Appendix

広告

Entries

管理力でノーベル賞受賞も!研究者にも必要なマネジメント・営業力


2014/4/20:
STAP問題で小保方晴子氏を未熟と言った理研・野依良治理事長も未熟だった
研究機関幹部が研究不正の大流行を知らないってありえない…
研究者は研究以外のことは未熟でも仕方ない?
研究者にも必要なマネジメント・営業力
マネジメント力のない人が出世するなど評価方法に問題あり
2018/09/25:
管理力でノーベル賞受賞も!研究は素人のバリー・バリッシュ氏が受賞
アメリカ流は日本には無理…ただマネジメント力は必要


●STAP問題で小保方晴子氏を未熟と言った理研・野依良治理事長も未熟だった

2014/4/20:STAP細胞論文問題の中間報告のときに、小保方晴子研究ユニットリーダーのことを「未熟」と表現した理研の野依良治理事長。その野依理事長を「未熟」と言ってしまうときっとお怒りになるでしょうが、そのような論調は存在しています。

 小保方晴子氏を「犠牲者」にした独立行政法人・理研の組織的欠陥(井上久男「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社] 2014年04月05日)という記事自体は、「学位論文でコピペを否定していたら、多くの学生は学位が取れない」という本末転倒かつ「博士」の価値を貶める発言を何の疑問もなく載せているのなど、むしろ問題を感じるものでしたが、その中に野依理事長の未熟さを示すエピソードがありました。
独法化と同時に役員に相当する理事に旧科学技術庁(現文部科学省)からの天下りも行なわれるようになった。現在、理事長以下6人の理事のうち2人が旧科学技術庁出身者だ。

「理事長の野依氏にはマネジメント能力がない。2人の天下り官僚に牛耳られて、研究の現場を知らないこうした人たちが早く成果を出せと言って、理研をおかしな方向に導いている。一般論として霞が関のキャリア官僚の中で旧科学技術庁と旧文部省は能力の低い役人が多い」(前出ベテラン研究者)。

成果を性急に求めると同時にその成果を対外的に公表していこうと、広報機能も強化された。公的資金も入った研究成果を世に知らしめることは悪いことではないが、実力もないのに所属する研究者を売り出そうとしたり、研究成果をマスコミ記事に掲載させたりする動きも強まっていたという。

この問題が発覚する前に、小保方氏が割烹着を着てテレビで取り上げられたりしていたが、これも世間受けを狙った「過剰演出」と言えるのではないか。

そして、研究手法の一部に問題があることが指摘され始めると、梯子を外したように組織風土の問題には頬被りして、小保方氏個人の問題として片付けようとしている姿が垣間見える。

企業の不祥事の際にも個人の責任として押し付ける、よくあるパターンだが、理研は民間企業の悪いところだけを真似しているのではないか。

●研究機関幹部が研究不正の大流行を知らないってありえない…

 私が野依理事長が研究機関の幹部として向かないなぁと感じたのは、以前理研の野依良治理事長、過去に3300万申告漏れ 脱税で追徴課税になどで書いたところです。研究にとって大切な事前の不正防止も、問題発覚時の対応もないがしろにされすぎです。

 なお、先の記事では天下り官僚に言われて成果主義に陥ったように書かれていますが、これもまた間違っているっぽいです。就任時から野依理事長はそういう方針だったと報道されています。

 「民間企業の悪いところだけを真似している」とあったように、権力欲の強いトップが不祥事隠しで組織防衛というのは民間企業でもありがちなのですが、普通は良い例ではなく悪い例として認識です。やはり研究機関の幹部としてふさわしいとは言えないでしょう。

 一方、今回の問題では、権力欲は感じないものの、横行している研究不正問題をそもそも把握していなかった方や「未熟」な小保方晴子さんを登用・重用してしまった方、内容のチェックがずさんでおかしな点を見逃したなど、リスク管理に問題がある人ばかりです。

 以前も書いたように、研究能力はあっても管理能力に劣る人が出世してしまったというのが、今回のSTAP細胞問題をいっそう混乱させたと私は思っています。研究者として優秀なことと、マネージャーとして優秀なことは異なるのです。


●研究者は研究以外のことは未熟でも仕方ない?

