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地方の人口減少の何が悪い?魅力ある地域は人口増加で活性化


 「地方の人口減少の何が悪い?魅力ある地域は人口増加で活性化」ということで、地方でも人口増加している成功例を収集中。また、「地方の人口が減って何が悪いのか?人口減少は魅力がないだけ」「東京から地方へ人口分散させることはそもそも本当に良いこと?」「一極集中是正で使えそうな大義名分は、災害対策や感染症対策」といった話もやっています。

2023/12/12まとめ:
●教授おすすめの「にぎやかな過疎」、成功例ですら人口は激減中 【NEW】
●以前と比べれば移住者は増加傾向 しかも、ど田舎ほど増えやすい! 【NEW】
●田舎ほど良いって本当?「移住失敗」「もう限界」関係悪化で離脱 【NEW】


●地方の人口が減って何が悪いのか?人口減少は魅力がないだけ

2019/11/20:国全体や個々の地域としての人口減少は多くの場合デメリットとなります。人口減少そのものがマイナスなことは間違いありません。ただ、私は「都市部から地方へ人を移動させなくてはいけない」という考え方の正当性の方には疑問を持っています。このふたつは似ていますが、ちょっと違う話なんですよ。

 個々に最適な選択をした結果、地方の人口が減っているわけで、地方が去る人が悪いわけではありませんし、無理やり税金をかけて自然に反した選択をさせるメリットも不明です。地方から去って当然というのは、私自身田舎出身で移住した…という経験もあるからかもしれません。正直私の出身地は魅力がないです。

 ただ、地方バッシングしているわけではないありませんし、すべての地方に魅力がないと言いたいわけでもありません。地方自治体はみんな人口が減っている、よりショッキングな言い方をしてしまうと魅力がないってわかじゃないんですよね。魅力があり人口が増えている地方の市町村というのも日本にはちゃんと存在しているのです。

 私はこうした人口の増加は人々が最適な選択をした結果だと思っていますので、地方人口減少時代において人口を増やしている地方都市というのは、むしろ興味が強いところ。そういう話かなと思って、人口減時代でも伸びる街 沖縄・福岡…  :日本経済新聞(2019/8/25 4:30 日本経済新聞 電子版 )という記事をブックマークしていました。


●沖縄県は魅力が高く人口増加の見込み…その理由とは?

 記事によると、2030年に日本の人口は1億1900万人(国立社会保障・人口問題研究所調べ)と15年比で約800万人減る見込み。ほとんどの自治体が人口減に見舞われるということになります。一方でなかには人口が増えたり、地域の中核都市として成長が期待できたりする自治体もあるとのこと。記事は、逆風下でも「伸びる街」を探るというテーマでした。

 最初に出ていたのは、沖縄経済は米軍基地に依存していないし、お金がほしいわけでもない沖縄振興予算は多いのか? むしろ沖縄県が貰うお金は少なすぎかもなどで書いている、国からもらう大量のお金で成り立っていると誤解されている沖縄県の例。沖縄本島の恩納村(おんなそん)の話です。

 恩納村には、最近、高級ホテル「ハレクラニ沖縄」が開業しました。ハレクラニは、三井不動産が約40年前にハワイで買収した高級ホテルですが、日本初出店どころかハワイ以外は初めて。客室単価は5万円強と高額なのに、数カ月先までほぼ満室と好調です。

 恩納村だけでなく、沖縄では大型ホテルの建設ラッシュ。19年の沖縄県の公示地価上昇率は商業地で10.3%となり、なんと上昇率は全国トップとなるなど、価値が上昇しています。人口が増加することで、スーパーなどの小売業や銀行などの金融業も好調という好循環となっているということでした。

 その牽引となっている観光客は2018年度には約1000万人。約300万人は外国人客ですが、昔から多かったわけではなく、わずか7年間で10倍に増加。台湾などアジア圏との地理的な近さに加え、クルーズ船の寄港回数の増加などが寄与したとされていました。


●保守的な都市はダメ?多様性とイノベーションが成長の鍵

 沖縄の話が中心であり、記事でもう一つタイトルになっていた福岡の話は少なかったですね。野村総合研究所がまとめた「成長可能性都市ランキング」では、福岡市が上位。中心部と空港や新幹線の駅が近く交通インフラが充実し、イノベーションが起こりやすい風土も評価されたと説明されています。

