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STAP細胞は未使用のはずの2種マウスの混合 理研遠藤高帆らが解析


(6/7追記:タイトルの「STAP細胞は未使用のはずの2種マウスの混合」は正確には「STAP細胞を培養して出来た細胞は未使用のはずの2種のマウスの細胞の混合」といった感じです)

★2014/3/26 若山照彦教授のSTAP細胞、論文とは別系統のマウス ES細胞混入疑惑
★2014/4/15 STAP細胞問題 オスマウスがメスに?・コンタミ・ES細胞・受精卵混入説
★2014/5/23 STAP細胞論文でマウス画像に新疑惑 万能性示す根幹部分に問題か?
★2014/6/5 STAP細胞は未使用のはずの2種マウスの混合 理研遠藤高帆らが解析
★2014/6/12 STAP細胞遺伝子データにES細胞で見られる染色体異常 混入説強化か?
★2014/6/13 STAP細胞作製のためのマウスは存在しなかった?計画的な捏造の可能性も
★2014/11/6 STAP細胞問題の謎 理研が公開しないマウスの胎児.テラトーマ組織の切片


★2014/3/26 若山照彦教授のSTAP細胞、論文とは別系統のマウス ES細胞混入疑惑

 STAP細胞論文問題はすっかりニュースも減って落ち着いた感じでしたが、若山照彦山梨大学教授が検査に出したマウスの解析結果が意外に早く判明しました。一応、後述するように「予備的な解析の段階」のようですが、それにしてももっとかかるものだと思っていました。
STAP細胞 実験マウスに新たな疑問 3月25日 19時28分 NHK

遺伝子が調べられたのは、共同研究者の若山照彦山梨大学教授が特殊な処理をして凍結保存していたSTAP細胞2株で、若山教授がどんなマウスからでも作製が可能か調べるため、小保方さんに論文の実験で使ったのとは異なる129系統という種類のマウスを手渡し、作製を依頼したものです。
小保方さんは、シャーレの中で129系統のマウスの細胞を刺激したところ、状態のよいSTAP細胞の塊が2つ出来たとして若山教授に渡したということです。
ところが、一連の問題を受けてこの2株の細胞の遺伝子を調べたところ、細胞は129系統のマウスのものではなく、いずれもこの実験には使っていないはずのB6とF1という2種類のマウスのものだったことが分かりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140325/k10013233571000.html

 若山教授の細胞はES細胞にすり替えられていたのでは?という見方は根強かったのですが、今回の"今回検出されたB6、F1、それに129の系統のマウスは、いずれも万能細胞の1つ「ES細胞」を作るのによく使われ"るマウスの細胞だったそうです。

 この結果について、"日本分子生物学会の理事長も務める大隅典子東北大学教授は、「STAP細胞が、実際にはES細胞だったのではないかという疑念を持つ研究者は少なくない。こうした疑念を晴らすためにも、理化学研究所は、今回の2株だけでなく論文の8株についても遺伝子を詳しく解析し、結果を早急に公表すべきだ」"と述べています。

 一方で、"理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの竹市雅俊センター長は「今後、詳細な検証を若山教授と協力しながら進めていきます」と話し"たとNHKは伝えており、理研側での調査も進むのではないか?という期待感が出ていました。

 しかし、これは別記事だとニュアンスが異なります。
時事ドットコム:依頼と違うマウス系統か=小保方氏作製「STAP細胞」-若山教授、理研にデータ

竹市雅俊センター長は「データを受け取ったのは事実だが、まだ予備的な解析の段階で、詳細な検証を若山教授と協力しながら進めていく」とのコメントを発表した。(2014/03/25-21:15)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014032500952

 「予備的な解析の段階」と冒頭で書いたのはこの記事がベースです。前半部分のあるなしでは相当イメージが違いますね。

 また、そもそも竹市センター長は記者会見のときにこんなことを言っていました。
論文捏造&研究不正 ‏@JuuichiJigen
(質問)ES細胞の混入の不正の可能性について検証することは?→
 
(石井)科学的検証が必要であり、調査委員会の仕事の範囲を超えている。
(竹市)検証不可能であり、STAP細胞の再現性を見るしかない。
2:03 - 2014年3月14日
https://twitter.com/JuuichiJigen/status/444398456309026816

 竹市センター長の言う検証不可能が嘘であり、理研の方でも別途調査できるのであればそれに越したことはないのですが、「じゃあ、この発言は何だったの?」という疑問は残ります。

 なお、時事通信では"これだけではSTAP細胞やSTAP幹細胞が論文通りに生み出されたか、真偽がはっきりしない"とも書いていました。すり替えで確定ということでもないようで、ここらへんが竹市センター長の「検証不可能」の根拠というか、逃げ道となっているのかもしれません。

 あっ、別記事を読むと、若山教授のマウスが論文で使ったマウスじゃないって理由なのかも。
STAP幹細胞:別マウスの遺伝子検出 山梨大の保存分
毎日新聞 2014年03月25日 21時58分(最終更新 03月25日 22時15分)

 STAP細胞論文の共著者の一人が保管するSTAP細胞から作った細胞を簡易的に解析した結果、STAP細胞を作るため使ったはずのマウスの遺伝子のタイプが確認されず、別の系統のマウスしか検出されなかったことが、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の関係者への取材で明らかになった。この細胞は、英科学誌ネイチャーで発表した論文には使われていないが、CDBはSTAP細胞の真偽を確認するため、論文に使った細胞を独自に解析する検討を始めた。
http://mainichi.jp/select/news/20140326k0000m040135000c.html

 CDBも検討しているんですから、やっぱり調べられるんじゃん!という話ではあります。

 あと、毎日新聞は「ES細胞の混入も疑われている」と混入疑惑にも触れていました。


 ところで、若山教授に誰が細胞を渡したのかはずっと気になっていたのですが、NHKによると小保方さんだったみたいです。毎日新聞にも、

"解析した細胞は、当時CDBに所属していた若山照彦・山梨大教授が、小保方晴子・理研研究ユニットリーダーに「129」という系統のマウスでSTAP細胞を作製することを依頼し、小保方リーダーが作製した細胞を基に作った"