 で、そういった中で、STAP細胞の報道に感じる違和感、研究マネジメントも研究のうち(日経テクノロジーオンライン 竹内 健=中央大学教授 2014/04/07 14:13)という記事が出ていました。STAP細胞の事件について以下のような報道があり、それについて疑問を感じるというものです。

「研究者は研究に熱中しているので、マネジメントができなくて仕方ない」
「日本は余裕がなくなって研究者は研究に集中できなくなっている」
「30代の研究者は研究以外のことは未熟」

 竹内 健教授は、むしろ理研や産総研のような独立行政法人(独法)や大学のように、公的な資金(税金)を頂いて研究を行う研究者にとって、研究マネジメントは研究と同じくらい重要だとしていました。

 私は「研究者として優秀なことと、マネージャーとして優秀なことは異なる」と書きましたが、研究者はマネジメントができなくて良いという意味で書いたのではありません。むしろ上記の竹内健教授の意見には強く賛同します。

 研究者ではありませんが、以前欧米の技術者に「専門家」は禁句 スペシャリストは低評価、プロが良いというのを書いています。海外の技術者はマネジメント能力が重要であり、日本のような「専門家」は評価が低いという話です。

 私が習った大学の教授は「今は昔と違い、一人で研究だけやっている研究者はいない。複数の専門家で協力していかなくては現在の研究はできない」といったことを断言していました。ただ、今回のSTAP細胞問題ではそういった管理がうまくいっていなかったことを示しています。

 また、管理能力がなくても成果を出せる研究というのがまだあるとも考えられますし、昔ならなおさらそうだったのでは?とも想像できます。さらに部下の成果を盗みながら評価されていく研究者というのもいるでしょう。こういった人を通常「優秀なマネージャー」とは言いませんが、そういう人たちが出世するというのは民間企業でもありがちです。これらは評価方法に問題があります。


●研究者にも必要なマネジメント・営業力

 それから、竹内教授は営業能力についても指摘していました。私のいた大学でも国策に合うような研究内容の説明を工夫したり、民間資金を獲得したりしていましたから、これも実感があります。
(ただ、「国策に合うような研究内容の説明」は、無理矢理なこじつけもあるので問題含みです。でも、そうしないとなかなか資金を貰えないというジレンマがあります)
 独法や大学の研究者は研究の提案書を出して、数倍から数十倍もの競争的資金を獲得しなければ研究を実施することは難しいことが多い。研究資金のほとんどが税金ですから、財政難の日本では仕方のないことです。大型の資金を獲得したら、顕著な研究成果を出して論文を書くだけでなく、プレスリリースなど広報活動を積極的に行うことも求められます。

 更に、私のような産業界と近いITのような分野では企業と連携し、研究成果を製品として実用化することも強く求められます。(中略)資金を得るためには研究提案書を提出する研究の初期段階から企業との連携を求められることも多く、研究者には連携して頂ける企業を探す「営業」も求められるのです。(中略)

 このように大学の研究者にとって、研究をマネジメントすること自体が、研究の重要な一部なのです。「研究者は研究に集中していればよい」というのは現実から随分かけ離れていると感じます。私は企業でも研究を行っていました。企業から大学に移った時には、企業に居た時よりもはるかにマネジメントの仕事をしなければいけない現実に戸惑いました。

 しかし、考えてもみると、大学や独法の研究者には企業の研究者と比べるとはるかに研究に関する自由があります。研究資金を頂いたら成果を出すことは必要ですが、企業の研究者のように、製品を開発して売り上げを立て、ビジネスとして成功させることを求められているわけではありません。

