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世界で最も危険な都市ランキング トップ10に日本から5都市の理由


 <世界で最も危険な都市ランキング、なぜか日本の東京・横浜が1位に>という投稿と、<世界で最も危険な都市ランキング トップ10に日本から5都市の理由>という投稿をまとめました。どちらにせよなぜ安全で知られる日本の都市が危険なのか?という話。実はこれ、災害の危険性を指摘するもので、特に東京あたりはやばいんですよね…。

 その後、<日本沈没はともかく東京水没は十分起こり得る 国も想定動画作成>、<津波じゃない!東京23区3分の1沈没・400万人被害の原因>、<災害のリスクがあるから公共事業を増やせ!では解決しない理由>を追記しています。

2023/02/26追記:
●津波じゃない!東京23区3分の1沈没・400万人被害の原因
2023/05/13追記:
●近年高潮被害がなかったのはたまたま 関空水没で実証される
2023/08/12追記:
●災害のリスクがあるから公共事業を増やせ!では解決しない理由 【NEW】

『私たちはいつまで危険な場所に住み続けるのか』(木村 駿 (著), 真鍋 政彦 (著), 荒川 尚美 (著))




●世界で最も危険な都市ランキング、なぜか日本の東京・横浜が1位に

2013/9/27:「またまたご冗談を。日本の都市より安全なところなんてないでしょ」と思ったランキング記事がありました。<世界で最も危険な都市ランキング1位、東京と横浜>(NewSphere | 執筆者: NewSphere編集部 投稿日: 2013年09月25日 15時06分 JST | 更新: 2013年09月25日 15時15分 JST )というものです。

<スイスの再保険会社スイス・リーは9月18日、河川の氾濫、高潮、津波、暴風、地震などを総合して検証した結果、東京と横浜が世界で最も危険な都市だと判断したことを発表した。
 さらに、人的損害ベースではフィリピンのマニラ、中国の珠江三角州地域が危険な都市の上位にあがっている。損失する稼働日ベースでは、大阪が2位、名古屋が3位と日本の都市が独占する結果となった>
http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/25/dangerous-city-ranking-top3_n_3986362.html?utm_hp_ref=japan

 判断要素は「河川の氾濫、高潮、津波、暴風、地震」ということで、名前の挙がっているものはすべて自然災害です。治安などはないみたい。うーん、そういう基準かぁ…。確かに日本は自然災害の宝庫であり、何でこんなところに住んでいるの?マゾなの?ってくらい、災害がありまくりです。

 そういう基準であるのなら、日本の都市がやはり上位に来てしまうってのはわかります。むしろ納得です。ただ、そうだとしても、横浜市が東京と同点で1位ってのはやっぱりわからない…と、なおも不思議でした。(2021/11/30追記:この謎は後日判明。どうも東京・横浜地区というセット扱いをしているだけだったようです)


●東日本大震災のときの帰宅難民で問題が起きた東京・横浜だが…

 実を言うと、記事タイトルを見た時点で私は災害も考慮に入っている可能性は考えてたんですよ。東京なんかは過密性が問題となっていますし、東日本大震災のときの帰宅難民で露呈したように、交通網が混乱したときの脆さは指摘されてもやむなしだろうと思ったのです。

 こういったときの規模を考えても、東京と横浜市が同じというのは納得できません。過密性に関しては以下なんか読むと、このランキングでも評価の中に含まれているようなんですが…。

<国連の発表によると、2050年までに世界の総人口の68%に当たる63億人が都市部に集中すると予測されるという。
USAトゥデイ紙は、こうした都市部への人口集中が進んでいる現状が、これらの地域での自然災害発生時の被害の大きさを拡大していると指摘している。
 同紙は、1994年の米国ノースリッジで起きた地震災害を例に取り上げている。ノースリッジは、人口の集中するロサンゼルスから30キロほど郊外に位置するが、地震により210億ドル(約2兆円)規模の被害を被ったという。これがもし、ロサンゼルス中心で起きれば被害はさらに大きなものになることが想像できる、と同紙は警告している>

 ちなみにWikipediaで、帰宅困難者の数を確かめられます。震災当日の3月11日夜に帰宅困難となって、自治体が用意した施設を利用した人は東京都で9万人以上、横浜市で1万8,000人、川崎市で5,500人などと報じられたそうです。人口比からすると横浜市が多い可能性を考えて検索すると、東京都が1300万人、横浜市が370万人。帰宅困難者の比率からしても、やはり東京都の方が問題が大きそうです。


