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インド・モディ首相 ヒンズー至上主義者と反イスラム主義者としての顔


 インドの首相なんて興味ある人いるの?ということで書いていなかったんですが、急に思い立って過去に読んだ記事から。(2014/4/26)

2017/08/31追記:
モディ首相「4時間後に紙幣が使えなくなるぞ」
お金持ち狙い…のはずが庶民が大混乱


●インド・モディ首相 ヒンズー至上主義者と反イスラム主義者としての顔

2014/4/26:「モディ首相」と書いていますが、正確には「モディ次期首相」です。ただ、首相となることは確実と言われています。(2017/08/31:その後首相となりました)

 私が読んだ以下の記事でも冒頭に"ナレンドラ・モディ氏は恐らく、次のインド首相になるだろう"と書いています。しかし、直後にこう続けています。

"だが、だからと言って、そうなるべきだというわけではない"

インド総選挙:ナレンドラ・モディ氏を止められるか?:英エコノミスト誌 2014年4月5日号
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40376

 タイトルからして「ナレンドラ・モディ氏を止められるか?」であり、モディさんが首相になることは望ましくないといった言い方です。その理由は、イスラム教徒に対する虐殺問題があります。
 第1の理由は、2002年にグジャラート州で起きたイスラム教徒に対するヒンドゥー教徒による暴行事件だ。アーメダバードと周辺の町や村で、すさまじい殺人とレイプがあり、1000人以上が殺害された。この暴行は、イスラム過激派と見られるグループにより列車が放火され、ヒンドゥー教徒59人が死亡した事件に対する報復だった。

 モディ氏は1990年に、アヨディヤにある聖地でのデモ行進の組織化に手を貸し、それが2年後に、死者2000人を出したイスラム教徒とヒンドゥー教徒の衝突につながった。

 モディ氏は若い頃からヒンドゥー至上主義を掲げる民族義勇団のメンバーで、その信念に従って生涯独身を誓っており、政治家としてのキャリアの初期には、イスラム教徒に対するヒンドゥー教徒の憎悪を臆面もなく煽る演説をしていた。グジャラート州首相を務めていた2002年の暴動時には、虐殺行為を黙認したと非難され、扇動したとさえ言われた。

●側近や閣僚の迫害の関与が裁判で判明

 Wikipediaによれば、"後の裁判で、モディ自身は事件に関与していないとされた"ということではあります。しかし、"一部側近は事件に関与したと判断された"ということで、やはり問題。日本で言えば、安倍首相の側近が虐殺行為に関与したと認定されるようなものですからね。

 また、"インド国内の多くの地域や海外では、モディ氏は2002年にグジャラート州で起きた宗教暴動と結びついた形で記憶されている"とロイターも書いています。この記事では閣僚が有罪という話も出ています。これも日本で言えば、安倍首相の閣僚が迫害で有罪判決が出たということですから、衝撃的です。
〔焦点〕次期インド首相候補として頭角現すグジャラート州首相、過去の宗教暴動で傷も 2012年 10月 30日 17:09 | Reuters

 当局の発表では、暴動ではイスラム教徒を中心に1000人以上が死亡したとされているが、NGOや他のグループは、死者は2000人に達したと主張している。

 その結果、モディ政権は「犯罪政権」とみなされ、西側諸国から全く相手にされてこなかった。(中略)

 モディ首相の将来は、グジャラート州の好調な経済を持続させ、多くのインド国民、特にイスラム教徒の不信感を払しょくできるかどうかにかかっている。

 政治アナリストのParanjoy Guha Thakurta氏は「モディ氏はインドの企業家らの大きな期待を集める可能性があり、彼らがインドの首相になってほしいと公言する唯一の人物だ」としながらも、「モディ氏はイメージを改めるためあらゆる手を尽くしているが、イスラム教徒を攻撃の標的とし、虐殺した時代の記憶を拭い去ることはできないだろう」と語っている。

