「お酒に強い県」というタイトルで書いていた話に、別のお酒に関する投稿で書いていた話を加えました。お酒に強い県ランキングやお酒に強いイメージのある都道府県ランキングの他、渡来人が多かった地域で下戸が多いと考えられているといった話をやっています。
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●お酒に強いイメージのある都道府県ランキング
2010/7/11:お酒に強いというイメージがあるのは、東北・九州だと思います。
お酒に強いイメージのある都道府県はどこ? 2009年12月13日 COBS ONLINEの20代の読者1,041人にアンケート結果においても、以下のように東北と九州が多くなっていることがわかります。
<お酒に強いイメージのある都道府県ランキング>
1位 沖縄県 314人
2位 鹿児島県 270人
3位 新潟県 93人
4位 秋田県 85人
5位 高知県 54人
6位 青森県 46人
7位 福岡県 44人
8位 熊本県 34人
9位 大阪府 18人
9位 北海道 18人
●東北・北海道・九州・四国に酒豪が多いと研究で裏付け
どうやらこれはイメージだけでなく、調査によって裏付けられているようだ…というのが今回の話。
“酒豪”どこに多い? 「全国酒豪マップ」の謎 編集委員 小林明 日本経済新聞 2010/7/2によると、元筑波大学教授の原田勝二さんという方が酒に強い酒豪型遺伝子の出現率を都道府県ごとに割り出したそうです。
通常、飲酒で体内に入ったアルコールは肝臓でアセトアルデヒドに変化し、さらに酢酸に分解されます。そして、アセトアルデヒドには強い毒性があり、頭痛や吐き気など悪酔いを引き起こす原因となることも判明済み。このアセトアルデヒドを分解する酵素の力はその人の遺伝子の型によって決まるため、このような調査が可能だったようです。
この分類によれば、日本人全体の60%が「酒が強い酒豪」、35%が「そこそこ飲めるがあまり酒には強くない中間派」、そして残りの5%が「酒がまったく飲めない下戸」となる…ということがわかりました。気になる都道府県分布では、「東北・北海道・九州・四国には酒豪が多く、近畿・中部・中国には少ない」という結果になったとのこと。先のお酒に強いイメージのある都道府県のアンケートでは、北海道・四国も上位に入っていますし、それらもまとめて裏付けが取れた形です。
●お酒に強い県ランキング 1位秋田県、2位岩手県、3位鹿児島県
各都道府県の酒豪型遺伝子の出現率とその順位を、下表に書き出してみました。
<お酒に強い県ランキング>
1 秋田 76.7%
2 岩手 71.4
2 鹿児島 71.4
4 福島 70.4
5 埼玉 65.4
6 山形 65.1
7 北海道 64.8
7 沖縄 64.8
9 熊本 64.3
10 高知 64.0
11 千葉 63.4
12 青森 63.2
12 宮城 63.2
14 新潟 62.4
15 神奈川 61.9
16 香川 61.6
17 大分 60.2
17 宮崎 60.2
19 東京 60.0
20 栃木 59.8
21 茨城 59.3
21 山梨 59.3
23 長野 58.5
23 福井 58.5
23 鳥取 58.5
23 島根 58.5
23 愛媛 58.5
28 兵庫 57.8
28 福岡 57.8
30 静岡 57.2
31 山口 56.3
31 佐賀 56.3
31 長崎 56.3
34 徳島 65
35 滋賀 55.8
36 京都 55.5
37 群馬 54.8
37 富山 54.8
39 岡山 53.8
40 奈良 53.3
41 大阪 53.0
42 広島 52.4
43 和歌山 49.7
44 岐阜 47.6
45 石川 45.7
46 愛知 41.4
47 三重 39.7
●酒豪のイメージと異なっていた都道府県は?
お酒に強いイメージのある都道府県ランキングの順位との答え合わせをしてみると、ご覧の通り。
1位 沖縄県 7位
2位 鹿児島県 2位
3位 新潟県 14位
4位 秋田県 1位
5位 高知県 10位
6位 青森県 12位
7位 福岡県 28位
8位 熊本県 9位
9位 大阪府 41位
9位 北海道 7位
概ね予想通りですが、一部順位のずいぶん違うところも。九州の一角、福岡も乖離しましたが、何と言っても大阪が41位で下から7番目と大きく印象と違いました。ここでは特に大阪がイメージと離れましたが、酒豪県の中でも必ず下戸の人はいるわけです。お酒の席では、くれぐれも「君、〇〇県なのに飲めないのぉ~」と強要するのはやめてあげて下さいね。
●渡来人が多かった地域で下戸が多い傾向が見えてくる
2010/7/31:酒豪割合の全国分布を見渡してみておもしろいのは、近畿地方を中心にそこから東西、南北方向に離れるほど、酒豪の比率が段階的に高くなっているということ。都道府県でバラバラで傾向が全然見えない…という漢字ではなく、結構わかりやすく傾向が見えているんですね。
この遺伝子の研究を行った元筑波大学教授の原田勝二さんによると、まず、酒豪型遺伝子の出現率を調べたところ、白人(ドイツ、スウェーデン、フィンランドなど)、黒人(スーダン、ケニアなど)ともにほぼ100%だったものの、黄色人種は明らかに低い…ということがわかりました。
特に東アジア地域での低さが目立ち、中国南部あたりで突然、遺伝子が変異し、酒に弱い下戸が生まれたと考えられます。そして、日本国内での分布の違いは、日本に渡った渡来人が中央権力のあった近畿地方を目指しながら、九州北部から瀬戸内、近畿、中部などに多く移り住んだため、その「移動ルート」にあたる地域には下戸が増えたと推測していました。
●酒豪型遺伝子をベースに、渡来人の移動ルートを推測してみよう
ところで、上記で出てきた「移動ルート」というのは、おそらく九州から中国地方を通って近畿地方に行ったという意味だと思います。実を言うと、酒豪ランキング上位に顔を出していた九州も、北部に限れば酒豪型遺伝子は少ないのです。そこで酒豪型遺伝子から、断定的にこのルートを特定してみました。
まず、渡来人が多く来たと考えられるのが九州北部。以下のように、酒豪が多いとされる九州でも北部は明らかに下戸が多いのです。
<九州北部3県は酒豪が少ない>
28 福岡 57.8
31 佐賀 56.3
31 長崎 56.3
<その他の九州4県は酒豪が多い>
2 鹿児島 71.4
9 熊本 64.3
17 大分 60.2
17 宮崎 60.2
そして、中国地方では山口県を通った後中国地方、北部ではなく中国地方南部、瀬戸内海側をより多く通って、近畿地方に達したように見えました。渡来人説だけ聞くと酒豪遺伝子の違いは本当かいな?ってな話なのですけど、こうやっていきれいに移動ルートが見えますので、もっともらしく感じてしまいます。
<中国地方で酒豪が少ない3県>
31 山口 56.3
39 岡山 53.8
42 広島 52.4
<中国地方で酒豪が多い2県>
23 鳥取 58.5
23 島根 58.5
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