2014/5/2:
マスコミが報じたかわいそうな難民、実は加害者だった
NGOも商売のために都合の悪い真実を隠蔽
人道援助のNGO団体の商売・寄付ビジネス
宣伝に使える子供は人気で人身売買も
四肢切断が儲かる理由
●マスコミが報じたかわいそうな難民、実は加害者だった
2014/5/2:リンダ・ポルマンさんのクライシス・キャラバンという本について書かれた
”悲惨な現場”を求めるNGOの活動がアフリカで招いた不都合な真実([橘玲の世界投資見聞録] ザイオンライン、2014年1月16日)という記事。全体に本当に本当に本当?と確認したくなるほど、信じられない内容です。とりあえず、ルワンダ難民の話から。
1994年に起きたルワンダの虐殺では、多数派のフツ族によって少数派のツチ族が殺害され、100日という短期間にルワンダ国民の約2割、80万人が犠牲になった。(中略)
ルワンダ虐殺を報じるテレビニュースを観た欧米のひとびとは、鉈で惨殺された死体が道路脇に積み上げられ、川や湖を埋める映像に大きな衝撃を受けた。やがてそれは家財道具を抱えて国境へと逃げ延びるひとびとに変わり、次いでゴマの難民キャンプが大々的に報道された。
こういう話の流れですと、難民キャンプにいる人たちは、殺害された少数派のツチ族だと当然思います。しかし、隣国に逃れた難民というのは、実際にはツチ族だけではありませんでした。その多くは虐殺を行った多数派のフツ族だったそうです。
フツ族がツチ族の虐殺した混乱に乗じ、ツチ族の軍事組織「ルワンダ愛国戦線(RPF)」が隣国のウガンダから侵攻し、全土を制圧しました。「ルワンダ愛国戦線(RPF)」は、ツチ族が隣国のウガンダに逃れて組織した軍事組織なのだそうです。
フツ族は多数派とは言え、軍事組織に支配されていてはどうにもなりません。"その結果、報復を恐れたフツ族の民衆が大挙して国境を越えて難民化することになった"ということのようです。しかも、フツ族の難民たちが"人力車などで運んできた「家財道具」は、皆殺しにしたツチ族の家から強奪したもの"というどうしようもなさ…。
ここらへんをマスコミでは端折って「虐殺→難民→人道の危機」としてしまい、全くその内容は報道されなかったという説明でした。
●NGOも商売のために都合の悪い真実を隠蔽
しかし、こういった難民発生の経緯は、マスコミにとってはあまり重要じゃないことだったのかもしれません。「大量の難民の存在」というのが重要であり、その難民の発生過程は二の次です。そして、これはマスコミだけでなくNGO団体にも言えるようです。
ジャーナリストと同時に、ルワンダ難民を“援助”すべく多くのNGO団体がゴマに殺到。彼らが人道援助の対象にゴマを選んだのはフツ族を支援したいと考えたからではなく、滑走路があって報道陣がいたからだ、とされています。要するに、難民キャンプへのアクセスが容易であり、なおかつマスコミがいて宣伝になるということです。
ドナーと言われるNGOの寄付者は、自分が出したお金が有効に使われ、"「人道の危機」にあるひとびとが救われる場面を(安全な場所から)確認して満足感を味わいたいと思っている"のだそうです。ただ、作者は批判しているわけではなく、"これは「消費者」として当然の要求だから、批判しても意味がない"としていました。
"人道の危機にあるひとが目の前にいれば助けるのが当然"という考え方は一見美しいです。でも、「あなたのお金で救われたのは、ついこのあいだまでルワンダでツチ族を虐殺していたひとたちです」という事実を隠している…という言い方をしてしまうと、途端に美しくなくなります。
「加害者の民族は救わなくて良い」って意味じゃありませんよ。そうではなく、都合の悪いことを隠しているというのはおかしいという話。「商売」の上で不利になりますが、本来ならその事実を伝えた上で支援を募るべきでしょう。
この記事にはありませんでしたが、アマゾンのレビュー(
クライシス・キャラバン―紛争地における人道援助の真実
)を読むと、「商売」上援助しても効率の悪い"ルワンダの首都キガリに居た、虐殺された"ツチ族は見向きもされなかったという強烈な指摘もありました。本当の被害者であっても、商売にならなければ価値はないのです。