 この野村総合研究所がまとめた「成長可能性都市ランキング」は全国100都市が対象で、多様性を受け入れる風土やイノベーションを促す取り組みなどを見たとのこと。保守的な考え方はダメってことみたいですね。こうした観点で福岡市は評価されたのですが、それ以外の理由も記事では書かれていました。

 九州最大の繁華街である福岡市の天神では、大規模都市開発が進行。不動産サービス大手であるジョーンズラングラサール(JLL)発表の「商業用不動産市場が成長する都市ランキング」では、福岡はなんと世界4位(世界131都市対象)でした。大げさではなく、マジで世界から評価されている都市のようです。


●新規農業移住者が100%定着!人口が増えている北海道赤井川村

2021/01/10:新型コロナウイルス問題で人口増加のトレンドが変わっている可能性を考えて検索。出てきた記事は、日本農業新聞 - “よそ者”招く好循環 小さな村に移住者続々 新規就農100%定着 北海道赤井川村(2021年01月03日)というもの。むしろ全国的に見てもきついと思っていた私の地元北海道が成功例として紹介されていて、びっくりしてしまいました。

 人口が少なく、交通の便が決して良いとはいえないのに、移住者が続々と訪れ定着する小さな村が全国に存在するとされており、その例として載っていたのが四方を山に囲まれた北海道赤井川村。内陸性気候のため冬の積雪は多く、道内有数の豪雪地帯だとのこと。とても住みやすいようには思えません。正直、北海道出身の私でも嫌ですわ。

 赤井川村は2020年1月1日時点で人口は1273人。普通にすごい少ないのですが、5年前に比べるとなんと12%も増加。さらに30代女性も増えているといいます。これは、「人口1000人を切らせない」という危機感から始まった移住や就農への積極的な支援策がポイント。1996年度から研修を終えて農業を始めた全26組が村に定着。100%定着とされていました。すごいですね。信じられません。


●真似できないやり方?大部分の地方自治体が衰退するのは当然な理由

 具体的に何をやっているか?と言うと、住宅建設への補助、保育料や子どもの医療費無料などで財政的に支援。これはよくあることで、それより、呼び込んだ新規就農者は村ぐるみで支えるというのがポイントでしょう。北海道積丹町出身で東京から移住してきた男性の場合、台風で被災したとき、地域の人がビニールハウスの復旧を手伝ってくれ、妻が妊娠したときはご飯を持ってきてくれたといいます。

 今回私は新型コロナウイルス問題の話を書いたものの、新型コロナウイルス問題以降、村にはむしろ移住相談が増えたとのこと。ただ、大勢より関心を持ってくれた1人を大切にする村のスタンスは変わらないと書いていたので、チャンスだとばかりにどんどん受け入れを増やすのではなく、慎重にやっているみたいですね。

 ただ、タイトルを見た時点で思っていたのですが、これができる自治体は少ないでしょう。私は同じ北海道の田舎の出身ですが、よそ者に冷たい町のためにこういうのは無理だと思いました。手厚くするとやっかみがあるでしょう。また、支援と引き換えに派閥争いに巻き込まれる…といったことも起きそうな町で、そこらへんも心配です。

 また、日本では「村八分」のニュースが未だにちょくちょく出ていますよね。本当にある現代の村八分 南馬宿村の秋田県じゃなく新潟県関川村や大分県などなど、うちではよく村八分の話も取り上げています。このような状況からすると、正直言って、大部分の地方自治体が衰退するのは、自業自得だと思うんですよね。


●福岡市など伸びる街を抱える福岡県、実は人口減少数ワースト都市も

2021/03/26:最初の投稿部分では、福岡市が伸びているという話でした。人口増加ランキング上位では福岡県の別の小さい町が入っていたこともあり、私はなんとなく福岡県全体が伸びているイメージがあったんですよ。ところが、北九州市は逆に全国でもワーストの人口減少数を記録しているとのこと。衰退の代表例な都市も同じ県内にあったんですね。

 この話があったのは、さらば「日本製」…まもなく日本の「基幹産業」がどんどん消えてなくなる!(週刊現代)という記事。表題の話については日本はもう製造業・ものづくりの国ではない 人件費が高いも嘘でアメリカなどより安いでやっているのですが、製造業衰退都市の代表が北九州市だったのです。