 むしろ、大学や独法の研究者が研究のマネジメントをしなければいけないのは、研究の自由を得るために必要なことなのではないでしょうか。「フリーランチはない」ということです。何か利益を得るためには、何らかのコストを払わなければならない。

 「フリーランチ」ってのはビジネスでよく使われますが、「タダ飯」ってことです。要するに「タダ飯食らい」のような都合の良いものは、現実にはないよという話です。

 不正を糾弾する研究者を悪く言いたくはないのですが、不正研究を無くす提案が実質的に「口は出すな。金だけ出せ」となっているものがあり、残念です。それはさすがに甘過ぎで、研究者らの世間知らずなところが出ていると思います。

 ただ、一方で研究の世界では非主流からノーベル賞級の発見が出たり、実用性のない地味な基礎研究が大事だったりというので、単純に流行りの分野に税金ぶち込んでおけというのがマズいというのもわかります。

 ですので、私は「成果主義」と「口は出すな。金だけ出せ」の二択にはするべきじゃないと思いますが、ここでは「お金はほしい。でも、好きにやらして」は甘いとだけ書いておきます。


●マネジメント力のない人が出世するなど評価方法に問題あり

 何だか随分ととっちらかって、まとまりなくなってしまいました。とりあえず、今回のSTAP細胞における論文そのものの問題や不正疑惑発生後の収拾のつかなさからすれば、関係者のマネジメント能力に問題がなかったとは到底言えません。

 では、何が問題だったか?というと、評価方法の問題というのを一つ私は推しておきたいです。

 「研究者として優秀さ」と「マネージャーとしての優秀さ」がイコールであれば割と楽なのですが、実際には今回のような問題が置きました。理想論は別として、今はイコールとなっていないというのを認めなくてはいけませんから、ここらへんの評価の仕方を改めなくてはいけません。「できる部下ができる上司にならない」というのは民間でもある問題ですね。

 また、「研究者として優秀さ」を計るのがまた大きな難問であり、不正研究が横行するというのも、そもそも研究論文の価値が正しく評価されていないためです。やはり評価方法の問題だと言えます。

 そして、この「研究論文の評価」がまた難しく、議論百出となっているところであり、一朝一夕には行かないところです。正直、これらにスパッとした解決策はなく、議論を重ねながら試行錯誤でやって行くしかないでしょう。

 ただ、現状の研究論文の評価とそれに基づいた研究者の評価、そしてそれに基づく人事に問題があることは、今回のSTAP細胞論文の騒動で嫌というほどはっきりしたと言えます。


●管理力でノーベル賞受賞も!研究は素人のバリー・バリッシュ氏が受賞

2018/09/25:マネジメント・営業力に関するところで、ものすごい例が出ていました。研究ではなく主にマネジメント能力でノーベル賞を取ったと思われる方がいるのだそうです。カリフォルニア工科大学名誉教授で、重力波を初観測したLIGOという研究グループの所長を務めたバリー・バリッシュさん(81)がそうだと言われていました。

・以前は、素粒子と呼ばれる物質を形作るもっとも基本的な粒子を探す、加速器という装置の開発に携わっていて、重力波は専門外。「バリーは重力波に関しては素人」と言う研究者も。
・所長という仕事は「管理職」のような響きがあり、一般的な「科学者」というイメージとは少し異なっているようにも見える。
・「これまでのノーベル賞は対象となる研究成果を発表した論文の主要な著者に贈られるものだと考えられてきた。バリッシュ氏のようなプロジェクトリーダーが、観測施設の建設や組織の運営を評価され受賞したケースは聞いたことがない」「特に現代の物理学の実験は大型化し、“ビッグサイエンス”と呼ばれるプロジェクトがどんどん増えている。プロジェクトリーダーはその成功の鍵を握る重要な存在であるということが示された点で受賞の意義は大きい」(科学技術・学術政策研究所の赤池伸一さん)
・計画に実現性がなく、1994年までLIGOは建設が進まず。バリッシュ新所長が、2段階で経験を積みながらLIGOを建設する計画に変更し、現実的だと評価され、予算の増額を勝ち取る。
・優秀な人材を確保することにも尽力。その一環で、各国から参加する全ての研究者が平等に研究の機会を与えられるよう、調整する組織もつくる。
・LIGOのメンバーでカリフォルニア工科大学の山本博章上級研究員は、観測に成功した理由として、「マネジメントの層の厚さ」を挙げていた。LIGOの仕事だけに専念していて、大学の業務などに追われることはないディレクター、サブディレクター、プロジェクトマネージャー、科学者の上に立つ責任者、エンジニアの上に立つ責任者等々が、現場の状況をくまなく把握していた。
(「重力波」ノーベル賞“異例”の受賞にみる日本の科学技術の行く末 | 新・科学の世紀 | NHKオンライン 2017.12.20より)


