2010/6/11:
●楽天ひどい…という自虐ギャグ?楽天が「楽酷天」を開始
●念のために漢和辞典と中日辞典を引いて意味を見てみると…
2010/6/23:
●名は体を表すでいい名前!日本でも「楽酷天」にしろ!という反応
●実は「楽酷天」じゃないと中国人は「ラクテン」と読めない?
●楽酷天や苦がかっこいい!日本と中国・台湾での漢字の印象の違い
●「ク」という発音の漢字はそもそも悪い意味の漢字ばかり…
2010/12/1:
●楽酷天は中国で成功するか?検索の王者・百度と組んでも楽観できない理由
●ネガティブな声多いが…楽酷天は中国で1位にならないとダメなのか?
●ナンバーワンではなくオンリーワンを狙うべきではないか?
●このままじゃもったいない…日本の企業はもっと中国の市場を狙うべき!
2012/5/29:
●採算度外視すぎ…中国のECバブルがヤバすぎて楽酷天は撤退
●百度は赤字垂れ流しで拡大路線を主張、楽天と方向性の違いで提携解消
●楽天ひどい…という自虐ギャグ?楽天が「楽酷天」を開始
2019/07/25:古い話ですけど、「楽酷天」の話をひとまとめにしたので、再投稿しました。楽天関連の話ではあるものの、日本語と中国語での漢字の意味の違い的な話になっており、意外に今読み直してもおもしろいと思います。うちのまとめジャンルも「雑学」の方に移動しました。
2010/6/11:「酷」という字は、当然「酷(ひどい)」の「酷」ですから、あんまり良い印象はないと思います。人の名前に使えば非難を浴びるでしょうし、会社名に使おうなどとは普通思わないはずです。ところが、この度楽天が社名にこの「酷」という字を加えて、「楽酷天」というサービスを行うというのです。
といっても、さすがに日本の話ではありません。中国での話です。中国Baidu(バイドゥ、百度)との合弁で、中国で今年後半にスタートするインターネットショッピングモールの名称を「楽酷天」(読み:らくてん)に決めたと発表しそたうです。
日本では良い印象のなさそうな「酷」という文字ですが、中国では英語のCoolに由来し、「格好いい」という意味を持つとのこと。意味がだいぶ異なるようです。(以上、
その名も「楽酷天」 楽天とBaiduの中国事業が始動 2010年06月09日 ITmedia Newsより)
同じ漢字なのに日本と中国では随分とイメージが違うもので、不思議に感じます。また、中国では問題ないとは言え、日本での印象を考えればよく使ったものだなぁと思いました。
実はお菓子会社のロッテは、中国語では「楽天」と当て字されていたそうです。両社とも日本のプロ野球で球団を持っているため、今は球団の名称のロッテを「羅徳」と表記し区別している(
ロッテ Wikipediaより)ようですが、今回わざわざ表記を変えたのはそういうのも関係あるのでしょうか。
●念のために漢和辞典と中日辞典を引いて意味を見てみると…
ところで、「酷」という字はひょっとしたらそんなに酷い意味がなく、私が勝手に勘違いしているだけかもしれません。一応、漢和辞典で調べてみたいと思います。漢語林によれば、以下のような意味でした。
(1)ひどい。
(ア)むごい。残忍である。無慈悲である。
(イ)はなはだしい。
(2)うらみ。いたみ。痛恨。
(3)つよい。
(ア)酒の度が強い。
(イ)香りが強い。
うん、やっぱりあんまり良くないね! 「酷」を用いる熟語を見ても、残酷、冷酷、酷虐などと、ろくなのがありません。
それとも、アメリカ英語のスラング(特に黒人かな?)で「BAD」を「カッコ良い」という意味で使ったりするようなイメージなんでしょうか。どちらにしろ、ショッピングモールの名称としては似つかわしくない感じですけど…。
でも、中国の「酷」にはもっと良い意味がたくさんあるのかも?と、
デイリーコンサイス中日辞典 (三省堂)でも調べてみました。しかし、普通にダメでしたわ。
(1) 残酷な,むごい
(2) ひじょうに,ひどく
なぜだか知りませんが、楽天はただでさえネットでは目の敵にされています。それでこんな名前にしちゃったら、陰口を叩かれるに決まってるのに…と思いました。
●名は体を表すでいい名前!日本でも「楽酷天」にしろ!という反応