 とありました。今までの彼女のヘンテコ具合から言うと、彼女がやったという方が辻褄が合います。

 ただ、"理化学研究所の広報は「この問題について今の段階で、小保方自身がコメントすることはできません」と話して"おり、小保方さんの主張が見えないことで、彼女に罪を着せようとしている可能性もなきにしもあらずです。あまり望ましい状態ではありません。

 またNHKの情報源は、"神戸市にある理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの関係者が、NHKの取材に対し明らかにしたもの"だそうですので、内部リークです。

 うやむやにしようとする理研の対応を憂う人物によるリークとは考えられるものの、理研としては小保方晴子さんだけが特殊でおかしかったとする方が傷を浅くできます。

 実験で使われた細胞について知る人物が本当に小保方晴子さんだけだったのかは、念のためにきちんと調べた方がいいと思います。


★2014/4/15 STAP細胞問題 オスマウスがメスに?・コンタミ・ES細胞・受精卵混入説

 専門的なところの話をメモしたものの、よくわからないので使っていませんでした。ちょっと前に朝日新聞がマウスの性別をやっていたので、そのときに合わせて放出していれば良かったですね。
STAP論文、新たな疑問 メスマウスで実験、作製者「オスだけ」:朝日新聞デジタル 2014年4月12日05時00分

 STAP幹細胞は、STAP細胞を改変して、無限に増える力を持たせた細胞。山梨大の若山照彦教授が作製を担当した。小保方氏は9日の会見で「現存するSTAP幹細胞はすべて、若山先生が樹立(作製)して下さった」と話していた。

 関係者によると、メスのマウスからSTAP幹細胞を作るのは難しく、若山教授は「オス由来の幹細胞しか作れなかった」と話しているという。

 一方、論文にはメスでしか確認できない実験の記述があり、「メスのSTAP細胞では確認されたX染色体の不活化を示すマーカーが、STAP幹細胞では見られなかった」とある。関連の図表にも同様の説明があった。「オス」と「メス」を書き間違えたとは考えにくいとみられる。(岡崎明子)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11080746.html

 上記は若山教授がオス由来の幹細胞しか作っていないのに、論文にはメスになっているというのがポイントです。ただ、これは朝日新聞の誤報で、実際には若山教授はメス由来でも作っている…という話も出てきています。ですので、もうちょっと詳細がわかるまで様子見した方が良いでしょう。

 …と下書き後に、続報があったので間に挟み込みます。
「メスの幹細胞もある」小保方氏が朝日新聞記事に反論:朝日新聞デジタル 2014年4月14日15時00分

 弁護団は「4月9日の記者会見に関する補充説明」と題した文書を報道陣に配布。弁護団が小保方氏から聞き取ったとする内容で、その中に朝日新聞記事への反論も含まれていた。この文書によると、STAP幹細胞は少なくとも10株は現存し、理研に保管されているという。そのうち、8株の幹細胞はオスだったが、それ以外を第三者機関で調べたところ、メスの幹細胞も含まれていたと指摘。「オスの幹細胞しかないというのは、事実と異なります」「(記事は)大きな誤解を招くもので、許容できるものではありません」と主張している。

 論文や共著者の若山照彦山梨大教授によると、STAP幹細胞は若山教授が少なくとも43株を作った。うち論文の中で説明している主要な8株の性別を調べた結果、すべてオスだった。このため、若山教授はつくったSTAP幹細胞はすべてオスと判断していた。

 論文でメスのデータについて触れられている部分のSTAP幹細胞について、若山教授は小保方氏が作製したと思っていたという。

 しかし、小保方氏は9日の会見で「現存するSTAP幹細胞はすべて、若山先生が樹立(作製)して下さった」と話した。このため、若山教授はメスの幹細胞の作製者は誰なのか疑問に思ったという。

 若山教授は昨春、理研から山梨大に移る前に、当時残っていた約20株の幹細胞を山梨大に持っていくとともに、小保方氏にも同じ株を分けた。

 弁護団の文書には、メスのSTAP幹細胞をだれが作ったかは書かれていない。若山教授が作製したものの、性別を確認していない幹細胞にメスが含まれていたのか、第三者が作ったのかはわからないため、朝日新聞は理研などへの取材を進めている。
http://www.asahi.com/articles/ASG4G3C2LG4GULBJ004.html?iref=comranking_realrank05

 若山教授の「オス由来の幹細胞しか把握していない」という部分は訂正されていませんね。一方の小保方さんによる説明は、若山教授のところにないSTAP幹細胞はメスもあるって話のようです。

 なお、この話をマウスは若山照彦教授が怪しい?ひどい・ずるいなども関連ワードにや"若山照彦教授のSTAP細胞、論文とは別系統のマウス ES細胞混入疑惑"で書いたマウスの系統の話とごっちゃにしている人がいますが、別の問題です。

 では、下書き済みの話に戻ります。マウスの性別については、2ちゃんねるの不正追求スレなどではかなり前に話題になっていました。ただ、ちょっと違う内容です。
STAP細胞の懐疑点 PART272

126 : 名無しゲノムのクローンさん[sage] 投稿日:2014/04/12(土) 08:17:53.76
STAP論文に親疑問@朝日朝刊
N論 メスのSTAP幹細胞について記述
若山 オス由来の幹細胞しかつくっていない