●人道援助のNGO団体の商売・寄付ビジネス
私は「商売」という書き方をしましたが、ポルマンさんは「ビジネス」という言い方をしていたようです。
ゴマの難民キャンプでポルマンは、NGOが行なう国際人道援助とは、紛争や虐殺などを「商材」にしてドナーから寄付を募り、“よいことをして満足したい”という願望をかなえるビジネスだと気づく。
日本でも批判的に「寄付ビジネス」という言い方がされることがありますね。こういった実態を指した言葉かどうかわかりませんが…。
さらに畳み掛けてこんな話も…。
ビジネスである以上、成功したNGOは大きな利益を上げることができる。紛争の現場にいる「人道援助コニュニティ」の白人たちは、破壊された町のレストランやバーで毎日のようにパーティを開き、10代の売春婦を膝の上に乗せている。彼らは自分たちが“特別”だと考え、その法外な特権を疑うことはない(国連職員の特権意識はさらに肥大している)。
●宣伝に使える子供は人気で人身売買も
こういうところでもアメリカはやはりうまいようで、"アメリカ南部の教会の敬虔な信者"が寄付するNGOは非常に巧みです。足を失った“かわいそうな子ども”を紹介してもらい、"義手や義足を与えて、喜ぶ姿をビデオや写真に撮"ります。ときには手足のない“かわいそうな子ども”をアメリカに連れ帰り、あちこちで宣伝に用いています。
しかも、ルワンダでは"多くのカトリックの指導者がジェノサイドへの批判を行わず、多くの聖職者が虐殺に協力"(
Wikipedia)していたというのですから、なおひどい話です。
また、アフリカにおいて孤児院は"国際援助を引き寄せる"道具であるために、両親がいる子どもから人身売買のようにして集めているともありました。
さらにそれだけでなく、NGOは軍事援助も行っています。ルワンダ難民キャンプにはフツ族の民兵が支配しており、NGOに対して「入場料」など様々な名目で金銭を徴収しています。そして、その儲けを元に武器弾薬を購入しツチ族を殺していました。こうなると、新たな犠牲者を作り出して再びNGOの宣伝に役立ちそうなものですが、前述のようにNGOはツチ族の犠牲者には興味が無いようです。
●四肢切断が儲かる理由
WikipediaのNGO(非政府組織)では、"軍縮や飢餓救済、環境保護などの問題に関わる活動をおこなう非営利組織"だと書かれています。しかし、前述の行為はすべて経済的合理性で説明できそうです。
より悲惨な絵面を探すのは、"ドナーが喜んでお金を出すような演出ができないNGOは、競争から脱落して消えていくしかない"ためです。もちろんよりコストをかけないことが求められます。
また「入場料」などのように"援助のために現金を支払うことは原則として禁止されている"ものの、そんなことを言っていては他のNGOに出し抜かれて肝心の寄付がもらえなくなるので、というのが、軍事援助もやってしまう理由です。
そして、NGOだけでなく援助を乞う側にも経済的合理性と競争原理が働きます。先ほどの孤児院での人身売買がそれですが、他にも逸話がありました。
シオラレオネの反政府軍RUFのマイク・ラミンリーダーは、"死体の山はボスニアやルワンダでさんざん報道されてしま"ったことで見向きをされなくなったために、新たな手法を編み出しました。「四肢切断」です。"死体には見向きもしなくなったすれっからしの報道カメラマンも、手足のない子どもたちが泣き叫び、地面を這いずり回る場面には殺到"するためだそうです。
その後の流れは記事だとしっかり書かれていませんでした。ただ、前半の話からすると、報道カメラマンといっしょに来て難民キャンプを取材するNGOから資金を得ることが一番の目的なのでしょう。元記事のタイトル「”悲惨な現場”を求めるNGOの活動がアフリカで招いた不都合な真実」というのは、このサイクルを指しているのだと思われます。
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