●ハラスメントの匿名告発から研究費の不正・架空取引疑惑に発展
2020/10/01:東京医科歯科大学で2020年9月3日に
(PDF)国立大学法人東京医科歯科大学における研究費の不正使用に関する調査結果について(概要) というお知らせが出ていました。タイトルの通り、研究費の不正使用について調査したようです。
ただ、当初の疑惑は別件がメインだった模様。発表資料によると、東京医科歯科大学・大学院医歯学総合研究科咬合機能矯正学分野内においてハラスメント等の問題が発生しているとの匿名による通報があり、その文書の中に研究費に係る不正使用の疑いがあることが記載されていたことから調査したということだそうです。
この不正使用について告発されていたのは、東京医科歯科大学・大学院医歯学総合研究科の石田宝義助教でした。調査対象者が事業年度を逸脱して業者に研究費を支払った不正な取引(架空取引)を行ったという疑惑だそうです。
●東京医科歯科大学・石田宝義助教に研究費の不正・架空取引を認定
調査によると、業者は、大学院生が依頼した委託解析に係る成果物を平成30年度中に大学院生に対し直接納品していたのですが、一方で当該成果物に係る費用が未払いの状態が続いていました。調査では、石田宝義助教もこの状況を認識していたとされています。
この未払いだった費用について、石田宝義助教は、翌年である令和元年度に採択された科研費を使って、発注依頼を行い、これが不正とみなされました。何が悪いの?と思う人もいるでしょうが、前年分のものを翌年の費用を用いて発注したことが、「研究費の不正経理」であるそうです。ちなみに金額は43万2000円でした。
悪質なようには見えない不正行為なのですが、その発端を見ても同情する余地がありそうなものかもしれません。調査対象者の研究費が枯渇しており、調査対象者が上司である教授にこれまでの研究を継続するために分野として研究費を支援してもらえないか相談したものの、全面的な解決策が示されなかったことが発端とされていました。
もちろんこうした費用はあらかじめ管理しておくべきもので、お金がないのに無尽蔵に発注してはいけません。とはいえ、日本の大学は政府方針により、慢性的でなおかつ深刻な資金不足に陥っており、研究費のやりくりに四苦八苦している研究者は多いでしょう。政府の問題についても考えてしまう不正でした。
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