これはスレ的には既出だったかな

295 : 名無しゲノムのクローンさん[] 投稿日:2014/04/12(土) 09:06:16.25
>>144
by Anonymous Coward on 2014年03月06日 18時26分 (#2557633) Bioinformaticianのようですね。Chip-Seqのデータ、元のT細胞(?)とそこからできたSTAP細胞の性別見ると、メスからオスになってますから(Ch.XについてSeqチェックするとわかりますよ)。
そもそも、何かのコンタミでしょうな。あるいは、もっと悪意あるものか。とにかく、リプログラムされても、性別までは変わるはずないので。
今理研があがいてるのは、大部分の素人衆、一般世論の鎮静化が目的です。インサイダーにしてみれば、もう何をされても失笑しかないですから。

399 : 名無しゲノムのクローンさん[sage] 投稿日:2014/04/12(土) 09:31:45.78
このオスメスの話は散々既出だよ
メスがオス化する現象でもノーベル賞いけるな(嘲笑 言われてた
朝日(マスコミ)が遅すぎるだけ
http://www.logsoku.com/r/life/1397247281/126,293,295,356,398,399

 真ん中の引用はスラッシュドット・ジャパンからです。

 「ちょっと違う内容」というのは若山教授が作っていないというところが焦点ではなく、こちらでは起きるはずのない性別の転換が起きていたという話です。だから、「これでもノーベル賞を貰える」とバカにされていたわけです。

 一応、動物の性別を変化させるという研究は過去にもありますので、何をやろうとも起こりえないという話ではないです。しかし、STAP細胞論文ではその点について主張していなかったため不自然です。変化していたとあればやはり何らかの問題が起きていたのでしょう。

 ただ、私はこれが決定的なものかわからなかったために使用していませんでした。性転換と同時期には例のコピペ癖のせいか「マウスからウサギの細胞ができた」という話が読み取れて、「これもノーベル賞」みたいなことも言われていたんですが、同じく信頼性や重要度を理解できなかったために未使用でした。

 なお、上の2ちゃんねるでは、性別の件はいつものように「ミス」とはできないのでは?という話が今回出ていました。
293 : 名無しゲノムのクローンさん[sage] 投稿日:2014/04/12(土) 09:06:07.69
>>282
オスメスを間違って書いてしまいましたぁ
未熟で申し訳ございませぇん

356 : 名無しゲノムのクローンさん[] 投稿日:2014/04/12(土) 09:22:58.68
>>341
>>>126
>間違っちゃっただけでしょ

ムリ
その遺伝子検査データを提出済みで
オスメスすり替えが行われていることは解析済みだから

398 : 名無しゲノムのクローンさん[] 投稿日:2014/04/12(土) 09:31:25.58
マウスの系統違いは致命的だが、なぜかおぼとその信者の中では
論文記載の実験じゃないから問題ないらしい
オスメスの問題は論文の問題だからおぼも逃げづらい

 でも、この話題はすぐに風化した感じでした。


 ところで、スラッシュドット・ジャパンの引用部の中に「STAP細胞の性別見ると、メスからオスになってますから(中略)そもそも、何かのコンタミでしょうな。あるいは、もっと悪意あるものか」というものがありました。私がもともとストックしていた話というのは、この「コンタミ」についてです。
STAP論文「なぜ」を問わずに組織防衛に走る「理研」(下)|Foresight(フォーサイト)|
執筆者:塩谷喜雄 2014年3月30日

 多くの研究者たちの感じた「?」は、行き過ぎた広報戦略や、少々前のめりな発表者の口ぶりだけが原因ではない。「弱酸性の溶液につけるとか、細いパイプを通すなどという、単純な物理的・化学的刺激で、高度な分化を遂げた哺乳類の体細胞が、簡単に発生の初期に先祖がえりしたり、万能性を獲得したりすることが、本当にありうるのか?」という、STAP細胞の存否そのものにかかわる本質的な疑問である。

 最初の論文をリジェクトした『Nature』誌のレフェリーのコメントほど強烈な拒否感ではないが、哺乳類の分化した体細胞は簡単には初期化しないという、発生生物学の常識からくるSTAPへの「?感」は、基礎研究者の間では共通で、相当に根強い。

 はるか昔に生物学科を卒業した筆者も、STAPに関する新聞記事を最初に読んで思ったのは、「ほんとかよ、コンタミじゃないの」というものだった。

 コンタミネーション=異物の混入による汚染は、生物実験では最大の禁忌とされる。STAPは、いったん分化したリンパ球のT細胞が酸性刺激で万能化したのではなく、試料の中に、ES(胚性幹)細胞のような未分化の万能性を持つ細胞が最初から紛れ込んでいたのではないか、と疑ったのである。

 こうした疑問がすぐに表面化しなかったのは、ひとえに『Nature』誌と理研のブランド力によるものであろう。「この分野の権威者がレフェリーを務め、共著者に高名なシニア研究者が名を連ねているのだから、まさか」――。合理的評価が身上の科学界も、冷静を旨とすべき科学ジャーナリズムも、金看板やブランドには、とても弱かったということかもしれない。
http://www.fsight.jp/25554

 これは幹部の記者会見で質問されていたES細胞混入説といっしょってことでいいのでしょうか? ここらへんは難しいですが、記者会見では受精卵混入説も出ています。
STAP細胞:「論文は不完全」理研幹部の一問一答(1)
毎日新聞 2014年04月01日 20時13分(最終更新 04月01日 20時51分)

 Q 論文で書かれたことが本当に行われていたのかどうか。キメラマウスの元になった細胞が本当にSTAP細胞だったのか。受精卵の意図的な紛れ込みなど、理研が主体となって検証することは、事実の確認として重要だと思うが?