●大阪や名古屋も危険…で思いつくのは水害 最近も30万人に避難勧告

 もう一つ記事であった損失する稼働日ベースの方の話。私は大阪より名古屋の方がイメージが強いですけど、大阪が2位、名古屋が3位というのは「水害のせいかな?」と思いました。名古屋市は何か毎度毎度川が氾濫している印象があります。検索は私の印象の薄い大阪の方をしてみました。以下のように多数の水害があったそうです。

大阪府/大阪府を襲った主な水害
昭和9年9月21日 室戸台風
昭和25年9月3日 ジェーン台風
昭和27年7月10-11日 7月豪雨
昭和28年9月25日 台風13号
昭和36年9月16日 第2室戸台風
昭和42年7月8-12日 42年7月豪雨
昭和47年7月9-13日 7月豪雨
昭和47年9月14-16日 台風20号
昭和57年8月1-3日 台風10号・豪雨
平成元年9月2-3日 9月豪雨
平成元年9月19-20日 台風22号
平成7年7月2-6日 7月梅雨前線豪雨
平成11年6月23-30日 6月梅雨前線豪雨
平成11年8月9-11日 8月豪雨
http://www.pref.osaka.jp/kasenkankyo/boujyo/saigaiitiran.html

 更新が古いのか、最近は本当になかったのか、平成11年で止まっています。仮に最近なかったのだとすれば、私の大阪の水害インパクトが薄かったのに納得です。ただ、執筆時点である2014年に大坂の水害がすごかったのは間違いないですし、更新が止まっているだけかもしれませんね。

<堺市、4万人に避難勧告 大和川が危険水域に>日本経済新聞
<堺市は16日午前9時40分、台風18号の影響で大和川が危険水域に達したとして、流域の同市堺区と北区の一部計約1万9400世帯、約4万2千人に避難勧告を出した。同市は「指定避難場所や頑丈な建物の3階以上に避難してください」と呼びかけた。同市危機管理室によると、避難勧告を出したのは大和川で水害があった1982年以来、約30年ぶりという。
 同市が避難勧告を出したのは大阪市との市境を流れる大和川の川沿いの地区で、堺区三宝町や北区東浅香山町などが対象。大阪市も大和川流域の住之江区や住吉区などに住む約30万人に避難勧告を出している>
http://www.nikkei.com/article/DGXNASHC1600A_W3A910C1000000/

 何かだいぶ話が逸れてきちゃいましたが、自然災害なら確かに日本の都市は危険なことは認めざるを得ません。しかし、最初にちらっと書いたように治安を考えると日本は最高ですよね。自然災害は怖いですし、その他の不満も日本にはたくさんあります。でも、問題点は少しずつ良くしていけばいいんですし、その他の良いところを考えると、自然災害のデメリットをぐんと上回るでしょう。

 海外の都市をさげすむつもりはないのですが、私はやはり他の国には住みたくないなぁと思います。


●世界616の都市で比較…世界で最も危険な都市ランキングで日本が上位

2014/4/10:前回紹介した<世界で最も危険な都市ランキング、なぜか日本の東京・横浜が1位に>は9月だったのですけど、2014年4月6日にも日本の5大都市がランクイン「暮らすには危険な都市ワースト10」―1位 東京・横浜(日本) | 「マイナビウーマンという記事が出ていました。ひょっとしたら年2回やっているのかもしれません。 

<世界で最も危険な都市ランキング> (スイスの再保険会社(Swiss Re)の発表。世界616の都市を対象)
1位 東京・横浜(日本)
2位 マニラ(フィリピン)
3位 珠江デルタ(中国)
4位 大阪・神戸(日本)
5位 ジャカルタ(インドネシア)
6位 名古屋(日本)
7位 コルカタ(インド)
8位 上海・黄浦江(中国)
9位 ロサンゼルス(アメリカ)
10位 テヘラン(イラン)

 これは、地震や津波、台風、竜巻などの自然災害を考慮して「できることなら移住すべきではない都市」を選んだというもの。日本がむしろ得意で、世界最高峰である「治安」は考慮に入れていないのです。自然災害に関して言えば、本当に日本すごいですからね。海外の人から見ると「何でそんなとこに住もうと思ったの?」というレベルです。


●世界で最も危険な都市ランキング トップ10に日本から5都市の理由

 前回不思議だった東京と横浜が同点という話。帰宅難民の話を出したように東京の方が深刻さが高く、横浜と同レベルだというのは納得いきませんでした。しかし、今回のマイナビウーマンの記事でその謎が解けました。"同率一位ではなく2都市でひとくくり"なのです。

 ミシュランガイド東京2009 日本語版ミシュランガイド東京・横浜・湘南 2014―RESTAURANTS & HOTELSになったような感じでしょうか?



