若者応援企業関連の話をまとめ。<若者応援企業は本当にホワイト? 厚生労働省の説くメリットとは?>、<誰を応援しているの?厚労省の説明は若者ではなく企業のメリット>、<政府推薦の若者応援企業「そもそも残業代というシステムがおかしい」>、<若者応援企業がブラックすぎ「残業代という考えは捨ててください」>などの話をまとめています。
●サービス残業若者「使い捨て」企業が横行…政府に考えを聞くと?
2014/6/3:
年収1000万円はどこへ?平社員・新入社員すら「残業代ゼロ」の案の続き。向こうでは書けなかったブラック企業の問題は、自民党政権の「残業ゼロ」法案ににおいてより深刻化してしまうのではないか?という疑問についてです。
<厚労省が昨年、若者の「使い捨て」が疑われる企業への重点監督を実施したところ、調査した5000超の事業所のうち約8割で法令違反があった。違法な時間外労働と賃金不払い残業が主だったものだった。(中略)
こうした現実に対して、冒頭の長谷川ペーパーは、「長時間労働を強要するような企業が淘汰されるよう、労働基準監督署による監督指導を徹底する」ことで対応できるとしている>
(「ヒラ社員も残業代ゼロ」構想の全内幕 | 東洋経済オンライン 風間 直樹 :東洋経済 記者 2014年05月26日より)
http://toyokeizai.net/articles/-/38399 上記のように政府は問題ないとの考え。ただ、労働時間規制は「三六協定」で適用除外にできるため、実際には現行では対処できません。記事の最初では、<ペーパーの冒頭では、働きすぎや過労死、「ブラック企業」の問題から労働基準監督の重要性まで五月雨式に触れられているが、いかにもバランスを取るための後付け感が強い>とも指摘されています。
●若者応援企業は本当にホワイト? 厚生労働省の説くメリットとは?
また、以前
ハローワーク求人から非ブラック企業認定「若者応援企業宣言」でやった「若者応援企業」の問題点も出てきました。この若者応援企業は国が「成果が出ている」とオススメしていたもの。当時私はイマイチ信じきれなかったのですが、とりあえず、以下のような良いものだとされていたんですよ…。
<若者のメリットとは・・・>
☆中小・中堅企業の詳細な就職関連情報を入手することができます。
ハローワークに通常公開している求人よりも詳細な企業情報・採用情報を公表しているため、新卒者の採用実績など知りたい情報を知ることができます。
☆応募前に職場雰囲気などをよりイメージしやすくなります。
先輩社員からのメッセージや職場風景などを公表している場合があるため、応募前に職場雰囲気などをイメージしやすいため、より希望にあった会社に応募できることが可能となります。
「若者応援企業」宣言事業|厚生労働省●誰を応援しているの?厚労省の説明は若者ではなく企業のメリット
というか、上記を見てわかるように、そもそも公式の説明の時点で、若者のメリットに関する説明がほとんどなし。実は、企業のメリットの方がずっと一生懸命書いています。この格差を見ると、そもそも若者応援宣言企業は働く若者のためではなく、経営者のための政府事業ではないか?と感じますね。
<中小・中堅企業のメリットとは・・・>
☆就職面接会などで重点的に若者とのマッチングを支援します
就職面接会などの開催についてハローワークから積極的にご案内しますので、若者を採用する機会が増え、より適した人材の採用が期待されます。
☆会社の魅力をアピールできます
都道府県労働局のホームページで就職関連情報を公表しますので、会社の魅力を広くアピールすることができます。
☆「若者応援企業」の名称を使用することができます
「若者応援企業」の名称を一定期間使用することができ、若者の採用・育成に積極的であることを広くアピールすることができます。
☆若者の職場定着が期待できます
詳細な就職関連情報を公表しますので、職場環境・雰囲気・業務内容などがイメージしやすくなり、より適した人材の応募が見込まれ、採用後の職場定着が期待できます。
●政府推薦の若者応援企業「そもそも残業代というシステムがおかしい」
政府のオフィシャルサイトが、こういうふうに若者のためではなく企業のための政府事業…と思わせる姿勢が既にもうダメな気がしますが、普通アピールされるのは以下のような部分。以下は、政府ではなく、
「若者応援企業宣言事業」をご活用ください! | 東京労働局の説明で、こちらの方が政府よりわかりやすくなっています。
(1)若者を積極的に正社員として採用・育成していること。