 竹市 過去にさかのぼって調べることは調査委員会がやっているように、やれないことはないし、私が述べた声明文にもあるが、センターそのものになぜこの問題が起きたのかを検証したいと思っている、失われてしまった材料では検証はできないことが想像される。あいまいな結論を出すよりは、STAP細胞があるのか、検証した方が早い。近道であると思う。(中略)

 Q ES細胞混入などSTAP現象の根幹は早急に調べ得るのか。

 川合 指摘がどれほど確度あるかを調べる。竹市先生の研究と併せ最終的には報告できると思う。
http://mainichi.jp/select/news/20140402k0000m040051000c.html
▽川合真紀理事(研究担当)▽竹市雅俊・発生・再生科学総合研究センター長

 上記の回答は竹市センター長は論理のすり替えで失格、川合理事の方が前向きと書きました。ただ、その後の経過を見ていると本当に調査されるのかは怪しい状態です。

 竹市センター長はノーベル賞候補として毎年名前が挙がる方で、私も期待していたんですけどね。別に竹市センター長の発言によって研究成果が変わってしまうわけではないんですが、心証は悪いです。科学から遠ざかるSTAP細胞と小保方晴子 疑似科学,陰謀論,悪魔の証明などで書いたような世界へ行っています。

 まあ、そもそも野依良治理研理事長がノーベル化学賞受賞者であり科学者のはずなんですが、政治的な問題が優先されてしまっています。研究者の責任であり理研の責任ではないという擁護は多いものの、理研のSTAP問題対応は擁護できるものではなく、幹部の人事は完全に間違いだったと言って良いでしょう。


★2014/5/23 STAP細胞論文でマウス画像に新疑惑 万能性示す根幹部分に問題か?

 理研の任期制研究員の問題 基礎研究は成果主義に馴染まない?の続きを書こうと思っていたら、マウスの話が出てきてのでこちらを。

 最近のマウスの話だと、こういうのもありました。
STAP論文:マウス購入記録なし 万能性証明実験前
毎日新聞 2014年05月19日 07時30分(最終更新 05月19日 08時46分)

 「STAP細胞」の万能性を示す証拠として理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダー(30)側が「2012年1月24日」に実施したとするマウス実験を巡り、正規の予算で必要なマウスを購入した記録がないことが、毎日新聞が入手した理研の会計システムの資料から分かった。理研調査委員会は実験の結果として論文に掲載された画像を「捏造(ねつぞう)」と認定しているが、その元となる実験の存在や適正な実施、成功が疑われる事態となった。(中略)

 理研を所管する文部科学省によると、STAP細胞研究の予算は国の運営費交付金だけ。科研費など他予算は充てられない。小保方氏の弁護団も毎日新聞の取材に「理研の購入記録に記載されたマウスで実験した。他予算の流用や自家繁殖、別ルートでの購入など許可されていない方法で行われた事実はない」と流用などを否定している。【浦松丈二】
http://mainichi.jp/select/news/20140519k0000m040093000c.html

 ただ、私としてはあんまりここは関心ありませんでした。そりゃあ、きちんと管理していた方が良いとは思うのですけど、ここらへんは理研に限らず緩いところじゃないかと想像され、ガチガチに締め付けるのが良いのかどうかわからないと思ったためです。

 何でそういうこと考えたのかな?と思い出してみると、確か動物実験計画書の矛盾疑惑か何かが出たときにも、「そこらへんは割と融通効くよ」という話がされていた覚えがあるためです。となると、この線で攻めるのはあまり得策じゃないような?

 とりあえず、様子見ですね。


 それより気になったというのが、下記の話です。
STAP 不正認定以外にも複数の疑義 NHKニュース 5月21日 20時05分

NHKが取材したところ調査委員会が認定した2つの不正以外にも論文の複数の画像やグラフに疑義があるとする調査内容の文書を小保方リーダーが所属する神戸市の理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの検証チームがまとめていたことが分かりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140521/k10014624211000.html

 独自に全画像調査って報道自体は過去に出ていたと思います。
STAP論文:理研、全画像を独自に調査
毎日新聞 2014年04月30日 07時30分(最終更新 04月30日 08時35分)

 STAP細胞論文をめぐる問題で、小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)が所属する理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市、CDB)が、論文中の全ての画像や図表について、独自に調査を始めたことが分かった。理研調査委員会は4月1日の最終報告書で、二つの画像について切り張りなどの「研究不正」を認定したが、その後も複数の画像などに疑問点が指摘されており、全画像の真偽を検証する必要があると判断した。

 竹市雅俊・センター長が29日、毎日新聞の取材に答えた。【斎藤広子】
http://mainichi.jp/select/news/20140430k0000m040112000c.html

 でも、これって後に否定されませんでしたっけ? 確か時期を逸したのと、この否定があったのなどで、私は取り上げなかったと思うのですけど、今探しても「否定」の記事は見つからず。「理研の公式な調査ではない」って否定の仕方だったっけな?

 NHKでは今回そういうコメントが出ていました。
文書の内容は、理化学研究所の本部にすでに報告されているということですが、理化学研究所は、これまで調査を行っていること自体公表していませんでした。

これについて、理化学研究所は「所内から情報が寄せられているのは事実だが通報ではなく、あくまで情報提供なので正式な調査をする予定はない。また、個別の公表すべきものではないと認識している。ネイチャーの論文は取り下げの勧告を行っているため新たな疑義があっても調査は行う必要はないと考えている」としています。

 いや、重要画像での不正疑惑はきちんとやるべきです。

 で、その肝心の画像に関する話。
STAP細胞が万能性を持つ証拠として2種類の異なる細胞から作ったとしていた2枚の光るマウスの写真が実際には、2枚とも同じ種類の細胞を使って出来たマウスの写真だったとしています。
また、STAP細胞の万能性を示すものとして異なる種類のマウスで撮影していたという2枚の写真が実際には、1匹のマウスの写真だったとしています。
これらの写真は、1枚、1枚撮影日時が自動的に記されるカメラを使って行われ、取り違えが起きないよう実験ごとに別々のフォルダーに小保方リーダー自身が、保存していたものだということです。
文書では、ほかにも実験データからコンピューターで自動的に作成されるはずのグラフが手作業で作られたように見える箇所が複数見つかるなどの疑義も指摘されています。