<この数年、北九州市は全国でもワーストの人口減少数を記録している。製鉄業という最大の強みが崩れ、街全体が徐々に地盤沈下しつつあるのだ>
「製鉄労働者を乗せて九州東部を縦断する日豊本線の車両はいつも混み合っていて、床一面タバコの焦げ跡だらけでした。小倉の繁華街には飲み屋だけでなく立ち食いうどん屋、パブが所狭しと並び、毎晩ごった返していた。ヤクザもいたし、諍いも毎日のように起きていましたが、血気盛んな労働者たちがこの街の経済を回していたのです」(日本製鉄OB)
「6基の高炉がフル稼働し、10万人を超える人々が働いていた八幡地区も、現在は高炉1基に3000人が従事するのみ。北九州では、もはや『鉄の時代』は終わりを告げているのです」(日本製鉄OB)


●東京から地方へ人口分散させることはそもそも本当に良いこと?

2021/04/21追記:地方へ人口分散させることが良いことであるように言われますが、その際に実際になぜ必要か、どのようなメリットがあるかが言われることはほとんどありません。感情論的です。一方、感情的には強い反発があるでしょうが、むしろ過疎地を捨てて、人を都市部に集めた方がメリットがあると考えられます。

 人口が少ない地方では、人口が少なく税収が少ないにも関わらず、電気・水道などのインフラ整備や施設、公務員などなどが必要で、大きな負担となって破綻しかねません。要するに「人口は減っているのに、設備などは全部以前と同じにして!」という要望になってしまうので、かなり難しいことを望んでいるとわかるでしょう。

 だからこそ地方へ人を移住させるべき!と思うかもしれませんが、一部地域だけでなく日本全体の人口が減り続けるためにこのやり方では困難に…。なので、根本的な解決策ではない過疎地への移住よりも、住まない地域を作って人をなるべく同じ場所に集めるしかないですし、その方が効率的です。(一応、他に日本の人口を増加させるという手もあります)


●一極集中是正で使えそうな大義名分は、災害対策や感染症対策

 ただし、人が多ければ多いほど良いというわけではなく、人口が過密しすぎても問題が出てくるのも事実。例えば、東京・横浜地区は世界で一番災害の危険性が高い都市と評価されているんですよね。東京以外でも、古い過密した場所では火災の危険性が高い地域があり、実際、近年も大火事が発生しています。東京の一極集中などを是正する大義名分としては、私はこれが最も有望だと思っていました。

 ところが、新型コロナウイルス問題が起きたことで、都市部は災害だけでなく感染症にも弱いことが判明。こちらも大義名分にできそうです。そして、実際に脱東京の動きが出ているという記事も出ていました。「東京脱出」した人はどこへ? 23区からの転出者が増えた市区町、調べました:東京新聞 TOKYO Web(2021年4月19日)というものです。

 冒頭では、<新型コロナウイルスの感染拡大で東京23区からの転出者増が止まらない。都の毎月1日現在の調査では3月は全ての区で前月より人口が減った。では転出者はどこに移ったのか。本紙は昨年1年間の23区からの年間転出者数を独自に集計>と説明されていました。おそらく近年なかった動きだと思われます。

 ただ、よく読んでみると、残念なことに、調査結果は地方創生に繋がるようなものではありません。移転先を2019年と比べた結果わかったのは、神奈川県藤沢市の増加数が最多で、湘南地域や東京西部への移住者も多いということ。飽くまで東京23区のすぐ近くへ移転しているだけで、遠くには行っていないんですね。これでは過疎地の復興どころではありません。

<23区からの転出者増の背景について、専門家はテレワークの普及や生活苦で家賃が安い郊外に移る人が増えたことが要因とみる。(中略)総務省の人口移動報告(外国人含む)によると、20年に23区から転出した人は36万5507人で、19年より2万1088人増えた。都からの転出増が最多の藤沢市には2975人が移り、19年比で713人(31.5%)増えた。同県鎌倉市、茅ケ崎市も約30%増。東京都三鷹市(引用者注:2位)など23区西への転出者も多かった>

 あと、私は通勤満員電車も都市部の大きな問題だと思っており、この点では近隣地域への移住はむしろマイナスかもしれません。また、飽くまで新型コロナウイルスの影響であり、比較的短期の傾向で長期的なトレンドにならないとも予想。前述の通り、日本全体の人口は減っているため都市部でも減る可能性があり、長期的には都市部にむしろ住みやすくなると思われます。