(2)就職関連情報(採用・定着、教育制度、有給取得状況等)を開示していること。
(3)労働関係法令違反をしていないこと。
(4)過去1年間に、事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていないこと。
(5)過去3年間に、新規学卒者に対する採用内定取消を行っていないこと。
(6)各種助成金の不支給措置を受けていないこと。
ただ、これを見て、残業時間の公表はないの?とがっくり。……なんかもうこの時点で嫌な予感がしますね。で、東洋経済に戻って、実際に若者応援企業に就職した人の事例を見てみると、嫌な予感が的中する結果となっていることがわかります。
<「厚労省の『若者応援企業』に指定されており、働きやすい職場だとPRしていたのを信じてしまった」。あるIT企業を休職中の高口玲子(仮名、24)は悔やむ。
昨年12月から働き始めた高口の職種はSE。終業の定時は17時半だったが、実際は23時を過ぎることもザラだった。月給は18万円で、そこに40時間分の固定残業代が含まれる。ただし
超過分について支払われることはなかった。「
社長はそもそも残業代というシステムがおかしいと公言していた」(高口)。
結局高口は過労で適応障害となり休職に追い込まれたが、こうした会社が社員定着率の開示を求められる若者応援企業と公表できるのは、「最初の研修で
どんなに苦しくても周りに相談してはならない、親も他人と思えと“洗脳”されるため、倒れるまで頑張ってしまう」(高口)ためだ>
クソ笑いました。ブラック企業の典型的な社長じゃないですか。「そもそも残業代というシステムがおかしい」は名言っぽさがあります。インパクトありますわ。政府は、なんという企業を推薦しているんでしょう…。
●若者応援企業のおかげで、若者は良い企業との出会いが期待できる?
2022/07/01追記:ここから<提訴された若者応援企業「残業代という考えは捨ててください」>というタイトルで書いていた話をまとめ。ただ、わかりづらいタイトルでしたね。若者応援企業がブラック企業だと提訴されて、その企業が「残業代という考えは捨ててください」と主張していたという話です。
2014/8/9:まだ1企業だけ、しかも提訴された段階ですので決めつけるには早いと思うものの、私は極めて懐疑的に見ていた若者応援企業事業がやはりヤバかったのではないか?という報道が出ています。その話に行く前に、とりあえず、軽く若者応援企業の定義から行きましょうか。毎日新聞が説明を載せていました。
【ことば】若者応援企業
<厚労省が「若者応援企宣言事業」として13年4月から開始。労働関係法令の違反がないことや若者を正社員に採用しているなど一定の条件を満たした企業が申請し、問題がなければ各都道府県労働局のホームページに掲載される。6月末現在で全国の3519事業所が登録されている。企業には若者に対するPR効果が、若者は良い企業との出会いが期待できるとしている>
(若者応援企業:24歳女性「パワハラ」提訴 賃金など求め 毎日新聞 2014年08月07日 21時45分(最終更新 08月08日 13時15分)【東海林智】より)
http://mainichi.jp/select/news/20140808k0000m040068000c.html●ハロワ推奨の若者応援企業、ブラック企業だとして提訴されてしまう…
ということで、若者は良い企業との出会いが期待できる…はずだったのですが、この若者応援企業で訴訟が発生。
「若者応援企業」を提訴 24歳女性「十分な研修ない」:朝日新聞デジタル 2014年8月8日00時48分では、神奈川県内の女性(24)"が、IT会社ライフクリエイションズ(東京都港区)などに"慰謝料など約500万円の支払いを求める裁判を東京地裁に起こした"と書かれています。
女性は提訴した企業でずっと働いていたというわけではなく、"別の会社にシステムエンジニアとして派遣され"ていたようです。ただ、未経験だったのに研修を受けて、翌月には派遣。未経験なので仕方なく派遣先の上司に質問たのですが、指導はなく、逆にパワハラの対象になったということです。
また、"200時間まではみなし残業とされた"という、どこに出しても立派なブラック企業だろう…と言われてしまう恐ろしいサービス残業が発生。上記の記事では「ブラック企業」という言葉は使われていませんでしたが、十二分にブラック企業と言って良いでしょうね。ヤバすぎます。