 "小保方リーダー自身が、保存していた"あたりだと思いますが、小保方晴子さんの弁護士は文句をつけています。
STAP論文、新たな疑義「小保方氏の担当でない」  :日本経済新聞 2014/5/22 12:39

 STAP細胞の論文に新たに不正の疑いがある画像が発覚した問題で、理化学研究所の小保方晴子氏(30)の代理人を務める三木秀夫弁護士は22日、記者団に対し「(指摘された)写真は小保方氏ではなく別の著者の担当分野で、違っているかどうかも彼女には理解できない」と述べた。

 三木弁護士によると、小保方氏は報道で初めて知り「何ですかそれは」と話していたという。三木弁護士は「あたかも小保方氏が(画像を)ごまかしているようになっている点に憤慨している」と指摘した。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2201S_S4A520C1CR0000/

 以前もやっていた「小保方さんはバカなので判断できません」という主張。非常に小保方さんに対して失礼だと思うのですけど、弁護団は意識してやっているんでしょうか? 公開した実験ノートなんかも恥さらしでした。

 一方で、複数のオファーが来ている……といった優秀アピールもしていた時期があったんですけどね。作戦じゃなくて「天然」なのかな?

 あと、これは論文として大問題ということですので、誰の仕業か?といった話は後回し。今は重視しません。

 その「論文として」は、先の毎日新聞の全画像調査記事で、以下が例示されていたことも紹介しておきます。
 インターネットなどでは、▽論文で「長時間露光」と表記されたマウスの胎盤の写真が、通常に撮影された写真とほぼ同じように写っているのは不自然▽他の研究者の論文に使われている図表と似たものがある−−など複数の疑問や問題点が指摘されている。

 これだけ画像不正疑惑が多いと、実験自体が捏造だったのでは?と思われてしまうのも仕方ありません。特に新疑惑で一番大きく扱われているマウス画像については、実験の根幹部分だという指摘も出ています。
STAP論文、新たな不正疑い 同じマウス「別写真」 2014/5/22 1:20 日本経済新聞 電子版

 理化学研究所は21日、小保方晴子研究ユニットリーダーが発表したSTAP細胞の論文で、研究不正を認定した2点の画像以外にも不正の疑いがあることを明らかにした。異なる2匹のマウスの画像のはずが、同じマウスを写したものである可能性が高いという。

 新たに不正の疑いが明らかになった画像は、STAP細胞が様々な細胞に成長する万能性を示す論文の根幹をなす証拠で、論文の正当性はさらに揺らぎそうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2105S_R20C14A5CR8000/

 また、撤回勧告していたのとは別の論文ということでもたいへん大切です。正式な調査が求められます。
STAP細胞論文、残りの1本でも画像間違い:朝日新聞デジタル 2014年5月23日00時48分

 理化学研究所は22日、英科学誌ネイチャーに掲載されたSTAP細胞の論文2本のうち、研究不正と認定し、撤回を勧告した論文とは別の論文に、画像の間違いがあったことを明らかにした。(中略)

 理研広報室によると、間違いがあったのは、STAP細胞とES細胞(胚〈はい〉性幹細胞)の万能性を比べた写真。2種類ある一方が間違っていたという。
http://www.asahi.com/articles/ASG5Q62WQG5QULBJ013.html

 ちょうど小保方晴子さんサイドも再調査を要求していましたし、画像以外も含めて全面的に疑惑を調査するべきです。


★2014/6/5 STAP細胞は未使用のはずの2種マウスの混合 理研遠藤高帆らが解析

 小保方晴子さんがいきなり主論文でも撤回に応じたというのは驚きでした。ただ、ひょっとすると、この報道の影響があったからかもしれません。STAP細胞問題では衝撃的な発見が次々となされていて、やや不感症気味になっていますけど、これもすごい話です。
STAP 存在に新たな疑念 NHKニュース 6月3日 19時23分

横浜にある理化学研究所統合生命医科学研究センターの遠藤高帆上級研究員らのグループは、研究所の論文の不正調査とは別に分析を独自に行い、報告書にまとめました。
それによりますと、研究グループは小保方リーダーらが作製に成功したというSTAP細胞を培養して出来た細胞について、インターネット上に登録されている遺伝子のデータベースを使って詳しく分析しました。
その結果、この細胞は「F1」という種類のマウスから作ったとされていたのに、実際には、この実験には使われていないはずの「B6」と「CD1」という2種類のマウスの細胞だった疑いが強いことが分かったということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140603/t10014947431000.html

 何か前にもどこかで聞いた…という気がしなくもないですけど、"細胞は実験に使っていないはずの別の種類のマウスの細胞"という話です。このことが大きいのは、登録されている遺伝子データベースの解析でわかったということです。ごまかしようがありません。

 上は理研内の別の研究員が独自に解析したというものです。NHKによれば、さらに"別の複数の大学の研究チームも、これと同じ結果をまとめて"いたということです。

論文で記載のマウス:「F1」 → データベースのマウス:「B6」と「CD1」という2種類のマウスの細胞

 この結果をさらに理研のチームが解析した結果がこちら。

「B6」のマウスのものとみられる細胞の特徴:万能細胞「ES細胞」と似る
「CD1」のマウスのものとみられる細胞の特徴:受精卵から作られる胎盤になる細胞「TS細胞」と似る

 ヤバいですよ、これ。

 東京大学の菅野純夫教授という方も、以下のようにおっしゃっています。

「STAP細胞はES細胞とTS細胞が混ざったもので、そもそも存在しなかったのではないかという疑問は、以前から専門家の間にあったが、その疑問を強める結果だ。データや分析の手法などをみると、今回の結果の誤差は極めて低いと考えられる」

 しかし、危機感がない…というか、たぶんわかっているけど、絶対に調査したくない理研のコメントは以下の通り。

「結果については把握していたが、STAP細胞の有無を結論づけるものではないと考えている。指摘のあった部分が含まれる論文については、著者がすでに取り下げの意向を示していることもあり現段階では調査する必要はないという判断は変わらない」