2010/6/23:楽天は「2010年は『真の世界企業』を目指して、海外へ軸足を移す」(三木谷浩史社長)として、既に進出している台湾の他、中国、北米、インドネシアなどへの進出を目指しているようです。中でも注目されているのは、ネット人口で米国を上回った中国。そのネット人口は09年に約3億8400万人に達して、足元では4億人を超えている模様だとされています。(以上、
楽天、世界にアクセス 中国進出、秋にもモール ビジネスアイ 2010/06/11より)
前回書いたときは、「陰口を叩かれるに決まってる」と書いたのですが、皆さん意外に大人しい反応。他にもおもしろいレスがありましたので、
【IT】楽天、中国でのインターネットショッピングモール名称を「楽酷天」に決定 [10/06/09]から、悪い反応を引用すると、以下のような感じです。
5 :名刺は切らしておりまして:2010/06/09(水) 23:49:28 ID:NsIBelEr
これは酷い
(引用者注:↑このコメントはいっぱいありました)
7 :名刺は切らしておりまして:2010/06/09(水) 23:50:19 ID:8VGymSa2
皮肉かよw
97 :名刺は切らしておりまして:2010/06/10(木) 07:35:19 ID:G71/U2uv
酷天で統一しろ。
98 :名刺は切らしておりまして:2010/06 /10(木) 07:40:29 ID:mzJRB4Tu
それいいな。
酷いサイトが多すぎるからな
114 :名刺は切らしておりまして:2010/06/10(木) 12:57:35 ID:fCRg2UBL
確かに楽天は酷い
151 :名刺は切らしておりまして:2010/06/12(土) 17:31:26 ID:EaEKFwNb
いい名じゃん、日本これにすればいいのに
155 :名刺は切らしておりまして:2010/06/12(土) 17:40:39 ID:s8ZCVvQ2
この一字には
社員を酷使し更なるブラック企業を目指すという意味でもあり
取引先に更に酷な要求をエスカレートするから覚悟するようにという意味でもあり
出資者にはオーナー以外には酷な配当しかしないぞという意思表示でもあり
一般顧客からは酷なほど暴利をむさぼるぞ、という表明でもある
名は体を表す
158 :名刺は切らしておりまして:2010/06/12(土) 17:44:17 ID:hwlk5Gu2
中国進出してる企業は多いがこんなアホは初めて見たわ。
さっさと社内全部中国語化して能率アップしてろ(笑)
「大人しい反応」と書きましたが、やっぱり後半は結構酷いですね。何でこんなに嫌われているんでしょうね。
●実は「楽酷天」じゃないと中国人は「ラクテン」と読めない?
一方のおもしろかったレス。
24 :名刺は切らしておりまして:2010/06/10(木) 00:04:05 ID:E3B7/pSV
「楽天」だと中国語読みは「le tian(ラー ティエン)」になるが
「楽酷天」なら中国語読みは「le ku tian(ラー クー ティエン)」となって
日本語の読みに近くなる。イメージも壊さないしこの翻訳はかなりいいセンス。
これは私も前回書いた後、単純に「楽天」じゃ「ラクテン」と読めないのかもしれないと思いました。ただ、国内と同じ読みである必要はありません。私と同じく既に「楽天」が使われていたのでは?や、ロッテが既に使っているからといった意見は多かったです。
また、私の発想は割と一般的だったようで、英語のbadの使い方に触れている人もいました。
121 :名刺は切らしておりまして:2010/06/10(木) 15:05:08 ID:cHsesi1S
英語のBAD、日本語のヤバい、みたいに逆の意味で使ってるって事か。
あと、前回中日辞典で調べた結果を載せましたが、ちゃんと「クール」という意味を載せた辞書もあるらしく、以下のようなものもありました。
80 :名刺は切らしておりまして:2010/06/10(木) 01:29:40 ID:FTJ7+qRS
**酷ku
(1)残酷だ.むごい.
(2)ひどい.激しい.甚だしい.
(3)個性的でかっこいい.すてきな.
【補足】英語coolの音訳から.
¶我的班里他最~/私のクラスでは彼がいちばんかっこいい.
