でDXが遅れた意外な理由とは?
DXの説明で長くなってしまいました。やっと記事の話です。記事では、近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が叫ばれているなか、日本は世界の中でも遅れをとりつつあると指摘。日本は、ビジネス基盤がすでにでき上がってしまっているために、なかなか新しい仕組みに切り替えるのが難しいとされていました。
先程の検索結果を見ていると、実際には、日本はDXが遅れた国ではないとの見方もあるみたいですね。ただし、この記事の場合は「普通に日本は遅れている」という評価になっています。スタンフォード大学アジア・米国技術経営研究センター長のリチャード・ダッシャー特任教授は、グラフを用いて以下のように指摘。証拠を示しての説明でした。
<日本の状況を見てみましょう。たとえば、クラウド技術の導入スピードは他国と比べて遅く、韓国やオーストラリアよりも導入率が低い。少し前まで日本と同じくらいのレベルだった中国も、今では大きく導入が進みました。
AI活用においては、非常に遅れています。民間企業のAI投資額における世界1位はアメリカで、250億ドルに迫るほど。中国も100億ドルで2位につけており、この2国が大きくリードしています。一方、日本の投資額は10億ドル以下です>
インドのような新興国と比べると、日本ではすでに大きなビジネス基盤ができ上がってしまっているために、仕組みを変えることが難しいとも指摘。「日本が進んでいるが上に、逆に遅れてしまった」という意外な話になっています。日本の変革があまりにも遅いため、インドのような国にすぐに追いつかれてしまうのではないかとも予想されていました。
●転職して「脱IT業界」することも「脱IT」と呼んでいる例がある
2022/05/15追記:「脱IT」の記事は他にないか?と検索したのですが、それらしき記事が全く見当たらず。新しい記事どころか、古い記事すら上位に出てこなくない状態です。もともと胡散臭い話でしたし、新型コロナウイルス問題によってむしろデジタル化が求められるようになったことで、とどめを刺されたのかもしれません。
一方、「脱IT」の検索では、私の想定とは異なる「脱IT」の使い方をしているものがありました。これは正確に言うと「脱IT業界」という意味ですね。転職サイトである
エンゲージである企業が転職エージェントを募集していたページでこうした用法がありました。ただし、ITで特化の転職エージェントへの転職なので、「脱IT業界」していない気もします。
脱IT!IT経験者のみ募集◆SE・ITコンサルから転職エージェントへ。
<「SEやコンサルタントからキャリアチェンジをしたいが何ができるだろう」
「人材紹介にはちょっと興味はあるけど実際はどんな感じなんだろう」
もしそうお考えなら、ぜひ一度お話しをさせてください。
当社はIT業界に特化したキャリア支援を行う人材紹介会社で、コンサルタントが 全員IT業界出身者という、業界唯一の特徴を持ちます>
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