●アメリカ流は日本には無理…ただマネジメント力は必要

 上記記事のタイトル後半の「日本の科学技術の行く末」というのは、日本ではこういうことができないだろうという話。ただし、マネジメント能力以前にお金がかかりすぎるという問題があります。金銭的に不可能ですので、私はこの路線はきっぱり諦めるべきだと考えます。精神論では解決しないところです。

 ですので、私は一極集中で大規模予算をつぎ込むプロジェクトではなく、広く投資すべきだと考えています。日本でノーベル賞を取ったり、ノーベル賞候補になったりしている研究で多いのが、予想外のところからの発見です。そもそも予測が難しいので、国が予算を偏らせると逆に研究の質が下がると思われますし、実際、日本の研究論文の質は下がりまくっています。

 ただし、マネジメント力自体は、LIGOのような巨大プロジェクト以外でも必要でしょう。取材では必ずしもアメリカ流だけが望ましいわけでないという意見も出たものの、共同研究において、マネジメントに長けた人が必要だということについては、ほとんど異論がなかったといいます。


【本文中でリンクした投稿】
  ■欧米の技術者に「専門家」は禁句 スペシャリストは低評価、プロが良い
  ■理研の野依良治理事長、過去に3300万申告漏れ 脱税で追徴課税に

【関連投稿】
  ■地質年代チバニアン、捏造指摘で審査中断 茨城大は事実無根と反論
  ■日本人が逃した3Dプリンター特許 発明者・小玉秀男はランク賞受賞
  ■ニュートンは科学者ではなく魔術師 錬金術とキリスト教研究に夢中
  ■大スターだったポストモダン思想家を葬り去ったソーカル事件の衝撃
  ■過小評価な女性エンジニア・マーガレット・ハッチンソン ペニシリン量産の立役者
 ■科学・疑似科学についての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

世界一スポーツ選手の平均年収が高いのはサッカーでも野球でもない
チャッカマンは商標・商品名 じゃあ正式名称・一般名称は何?
ジャムおじさんの本名は?若い頃の名前は?バタコさんとの関係は?
ワタミの宅食はブラックじゃなくて超ホワイト?週5月収10万円
朝日あげの播磨屋、右翼疑惑を否定 むしろ右翼に睨まれている?
レーシック難民は嘘くさいしデマ?アメリカの調査では驚きの結果に
赤ピーマンと赤黄色オレンジのパプリカの緑黄色野菜・淡色野菜の分類
アマゾンロッカーってそんなにすごい?日本のコンビニ受け取りは?
就職率100%国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
ミント・ハッカでゴキブリ対策のはずがシバンムシ大発生 名前の由来はかっこいい「死番虫」
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台
ビジネスの棲み分け・差別化の具体例 異業種対策には棲み分けがおすすめ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
トンネルのシールドマシンは使い捨て…自らの墓穴を掘っている?
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由
好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?
大塚家具がやばい 転職社員を通報、「匠大塚はすぐ倒産」とネガキャン
不人気予想を覆したアメリカのドラえもん、人気の意外な理由は?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由