●楽酷天や苦がかっこいい!日本と中国・台湾での漢字の印象の違い
その他、勉強になったレスをざざっと載せます。
34 :名刺は切らしておりまして:2010/06/10(木) 00:09:43 ID:xpxM2s7K
> 「酷」の字には、中国で「Cool」という意味があるという。
台湾じゃ苦でcoolらしいが
52 :sage:2010/06/10(木) 00:28:05 ID:ynHuVSCn
ニコニコの台湾版で好酷とかコメントがよく付いてるのはそういう意味か。
57 :名刺は切らしておりまして:2010/06/10(木) 00:36:53 ID:6tE70K0F
日本の「チョー」使い方と一緒にしてチョークールを「超酷」って書くみたいだな
74 :名刺は切らしておりまして:2010/06/10(木) 01:05:10 ID:NHNSpy05
中国の動画サイトyoukuも優酷網と書くけどな
75 :名刺は切らしておりまして:2010/06/10(木) 01:08:09 ID:q6JljQju
真棒(たいへんすばらしい)
好酷(とてもクール)
王八蛋(バカ)
かなり「酷」のこの用法は、中国語圏では一般的なのかもしれません。これらを見て思ったのですが、中国語には日本のようにカタカナがなく、こういった当て字をよく使う文化ですので、そもそもあまり抵抗感がないのかもとも思いました。ここらへんは文化の違いなのでしょう。
●「ク」という発音の漢字はそもそも悪い意味の漢字ばかり…
それから、以下もおもしろかったですし、あり得る!と思ったレスです。
16 :名刺は切らしておりまして:2010/06/10(木) 13:16:45 ID:E3B7/pSV
>>115
枯 枯れる
哭 泣く
掘 掘る
窟 洞窟
苦 苦い
? 白骨体
kuの発音の漢字は「酷」を除くと基本的にネガティブなのか
無意味な漢字しか無い。
うまく説明できないのですが、1つの言葉から少しずつ違った意味を持つ漢字が生まれていった…みたいな説が確かあったと思います。この説が正しければ、同じ音だと意味が似ていると言うのは、当然あり得るでしょう。
「楽酷天」からこんなにいろいろ考えることになるとは思いませんでしたわ。勉強になります。
●楽酷天は中国で成功するか?検索の王者・百度と組んでも楽観できない理由
2010/12/1:10月の終わりくらいでしょうか?「楽酷天」をキーワードで当ブログにいらっしゃる方が増えて何かな?と思ったら、楽天の中国版「楽酷天」がいよいよスタートというニュースのせいだったみたいです。
主に
2010年11月5日 楽天、日本流が待ち受ける罠 原隆 日経ビジネスオンラインからですが、題でわかる通りうまく行かないんじゃないかという内容です。
まず、楽天が中国の検索市場で7割のシェアを持つ百度(バイドゥ)と組んで中国へ進出したことについて、それだけでは楽観できないとしています。なぜかと言うと、百度自身が2009年に立ち上げたECサイト「百度有啊(バイドゥヨウア)」は、アリババグループが運営するEC(電子商取引)モール「淘宝網(タオバオ)」の足元にも及ばず、全く成功していないため。
中国では、「情報を知りたい時は百度、モノを買いたい時は淘宝網」という使い分けが深く浸透しており、中国EC市場の実に8割のシェアを淘宝網が握っているそうです。
●ネガティブな声多いが…楽酷天は中国で1位にならないとダメなのか?
また、デザインがまるで中国人のテイストに合わず、「楽天は半年間、何をやっていたのか。まさか本気で作ったサイトとは思えない」と中国のあるネット企業の社員に指摘されてしまっていました。中国語の「ウィンドウズ」からアクセスしているにもかかわらず、一部日本語に文字化けしているという問題も挙げられています。
さらに、楽酷天が淘宝網との差異化で強調する偽造品流通対策の強化は、現時点の中国では顧客獲得にマイナスに働くという意外な指摘も。中国のネット利用者は年収が低く、正規品か否かよりも価格がより重視されるからという理由です。
ただ、私は割と楽観的な見方。もちろん「楽酷天」が日本での「楽天」のような地位を築きたいと考えているのであれば、これらの話を聞くと望み薄だと思います。しかし、そもそも楽天はそこを目指しているのか?と思っているため。
記事でも、「中国のインターネット人口は既に4億人を超えた」「優に日本の総人口を凌駕する中国のインターネット市場」であると最初に書いています。それだけ大きい市場であれば、ナンバーワンにならずとも大きな売上になるでしょう。
●ナンバーワンではなくオンリーワンを狙うべきではないか?
