ごみの分類関係の話をまとめ。<雑がみ・紙ゴミ、自治体によって紙ひもとビニール紐で違うのなぜ?>、<古紙類は海外業者が処理…しかし、日本人のマナー低下で受取拒否も>、<金属クリップOK、ビニールひもはダメという業者も…その理由は?>、<日本は過去に再生紙の古紙利用比率を偽装 大気汚染でも捏造>などをまとめています。
2023/01/29追記:
●国内でも紙をリサイクル なんとシュレッダーなしの機密書類使用
●金属クリップOK、ビニールひもはダメという業者も…その理由は?
2023/04/28追記:
●日本は過去に再生紙の古紙利用比率を偽装 大気汚染でも捏造 【NEW】
●雑がみ・紙ゴミ、自治体によって紙ひもとビニール紐で違うのなぜ?
2020/05/10:以前から不思議だったのが、雑がみなどと呼ばれる紙ゴミを集めるルールが自治体ごとに異なることです。袋に入れる・入れないの差もあるのですけど、私が気になっていたのは、束ねるタイプの回収方法の違い。束ねる紐を紙紐のみとしているところと、指定なしのところがあることです。
例えば、
集団回収とは? 堺市では、新聞について、<できるだけビニール袋やビニールひもではなく、紙ひもを使ってください>となっています。その他の古紙についても、<できるだけビニール袋やビニールひもではなく、紙ひもを使ってください>とされていました。この措置は、ごみを含めて全部紙にするということで理解しやすいものです。
<古紙を出す時は、紙ひもを使うのが最適です。ビニール袋やビニールひもを使うと、ごみが余分に発生すること、手作業でビニール袋やひもを除去するのに手間がかかることなどから、できるだけ紙ひもを使ってください。紙ひもは、古紙と一緒に再生されます>
●紙じゃないのに…ビニールひもでも良いという自治体も多い!
ただ、紙ひも指定ではない自治体も多いんですね。上記の例でもその他の古紙では、<できるだけ>にとどまっているケースでした。また、
3 古紙を出すときにビニールひもやビニール袋を使ってもかまいませんか? 横浜市青葉区も、ビニールひもでも良いよという自治体です。
<リサイクルを進める観点から、紙以外のものが混入することを避けるため、新聞や雑誌などは、なるべく紙ひもや紙袋を使用していただきたいのですが、手元にない場合はビニールひもでしばっていただいても大丈夫です>
ビニールひもでも良い理由で私が想定していたのは、大きく2種類。一つが多少の混入物があっても、品質が低い再生紙などリサイクルの品質を落とすことで対応できるという可能性。もう一つが、業者の方で、手作業あるいは機械的に分別しているために、異物が多少あっても対応できる可能性があるというものでした。
ただ、先程の説明では、<ビニール袋やビニールひもを使うと、ごみが余分に発生すること、手作業でビニール袋やひもを除去するのに手間がかかる>というものが出てきていました。となると、どうも手作業という地道な方法で分類していると考えた方が良さそうです。これだとどうしても人件費が高くついてしまいますね。
●むしろビニール紐の方が良い 紙ひもは馬鹿な公務員の考えること説
で、かつてから気になっていたこの話を検索していると、「むしろビニール紐以外考えられない。紙ひもが良いとか馬鹿じゃねーの?」といった感じの話が出てきました。リサイクル業者さん自身の情報ではないのですけど、ここによれば、回収業者も紙ひもを嫌っているということになっています。
<以前、「古紙回収を行政が義務化した」際に、清掃局がいろいろと制度を作ったんですが、その中に、「紙類を資源回収に出す際は、ビニール紐は使ってはいけない。紙紐を使いなさい」と命令した>
<その根拠は、「ビニール紐だと、リサイクルをするときに、そのビニール紐を切って取り除くという作業が必要になり面倒。紙紐なら、そのまま、古紙といっしょにリサイクルできるから楽」というものです。この理論、わかります。ええ、おっしゃるとおりです。でも、現実は甘くありません>
(
紙紐 なんか使わないよ! バカな公務員の古紙回収政策 管理人は超つらいよより)
作者は、ゴミ回収制度が変る際の市民説明会に「紙紐は硬くて柔軟ではない。きつくしばれないから、まとめた古紙がゆるんで崩れる。トラックに積み込む際に、ひもがほどけて、散乱する可能性があって危険」などと指摘。しかし、妨害人物として会場からつまみだされたとのことです。