 ただ、マイナビウーマンの説明を見ると、私の考えていたのとは全く約で、むしろ東京より横浜がやばいという雰囲気もありますね。東京・横浜だと「地震、季節風、洪水、津波などの危険」が常にあり、横浜エリアではこれに嵐や河川の氾濫のリスクが加わるといいます。

 あと、ここの「季節風」ってのは日本人にはピンと来ない災害名ですね。季節風(モンスーン)の役割を見ると、梅雨や多き雪に関係あるようですが、日本人が恐れるのは台風でしょう。季節風が台風を運んでくるという記述も見かけた(個人サイト)ので、そっちの関係かもしれません。

 また、東京・横浜以外の大阪・神戸、名古屋は大雨での川の氾濫による水害都市という印象でしたが、記事だと津波や高潮を想定している感じです。


●調査している「再保険会社」とは?「再々保険会社」というのまである

 それから、ランキングとは関係ないものの気になったのが、ランキングが「スイスの再保険会社(Swiss Re)の発表」だという記述。再保険?「再」って誤字じゃないの?と疑問に思いました。しかし、私が知らなかっただけで、こういう概念がちゃんとあるようなのです。

<再保険(さいほけん; reinsurance)とは、ある保険者が危険(リスク)を分散したり、収益を追求したりするために、自己の保有する保険責任の一部または全部を他の保険者に移転し(出再保険)、当該他の保険者がそれを引き受ける(受再保険)する保険をいい、「保険の保険」なので「再保険」という。再保険以外の保険のことを元受保険(もとうけほけん)という。損害保険の一種である。
 再保険会社の填補責任は元受保険会社がその顧客と締結する保険契約の内容と同じ(as original)となることが多いが、様々に条件設定が行われることがある。再保険は保険会社にとり重要なリスク回避の手段である。保険会社が再保険によらず自ら保険責任を負うことを保有(ほゆう)という>
Wikipedia

 保険会社のための保険なんですね。知りませんでした。ちなみにランキングを発表したSwiss Re(スイス・リー)は世界2位だそうです。

<世界の大手再保険会社>
ミュンヘン再保険(Munich Re) - 、世界1位
スイス再保険(Swiss Re)、世界2位
バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway) - 世界3位のジェネラル再保険(General Re)を保有
ハノーバー再保険(Hannover Re) - 世界4位

 3位を変な書き方していて、あれ?と思いました。バークシャー・ハサウェイは投資会社というイメージです。でも、Wikipediaを読んでみると、バークシャー・ハサウェイが再保険サービスをしているってことで間違いないみたいです。いろいろとやっているんですね。以下のような説明がありました。

<保険・再保険事業部門>
<保険事業と再保険事業はバークシャーの主要事業の1つであり、国内外に70以上の拠点を置いて事業を展開している。バークシャーは、元々は主にアメリカ国内で損害保険および再保険ビジネスを展開してきたが、1998年12月に再保険大手のジェネラル・リーを買収したことにより、生命保険・健康保険・事故(傷害)保険に対する再保険分野に新たに進出するとともに、損害再保険の分野についても国際的な拠点を持つ大手となった。近年でも、外国企業の買収や、新たにモノライン(金融保証保険)分野に参入するなどの手法により事業を拡大している>

 バークシャー・ハサウェイはなんと再々保険ビジネスも展開しており、世界最大の再々保険会社でもあるとのこと。再々保険! すごいことになっていますね。

 後半はすっかり話が逸れました。ランキングの話に戻りますけど、途中で書いたようにこれらのランキングは飽くまで自然災害に重点を置いたものです。でも、幅広く考えるとやっぱり日本の都市は住みやすいんじゃないかと、日本人としては思います。

(2019/10/29:見直ししたついでに最新のランキングを載せようと検索したら、2014年の記事ばかりヒット。ひょっとしたら今はやっていないのかもしれません。新しいランキングは見つかりませんでした)


●日本沈没はともかく東京水没は十分起こり得る 国も想定動画作成

2023/01/24追記:災害的な意味での「東京は危険」の関係で、日本沈没や関東沈没はともかく、東京水没は十分に起こり得る | 日経クロステック(xTECH)(2021.10.22 木村 駿 日経クロステック)という記事をブックマークしていました。当時放映のドラマ「日本沈没―希望のひと―」(TBS系)と引っ掛けたタイトルですね。

