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アクセルとブレーキの踏み間違い不可能、ナルセペダルの画期性


 ナルセ機材の鳴瀬益幸社長が発明した「ナルセペダル」の話。アクセルとブレーキが一体化したペダルが一体化したもので、「アクセルと踏み間違えないブレーキ」とも呼ばれるそうですが、そのまんまの名前ですし長いですね。

 最初から"自動ブレーキに限界を感じている? 大手自動車メーカーがナルセペダルに接触"までは、2014/3/26の投稿。その後、"ナルセペダルの「ワンペダル」なんか普及するはずがない?"(2017/03/11)を加えています。


●ペダル踏み間違い対策が必要な理由

 この話が載っていたのは、以下の記事。

なぜ「アクセルと踏み間違えないブレーキ」が普及しないのか:日経ビジネスオンライン 宗像 誠之 2014年2月10日(月)

 記事によれば、日本での交通事故は着実に減少しています。しかし、"アクセルとブレーキのペダル踏み間違いによる交通事故"に限って見ると、全体の傾向とは反対に僅かに増加。

 "日本では高齢化が進んでいるため、高齢のドライバーも当然増えていく。そうなるとペダル踏み間違い事故は、今後も増え続ける可能性は高い"ということが予想されます。

 そこで出番が回ってくるのが、「ナルセペダル」です。


●アクセルとブレーキの踏み間違い不可能、ナルセペダルの画期性

 文章での説明もやりますが、難しいですのでオフィシャルのリンクを張っておきます。

わかりやすい!動画で解説 | 安全なナルセペダル!

 まず、問題ないというか、従来と同じなのがブレーキです。これは普通に踏み込めばオーケーです。違うのはアクセル。元記事では"かかとの位置は動かさず、つま先を右にずらしペダル右側面についている縦長のアクセルレバーを押すと、アクセルが作動する"と書いていました。

 わかるかな?という説明ですが、要するに足の右にあるレバーを横に押してやれば、車が進みます。アクセルの方は「踏み込む」という従来の動作では動きません。アクセルを踏むことは物理的に不可能なので、「アクセルと踏み間違えないブレーキ」なわけです。

 もう少し詳しい説明は以下。
 1つ目の特徴は、簡単に前述したが、構造的にペダルを踏み間違えにくい仕組みであること。ナルセペダルは、ブレーキは「踏み込む」動作で、アクセルは「右へずらす」動作。動きが全く異なるため、ほぼ間違えることはない。「既存のペダルはアクセルもブレーキも『踏み込む』という同じ動作で操作する。この設計自体が、根本的に間違っていた。操作を間違えても、何ら不思議ではない」と鳴瀬社長は話す。

 2つ目の特徴は、アクセルを動かしていても、ブレーキの上に常時、足を置くことになる点。踏み変えることなく、危険を察知したらブレーキをすぐ踏み込める。つま先を右にずらしてレバーを押しアクセルを作動させていても、このままペダルを踏むとアクセルは作動しなくなり、ブレーキがかかる仕組みだ。

 この2つ目の特徴も実はかなりすごいです。ナルセペダルは"ペダルの踏み間違え事故の防止だけで"なく、"危険を察知してからブレーキを掛け始めるまでの時間を劇的に短くできる"というメリットも生むのです。

 従来の自動車では、常時はアクセルペダルのところに足を置いていますから、どうしてもブレーキペダルに踏み変える時間が必要となります。しかし、ナルセペダルはその時間が必要となく、とっさに踏み込むことができます。

 ナルセ機材の調べでは、通常のクルマのペダルであれば平均的に約0.9秒、ナルセペダルであれば最短0.3秒程度とのこと。記事ではこの差を"ペダルを踏み変える時間となる約0.6秒分、通常のクルマよりも早くブレーキを掛け始めることができる"としていましたが、平均と最短を比べるのはズルですね。

 ただ、まあ、前述の通り、ナルセペダルの方がダントツに早いのは間違いありません。


●ナルセペダルに問題はないのか?

 記事では特に問題点を書いていませんでしたが、あるとすればとっさの動作のときに、存在しないブレーキペダルを押してしまわないか?という心配を一つ思いつきました。慣れないとついついやってしまいそうです。

 しかし、普段の運転に関しては、慣れるのにそう時間がないようです。「高齢者ならもう少し練習します」(鳴瀬益幸社長)とのことですが、記者は5分練習して実際に運転。すぐに雑談できるほどに慣れます。

 その後、「高速道路に乗ってみましょう。どれだけナルセペダルが、直観的に使えるものなのか、もっと体感してもらいたい」と自信満々の社長に言われて仕方なく高速で乗りましたが、これまた楽勝。"ワンペダルでの運転は、ペダルの踏み変えで足を上に上げる動作がない分、足が疲れにくいこと"にも気づきます。

