「早く失敗」「小さく失敗」の例をまとめ。<シリコンバレーの名言「早く失敗しろ」スティーブ・ジョブズが成功例>、<Googleも…成功企業には小さくチャレンジして失敗した企業が多い>、<実は空振りだらけで三振が多かったホームラン王ベーブ・ルース>、<「大量採用」と「大きなチャレンジ」失敗で旧Facebook大量解雇>などをまとめています。
2022/11/16まとめ:
●「大量採用」と「大きなチャレンジ」失敗で旧Facebook大量解雇 【NEW】
●シリコンバレーの名言「早く失敗しろ」スティーブ・ジョブズが成功例
2014/5/16:スティーブ・ジョブズさんの話が多かったときにストックしていた
瀕死のアップルをどうよみがえらせたのか(日経ビジネスオンライン 林 信行 2011年12月14日)という記事。また他の記事を読んだら足そうと思っていたのですが、その後は記事がありませんでしたし、私が完全に忘れていましたし…。
作者の林信行さんは"MBAを持たないどころか、大卒ですらないが、近年のビジネスの世界で、スティーブ・ジョブズ以上に優秀な経営者はなかなか見当たらない"としていました。しかし、"彼も生まれついての優秀な経営者だった、というわけではない"のです。"では、一体、どこで、経営手腕を学んだのか"と言うと、"答えは「経験」だ"と作者は言います。
<シリコンバレーの起業家の間では、よく「Fail fast」(早く失敗をしろ)と言われる。「成功」は、たくさんの手探りをし「失敗」を重ねたからこそ本物であり、「失敗」なしで「成功」を重ねてしまった「まぐれ当たり」的な経営者は、むしろ危ない、というのだ。
その点、ジョブズはわずか21歳で自ら創業をし、経営をし、多くの失敗を重ねてきた。さらに広報にしても、広告にしても、経営にしても、トップクラスの人たちとしか組まずにきた(組むまで、お金に糸目をつけず、泣きついてでも食い下がった)。おかげで、ジョブズは若くして、こうした世界トップクラスの逸材の「経験」も間接的に取り入れることができた。
こうして20代、アップルで多くを学びながら、一度は、創業したアップルを追い出されるという、立ち直れないくらい大きな痛手を経て、それまでの10年弱を、かなり深く見つめ直すことになる。そして次の10年余はネクストとピクサーという会社で理想を強く求め過ぎて、再び失敗をする。
これらの失敗と、「見返してやろう」とする強い思いこそが、1996年末にアップルに復帰した後のジョブズの原動力に違いない>
●Googleも…成功企業には小さくチャレンジして失敗した企業が多い
私は特にGoogleのようなIT企業を見ていて感じるのですが、どんどん失敗するというのは重要だと思います。綿密な市場調査をして大きな事業に社運をかけるよりも、小さなチャレンジをいっぱい積み重ねるという方が成功に近いと感じています。もちろん正解は一つではないんですけど、これまで読んできた記事から私はそう思いました。
「小さく失敗せよ」ではなく「早く失敗せよ」の方で、今回読み直していて、あっ!と思ったのが、最近も同じような話を読んでいた記憶があったこと。どの投稿かな?と検索したら、ニトリのものですね。ただ、記事の中で直接「早く失敗せよ」とは書いていませんが、内容的にはそうなっています。
・先んじて「乗り物」を変えよう (似鳥昭雄氏の経営者ブログ) 2013/6/28 7:00 日本経済新聞 電子版
<最も重視していることは先制主義ということです。乗り物に例えますと、最初は歩きだったのが自転車に変わり、そしてバイク、四輪車になり、小型セスナ機、ジェット機、ロケットへと進化していきます。新しい乗り物の免許を取るには失敗もするし、時にケガもします。
しかし、怖いからといって乗り物を変えていかないと、会社はだめになります。みんながいいなと思い始めている頃に、すでに乗りこなしているのが理想です。先制主義にこそ、利があります。守ることが経営という方もいますが、私は変えないとだめになると確信しています>
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK24025_U3A620C1000000/●チャレンジ精神旺盛で良さそうな大きなチャレンジ…なぜダメ?