●東京からの転出者増が止まらない…のはずが、速攻でブーム終了

2023/01/31追記:上で書いた「東京23区からの転出者増が止まらない」の話。読み直してみると、飽くまで新型コロナウイルスの影響であり、比較的短期の傾向で長期的なトレンドにならないと予想…と私は書いていましたね。実際、すぐに東京に人が戻り始めたようです。全く一極集中の改善には繋がりませんでした。

 東京の転入超過、3年ぶりに増加 22年、3万8000人(2023年1月30日 15時02分)によると、総務省が公表した2022年の人口移動報告で、東京都は転入者が転出者を上回る「転入超過」が3万8023人となったといいます。増加は3年ぶりとのことで、明らかに新型ウイルス問題要因でしょうね。

 東京都だけでなく、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)で見ても、転入超過は9万9519人となっています。前述の通り、そもそも地方への分散が本当に良いことなのか?と私は思いますが、政府は人数を年度に換算し、27年度に転入者と転出者を均衡させるのが目標とのこと。ただ、言っているだけで実行力はないんじゃないかと思います。


●もはや「大企業誘致」は時代遅れ!とする記事を読んでみると…

2022/01/11追記:<もはや「大企業誘致」は時代遅れ! 今、地方経済の活性化で「地場スーパー」が大注目なワケ>(ITmedia ビジネスオンライン / 2021年12月28日 7時55分 中井彰人)という記事があり、気になって読んでみました。ただ、釣りタイトルで閲覧数を稼ぐ悪い記事だったかもしれません。内容がなんか変なのです。

 成功例として出ていた熊本県の菊陽町。「田舎町」と表現されています。過疎化に悩む地方において人口増加が続いている全国でも珍しい自治体だとのこと。ただ、以下のように人口増加の理由はむしろ「企業誘致」が理由。新たに半導体製造の世界最大手TSMC(台湾積体電路製造)が半導体工場を新設するともされており、普通に企業の進出が決め手に見えました。

<インターネットなどで調べると、「熊本市のベッドタウン」と紹介がされているのだが、首都圏などにおけるベッドタウン(東京都に通勤、通学している人が住んでいる街)というイメージとは若干ニュアンスが異なる。菊陽町に人が増え始めたきっかけは、ソニーグループなどが立地するセミコン団地(半導体工業団地)や富士フイルムなどの製造拠点がいくつも散在すること、また隣接する大津町には本田技研工業熊本工場、合志市には東京エレクトロンなどの大手企業や関連する企業の製造拠点が集積しており、そこに勤務する人たちが居住したことが大きい>
<こうした大手製造業の誘致を背景として、菊陽町のみならず、近隣の合志市、大津町、嘉島町、益城町などの自治体の人口は増加基調にあり、全国の人口増加自治体ベスト10に熊本県の自治体が4市町ランクインしている>
https://news.infoseek.co.jp/article/itmedia_bizmakoto_20211228030/


●地方経済の活性化で「地場スーパー」が命運を握るとする根拠は?

 タイトルをつけるのは普通は編集なので、作者じゃなくてITmedia ビジネスオンラインの編集が悪いのかもしれませんね。本文を見ると、「もはや「大企業誘致」は時代遅れ!」でスーパーを誘致すべきという話ではなく、企業誘致とスーパーの誘致をセットで行うことが望ましいというもの。全然内容が違いました。

<地域の人口増加を支えているのは、働く場所と住宅地の整備だけではなく、郊外型大型商業施設も併せて誘致したことによって、地域の日々の生活の利便性が充実しているということが大きい。
 この地域の開発が始まって間もない04年にオープンした「ゆめタウン光の森」は、総合スーパー大手で中四国、九州を地盤とするイズミが運営する敷地面積7万8000平方メートル、商業施設面積約4万平方メートルの大型商業施設で、シネコンを含めた150店以上のテナントと、3400台の駐車場を備えたいわゆる郊外型ショッピングモールである>
<オープン以降、周辺の幹線道路の交通量が飛躍的に増加したため、その動線を狙ってロードサイドにはさまざまな小売店、飲食店、郵便局本局、金融機関、医療機関などが進出するようになり、首都圏でいえば16号線沿いのような「ロードサイド銀座」的な集積が自然発生した。結果、この地域の住民は周辺地域内を出ることなく生活する環境が整い、その利便性から住宅地としての価値が向上したため、さらに新たな住民が呼び込まれる――という好循環が実現している>