 もう十分すぎるほどわかっているんですが、理研はクソですね。「結果については把握していたが」などと言っています。「知ってましたがそれが何か?」という態度です。ふてぶてしくって腹が立ちますわ。


 で、下書きを終えた後に久々に2ちゃんねるの生物板を覗いたら、この解析した理研の遠藤高帆さんについて、ネット上で早くから告発していたkahoさんだろう…と書いていました。

kahoの日記 | スラッシュドット・ジャパン
http://slashdot.jp/~kaho/journal

 高帆 → たかほ → kahoですし、ネットで書いていたのも解析の話でしたから、たぶんそうなんでしょうね。前にもあった指摘では?と感じたのもそのせいかも。

 ただ、こうして改めて報道されたというのはでかいですね。撤回同意のタイミングからすると、致命的な一撃になった可能性があります。

 また、kahoさんと同一人物であれば、解析結果を理研を早くから知っていたというのも、まあ、嘘ではありません。若山教授が撤回のきっかけになった理由の一つであるプロトコル(作製手法)にも影響があったのでは?と言われるほど、以前からされていた解析です。そういう意味では影響力がすごかったんですけど、理研上層部は上記のようにさっぱり動きません。


 あと、マウス関係は同日にもう一つ記事がありました。こちらも以前から言われていたもので、たぶん疑いが強まったって話じゃないかと。若山照彦・山梨大教授が第三者機関に解析を依頼していたマウスの続報です。
STAP論文:幹細胞に不自然な遺伝子 第三者機関が解析
毎日新聞 2014年06月03日 15時20分(最終更新 06月03日 16時04分)

 「STAP細胞」の論文不正問題で、STAP細胞から作った「STAP幹細胞」を第三者機関で遺伝子解析した結果、すべての株で、実験に使ったはずのマウスと異なる不自然な特徴が確認されたことが3日、関係者への取材で分かった。(中略)

 複数の関係者によると、STAP細胞の作製に使ったはずのマウスとは違う遺伝子タイプが検出されるなど、論文に記載されたSTAP幹細胞を含むすべての試料にさまざまな食い違いが指摘される結果が出た。

 これらのSTAP幹細胞は、当時理研にいた若山氏の研究室の客員研究員だった小保方晴子・理研研究ユニットリーダーがマウスから作ったSTAP細胞を、若山氏が受け取って樹立した。元のマウスは若山氏が提供した。山梨大の簡易解析でも、若山氏が準備したマウスと異なる系統の遺伝子タイプが検出された。これらの系統はES細胞の作製によく使われるため、ES細胞が混入した可能性が指摘されていた。【須田桃子】
http://mainichi.jp/select/news/20140603k0000e040226000c.html

 やはり別の細胞の混入という話。ただ、この細胞自体は論文に未使用のものって話じゃありませんでしたっけ? やるのでれば、理研に残っている細胞で…という話も出ていましたが、理研は拒否。ですので、決定的な一撃にはならない感じです。

 …何かひどい話ばかりですね。STAP細胞論文は本当めちゃくちゃです。この論文そのものの問題についてももちろん理研は責められるべきなのですけど、何よりもひどいのは事後対応です。

 これだけ重大な疑義が続出しているのに、調査しなくていいだなんてことはあり得ません。とても科学の研究をする組織には見えませんわ。


★2014/6/12 STAP細胞遺伝子データにES細胞で見られる染色体異常 混入説強化か?


 これはkahoさんの以前の話でも全然出てきていなかったかな? 覚えていませんでした。

 「トリソミー」と呼ばれる"普通は2本しかない8番染色体が、1本多"かったという染色体の以上が11日に見つかったそうです。

STAP細胞に染色体異常 小保方氏主張と矛盾 2014/06/11 13:33 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201406/CN2014061101001317.html

 これはkahoさんじゃないかと言われていた横浜の理化学研究所(理研)統合生命医科学研究センターの遠藤高帆上級研究員らと東京大学の2つのグループが分析しました。共同で調べたわけではなく、独自に行ったという点も重要です。

STAP細胞 遺伝子データに説明と矛盾する点 6月11日 12時10分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140611/k10015134871000.html

 関係無いですけど、今回の後半で出てくる記事を読んでいて思い出しました。初期の頃にやったオスの三毛猫も染色体が多かったんでした。これもトリソミーって言うのでしょうか? (初期なので今と全然違う感じの投稿です)

  ■猫の毛色の遺伝子

 余計なこと書きましたが、STAP細胞の話。8番目の染色体のトリソミーが見つかったことのポイントは2点だそうです。

・このようなマウスは、胎児の段階で死んでしまい、通常、生まれてこない。
・ES細胞を長い間培養すると起きることがある異常としても知られている。

 前者については、"生後1週間ほどのマウスからSTAP細胞を作ったとするこれまでの主張と矛盾する"としているそうです。ただ、ほとんど生まれてこないという時点で、素人でもこりゃダメだとわかります。

 そして、後者はES細胞混入説をいっそう強化するものです。ご丁寧なことにNHKでは、「ES細胞」を"すでに研究で広く使われている万能細胞"と紹介していました。「それ、ES細胞じゃないの?」という疑いを持っていることが、バレバレです。

 まあ、そうじゃなくても同じ記事内で紹介している東京大学の菅野純夫教授がズバッと言っちゃているんですが…。

「通常、生まれてくることがないマウスからどうやって作ったのか。専門家ならSTAP細胞はES細胞の混入ではないかと疑うと思う。STAP細胞があると発表した研究チームはきちんと説明すべきだ」


 さらにこの件でもっと詳しいのが出ています。日経サイエンスです。

 日経サイエンスの古田彩記者は記者会見などでもずば抜けて専門性の高い鋭い質問をしており、今回の問題では有名になっています。ただ、いかんせん日経サイエンスなので記事の方は読む機会がありませんでした。

