不正に甘い理研、告発者の契約を打ち切り ドイツ人クヌッフェル教授と似た話であり、理研の問題ある体質を思わせる記事がありました。
ただ、これは
オリンパスの内部告発者いじめ・報復・パワハラ 裁判の判決も無視と同じように日本のパワハラに対する態度の問題のようにも見えます。
私はパワハラ問題にも関心があり、他にも
職場での上司のパワハラ 社内相談窓口は全く利用されていないなどを書いていて、今回は主にこっちの方向性で見ていきます。
理化学研究所 職員の「パワハラもみ消し」で敗訴していた(本誌・小泉耕平、作田裕史)※週刊朝日 2014年5月23日号より抜粋
2012年8月から理研の筑波研究所(当時)・バイオリソースセンターに非正規雇用の事務職として勤めていた30代の女性Aさんである。
Aさんはある研究室の事務職として勤務したのだが、12年9月頃から、同年代の同僚女性から「パワハラ」のような嫌がらせを受けるようになったという。Aさんが語る。
「悪口を言われたり、仕事の情報を共有してもらえないといった嫌がらせを受けるようになり、室長に相談したのですが、のらりくらりと答えるだけで取り合ってくれませんでした」
http://dot.asahi.com/wa/2014051300059.html
職場のいじめがあること自体は仕方ないと言えば、仕方がないです。論文不正に対しても私は同じ見解ですが、100%なくすということは無理でしょう。
問題はパワハラや論文不正などの問題が起きてしまったときに、組織はどのように対応すべきか?というところです。"Aさんは理研本部のコンプライアンス室に相談"したのですが、結果はこうなりました。
13年1月にはコンプライアンス担当者による関係者への聞き取り調査が行われたが、結局、嫌がらせの事実は認定されなかった。それからしばらくして、“異変”が起きた。
2月下旬、Aさんは室長に呼び出され、契約期間が満了する3月末以後の雇用契約を更新しないこと、つまり「クビ」を宣言されたのだ。
不正に甘い理研、告発者の契約を打ち切り ドイツ人クヌッフェル教授のケースと似ています。一般的な企業の場合はさらにパワハラ激化…となりそうですが、理研はほとんどの場合任期制で解雇が楽なため、こういう結果になるんでしょうね。
しかし、驚くのがこのときになされたという会話です。
「室長から『(室長と)コミュニケーションがとれていない。あなたの技量が足りないからだ』と説明されました。『コンプライアンス室に相談したからですよね』と聞くと、『
それがコミュニケーション能力が足りないということだ』と言い返されました」
パワハラに耐えずに相談したことがコミュニケーション不足と言っているわけです。コンプライアンス室の意味がありません。
相談窓口が機能していないというのは、
職場での上司のパワハラ 社内相談窓口は全く利用されていないでのテーマでした。また、スタートはパワハラではなく不正の通報ですが、内部通報制度が機能せずに逆に通報者に報復というのは、
オリンパスの内部告発者いじめ・報復・パワハラ 裁判の判決も無視といっしょです。
理研の場合はさすがにこの理由はマズいと思ったのか、"「クビ」の理由はいつの間にか「予算上の都合」にすり替わっていた"そうです。ただし、「その頃、同じ部署の求人が出ていたので、ウソ」(Aさん)と見られています。
ついでにここでは「そもそも理研はお金にルーズで、一脚数万円はするような椅子を室長が『邪魔だから捨てようか』と話していて驚いたこともあります」(Aさん)という
9割が税金の理研 報酬増要求の一方、高級家具カッシーナに1000万円のときのような話が出ています。今回こっちはテーマじゃないんですが、これ以上理研に予算を集めても仕方ないんじゃないですかね?
さて、クヌッフェル教授の件でも書いたように、ここまでならAさん側の一方的な主張でしかありません。クヌッフェル教授の場合は報道が途絶えていて詳細は不明でした。一方、今回の件がぐんと進んでいるのは、訴訟をやって結果が出ていることです。
Aさんは野依良治理事長宛てに内容証明を出して抗議し、さいたま地裁に不当解雇による労働裁判を申し立てた。
(中略)審理の結果、13年8月19日、理研側がAさんに30万円を支払う審判が下された。巨大組織・理研が、弁護士もつけず個人で闘ったAさんに“敗北”したのである。
今回は一応パワハラの問題をメイン…と書きましたが、主な構造は同じと言って良さそうです。Aさんの場合はパワハラ、クヌッフェル教授の場合は論文不正、オリンパスの場合は上司の不正でしたが、いずれも良からぬことの告発が発端です。
そして、その後の経過もいっしょ。告発・通報が正しいかどうかは別として、告発者は守られなくてはいけないにも関わらず、逆に組織として告発者を虐げるという行動をいずれのケースでも取っています。
日本には不正が発生したときに、不正を是正するより隠蔽した上で告発者を弾圧する文化があるようです。これは結果的にパワハラや不正を許容する土壌になっています。
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