 なぜ企業誘致だけだとダメなのか?については、<ここ数十年の大企業工場誘致は、地域の第1次産業の担い手を奪ってしまった上に、自立したな人材を大都市に流出させ、揚げ句には拠点の移転や閉鎖により雇用が失われ、地方経済を疲弊させてしまったという例が少なくない>という説明でした。

 上記もちょっと首を傾げる主張ではあるものの、現在の製造業に雇用を生み出す効果が低いと指摘している部分は賛成できます。製造業は省力化されている上に、政府の方針のせいで非正規雇用が一般化、さらに拠点の縮小や閉鎖も増える始末。現在の日本の労働者は、サービス業が中心であり、菊陽町はここが増えました。

 ただ、「地場食品スーパーこそ、今後の地方経済の命運を握る存在」という結論部は再び理解できず。前述の通り、スーパーより先に人口増の見込みが必要です。また、食品スーパーは各店舗に加工工程が分散しているため非効率であり、規模の利益が働きにくいという主張も事実と異なります。スーパーはむしろ規模の経済が働く代表企業で、普通に大企業の方が利益率が高いのはデータ的に明らかなためです。

 なお、サービス業は今大事ではあるものの、製造業と違って誘致が難しいことも指摘しておきます。製造業は全国や海外の人を相手に商売できるため田舎でも成立する可能性がありますが、サービス業は地元の人を相手にするため過疎地では難しいのです。過疎化がむしろ最近深刻化しているのは、こうした製造業とサービス業の特性の違いがあります。


●教授おすすめの「にぎやかな過疎」、成功例ですら人口は激減中

2023/12/12まとめ:別のところで書いていた過疎化関係の話をこちらにも転載しておきます。

 小田切徳美・明治大学教授が「にぎやかな過疎」という概念を提唱していると知り、興味を持ちました。最初に見た記事では詳細不明だったので検索。<「にぎやかな過疎」をつくる―農山漁村の地方創生― - 全国町村会>(2019年1月7日)だと、詳しい内容が読めそうでした。

<「にぎやかな過疎」とは、筆者が地域社会のあるべき姿として論じてきたキーワードでもある。それは、ここ数年、一部の農山漁村で、「過疎地域にもかかわらず、にぎやかだ」という矛盾した印象を受けたことに始まっている。人口データを見る限りは依然として過疎であり、自然減少が著しいために、人口減はむしろ加速化している。しかし、地域内では小さいながら、新たな動きが沢山起こり、なにかガヤガヤしている雰囲気が伝わってくる。それを、ある秀逸なテレビドキュメンタリー(テレビ金沢「にぎやかな過疎-限界集落と移住者たちの7年間-」、2013年放映)のタイトルを拝借して、「にぎやかな過疎」と称したのである。
そして、その代表格がこの徳島県美波町である。ここでは、移住促進のためのサポートが早くから行われていたが、そこにサテライトオフィスという形での仕事の持ち込み(筆者は「移業」と呼ぶ)が生まれ、それを支援する会社も設立された。そして、そのように移住した若者が祭りをはじめとする各種の地域活動に参加する姿も見られる。また、複数の飲食店の新規開業も生じている。同じような状況は、福島県三島町、愛知県東栄町、鳥取県智頭町、山口県阿武町、同県周防大島町などにもある>

 いきなり否定してしまいますが、「人口減はむしろ加速化している」とのことで大成功とは言い難いですね。ただし、移住者がいて活気があるという時点で成功といえば成功。大半の過疎地はもっと悪いです。また、上記のサテライトオフィスや下記の「人が人を呼ぶ」は、他の成功例と共通点があり、方向性としては正しそうでした。

<これらの地域は、国内に点在する田園回帰の「ホットスポット」であると同時に、彼らがネットワークを作り、それ自体が動き出している地域である。移住頻発地域で見られる「人が人を呼ぶ」という関係がさらに活発化して、ある起業が別のしごとを生み出すような関係さえも発現している。まさに「にぎやかさ」を実感できる場となり始めている>

 なお、「サテライトオフィス」「人が人を呼ぶ」の成功例として私が思い浮かべたのは、徳島県神山町だったのですが、念のためにここの人口を見てみると激減中。こちらも活気はあるが人は増えていない町でした。本当に移住者で人口を増やしている北海道東川町などの例もあるのですが、人口増は相当難しいのかもしれませんね。


●以前と比べれば移住者は増加傾向 しかも、ど田舎ほど増えやすい!