 本人は強く否定しているものの、2002年の暴動の際、モディ首相はイスラム教徒虐殺を止めようとせず、むしろ密かに暴動を煽っていたと非難されている。

 当時、モディ政権の閣僚だったMaya Kodnani氏は、ヒンズー教徒に凶器を渡し、イスラム教徒攻撃をそそのかしたとして、禁固28年の刑を受けている。
(Matthias Williams、Annie Banerji 記者;翻訳 長谷部正敬)
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPTK822543820121030

●いつまでも恨みは忘れない…モディ首相の性格

 また、ロイターは性格についても少し書いていました。
 <恨み忘れぬ性格>

 モディ政権の当局者や現地の企業関係者はモディ首相の人物像について、記憶力が優れ、細かなことまで関心を示し、比類ないほどのエネルギーや説得力を持っていると表現する。しかし、その一方で、復讐心が強く、いつまでも恨みを忘れず、反対派を容赦しない人物だと説明している。

 匿名を条件にインタビューに応じたある政府関係者は「もしあなたがモディ首相から嫌われていれば、あなたの未来はないだろう」と語った。

 モディ首相はグジャラート州北部の中流下位の家庭に生まれ、若いころは家族で切り盛りしているお茶の屋台で働いていたとされている。その後、ヒマラヤの山地を「神を求めて」放浪した後、現在の国政野党であるインド人民党(BJP)の理論的親団体であるヒンズー至上主義組織「Rashtriya Swayamsevak Sangh(民族奉仕団)」で頭角を現した。

 また、彼は禁欲的な生活スタイルやヨガ愛好者としても知られている。

 現地メディアによると、若い時に結婚歴があるとされているが、本人はそれを認めていない。

 結婚はつい最近になって実は認めまています。いくつか記事を読んでいても触れられていなかったのですが、上記の「禁欲的な生活スタイル」というイメージを守るために認めたがらなかったんででしょうか? 何で隠していたの?と当時は不思議に思いながら読んでいました。
長らく妻はいないとしてきたが、総選挙に立候補するとき、書類に配偶者欄に記入して提出、妻がいたことを告白した。結婚生活は破綻しているという。(Wikipedia)

●イスラム教徒を犬に例えてまた一騒動

 最初のエコノミスト誌に戻ります。"モディ氏を擁護する者も多い"そうです。
 特に財界エリートに多いが、そうした擁護者たちは、2つの点を指摘する。第1に、独立性の高い最高裁によるものを含むたび重なる調査で、モディ氏に暴動の責任を問うべき点が何も見つからなかったこと。そして第2に、モディ氏が変わったということだ。(中略)

 どちらの主張も、あまりにも寛大すぎる。暴動の調査で結論が出なかったのは、1つには多くの証拠が失われたか、意図的に消されていたからだ。そして、2002年の暴動における事実が曖昧であるように、事件に対する現在のモディ氏の見解もはっきりとしない。当時起きたことを説明して謝罪すれば、モディ氏は暴行事件から決別することができるはずだ。にもかかわらず、モディ氏は事件に関する疑問に答えるのを拒んでいる。

 "事件に触れた数少ないコメントとして、車に轢かれた子犬を悼むのと同じように、イスラム教徒の受けた苦しみを遺憾に思っていると述べた"ことだそうです。しかし、これはイスラム教徒を犬といっしょとみなすような発言であったせいか非難を浴び、「ヒンドゥー教徒はあらゆる命を大切にしているという意味だった」と釈明することになったそうです。

 これ、犬ってのはまたマズかったんじゃないですかね? つい最近やったもので、イランで飼うことができるペット・猫○犬× 政府が西洋化だと禁止というのがあります。知ってて言ったのか、知らずに言ったのかは不明ですが、犬はイスラム教徒にはかなり嫌われている動物のようですので、最悪のたとえでした。


●でもインドでは人気のモディ首相

 モディさんにはイスラム嫌いなエピソードはまだあります。
 BJPの他の指導者たちと異なり、モディ氏はイスラム帽をかぶるのを拒んでいる。また、2013年にウッタルプラデシュ州で暴動が起きた際も(犠牲者の大半はイスラム教徒だった)、暴動を非難しようとしなかった。