<日本沈没や関東沈没はともかく「東京水没」は水害によって実際に起こり得るシナリオなのだ。しかも、水害のリスクは気候変動の影響で、今後さらに高まっていくと考えられる。国土交通省の試算では、平均気温が2度上昇した場合、洪水の発生頻度は約2倍になる。日本沈没では、海中に沈んだ国土がそのまま失われるのだろうから、しばらくすると水が引く河川の氾濫などとは比較にならないかもしれないが、水害が現代社会を揺るがすリアルな脅威であることに変わりはない>

 国交省は「荒川氾濫」というドキュメンタリー動画を制作。可能性が高いと考えているのかもしれません。動画では、上流域で3日間に500ミリ超の大雨が降り、東京都北区で堤防が決壊した結果、水に漬かってしまった銀座やJR東京駅前などが描かれており、マジで東京沈没っぽい内容。荒川氾濫による想定死者数を約4100人、浸水戸数を約51万戸としていたそうです。


●津波じゃない!東京23区3分の1沈没・400万人被害の原因

2023/02/26追記:前述の日経新聞記事によると、大雨による荒川の氾濫以外にも、別の災害によって起こりかねない東京水没シナリオがあるとのこと。大雨以外となると「津波」しかないだろうと思いそうなところですが、違います。答えはなんと「高潮」でした。災害大国の日本人にとって、高潮は優先順位が低いでしょうから予想外です。

<高潮(たかしお)は、台風や発達した低気圧が海岸部を通過する際に生じる海面の高まりを言う。地震によって発生する「津波」とは異なる。ただし、かつては高潮のことを「風津波」や 「暴風津波」、「気象津波」などと呼んだこともあったが、現在は「高潮」と呼ばれ,前述の3語はほぼ死語となっている>

 上記は高潮 - Wikipediaによる高潮の説明。「災害大国の日本人にとって、高潮は優先順位が低いでしょうから予想外です」と書いてしまったのですが、このWikipediaによると、以下のように日本では数千人の死者・行方不明者を出す大きな高潮災害が過去に繰り返されてきたとのこと。東京湾は被害が大きくなりやすい地域のひとつのようです。

<高潮の原因は主として、気圧の低下による海面の上昇と、向岸風による海水の吹き寄せである。これらを「気象潮」と呼び、「天文潮」すなわち潮汐の満潮が重なるといっそう潮位が高くなる。これらの効果は湾のように遠浅の海が陸地に入り込んでいる地形で最も顕著に現れるので、日本では東京湾、伊勢湾、大阪湾、有明海などで、時に数千人の死者・行方不明者を出す大きな高潮災害が過去に繰り返されている[2]。これらの湾では、湾内の海水の固有振動が潮位を更に上げているとの説もある>

 日経新聞に載っていた東京都が公開している高潮浸水想定区域図(想定最大規模)を見ると、東側を中心に東京23区の3割くらいが水没しているように見えます。やはり「東京沈没」は大げさではないかもしれません。また、都が区域図の作製に当たって想定した状況も全くありえないものではなさそうですので、やはり大げさではないという話でしょう。

 都が区域図の作製に当たって想定したのは、中心気圧910hPaという1934年の室戸台風級の台風が、1959年の伊勢湾台風のように時速73kmで移動した場合。そして、このような台風が、東京湾に最大規模の高潮を発生させるルートでやってきた場合だそうです。20世紀に実際にあった台風を参考にしており、大げさではないと感じます。

<浸水が想定されるのは江東区など17区に及び、浸水面積は約212km2(引用者注:東京23区の面積は627.57km2ですので、212km2は34%)に上る(河川での洪水や、堤防の決壊も想定)。浸水想定区域内の人口は約395万人(昼間)だ。想定浸水深は最大約10mで、排水が完了するまで1週間以上もかかる>


●近年高潮被害がなかったのはたまたま 関空水没で実証される

2023/05/13追記:東京の高潮の話の続き。アメリカでは2012年10月、ハリケーン「サンディ」が東海岸に上陸し、ニューヨーク市などで大規模な高潮被害をもたらしました。国交省や防災関連学会が13年にまとめたサンディの現地調査報告書では、以下のように書いていたそうです。

「近年、3都市圏ともに大規模な高潮災害がなく、経験した最悪の高潮災害から、それぞれ96年、79年、54年が経過している。これは、この間に進められた堤防・水門等の施設整備の効果というよりも、たまたま大きな台風の直撃を免れてきた僥倖(ぎょうこう)によるものといえる」