 前述の通り、そもそも成功例ですら人口が激減中なのですが、小田切徳美・明治大学教授は田園回帰傾向があると主張していました。根拠は?と見ると、5年前と比べて、移住者を増やした区域が激増しているということ。人口増まで持っていけるかは怪しいですが、一応、以前よりマシにはなっているようです。

<調査研究(引用者注:総務省「『田園回帰』に関する調査研究会報告書」、2018年3月)では、国勢調査の個票を使い、過疎地域に居住するが5年前には都市部に住んでいた者を「移住者」と捉え、その数や地域分布、属性などを調べている。
 それによれば、5年前と比べて、移住者を増やした区域の数は、2000~2010年の108区域に対して、2010~2015年には3.7倍の397区域に増加している(「区域」は平成大合併前の2000年4月時点の旧市町村)。これは過疎地域に指定された全区域の26%に相当する>

 移住者が増えた区域の割合が高いのは沖縄、中国、四国。ここで意外なのは、沖縄では離島部に移住者増加地区が多く、中国、四国でも、特に山地の脊梁部である県境付近でこの傾向が見られること。区域人口が小さい地域ほど移住者が増えた割合が高いことも図示されており、過疎がひどいところほど移住者が増えやすいようです。

 なお、個人的に気になるのは、移住してきた人がその後長く定着しているかどうか、しばらくして出ていった人を考慮してるか?ということ。というのも、親戚がいる田舎町では、補助金などで釣って移住者が多数来るものの、ほとんど定着せずに離れてしまっている…と関係者が嘆いてたため。見せかけの増加の可能性があります。


●田舎ほど良いって本当?「移住失敗」「もう限界」関係悪化で離脱

 「ど田舎ほど増えやすい」という主張に、定着率に問題はないの?と前回書いたら、まさにど田舎に行って定着せずに離れたというケースが話題に。これは、「もう限界」移住失敗した男性の後悔 限界集落で起きた「うわさ話」(23/1/26(木) 8:00配信 朝日新聞デジタル)などで報じられたケース。地域おこし協力隊員だった男性(34)がYouTubeに「移住失敗」「もう限界、引っ越します」と投稿。300万回超再生されるほど注目されました。

<男性はコロナ禍で行動制限が多い都会暮らしに疑問を抱き、小学校教員を退職して地域おこし協力隊に応募。2021年に妻子と共に東京都調布市から四国地方の山間部の限界集落に移住した。しかし、地域振興の活動の中で地元の顔役的な数人との関係が悪化したという。
 男性は「集落の大半の人とは仲良くさせてもらい、農作業や猟など様々な体験をさせてもらった」と感謝しつつ、「身に覚えのないうわさ話が出回り、親しかったのに関係がギクシャクしてしまった人もいた」と振り返る>

 男性は「人間関係の問題はどこでもあるけど、私が行った集落では都市部のような付かず離れずの関係は許されなかった。郷に入るか、出るかの二者択一だった」と話していました。ただ、これはど田舎ほどある話というか、むしろ田舎ではそれが標準。田舎出身の私としては、こうした実態を知らせず、前回あったような「ど田舎ほど移住が増加」といった宣伝じみた文句だけ言うのは無責任に感じます。

<コロナ禍で注目が高まっている地方移住。男性は「後になって知ったが、過去にも同じようなトラブルで地域を去った隊員がいた」と言い、移住者の定住率を事前に調べなかったことを後悔している。
 一方で「東京で田舎暮らしに興味を持ち続ける生活だったら、それはそれで後悔していたと思う」とも言う。現在は東京に戻らず、別の地域の山間部で新たな移住生活を始めている>


【本文中でリンクした投稿】
  ■本当にある現代の村八分 南馬宿村の秋田県じゃなく新潟県関川村や大分県など
  ■沖縄経済は米軍基地に依存していないし、お金がほしいわけでもない
  ■日本はもう製造業・ものづくりの国ではない 人件費が高いも嘘でアメリカなどより安い
  ■沖縄振興予算は多いのか? むしろ沖縄県が貰うお金は少なすぎかも

【関連投稿】
  ■沖縄県の飲み会の締めがステーキって本当?ラーメンではないし、沖縄そばでもない
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