「若者応援企業」を提訴 元社員、過重労働で心の病に :日本経済新聞 2014/8/8 14:20〔共同〕によると、女性側の代理人弁護士が「若者応援企業が実はブラック企業だった。登録は慎重にすべきだ」と言っており、モロにブラック企業と言っているみたいです。
こちらでは、"研修とされた入社前約1カ月の労働も賃金は支払われなかった"という記載もありました。入社前なのか。となると、企業側は「入社前だから問題ない」と主張してくるかもしれません。ただ、そもそも未経験なのですから、事実上の強制であり、言い逃れは難しいと思われます。
●派遣先の富士ゼロックス系企業ではブラック労働だけでなく…
先程の毎日新聞は定義の抜き出しだけで中身を読んでいませんでしたので、こっちも見ます。他にない記載はあるかな?と見ると、IT会社の表記が「LIFECREATIONS」と多少違いました。さらに完全になかった情報としては、派遣先が「富士ゼロックスシステムサービス板橋事業所」だったというのがわかりました。
あと、"研修中の休みは1日で、270時間行われたが賃金は支払われなかった"とのこと。これに対して、ライフクリエイションズはやはり「研修は任意の参加」という反論をしているようですね。ただし、事実上強制の「任意」の可能性が高そうな感じ。そもそも未経験者なんですし…。
また、派遣先の富士ゼロックスシステムサービスでは、"具体的な指導はなく、パワハラやセクハラ発言を受け、長時間労働も続"き、"2カ月勤務した後、適応障害で働けなくなった"そうです。ここらへん、毎日新聞の書き方が一番わかりやすかったですね。富士ゼロックスも悪いようです。
"女性は新卒で就職した企業でも長時間労働やパワハラで仕事を続けられなかった"というのも、他になかった話で。新卒でつまずくとその後も…というのは日本だとお馴染みですが、それだけに"厚労省が関与する若者応援企業と紹介され"たライフクリエイションズには期待があったようです。
一方、日経新聞によれば、"厚労省の担当者は「登録企業に法令違反があれば、登録の保留や取り消しを検討する」としている"そうですけど、それで「はい、解決」ってわけにはいきません。制度の目的としては、事後ではなく事前に登録を防いでいなくてはいけないのですからね。これじゃ人柱状態です。
最初に書いたようにまだ1例なのでこれだけで制度の評価を決定づけるものではありませんが、今回のケースが本当なら「若者応援企業」にはものすっごいブラックなところも含まれている可能性があるということですから、事業の当初の目的からすると魅力が激減してしまうことは間違いないと思われます。
●若者応援企業がブラックすぎ「残業代という考えは捨ててください」
2014/10/12:上記で書いていた若者応援企業の提訴について別記事が出ています。2014年9月23日放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)で取り上げられていたようで、番組内容について書いた
「私はモノではないし、ゴミでもない!」 ブラック企業を訴える若者たちの反撃(キャリコネニュース 2014年09月25日 03:45)というものがありました。
こちらによると、提訴したシステムエンジニアの女性が1か月の研修期間のときに渡された「研修マニュアル」には、驚くべきことが書かれていました。「ルールは会社側にある」「3年間は絶対続ける、絶対辞めない」「無駄な事は考えずにただ、ひたすら頑張ってください」などというのは序の口。一番すごかったのは、「勤務観と労働観」の項目です。
「我々は、普段、労働をしているわけではなく『勤労』をしています。労働とは苦役の事で、ほんらい奴隷が行う仕事です。お金のため、食べて行くために苦しみながら身体を労し働く事です。一方
勤労とは働く事を通して、心身を磨き、自分を成長させることです」
お金のため、食べて行くために労働する…というのは一般的な認識だと思われますが、それは奴隷が行うことだとしています。では、このような奴隷の仕事をさせない若者応援企業でやるのは何か?というと、「勤労」だそうです。そして、この「勤労」というのは、「働く事を通して、心身を磨き、自分を成長させること」だと言います。本来、仕事と言うのはお金や食べていくためではなく、自分のためなんだよ…という話。まあ、こういった教訓めいた話そのものはなあ良しとしましょう。
ここで問題なのは、若者応援企業が文字通り、お金のためでない仕事をさせるため…つまり、ブラック企業論理を通すために、上記のような主張をしていたらしいということです。提訴したシステムエンジニアは、「(これは労働ではなく)
