2019/09/12:
●カッピング療法とは何?東洋でも西洋でも伝統的な療方法
●日本では中国医学の影響、西洋ではオリンピック選手もやっている
●カッピング療法に効果はなく、毛細血管を切って傷つけているだけ
●やけど、感染症の可能性や頭蓋内出血などの重篤な副作用の報告
●カッピング療法とは何?東洋でも西洋でも伝統的な療方法
2019/09/12:昔住んでいたところに、古めのやや汚い建物に工夫のないフォントで「東洋医学カッピング療法」などと書いたお店があり、なんだろう?と不思議に思っていました。素人っぽさがあり、ひょっとして「カップリング」の間違いだろうかなどとも考えていました。しかし、マジで「カッピング」というのがあるんですね。最近知りました。
ただし、それを知ったのは、
「カッピング」は疑似科学、米大学教授が警戒を呼び掛け | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)(2019/05/25 09:00 米ジョンズ・ホプキンズ大学のブルームバーグ特別教授。医用生体工学と計算機科学、生物統計学が専門)という記事。ネガティブな話題のニュースでした。
Wikipediaによると、カッピング療法は吸い玉療法、吸角法などとも呼ばれ、東洋でも西洋でも行なわれてきた伝統的な身体治療方法。ガラス容器(吸い瓢、吸いふくべ、吸角)にアルコール類を入れて燃やして皮膚にあてると吸いつき、その身体部分がうっ血状態になり、それが治療に役立つと信じられているもの、とされていました。この時点で「信じられているもの」という迷信であるかのような書き方がされていますね。
●日本では中国医学の影響、西洋ではオリンピック選手もやっている
Wikipediaの東洋に関する説明では、中国式の話がありました。中国の伝統中国医学の一技法である「抜罐」(バーグァン)の影響が日本でもあり、「いまでも広く行なわれている」とされています。私が知らないだけで、結構、日本では知っている人がいるのかもしれません。
そして、西洋では、もっと多くの国の名前が上がっています。スポーツ選手がやっている例もあり、こちらもかなり有名な感じ。スポーツ選手がやっていると「本物だ」と思うかもしれませんけど、彼らはよくニセ科学に引っかかっていますので、信頼をはかる基準にはなりません。ついでに言うと「伝統」も科学的根拠には全くならないので注意してください。
・ロシアでは「真空バキューム・セラピー」とも呼ばれ、伝統的な治療法として一般家庭でも行われており、その歴史はルーシ時代に遡る。イヴァン3世の王子が通風の治療後に死亡した際に、その原因としてカッピング療法が疑われたことから一時期下火となるが、17世紀ごろには医師による物理療法の一つとして一般的となった。
・フランスにはスライドカッピングと呼ばれる施術がありセルライトの緩和などに利用されている。
・2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、マイケル・フェルプスはじめ複数の選手が施術を受けていると報道された。
●カッピング療法に効果はなく、毛細血管を切って傷つけているだけ
Wikipediaでは、疑似科学の指摘があることを明記しておらず、よくない記事になっていました。ということで、最初のForbes JAPANの方をしっかりと読んでみましょう。
Wikipediaにはありませんでしたが、カッピングの施術を行う専門家たちには、この施術は実際には存在しない神秘的な生命力、「気」を整えるものだと考えている人が多いそうです。そして、より具体的な説明を求められると、カッピングは「血流を改善する」と主張するとのこと。
ただし、それは科学的な根拠のない、ほぼ何にでも使える便利な表現。医師でブロガーのデービッド・ゴースキさんは、カッピングで実際に起きるのは、次のようなことだとと説明しています。
「カップの形のあざが残ることが多いのは、カッピングによって皮膚が吸い上げられることで毛細血管が切れるからだ…同じ部分の皮膚が長期間にわたって繰り返し損傷を受けると…その部分の皮膚が死んでしまう場合もある」
米国立生物工学情報センター(NCBI)のサイトでも、「アスリートに対し、カッピングの施術を勧めることも、控えるよう助言することもできない。さらなる研究が必要だ」と結論付けた論文が掲載されています。じゃあ可能性あるのでは?とやりたくなるかもしれませんけど、証明が不十分な時点で敢えて先取りしてやる必要性はありません。
効果もリスクもはっきりしていない自称「画期的なもの」というのは、世の中にごまんとあるのですから、いちいちそれにチャレンジしていてはそのうちやばいのにあたり死んでしまいます。そんな馬鹿げたことをする必要はなく、きちんと証明されたものだけやれば良いのです。本物ならそのうち証明されるでしょう。まがい物に引っかかることを考えれば、それから試す方がずっと賢いのです。
●やけど、感染症の可能性や頭蓋内出血などの重篤な副作用の報告
このように何らかの利益をもたらすという科学的・医学的な証拠はない一方で、危害を与えるリスクがある可能性は高そうな感じ。米国立衛生研究所(NIH)の一部門である国立補完統合衛生センター(NCCIH)は質の高い研究は十分に行われていないことを指摘するだけでなく、次のような警告もしていました。
・持続的な皮膚の変色、傷痕、やけど、感染症などの副作用を引き起こし、湿疹や乾癬を悪化させる可能性がある
・まれではあるが、頭蓋内出血や失血による貧血など、重篤な副作用の例が報告されている
カッピング療法が本当に効果の高い治療法であれば、多くの研究がなされてそのうち証明されるでしょう。カッピング療法をやっている人たちも、きちんと科学的に証明した方がより多くの信頼を得られて儲かるのですから、それを拒む理由などありません。割に合わない危険なギャンブルをする必要はなく、科学的根拠が揃うのを待っていた方が良いです。
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