●それ見たことか!紙ひもを指定した自治体、わずか3ヶ月で撤回
で、実際やってみると、その自治体では誰にとっても良くないもので、文句ばっかりだったとされていました。
・住民には結束しにくい。
・マンション管理人は、整理しようとして持ち上げたら、紐が切れて、雑誌が散乱。
・回収車のトラックに積みあげる回収業者の人も、「こんなの困るよ。紙紐だとちゃんと結べないんだよ」と愚痴ばかり。
・古紙回収の専門業者自身が、「市が勝手に決めやがって、困るよ。これじゃ、回収作業に時間がかかって効率が悪い」と嘆く。
当然、市にも苦情が殺到し、わずか3ケ月後に、市の広報の隅っこのほうに、「紙紐だけじゃなくて、ビニール紐でもいいですよ」という修整記事が掲載され、こっそりと、あっけなく、制度変更されたそうです。
ただし、前述の通り、他の自治体では現在でも「紙ひもでなければいけない」というところが結構あります。現在の紙ひもは弱点とされた結束の緩さが改善されたんですかね。私は特に使いづらいと思ったことはありません。
あとは回収業者の方針の違いという可能性もあるのではないかと思います。そもそも紙ゴミを分別して回収しない自治体があるなど、地域によってかなりルールが異なりますよね。おそらく自治体が契約する業者によって、今回のひも以外の扱いも相当いろいろ違うのではないかと私は想像しています。
●古紙類は海外業者が処理…しかし、日本人のマナー低下で受取拒否も
2020/07/25:紙ではないビニール紐は、手作業で取り除いているという話を最初のときに書いていました。これは同時に、人件費のかかる方法だとも当時書いています。で、これらの処理はそもそも海外でやっているみたいですね。これだと人件費は比較的少なくて済むと考えられます。
ところが、その海外でも割りに合わなくなってきているという話がありました。理由は日本人のマナーの悪さです。
全国的に古紙類の回収が困難になっています:我孫子市公式ウェブサイト(2020年5月1日)によると、以前は、中国やインドネシアの業者が、ほぼ検査なしで日本の古紙類を輸入していました。検査なしなら人件費は安くて済むと考えられます。
ところが、2~3年前(2017年頃)から輸入される古紙類に混入する不純物検査が厳しくなったことに伴い、国内で流通する古紙類の価格が大きく下落するとともに品質競争が激化しているとのことでした。「2~3年前から」ということで、新型コロナウイルスの影響ではなく、そのずっと前からみたいですね。
我孫子市は最初のときに書いた人が忌み嫌っていた紙ひも方式だったのですが、だからこそ検査なしでもOKだったのかもしれません。ただ、この紙ひもルールが守られなくなった他、紙の種類による分別や古紙類以外の異物を混入があり、2019年末には業者が回収を休止する事態にもなっていたとのこと。今後も受取拒否の可能性があるといいます。
異物混入の具体例としては、金属が付いたアルバムやバインダー、銀紙、レシート等の感熱紙、紙状の梱包材、においや汚れの付いた紙、壁紙など。ここらへんはまだマシで、ビニール袋に入った缶、びん、プラスチック、蛍光管、かご、陶器、ドライヤー、かぼちゃなどの写真が載っていました。ビニール紐レベルの問題ではなさそうですね。
●国内でも紙をリサイクル なんとシュレッダーなしの機密書類使用
2023/01/29追記:紙ごみの異物混入関係で、
機密書類 禁忌品のご案内 | 王子斎藤紙業株式会社というページをブックマークしていました。前回「古紙類は海外業者が処理」という話を書いたのですが、全部海外ということではなく、国内でやっているところもあることがまずわかります。
このページは「機密書類 禁忌品のご案内」というタイトルで、なおかつ「いつも機密書類を出してくださってありがとうございます」という書き出しになっており、思わずぎょっとしてしまいました。写真例を見るとシュレッダーされていないのですが、機密書類であってもそのままリサイクルしているのかもしれません。
「機密書類」であることは、国内処理とも関係がありそう。海外だとリスクが高い…という理由も考えつかなくはないのですが、私が真っ先に思ったのは要するに業務用のゴミであるということ。一般人が出すゴミよりも分別がしっかりしている可能性が高く、そのために人件費の高い国内でも処理可能なのではないか?と思いました。
●金属クリップOK、ビニールひもはダメという業者も…その理由は?