 でも、最初に書いたようにモディさんは首相になるでしょう。ひとつは日本やアメリカなどどの国でもそうであるように、首相や大統領の選択肢は極めて少ないためです(インドは大統領選ではないので、政党への支持による間接的な選出)。相手が他の面でダメダメなら、消去法でよりダメじゃない方が選ばれるのです。

 もう一つはモディ次期首相が嫌うイスラム教徒は少数派で、礼賛するヒンズー教徒の方が多数派であるということです。この場合、イスラム教徒の支持を失ったところで、選挙結果には大して影響がありません(政権運営的には火種となり得ますが)。そこらへんは書かれていませんが、むしろ一部のヒンズー教徒にはウケが良いかもしれません。異文化や異民族叩きで人気を稼ぐというのはこれまた他国でよく見られるケースです。

 とりあえず、民衆にも財界にも人気があるのですから、首相となって当然という感じでしょう。


●モディ首相「4時間後に紙幣が使えなくなるぞ」

2017/08/31:海外の話は読まれないだろうなと思ってやめることが多いです。でも、追記ならいいかということで、「4時間後に紙幣が使えなくなる」インド経済をマヒさせた衝撃宣言 | 金融市場異論百出 | ダイヤモンド・オンライン(2017.7.27 加藤 出)という記事から。

 2016年1月8日の午後8時、インドのナレンドラ・モディ首相は1000ルピー札(現在のレートで約1750円)と500ルピー札は4時間後に法的通用力を失うという宣言を行いました。わずか4時間後ですから、事前通告はなしに等しい状態だと言えます。当然、この政策は人々の生活にすさまじい大混乱をもたらしました。作者が話を伺ったあるインド人女性は、今でも怒りに身が震えるほどだったといいます。

 なぜこんなバカなことをしたのか?というと、一応崇高な(?)目的がありました。地下経済のお金をあぶり出し、汚職を防止するといったものです。お金持ちを狙っていたものであり、モディ首相としてはむしろ庶民から拍手喝采をもらえると思っていたかもしれません。


●お金持ち狙い…のはずが庶民が大混乱

 ただ、本来の目的とは異なって、貧しい人々ほど窮地に陥ったといいます。そもそも法的通用力を失ったその2種類の紙幣は、流通紙幣の86%。なので、お金持ち以外もそれらの紙幣を持っているに決まっていました。その上、銀行に口座を持たない人がインドには54%もいました。これなんかはむしろ貧しい人ほど多いとかんがえられることです。そりゃ大混乱しますわ。

 むしろこれで大丈夫だと思った理由を知りたいという政策です。インド人は巨大企業のCEOが多いなどむしろ頭が良いイメージなんですが、政治家は日本と同じようにバカなんですかね?

 さらにひどい話なのが、インド政府が本来狙っていたアングラマネーのあぶり出しには、あまり効果がなかったといわれているそうです。これもまたバカじゃねーの?という話なのですが、15~16年の調査によると、インドで不正に蓄財された資産の保有形態としては、現金はそもそもわずか6%しかないことがわかっていました。

 なので、お金持ちを狙い撃ちではなく、むしろ庶民を狙い撃ちにした感じ。不正蓄財は、株式や不動産、宝石などを他者の名義で購入していたケースが圧倒的だったといいます。マジで意味不明でした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■イランで飼うことができるペット・猫○犬× 政府が西洋化だと禁止

【その他関連投稿】
  ■インドの女性問題 共同トイレを使うと暴行の危険、屋外の方がマシ
  ■インドのインフラ整備が遅い理由、タイ反政府派が宝くじに激怒など
  ■インドで今頃日本アニメが流行の兆し ドラえもん、クレヨンしんちゃんなど
  ■今世界で一番熱いインスタントラーメン市場はインド 日本は出遅れ
  ■海外・世界・国際についての投稿まとめ

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