勤労なので時間は関係ない。残業代という考えも捨ててください」と会社から言われたそうです。クズ中のクズですね。
●あの有名ブラック企業もカネのために働いてはいけないと教えていた
ただ、立派な理念を掲げて自主的にサービス残業をさせるように仕向ける…というのは、他の企業でもやっていました。こういった問題ではお馴染みのワタミが確か同じようなことを…と思ってブログ内検索しましたが、出てきたのを見るとそこまで似ているわけではありませんでした。
検索で見つけた
ワタミ渡邉美樹、29年考えてできた理念「365日24時間死ぬまで働け」で出てきたすてきな格言は、「365日24時間死ぬまで働け」「出来ないと言わない」といったものでした。自民党から政治家になった渡邉美樹さんのワタミも同様の論理を強調して働かせていたブラック企業なんですね。
質疑応答として出ていた<「仕事は、成し遂げるもの」と思うならば、
「勤務時間そのもの」に捉われることなく仕事をします。なぜなら、「成し遂げる」ことが「仕事の終わり」であり「所定時間働く」ことが「仕事の終わり」ではないから>というのが、特に今回のテーマに近そうな部分でした。
(2021/03/28追記:ワタミに関しては、「ありがとう」という感謝のために働くことを奨励して、賃金のために働くことを批判し、ワタミの利益のために自分を犠牲にすることを正当化していたことなど、
ワタミ渡邉美樹、29年考えてできた理念「365日24時間死ぬまで働け」に追記しています)
●休憩や休日をとるやつは二流以下…というブラック企業の論理
最初の記事では、上記の記事ページでちょうど「あわせてよみたい」という推奨記事にワタミの話が載っていました。
ワタミは「1日8時間労働で完全週休2日制」 採用担当者がついていた「大ウソ」(2014.09.25 12:50 キャリコネ)という記事です。
先述の「365日24時間、死ぬまで働け」という表現をワタミがは今年の5月19日に削除しました。この同じ日に渡邉美樹元ワタミ会長は、「『完全週休二日宣言』も含めた『本意』が、創業者の理念でありワタミ理念集です。これまで、文章の一部だけを切り取り、一方的に誤訳され悪意を込めたイメージ攻撃を受けて参りました」とフェイスブックに書いたそうです。
ところが、この作者がワタミで"働いていた4年間で「週休二日」休めた日など、いちども"なかったそうです。同期の男性などは入社2~3か月目で上司に「この労働環境はおかしい。入社前に説明されていた条件と全然違う」と言ったのですが、「外食チェーンなんだから、1日8時間労働なんて無理に決まってんだろ?」と回答したとのこと。見事な開き直りです。
また、後輩の女性社員は「今日のシフトは12時まででしたけど、休憩に行ってないので1時間早く上がっていいですか?」と店長に言ったところ、「いや、休憩行ってないって…。お前はバイトかよ!」と叱責されています。"労働基準法には1日8時間労働する場合、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない決まりがあります"。それで「ちゃんと休みを取りなさいよ」という意味ならまだ少しは良いんですが、話の流れからすると「休憩をとるだなんて甘えたこと言うな」ってことでしょうね。
確かワタミでは、まじめに仕事をしていたら休憩時間なんかとれるはずがない…といったお言葉もあったと思うのですが、これまたブログ内を検索したものの見つかりませんでした。今回のケースのように勤労に関する格言めいた言葉がブラック企業論理に繋がってしまうってのは、困ったものですね。この手の格言を見る度に複雑な気分になりそうです。
●若者応援企業提訴で「ハローワークも信用できないとかどうすれば」
2014/12/28:上記までで書いてきたように、国がホワイト企業として推奨している若者応援企業であるライフクリエイションズは、今元従業員からブラック企業だとして裁判を起こされてしまっています。
<「若者応援企業」とは、若者を積極的に正社員として採用・育成、または、労働関係法令違反をしていないことなどを原則とし、ハローワークが当該企業を積極的にPR等を行う事業のことだ。だが今、若者応援企業が労働関係法令違反しまくり!超絶ブラック企業が目白押しだと話題になっている。