 しかし、今回は「号外」としてPDFで無料公開しています。いつもそうなんですかね? 論文形式を取っている記事です。

【号外】STAP細胞 元細胞の由来,論文と矛盾 | 日経サイエンス 2014年6月11日
http://www.nikkei-science.com/?p=42686
(PDF)STAP細胞 元細胞の由来 論文と矛盾 2014年6月11日 日経サイエンス 号外 編集部:古田彩,科学ライター:詫摩雅子
http://www.nikkei-science.com/wp-content/uploads/2014/06/20140611STAP.pdf

 圧倒的にこっちが詳しいものの、専門誌のものですからわかるかどうか?…と思いましたが、思った以上にわかりやすくて読みやすい良い記事でしたので、是非どうぞ。

 とりあえず、記事冒頭での結論。"胎児のうちに死亡し,生まれることはない"ために、"STAP細胞は新生児マウスから取って作ったのではなく,シャーレで培養された細胞"である。そして、"8番トリソミーは研究室で培養されているES細胞(胚性幹細胞)の2 ~ 3割に見られる"ために、"この“STAP細胞” はES細胞だった可能性が高い"としていました。

 これを説明する中盤は全部すっ飛ばしますが、おもしろかったのが最後の部分。

 "STAP細胞のmRNA(引用者注:メッセンジャーRNA)配列のデータを2種類公表して"おり、それぞれ別々の方法でmRNA配列を解析しているそうです。この1つが今回"8番トリソミーがあったと判明した"ものです。

 ただ、以前kahoさんがSTAP細胞と言われる細胞がものによって全然違うと言っていたように、別々の方法で調べた"両者はまったく一致せず,異なる2つのSTAP細胞があったことが明らかになった"としていました。

 そして、8番トリソミーがわかったのとは別の方法で調べた細胞ってのが、これまたおもしろいんです。何とこちらはES細胞でもなく、"多能性を持たない,通常の体細胞"だったと考えられるそうです。

 「緑色に光った!これが証拠です」という主張は疑惑当初から「死細胞だから、それ」ってツッコまれていましたが、実はそれがこっちの方法で調べた細胞だったとのこと。つまり、この推測が正解なら何の不思議もない、普通の細胞が普通に死んでいただけってことみたいですね。


★2014/6/13 STAP細胞作製のためのマウスは存在しなかった?計画的な捏造の可能性も

 "STAP細胞遺伝子データにES細胞で見られる染色体異常 混入説強化か?"の後に新しい情報があったわけではないのですが、各社の報道の言葉遣いを見ていておもしろかった点を。

 読売新聞は理研の野依良治理事長の息子さんが科学部の記者をやっているせいか、当初は全く疑惑を報道していませんでした。でも、今はさすがにそんなことはないですし、改革委員会の辞任要求が野依理事長にまで及ばないことに気を良くした(理研CDBは解体,竹市雅俊・笹井芳樹・西川伸一・相沢慎一らは辞任を)のか、一番刺激的なタイトルをつけていた気がします。こういうのです。

STAP作製マウスは「存在しなかった可能性」 : 科学 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)2014年06月12日 07時36分
http://www.yomiuri.co.jp/science/20140611-OYT1T50221.html

 「STAP細胞を作製するために使ったとするマウス」が存在しなかったなんて誰もが思っていたよ…と思うかもしれませんけど、全国紙レベルでここまでのはなかったと思います。ちょっとインパクトがあります。

 ただこれ、中身をよく読んでみると、読売新聞が言っているわけではなく、例の理研内部の報告書での記述のようです。
 理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーらがSTAP細胞を作製するために使ったとするマウスは、存在しなかった可能性があるとの分析結果を、理研内部の研究者がまとめていたことが、11日分かった。

 理由はSTAP細胞遺伝子データにES細胞で見られる染色体異常 混入説強化か?の件で、STAP細胞がES細胞だった可能性が高いからということでしょう。


 一方、タイトルは控えめですけど、「計画的な捏造(ねつぞう)行為」というこれまた思い切った言葉を使っていたのが毎日新聞です。きちんと調べていませんが、「捏造」って言葉は各社控えていたんじゃないですかね?
STAP細胞:致命的データ、理研は詳細な解析を
毎日新聞 2014年06月12日 00時02分(最終更新 06月12日 00時26分)

 解析した理化学研究所の上級研究員らは、他のSTAP細胞の公開データの解析も実施しており、そこではSTAP細胞の特徴である万能性を示す遺伝子の働きをほとんど確認できなかったという。また、STAP細胞から樹立したとされる「FI幹細胞」のデータの解析では、ES細胞と、胎盤の細胞に変化する「TS細胞」とが9対1の割合で混ざっていた可能性があるとの結果が出た。膨大な容量の遺伝子データを複数誤って登録することは現実的ではなく、計画的な捏造(ねつぞう)行為があった可能性もある。【須田桃子】
http://mainichi.jp/select/news/20140612k0000m040127000c.html

 これは一部で有名になった須田桃子記者ですね。私はノバルティス問題でよく毎日新聞を呼んでいましたが、そちらで名前をよく見かけた覚えがあるのは八田浩輔記者です。須田さんはどうも再生医療の方の専門みたいです。

 同じ記事では、「仮にSTAP細胞がES細胞であるなら、検証実験をやる意味もない」というある国立大教授の言葉も載せていました。


 よく調べずに"「捏造」って言葉は各社控えていたんじゃないですかね?"と書いてしまったので、ざっと検索。大量に出てきました。

 ただ、これは以前認定された画像の捏造の件ですね。例の理研の調査委員会の不思議定義で1個だけ認められた捏造です。本当、全部再調査すればいいのに。

 検索したところ、この画像の捏造に関する記述がほとんどであり、大手以外でももっと大きなレベルでの捏造にまでツッコんでいる報道はごくわずかしかありません。

 しかし、驚いたことに、NHKがこのレベルでの「捏造」という表現をしていました。STAP細胞問題では結構NHKが重要なスクープを出していましたからね。ここも熱心なのかも。

