容疑者あるいは被疑者死亡のまま書類送検する意味について。検索すると上位には質問サイトがたくさん出てくるのですが、中には信頼できそうな回答もあるものの、好き勝手書いているな…というものが多く、いまいち紹介する気になりません。
結局、一番良かったのはこれ系の話に強い弁護士ドットコムの弁護士さんの話。それを紹介する前にその記事でご登場の弁護士さんのサイトから。
「被疑者死亡のまま書類送検」とは?|京都市中京区の弁護士川口直也にお任せください
http://www.kawa-law.com/blog/2013/06/post-42-546013.html 弁護士ドットコムの記事は、尼崎連続変死事件で自殺した被疑者を書類送検したことに対するものです。しかし、川口直也弁護士はそういった事例は珍しいということを補足しています。
では、多い例、一般的な例とはどういうケースか?と言うと、"交通事故で加害車両の運転者が死亡しているケース"だそうです。その次となると、"無理心中で加害者が死亡しているケース"ですが、こちらは「時折」という言い方をしています。おそらく交通事故の加害者というケースがほとんどなのでしょう。
さて、ここから本題の弁護士ドットコムの記事。まず、被疑者死亡では「不起訴」とされるというのははっきりしているようです。
尼崎連続変死事件 「被疑者死亡のまま書類送検」には、どんな意味があるのか?|弁護士ドットコムトピックス
「裁判の途中で被告人が死亡した場合、『公訴棄却』として裁判を打ち切ることが、刑事訴訟法で決まっています。つまり、被疑者が死亡している場合、必ず不起訴となります」
http://www.bengo4.com/topics/501/
では、なぜ死者でも「送検」されるのか?と言うと、どうも"起訴する(裁判にする)かどうかの判断をするのは、検察官の役割"であり警察の役割ではないというテクニカルな問題のようです。つまり、不起訴になることが目に見えていても、警察は検察のところに書類送検しなくてはならないということみたいです。
じゃあ、無駄じゃないか?と思うのですが、実は意味がないということではないようです。
「検察官は『公益の代表者』として、事件の捜査が適切に行われたかどうかを、監督する権限があります。被疑者が死亡してしまった場合でも、捜査がうやむやに終結し、不適切な処理が行われたりすることがないよう、最終的にチェックする役割を果たしているのです」
なるほど。こういった適切な処理については交通事故においても重要そうですが、記事の関心事である尼崎連続変死事件のような殺人事件では重要そうだというのは想像しやすいです。
川口弁護士の説明によれば、検察官は警察が作成した"角田美代子容疑者についての捜査資料"を元に、"他の共犯者らが果たした役割を、事件の全体像の中できちんと位置付け"、"適正な処罰を実現する"ことが可能ということみたいですね。
なるほどと思ったのですが、ちょっとマズイところもありそうです。検索して見ていると、書類送検されたことによる風評被害のようなものが見られます。
もともと日本では容疑者、被疑者という時点で「犯罪者」と同義で見られます。そこに「書類送検」が加わることによって「有罪」が決定したかのように錯覚してしまう人たちが多いようです。
まあ、これは被疑者死亡による不起訴だけに限らず、存命でも不起訴になった事例、あるいは起訴されて無罪になった事例でも同じような傾向が見られますので、差別意識そのものの方が問題ですね。
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