●虫歯の予防で仕事がなくなる!歯医者はキシリトールを恐れていた
2014/5/20:虫歯を予防するキシリトール…歯医者さんにとっては商売敵のように見えますが、実は現在の歯医者さんはキシリトールを敵視しているわけではないようです。それどころか、キシリトールは歯医者さんの味方となっているとのこと。ただし、最初からキシリトールと歯医者さんがそういう関係だったというわけではないともいいます。
こうした話があった<キシリトールが売れると歯医者さんが儲かるのはなぜ? 訣別、消費者だけを見るマーケティング>(ダイヤモンド・オンライン 2014年4月14日 藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO] )によると、昔は歯医者さんもキシリトールを恐れていたそうです。
<(引用者注:日本で初めて、シュガーレス甘味料「キシリトール」を使ったガムが発売された)97年当時、私は、フィンランドの食品素材メーカーで、アジア市場へのキシリトール普及に向けたマーケティングの責任者をしていました。同年のガムの発売に先立ち、日本でもキシリトールが甘味料として国の認可を得ましたが、まだまだその認知度は低いものでした。
さてどうしたものか。いろいろと調べるうちに、キシリトールを普及させるにあたっては、歯の健康の専門家である歯科医とのコンセンサスが欠かせないと、私は気が付きました。そこで、歯科診療の現場について徹底的に調査を行うことにしたのです。すると、歯科医のマジョリティ(引用者注:多数派)は、「
むし歯の予防が進めば患者が減って、自分たちの仕事も減ってしまうのではないか」と考えていることがわかりました>
http://diamond.jp/articles/-/51420●実は虫歯治療は儲からない?むしろ虫歯予防の方が儲かる可能性も…
上記のように歯医者の敵のように思われたキシリトールですが、藤田康人さんはそもそもむし歯治療という市場は大きくないと指摘しています。むし歯治療を必要としている人は、恒常的に人口の1割程度だそうで、これは十分多く見えるのですが、逆に言えば、残りの9割は、お客さんにならないんですね。
また、むし歯を治した人が、その歯の詰め物が取れるなどして次に歯科を訪ねるまでには3~5年ほどかかるとのこと。患者数およびリピート率は決して高くないという考え方ができます。一方、当時1割ほどしかないなかった「予防型」の歯科医なら、むし歯を持たない9割の人を相手に仕事できる…と考えられるわけです。
<よって、そのビジネススタイルは治療メインではなく、むし歯にならないためのチェックアップ業務であり、 「半年に一度は定期検診を」というスタイルで仕事をしているのです。もちろん、こうした定期健診でむし歯や歯周病なども発見できますから、その際は治療も発生します。
また、「予防型」の歯科は、むし歯になった時以外でも来院する人がいて、彼らを定期的につないでおくことができるわけですから、口コミが続いて新規の来院者を確保しやすく、あるいはホームドクターとして患者の囲い込みもしやすいのです>
●虫歯予防のキシリトールのマーケティング 敵だった歯医者を味方に
そこで藤田康人さんは次のようなモデルを提示して、キシリトールを売り込みました。キシリトール普及のために行ったのは、キシリトール単体のみのプロモーションではなく、結果として「予防型歯科のビジネスモデル」をプロモーションすることになったという形。これで成功したといいます。
(1)「現在のむし歯菌の数を測ってみましょう」
(2)「キシリトールを使ったガムを食後にかみ続けてください」
(3)半年後に再来院してもらい、キシリトールの結果を再度測定する
<これによって、歯科医には、むし歯菌測定で収入を得るという新しいビジネスモデルが生まれましたし、そこで用いる測定器具もキシリトールガムも売れました。さらには、半年後の測定でむし歯菌が減ったことがわかった場合、来院者は、歯の健康が実感できるというわけです。こうして、4者がベネフィットを得る「Win-Win-Win-Win」のモデルが構築されました。>
●一人勝ちじゃない…全員が幸せになるマーケティング・ストーリー
記事では最後に"「統合的に売れ続ける仕組みの本質とは何か」。これを俯瞰して考えることが、今のマーケターに強く求められている視座なのです"とまとめてあり、その後に宣伝がありました。どうやら
THE REAL MARKETING [ 藤田康人 ]という本の宣伝記事だったようです。
THE REAL MARKETING―売れ続ける仕組みの本質
・内容紹介
<いま、日本企業に必要なのはCMOではない。必要なのは、マーケティング・マネジメントを最適化する仕組みだ。事業に関与するすべてのステークホルダーのインサイトを探り、全員が幸せになるマーケティング・ストーリーを描く。そして全社横断型のオペレーションを実行する…。数々の企業のマーケティング課題を解決してきた著者が説く「売れ続ける仕組みの本質」>
・出版社からのコメント
<IMC(インテグレーテッド・マーケティング・コミュニケーション)やCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の必要性は従来から言われてきたが、その方法論が実践的かつ体系的に語られることはほとんどなかった。本書では、IMC のパイオニアであるインテグレートCEO藤田康人が具体的な事例を取上げながら、そのノウハウをわかりやすく解説する。売上げ不振に悩むすべての経営者、管理職、リーダー必携の書>
●「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」も推奨
私が見た時点でレビューは一つだけでした。5点中4点の評価で、タイトルは「マーケティング使えますか?」というもの。どういうことか?と言うと、理論だけだと役立て方がわからないし、事例を述べただけの本だと応用できないといった問題を解決できる本といった説明ですね。
<しかし、この本は違います。きちんと現場で使える理論を提供しつつ、事例が紹介されているので、自分の仕事に置き換えやすいです。
最近、じわじわ自身の仕事でも使っていますが、まさしく効果ありです♪
ちょっと読むのが大変ですが、使えそうな箇所が多くて、ばんばん赤線を引きまくりです(笑)>
なんかやらせくさい感じすらするレビューです。しかし、満点ではなく4点評価なんですよね。また、<今年のマーケティング関連で読むべき本は、USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?と
THE REAL MARKETING―売れ続ける仕組みの本質があれば十分ですね>として、別の本も薦めているので、やらせじゃない感じもありますね。
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?
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