 ただ、こちらもよく読むと、NHKではなく改革委員会の言葉のようです。なぜか改革委員会にも非難がちょくちょくあるんですが、ここは相当厳しく攻めていると思いますよ。私の場合、あれ?と思った話は1、2点くらいのものです。
STAP細胞の問題で、理化学研究所の改革委員会は12日、研究不正の再発防止のための提言をまとめました。
論文の発表に至るまでの経緯は極めてずさんで、問題が起きた研究センターには、不正を誘発する構造的な欠陥があるとして組織の解体を求めるとともに、理化学研究所に対し、STAP細胞そのものがねつ造ではなかったか確かめるよう提言しています。

(中略)新たに見つかった疑義についても十分な調査を行うよう要請するとともに、STAP細胞そのものが本当に存在するのか、それともねつ造だったのかを確かめるため、熟練した研究者の監視のもとで小保方リーダーに再現実験を行わせるよう求めています。

STAP問題でセンターの解体求める 6月12日 18時33分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140612/t10015179931000.html

★2014/11/6 STAP細胞問題の謎 理研が公開しないマウスの胎児.テラトーマ組織の切片

 STAP細胞メモから比較的使いやすそうなものを。しかし、検索して再確認しているうちに、また気になる話を見つけてしまいました。早く終わらせちゃいたいんだけどなぁ…。

 とりあえず、今日は実験の真面目な話。以前、異常だった小保方晴子のSTAP細胞会見 女性研究者らしくない演出本当の師匠がいなかった小保方晴子、どこへ行っても客分の特別な立場で使った科学者本音座談会。その記事でもう一つメモしていたものがありました。

 ただ、小保方さんは木嶋佳苗に似ている――「STAP細胞」とは何だったのか? 科学者本音座談会(4)|矢来町ぐるり 2014年8月28日秋風月増大号というタイトルですので、木嶋佳苗さんが気になるでしょう。私はこういう話が嫌いなんですけど、先にそちらを紹介。

 まず、小保方晴子さんの「4月9日の会見後、科学にあまり詳しくない周囲のオジサンたちが、コロッと変わりました」という話を、榎木英介・近畿大学医学部講師をします。

 これを受けた池田清彦・早稲田大学国際教養学部教授が、「号泣県議は辞めさせられたけど、30歳の女性が涙ぐむと、巷にファンが増えるんです。知り合いの普段は辛辣なオジサンも『俺は小保方さんを信じる』と言った。宗教じゃないので、信じるかどうかの問題ではないんですが、彼女が神がかっていたのは本当ですね」という話をしました。

 以前も書いていますが、信じる・信じないというのは科学ではないですし、下手に思い込んでしまうというのは科学では危ないんですよね。解析ミスではやぶさ論文撤回、不正は否定 思い込みの魔力のせい?なんかは、かなりきわどい話でした。

 で、池田清彦教授はこの後続けて、「そのとき僕は、木嶋佳苗に似ていると思いました」としていました。小保方さんが神がかっていて、多くの人を信仰させる魅力があったということでしょう。


 私が取り上げたかったのはこの後の話。同じ会見についての丸山篤史・医学博士の話です。

「あの会見で驚いたのは、緑色に光ったマウスの胎児のサンプルを『ホルマリン漬けにしている』と答えた点です。それがあるなら、第三者機関に提出すればいい話です」

 実は私は胎児のサンプルの話を覚えていませんでした。しかし、理研が証拠になるものを保存していたような話はしていました。いろいろあって理研はうまく逃げおおせた感じですが、再現実験なんかする前に本来は今ある証拠を出していなくちゃいけませんでした。何から何まで捏造だった場合、STAP細胞の仮設を信じる根拠はますますなくなります。


 同様に理研が隠蔽して公開しないものについて触れていた記事がメモの中にもう一つありました。

 解説:STAP論文 理研調査報告に疑問 矛盾放置許されぬ(毎日新聞 2014年05月19日 浦松丈二)は、マウスの問題をメインにした記事ですが、私が気になるのは「同実験を巡っては他にも疑問がくすぶる」意向のところです。

 まず、触れられているのは、"捏造(ねつぞう)と認定された画像とともに論文に掲載された別の画像について「未熟なテラトーマ(腫瘍)ではなく、成熟した臓器の組織にみえる」と多くの研究者が不自然さを指摘している"という話。全く別の画像だとすれば、完全な捏造じゃないの?と思わせるものです。

 次に記事で出ていたのは、"他の実験も、胚性幹細胞(ES細胞)が混入したのではないか、などと研究者のブログやネットで議論が続いている"。この件は、遠藤高帆論文、STAP細胞はES細胞・FI幹細胞はTS細胞との混合物と分析あたりでだいぶ進みました。

 隠蔽の話はこの後、"STAP細胞に増殖能力を持たせた幹細胞株やテラトーマ組織の切片が理研に保管されていることは、理研自身も認める"としています。

 これは当然なぜ公開しないのか?という話になります。毎日新聞もズバリ「理研が確認、公表に消極的に見えるのは疑惑拡大を恐れてのことではないか」とかなり踏み込んだことを書いています。

 何かもうすっかり過ぎた話になっちゃってますけど、理研の隠蔽は本当ひどいですよ…。


 関連
  ■本当の師匠がいなかった小保方晴子、どこへ行っても客分の特別な立場
  ■解析ミスではやぶさ論文撤回、不正は否定 思い込みの魔力のせい?
  ■異常だった小保方晴子のSTAP細胞会見 女性研究者らしくない演出
  ■理研の任期制研究員の問題 基礎研究は成果主義に馴染まない?
  ■研究不正疑惑についての投稿まとめ

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