ただ、「機密書類 禁忌品のご案内」というタイトルでわかるように、業務用のゴミでも異物混入があるみたいですね。「処理をお断りする可能性もございます」とのこと。結局、業者ごとにやり方が異なる可能性がありますが、以下、王子斎藤紙業のルールを一部紹介します。金属クリップOK、ひもはダメ…などは意外です。
〇混入して問題のないもの
<表紙が紙製のバインダーやファイルは中の書類と共に溶解処理され、残った金具やホチキス、クリップ類は全て溶解炉の底に沈みこんで溶解された書類と同時に除去することが可能です>
△多量に混入するとトラブルの可能性があるもの
・綴じひも・ビニールひも
<多量に混入することでひも同士が絡まって大きな玉状の異物となるため溶解炉の排水口を詰まらせる等のトラブルを引き起こす原因となります>
・カーボン紙(宅配伝票の複写紙)
<裏面に複写の為の特殊なインクが付着しておりこのインクが多量に混入すると再生される紙製品にインクが付着・してしまい色が付いてしまいます>
・感熱紙(レシート・ジャーナル)
<感熱紙は読んで字のごとく熱を感知して印字する紙です。紙の抄造工程には熱を加える工程が存在しますので原料に多量混入されていると熱を加えた時に紙製品に色が出てきてしまいます>
×混入するとトラブルまたは製品に悪影響を及ぼすもの
・写真
<古紙を再生させるためには紙に水を含ませながら紙繊維に戻るまで細かくほぐしていきます。その為写真のように特殊な加工がされていて水が浸透しない、破れないようなものについてはたとえ紙であっても再生に適しておりません>
・ビデオテープ
<書類などと一緒に記録媒体の保管をされているお客様よりまれに混入のあるビデオテープですがもちろん溶解される事なく、中のテープ類がからまって、ひもと同様に大きな玉状の異物となり溶解炉の排水口をつまらせてしまうトラブルの原因となります>
・レントゲン写真・シネフィルム
<病院関係のお客様より良く御相談をいただきますがクリアファイル同様にバラバラになったカスがパイプのつまりをひき起こしてしまいます>
・布類
<布類は水に溶けないことはもちろん、溶解工程で機械に絡まったり、一度トラブルが発生すると取り除くのが非常に大変です>
●日本は過去に再生紙の古紙利用比率を偽装 大気汚染でも捏造
2023/04/28追記:最近じゃないのですけど、この話を読んでいてそういや再生紙の古紙利用比率について、日本メーカーが偽装していた…という事件があったなと思い出しました。この話は当時個人的にはショックだった話。
再生紙、まさかの不信 リサイクル優等生・製紙各社が古紙配合率を偽装(朝日新聞 2008年02月04日)として、記事のタイトルにもなっているように、紙は当時リサイクルが最も進んだ分野とされていたため余計衝撃でした。
<「再生紙」への不信が急速に広がっている。古紙を混ぜる割合を日本製紙など製紙各社が偽っていたことが発覚。17日も業界首脳らが相次ぎ陳謝して回ったが、複写機メーカーなど顧客企業がコピー用紙の取引を中止するなど不買の動きも出てきた。リサイクルの優等生のはずだった製紙業界が、なぜこんなことをしたのか。消費者をだました「エコ偽装」のツケは重く、混乱は当分おさまりそうにない>
<業界最大手の王子の幹部は17日、遅くとも06年から再生紙の古紙配合率の偽装が始まっていたことを明らかにした。「談合ではないが、業界ではみな知っていたと思う」(幹部)。この通りなら、王子首脳の責任を問う声が強まるのは必至だ。
製紙会社からコピー用紙を仕入れて顧客に売っている複写機メーカーは17日、相次いで日本製紙との取引中止を決めた>
製紙各社が偽装に走った理由について、経済産業省の加藤庸之・紙業生活文化用品課長は、「再生紙の品質と古紙配合率を両立できないということなのでは」と推測。以下のような説明がありました。ただ、技術的に無理だから偽装して良いという話にはなりません。正直に言えば良かったのに嘘をついたことが問題なのです。
<再生紙は古紙を溶かしてインクを抜き、通常のパルプに混ぜてつくる。最近は家庭用プリンターの普及で、求められる品質が高まるが、日本製紙は「(年賀はがきの品質の維持には)当社の技術では、(古紙の)配合率は1~5%が限界」(中村社長)という。
製紙業界には、高い配合率が必ずしも環境に優しいわけではない、との主張もある。品質維持には、燃料の重油や、紙の色を白くするための化学薬品が多く必要で、二酸化炭素の排出量も増える、という理屈だ。ただ、製紙各社はそうした事情を、日本郵政などの顧客に率直に伝えなかった>
日本製紙は当初、工場内で発生する「損紙」も古紙の材料にすれば40%でも品質を維持できるとみて年賀はがきを受注。どうも競争が激しかったために、高いリサイクル率を掲げて仕事をゲットしたようです。ところが、その後、古紙とは認められないと判明したと説明。要するに金儲けのため…という全く擁護できない話ですね。
当時、いち早くリサイクルの仕組みを確立したはずの再生紙での偽装の発覚に、専門家からは「環境重視のかけ声が先行する中で、他業界を含め、エコをうたう商品は本物なのかという疑問がわきかねない」(大和総研の河口真理子・主任研究員)との声が出ていたそうです。これは今でも同様の懸念があります。
なお、日本製紙や王子製紙など15社25工場では大気汚染防止法違反事件も発覚。計測値を記録するペンを記録紙から離したり、計測値を書き換えたりといった隠蔽行為が各地で行われていたそうです。「法令順守」を甘く見る業界なのではないかと見られていました。が、その後の日本は自動車など他の業界でも不正ブーム。製紙業界固有の問題とは思えません。
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