インターネットでは独占が起こりやすいので一番じゃなきゃ駄目という意見はわかります。ただ、特定のジャンルでの一番を狙えば良いのではないかと私は考えます。すると、先程の「偽造品流通対策の強化」は、やはりプラスに働くでしょう。
淘宝網では自営業者や企業も販売しているオークションサイトだそうですが、差別化は可能だと思います。また、
2010年11月17日 本物志向の男性、そしてオタクを狙え! 中国向けネット通販の意外な顧客層 日経ビジネスオンライン 熊野信一郎には、「日本の楽天市場に出店している店舗が、中国市場を狙うための『橋渡し』としての期待が高まる」ともありました。これが実現すれば商品の独自性や信頼性がいっそう期待できるでしょう。
収入が高い人たちの方が海外に寛容だと言われており、中国でも収入が高い人の方が日本への親近感が高いといわれています。そして、高級なイメージのある日本の商品を買ったり、日本企業が関わるサイトで買い物したりするのは、やはり比較的高所得者でしょう。
前にどこかで書いたように、日本はもっと質を落とした製品で低所得者層も積極的に狙うべきだと思いますが、現状ならむしろぴったりです。
●このままじゃもったいない…日本の企業はもっと中国の市場を狙うべき!
ただ、日本の商品と言うことでしたら問題なのは「淘宝網」との競争…と言うか「淘宝網」の展開する「淘日本(タオジャパン)」が手ごわすぎるライバルになりそうだということ。
二つ目の記事によると、Yahoo!ショッピング上の商品が自動的に「淘日本」に出品されるというサービスで、日本の出店者が余分な負担なしに中国の消費者に販売できる「日本直送」のモデルだといいますと。先に書かれていたとおり、「淘宝網」は中国EC市場の王者であり、日本製品なら「淘日本」と刷り込まれてしまいそうです。
…となると、中国国内のショップでかつ質の高い製品でと言うのが、「楽酷天」の目指す道ですかね。書いているうちに、なんかやっぱり難しいかなと言う気もちょっとしてきましたが、別にYahooでも構わないですから、日本の企業が中国の市場にどんどんと食い込んで行ってほしいです。
●採算度外視すぎ…中国のECバブルがヤバすぎて楽酷天は撤退
2012/5/29:何度も書いていた「楽酷天」ですが、撤退となってしまいました。
楽天、中国撤退の“挫折”(日経ビジネスオンライン 2012年5月2日 原隆)によると、2012年5月末で閉鎖だそうです。開始から1年半で投資した額は約8億6000万円で、業績への影響は軽微ですが、矢継ぎ早に進めてきた海外展開で初めての挫折とされています。
当初から苦戦していたものの、楽天自身も認める最大の誤算は、中国のECバブル。バブルが弾けたという意味ではなく、バブルの真っ最中で消耗戦がきつすぎるという意味みたいですね。楽酷天の江尻裕一・董事長兼首席執行官は、「お金を燃やしながらシェア獲得合戦を繰り広げているのが今の中国のEC市場」と語っていました。
VC(ベンチャーキャピタル)が次々と中国のEC事業者に資金を投下し、IPO(新規株式公開)を目指して採算度外視のシェア拡大競争。マーケティング費用はもちろんのこと、原価割れで売ることも日常化。ガチで利益度外視で、資金を投げ捨てていかないといけなかったようです。
●百度は赤字垂れ流しで拡大路線を主張、楽天と方向性の違いで提携解消
これに関連して、提携相手の百度との間で方針が割れました。百度側は前述のような状態になっている中国企業らしく、「市場の拡大とともにシェアを拡大できる」と読みます。一方、楽天は採算度外視路線に対して難色。これでは続きませんね。
私は先行者有利であるから~といったことを以前書いていましたけど、まだ全然市場ができあがっていなかったんですね。それから、日本企業が加わるとなるとイメージ的に高級化路線では?といったことも書きましたが、こちらも外れで、むしろ安値路線で行ってしまったようです。
私は差別化してやや高級で高品質という路線で良いと思っていましたけど、市場が拡大途上なら確かに先を見据えて赤字垂れ流しというのも一つの戦略。百度などの中国企業のスタイルも実は悪くないと思います。体力的にはきついですけどね。
なお、それでも楽天は中国進出を諦める気はないとのことで、中国市場そのものには再挑戦を考えている模様。既に百度との提携解消前から次の手を模索していて、楽天の三木谷浩史会長兼社長は1月の日経ビジネスの取材で新たな提携相手の存在を示唆していたそうです。
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