私も常に世の中は変わっていくものだから、会社も変わり続けるべきという考え方です。"失敗もするし"とあるように、新しいものに挑戦することはリスクがあるわけですが…。ただ、リスクは限定することもできます。いきなり社運を掛けて失敗したらおしまいですから、そういうのはさすがにオススメしません。いつも私が書いているのは「小さく失敗」ですね。
ニトリの「先制主義」という言い方を見た感じだと、「小さく失敗」よりは「
早く失敗」という感じかもしれません。ライバルがいないときなら安心して失敗できます。いち早く挑戦して失敗するというのは傷が浅くなるだけでなく、失敗した経験によってより良いやり方の確立も早くなりそうです。
そういえば、早くチャレンジして早く失敗してしまおう…というのは、
怖いペンギンの習性 最初のペンギン(ファーストペンギン)の意味で書いた「ファーストペンギン」の話も思い出します。最初のペンギンはアザラシに食べられちゃうかもしれませんので、私はこのときは残酷さの方を強調しました。しかし、ビジネス系のサイトでは「新たな世界に最初に挑戦する勇気あるペンギン」という好意的なものとして多用されていました。
アザラシに襲われてしまうペンギンさんと違って、ビジネスの場合は早く小さく失敗すれば、致命傷とならずに済みます。「最初のペンギン」について好んで書く方はそれよりかは「大きなチャレンジ」的な無謀な勇気の方を好みそうな感じでしたが、私は「早く小さく失敗せよ」をオススメしておきます。
●「早く小さく失敗」を意識しているジャパネットたかた高田旭人社長
2018/09/13:
ジャパネットたかた高田旭人社長 父・高田明前社長とぶつかりあって成功では、ジャパネットたかた高田旭人社長の「9割以上の商品をやめて売上上昇」という話をやっています。
このとき使ったインタビュー記事を見ると、高田明前社長は「早く小さく失敗」をかなり意識しており、良い社長だなと感じました。
【高田旭人社長】仮説検証で真っ先に思い出すのが、今年(2017年)の夏、エアコンがたくさん売れたことですね。従来は1カ月間の計画を立ててチラシを大量配布していました。販売結果を確認したら暑い日によく売れています。そこで現場と一緒に「暑い日にチラシをまく方法はないか?」と考えました。(中略)気温の週間予想の結果を確認したら、ほぼ正確なんです。「暑い日にチラシをまけるじゃないか!」ということで、今年やってみたらすごくいい結果でした。
【高田】重要なのは時間です。厳密さはそれほど重要ではありません。だから社員には、「たぶんコレっぽいな、と考えたら、すぐやって、結果を見て、次の仮説を立てればいい」と言っています。
【高田】「即実行」は常に意識しています。80点を100点にするのに労力をかけるより、80点を3回やって2勝1敗の方がいいですよね。
【高田】種を5つまいて2つ咲かなくても、残り3つを一気に広げます。
(
ジャパネットが93%の商品をやめたワケ (永井 孝尚) | プレジデントオンライン 2018.4.28 マーケティング戦略コンサルタント 永井 孝尚 PRESIDENT Onlineより)
「9割以上の商品をやめた」というのも、実は小さなチャレンジなんですよね。「仮に失敗しても売上の多くは確保されているので、大きな問題にはならないと考えました」とおっしゃっていました。残りの1割が売上の多くを占めるため、意外に失敗しても大きくならないのです。見事ですわ。
●実は空振りだらけで三振が多かったホームラン王ベーブ・ルース
2020/05/08:「小さく失敗する」と関連しそうな記事だったので、
本塁打で稼ぐ 勝ち組VCに見る「ベーブ・ルース効果」 :日本経済新聞(2018/4/23 2:00)というのをブックマークしていました。スタートアップへの投資には失敗はつきもの。ベンチャーキャピタルによる投資は、2割の投資案件がリターンの8割を生み出すということで、一部の大当たりで稼ぐ戦略となっています。
米ベンチャーキャピタル大手アンドリーセン・ホロウィッツのクリス・ディクソンさんは、こうした稼ぎ方を「ベーブ・ルース効果」と呼んでいます。ホームラン王だったベーブ・ルースさんって、実は三振もすごく多かったんですよ。空振りを量産しつつ、うまく当たったもので偉大な記録を作りました。
ベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツは、こうしたホームラン級の大成功をもたらした大成功をもたらした投資について分析。例えば、日本でも有名なフェイスブックのケースなどが例示されています。
・米対話アプリのワッツアップ
・米フェイスブック
・社会活動のプラットフォームからクーポン共同購入へと事業モデルを転換した米グルーポン
・写真・動画共有アプリ「スナップチャット」を運営する米スナップ
●フェイスブック以上に成長したベンチャーは3000億円もの儲け!