2014年8月7日、神奈川県の女性(24)が、元勤務先ライフクリエイションズ(東京都港区)に対し、過重な業務を強いられたとして訴えを起こした。それによると、女性は未経験にも関わらず、わずか1か月の研修で他社に派遣され、高度な専門知識が必要な仕様書の作成に携わっていたという。業務について上司に質問しても無視され、挙げ句の果てには、パワハラ・セクハラの対象に。女性の基本給は18万円で、200時間のみなし残業!さらに研修中の賃金は未払いという始末・・・>
(
絶望、若者応援企業の実態- NewsCafe(2014年8月9日11時00分)より)
この記事では、「ハロワ(ハローワーク)も信用できないとかどうすれば」というネットの反応を拾っていました。ただ、そもそもハローワークって信頼されているんですかね。私はそのようなイメージはなかったものの、以下のような反応もあったので、ハローワークというか、国がお墨付きを出して進めている制度というのもあるでしょうか。
「厚労省のお墨付きだから、他を蹴って入社してるかもしれないのに。厚労省には賠償責任は無いのか」
「こんなクソ仕事しかできない労働基準監督署・厚生労働省で働いている人が、難解な筆記をパスし、何回もの面接を潜り抜けているという事が信じられない」
●若者応援企業も?ハローワーク求人票4割で嘘、ブラック企業が利用
そして、やっぱりハローワークは信用できないのではないか?という思いを新たにしたのが、
求人票4割、厚遇「ウソ」…苦情9000件調査- 読売新聞(2014年12月25日07時10分)というニュース。2013年度に全国544か所のハローワークに寄せられた求人票に関する苦情9380件について、求職者や企業側に確認するなどした結果が以下でした。
<その結果、「土日は休みと書いてあったのに出勤させられた」「賃金が20万円と書かれていたのに、2万円低かった」など、3815件(41%)で求人票の内容と実態が異なっていた。求人票には「正社員募集」と書かれていたのに、契約社員として雇われたケースもあったという>
ああ、ちょっと勘違いしていました。うちでもそのまま見出しにしましたが、ハローワークのすべての企業のうち4割で嘘があったのではなく、苦情が寄せられた企業のうち4割で嘘があったということですね、たぶん。全体の何割かについては書かれていません。
これは逆に言うと、6割は苦情があったものの、求人票に嘘はなかったということになります。むしろ嘘の確率は少なく感じます。ただ、求職者に確認するのはともかく、企業側に確認するという言い方をしているのは気になりますね。調査ではなく確認という言い方からすると、ここでも企業に嘘をつけば簡単に通りそうな雰囲気があります。
●実は、6割の企業が「嘘を言っていなかった」という意味ではない
また、文章になっていない円グラフの内容を見てみると、以下のように、4割である「労働条件が求人票の内容に反していた」以外の項目がこれまたひどかったんですよ。6割の企業が嘘を言っていなかった…と考えるべきではありません。他にもひどい項目の企業があるのです。
労働条件が求人票の内容に反していた 41%
企業側の説明不足 18
言い分が食い違い特定できない 5
求職者の誤解 4
ハローワークの説明不足 2
その他 3
求職者側の要望で事実確認できず 27
この中で求人票が正しかったと間違いなく言えるのは、4%である「求職者の誤解」くらいです。「企業側の説明不足」「言い分が食い違い特定できない」には、「労働条件が求人票の内容に反していた」が潜んでいた可能性があります。そして、「ハローワークの説明不足」は、おまえが悪いんじゃないか!という話です。
そして、深刻なのは3割近くもある「求職者側の要望で事実確認できず」です。ハローワーク求職者が不満を持っていても、ハローワークが確認をしてきた時点で企業側は求職者の「密告」を知ってしまいます。ですので、おそらく求職者が不利益を受けるのを恐れて調査を希望しないとしたのでしょう。やはり内容は4割よりずっと悪い可能性が高いです。
それから、そもそもこの調査を始めた理由というのが、決定的にダメなもの。"過酷な労働を強いる「ブラック企業」が求人票の内容を良く見せかけて労働者を集めるケースが相次いでいることを受けて"という理由であったためです。ブラック企業が混じっているというのが、そもそも事実であり、スタート地点だったんですね。
既に結構そういうイメージが根付いてしまっていて、私的にはそれほど意外ではないんじゃないかと思うのですが、ハローワークはブラック企業の人材確保として大いに利用されている可能性が高そうです。
【本文中でリンクした投稿】
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