 あと、記事ではいい加減後になってから紹介されていましたが、こうやって乗っている以上、法律には違反していません。また、"既存のペダルをナルセペダルに着け替えて一般公道を走っても、規制や法的な問題がないことを、鳴瀬社長は当局に確認済み"だそうです。違法改造車じゃないんですね。

 で、実際既に年に200台程度の取り付け作業を行っているそうです。価格は"機器と工賃を含め11万円~14万円程度"。そう高いものではないように思えます。

 それより納品までは数日から1週間程度ってのが痛いですね。メーカーや車種ごとにバラバラなので"簡略化や短縮は難しい"ということです。これだけかかるということは工賃の分が大きいと思われるので、短縮化できればもっと安くなるのでしょう。


●自動ブレーキに限界を感じている? 大手自動車メーカーがナルセペダルに接触

 記事タイトルは"なぜ「アクセルと踏み間違えないブレーキ」が普及しないのか"というものでしたが、明確な理由は書いていなかった気がします。そもそもこんなゲテモノみたいなペダルつけないでしょ?と、クルマ好きの人ほど思いそうです。

 ただ、意外なことに大手の自動車メーカーや自動車部品メーカーが接触してきているということです。どうもマツダの自動ブレーキの体験試乗会で自動ブレーキ車が事故る…という笑えない出来事があってから、興味を示してきたみたいですね。「うちの自動ブレーキ機能も危ないかも…」って感じでしょうか?
マツダの自動ブレーキ車事故から得るべき教訓 | 東洋経済オンライン 丸山 尚文 :東洋経済 記者 2013年11月14日

自動車メーカーのマツダは11月12日、同月10日昼ごろに発生した自動ブレーキの体験試乗会での事故を受けて、当面、安全装備の体験試乗会を自粛すると発表した。

10日に発生した事故は、マツダの埼玉県のディーラーが、SUV(スポーツ用多目的車)の「CX-5」を用いて実施した自動ブレーキの体験試乗会で、客が試乗していた車両がウレタン製の模擬障害物を通過し、その先のフェンスに衝突したというもの。この事故で客が軽傷、同乗していた販売店員が重傷を負った。 

CX-5に搭載されている自動ブレーキは、近赤外線レーザーで前方車両を検知し、ドライバーの操作に応じてブレーキをアシストするものだ。時速30キロメートル以下の場合、前方車両に衝突する前に停止できる、となっている。ただ周辺環境や操作方法(自動ブレーキ動作中にあらためてアクセルを踏む、など)によっては停止しない。(中略)

記者自身、他のメーカーの市販車による歩行者衝突回避ブレーキの体験会で、衝突回避速度以下での走行にもかかわらず、ダミー人形に衝突した経験がある。別のメーカーの車両衝突回避ブレーキでも、ダミー車両にぶつかったことがある。
http://toyokeizai.net/articles/-/24018

 後半2つのケースは"ブレーキが動作せずに激突したわけではなく、被害軽減効果"があるために無意味ではないようです。とはいえ、まだまだ自動ブレーキは発展途上だ…ということを実感させるエピソードです。

 こういった中では交通事故の削減が期待できるナルセペダルは、行政にも注目されて良さそうなものです。しかし、興味を示している民間とは異なり、"地元の警察や行政にも鳴瀬社長自身がナルセペダルの有用性をアピールし続けているが、反応はあまり良くない"とのこと。

 一方、"2014年1月中旬には、欧州の安全装置メーカーの幹部がナルセ機材を訪れ、ナルセペダル搭載車を試乗"しており、こちらは好感触だったそうです。

 海外でも関連特許は取得しているそうですし、このシステムで世界をとれたらいいですね。


●ナルセペダルの「ワンペダル」なんか普及するはずがない?

 毎日新聞で紹介されていたので、また読んでみました。ここを読んでいて、私はほとんど書いていなかったものの、「ワンペダル」が正式名称だったと気づきました。

暴走事故:阻止に町工場の知恵…熊本の鉄工所、商品に注目 - 毎日新聞 2017年3月7日 14時30分(最終更新 3月8日 08時28分) 遠山和宏

 この「ワンペダル」の誕生は25年ほど前ということで、えらい昔です。最初の約20年間で売れたのは計300台前後ということで、その間はあまり売れていませんでした。しかし、15、16年は各約100台ずつということで、以前と比べるとハイペースです。

 ネットの反応を見ていると、足をスライドさせるという動作は不自然で普及するわけがないと言っている人がいました。それで2時間も3時間も運転できないと、ネガティブなことも言っています。

 細かいことを言うとあまり連続運転はよろしくなく、そもそも休憩を取りましょうねという話なのですが、確かに足が辛いかもと思います。ただ、最初の記事の記者はむしろ「足が疲れにくい」と全く逆のことを言っていましたからね。ここらへんは実際に使っているユーザーの口コミを知りたいところです。


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