具体的な数字があったのは、最も成功した投資とされたワッツアップ。米セコイア・キャピタルは6000万ドルを投資し30億ドルのリターンを得たそうです。50倍になっているのですけど、たぶん注目すべきは何倍かではなく、差し引きいくらかといったところでしょう。29.4億ドル儲けたことになります。現在の為替だと3000億円くらいですね。
ちなみにワッツアップは、2番めの成功例であるフェイスブックが買い取りました。また、ワッツアップに投資してフェイスブックに売ったセコイアは、フェイスブックと因縁があります。投資してくれなくて恨みまくり…というのはトヨタがやったことがあるんですけど逆。投資しようとした、セコイアをけちょんけちょんに馬鹿にしたことがあるんだそうです。アホですね。
<フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は買収の10年前に、セコイアのパートナー、マイケル・モーリッツ氏に恨みを抱いていたショーン・パーカー氏にけしかけられてセコイアへの売り込み会議にわざと遅れた>
<その会議はいたずらが目的で、ザッカーバーグ氏にセコイアから出資を受ける気は毛頭なかった。ザッカーバーグ氏はパジャマ姿で到着すると、「投資を見合わせるべき10の理由」と題した米著名テレビ司会者のデビッド・レターマン風の皮肉に満ちた売り込み資料を提示した>
●「大量採用」と「大きなチャレンジ」失敗で旧Facebook大量解雇
2022/11/16まとめ:フェイスブックの方で紹介していた
「全責任は私に」米メタ社のザッカーバーグCEOが1万人超の解雇を発表(2022/11/10 CoinPost)というニュースの話。こちらのページのテーマにも関係が深い話でしたので、転載しておきます。1万1,000人解雇でも半分解雇といったほどではないのですが、13%ですのですからかなりの比率です。
<米メタ(旧フェイスブック)社は9日、全従業員の約13%にあたる1万1,000人超の解雇を発表した。
マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者は社員に向けたメッセージで、今回の大規模な人員削減を「メタの歴史の中で最も困難な変化」と形容。直接影響を受けた社員に対して特に申し訳なく思っていると述べた>
ザッカーバーグCEOは人員削減に踏み切らざるを得なくなった理由として、経営判断を誤った責任を認めたとのこと。「コロナ禍の急速なオンライン化とeコマース急増により収益が大幅増」したことで、「成長は加速度的に続くと予測し、大幅な投資増額を決断」したことが失敗だったとしています。
現実には、「eコマースはパンデミック前のトレンドに回帰する一方で競争激化。広告収入減少で予想を大幅に下回る収益に」なり、大失敗。以下にあるように、そもそもここ3年で異常なほど従業員数を増やしていました。「大量採用企業はヤバい」の法則が、こういう世界的な大企業ですら通用するんですね!
<メタ社の9月末時点の従業員数は約8万7,000人。コロナ禍でオンライン活動が拡大し、急成長した同社は、2020年と2021年には合わせて2万7,000人、今年1月から9月までの9ヶ月間でさらに1万5,000人を超える従業員を新規に雇用していた。同社の従業員数は3年弱で倍増したことになる>
なお、この説明の中では明記されていなかったものの、ザッカーバーグCEOが押し進めたメタバース部門で巨額の損失を積み重ねていたことももちろん打撃だったはずです。シリコンバレーの格言である「小さく失敗せよ」(読み直してみると、正確には「早く失敗しろ」でした)を守らず、社運をかけてギャンブルするという、これまた典型的にダメなパターンでした。
社員へのビデオメッセージでは、大量解雇の決断に対する全責任は自身にあると発言。ただし、「責任がある」と言うだけなら誰でもできます。安倍元首相が典型的で、彼は最後まで全く責任を取らずに別の理由で辞任しました。ザッカーバーグCEOの責任の取り方についても、記事では書かれていなかったことが気になります。
【本文中でリンクした投稿】
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