 上記で言う「3都市圏」がどこのことを言っているかわからなかったのですけど、とりあえず、東京都などで近年高潮被害がなかったのは災害対策のせいではなくたまたまであり、警戒が必要といった意味のよう。「この指摘が正しいことを証明する出来事」とされていたのが、2018年9月の関西国際空港の水没を起こした台風21号による高潮・高波でした。

<25年ぶりに「非常に強い勢力」で日本に上陸した台風21号による高潮・高波は、関空の1期島のほぼ全域を浸水させた。さらには、強風で流されたタンカーが対岸を結ぶ連絡橋に衝突して約3000人が関空島で孤立するという、ハリウッド映画さながらの光景が繰り広げられた。
 (中略)関空水没は、高潮が過去の災害ではなく現在進行形のリスクであることを突き付けた。台風21号による被害を踏まえて関空で実施しているかさ上げなどの防災対策の事業費は、実に約540億円に上る>


●災害のリスクがあるから公共事業を増やせ…では解決しない理由

2023/08/12追記:前回の記事からもう少し紹介しよう…と思っていましたが、残りは紹介したい話はなし。この残り部分では、筆者を含む3人の記者が共同で執筆した書籍『私たちはいつまで危険な場所に住み続けるのか』を興味ある方は読んでほしい…としていたので、うちでもこちらの紹介をしてみることにしました。

 こうした災害対策では「公共事業を削減した民主党が悪い」(ただし、最近では右派の維新系知事も削減)と叩かれ、未だに災害が起こるたびに「民主のせい」と叩かれます。ただ、これ、根本的にズレていると思うんですよ。というのも、予算が無限ではない以上、優先順位の問題であるためです。

 この書籍の紹介や感想を見ても、やはり「そもそも日本の危険な地域ですべてに完璧な災害対策を行うのは不可能」という話。となると、優先順位を決めてやるしかありません。さらに言えば、私はそもそも危険すぎる地域は公共事業で対策するのではなく、居住禁止にすべきという考え方です。

 「そんなの非現実的!」と思うかもしれませんけど、実際、緩やかな誘導はすでにあるとのこと。また、東日本大震災の被害地域でも住宅を作らせない選択が実際に行われました。これは当初私が心配していたことでしたので、ほっとした良い対応。こうした優先順位を考えた災害対策は絶対に必要です。

<第4章 危険な土地からの撤退
災害から生命と財産を守るには、危険な土地に居住しないことに尽きる。自治体は都市計画や条例で、強制的ではなく緩やかな誘導を図り始めている。危険な土地からの戦略的撤退に勇気を持って踏み出すときがきた。>
<都市計画や条例で危険地の無居住化を目指す/(中略)計画誘導でコンパクトシティーへ緩やかに移行>
<第5章 耐水都市への挑戦
災害のリスクが全くない土地を見つけるのは難しい。そこで重要になるのが、既存の街を浸水に強い「耐水都市」へと変えていく発想だ。>

アマゾンレビュー
<東京大学大学院の片田特任教授へのインタビュー(P.336~)で、片田氏は今の日本では災害時の対策に関して自治体の首長の判断を基準としており、住民が暮らす自治体内で避難する事しか考えておらず、このため自治体をまたいだ広域避難が困難であると指摘する。そして、水害の広域化に対応するためには「本来ならば国家的な危機管理をすべき」で、自治体の首長の権限を超えるような事柄を判断、実行する際に「誰がどのようにイニシアチブを取るかをはっきりさせなければなりません」と主張している(以上P.340)。この点は私も全く同感だ。ただ、例の「コロナ禍」対策における政府の後手後手でお粗末な対応ぶりを散々見せつけられたばかりの今は、よほどの意識改革をやらない限りこの国の政府に「国家的な危機管理」などという芸当はムリだろうと(残念ながら)思わざるを得ない。
 この本を読み終えての率直な感想は、結局「自分の身は自分で守るしかない」という事。(中略)中長期的なビジョンなどまるで感じられず、五輪だカジノだのと目先の利権漁りにばかり熱心な政治家たちや、もはや「日本の伝統芸」の域に達していると思える、横のつながりに乏しい「縦割り・蛸壺型組織」が横行する日本の行政に、過大な期待を抱いてはいけない>

『私たちはいつまで危険な場所に住み続けるのか』(木村 駿 (著), 真鍋 政彦 (著), 荒川 尚美 (著))




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