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巷のリーダーシップ論は間違い リーダーに必要な能力は既に研究で判明済み


 「巷のリーダーシップ論は間違い」という攻撃的なタイトルになってしまったのですけど、要するにリーダーに必要な能力については既に研究が進んでいて、かなりのことがわかっているという話。

 リーダーシップ論に限らず、その人の経験談による主張というのは、科学的根拠がありません。論文があれば論文が優先なのです。特にリーダーシップ論の場合は統計的にも証明されており、信頼性が高そうでした。(2018/02/16)


●適材適所で社長を変えてきたカカクコム

2018/02/16:リブセンス村上さんとクックパッド穐田さんが立ち上げた『STARTUP50』が注目な件とカカクコムのこれまで|インターネット界隈の事を調べるお(2013年12月06日)というページを読んだのですけど、『STARTUP50』については「とても気になる」というだけでそれ以上の話はありません。

 その後、『STARTUP50』は始動したものの、ツイッターの更新は2016年2月1日が最後で今もやっているかどうかもわかりませんでした。


 ただ、おもしろかったのが、カカクコムに関する話です。穐田誉輝さんはジャフコ、カーチスでファイナンス・事業両面を経験後、カカクコムに参画し、一部上場まで持っていき退任。当時はクックパッドの経営をやっていました。

 カカクコムは現在の田中さんが三代目社長であることについて、"スイッチの経緯はそれぞれでしょうが、会社のステージにおいて最も適した方に引き継いでいるように感じます"と書いていたのです。

 上の世代では俺様カリスマ社長が目立つので意外なのですけど、最近起業家の人と話すと、「○○のステージになったら自分は向いてないから後継者に引き継ぐ予定」という事を言う人も多いといいます。

 作者は、0から1にする能力と1から10にする能力、10から継続的な成長を実現する能力ってのは全く異なることを指摘。この視点は、この後紹介する研究に合うものだなと思って紹介したくなった…というのが、今回書き始めた理由です。

 なお、"カカクコムのケースは一つのケーススタディとして貴重かもしれない"と作者はしていました。一方、当時穐田さんが、"創業者の佐野さんから経営を引継ぎ"いでいたクックパッドの方は、その後、創業者によって追い出されてしまいました。
(関連:佐野陽光の独裁進むクックパッド 社員7割は穐田誉輝の社長復帰を望み署名活動)


●巷にあふれるリーダーシップ論がほぼ間違いである理由

 では、リーダーシップの研究の話。実を言うと、これは最初、適材適所は夢か幻想か?IQの高い人は大体何でもできるという研究の残酷性で書いていたもの。ただ、リーダー論をメインテーマとしていなかったので追記に向かず、別に一つ作っておくことにしました。

 なぜ巷にあふれるリーダーシップ論はほぼ間違いだと言えるのか?というと、こうしたリーダーシップ論では、良いリーダーと悪いリーダーしか想定していない場合がほとんどのためです。

 現実はもっと複雑。ある場面において優秀なリーダーが、別の場面においては無能となるといったことが起きます。言われてみれば当たり前だと思うかもしませんけど、実際には、リーダーシップ論を語る人がこの点に触れていることは少なく、ただ優れたリーダーの能力にだけ注目してしまっています。


●リーダーに必要な能力は既に研究で判明済み

 西内啓東京大助教によると、こういった良いリーダーに関する考え方を「状況適合理論」と呼ぶそうです。心理学者らの多くは「良いリーダーとそうでもない者の違いはどこにあるか」ではなく、「どのような状況ではどのようなリーダーが機能するのか」という、状況とリーダーシップの相性問題に注目。これは古くは1960年代から研究されていた状況適合理論という考え方です。

 こうした点に着目した比較的メジャーな理論の1つに、ロバート・ハウスという方の開発したパス・ゴール理論と呼ばれるものがあるそうです。この名前は、良いリーダーがパス(道筋)を示してメンバーのゴール(業務の達成)を助ける、という考え方に由来しています。

 このパス・ゴール理論においてはリーダーは以下の4つに分類されるそうです。

1.指示型リーダー(やるべきタスクとスケジュールを整理し達成方法を具体的に指示)
2.支援型リーダー(親しみやすく部下の希望に配慮)
3.参加型リーダー(部下に相談し彼らの提案を活用して意思決定)
4.達成志向型リーダー(達成困難な目標を示し部下に全力を尽くすよう要求)
(『統計学が最強の学問である[ビジネス編]』第2章 人事のための統計学(2) 一般知能と状況適合理論|ダイヤモンド・オンライン  2016年10月12日 西内 啓 より)


●ケースによって優秀なリーダーの定義は変わる

 前述の通り、このリーダーはすべての組織で能力を発揮できるわけではありません。例えば、新規事業開発のような、何をどこから手をつけていいかわからないような業務では、指示型リーダーが具体的にタスクを整理することで業務は捗り、部下の満足度は高くなります。

 ところが、こうした業務で成果をあげた指示型リーダーが、コールセンターや経理処理などの定型的な業務を行なう部署に来ると、「細かいことまでいちいちうるさい」と部下の満足度と生産性を下げることにもなりかねないといった具合。こうした場では支援型リーダーに部下の気持ちをケアさせたほうが生産性が向上しやすいのです。

 また、先の新規事業開発でも、必ず指示型リーダーが優秀とは限りません。例えば、部下たちの能力が十分に高く、そのことに自負もあるようなメンバーであると、「細かいことまでいちいち指示されたくない」と生産性を下げてしまいます。こうした場合は参加型のリーダーとして、部下たちの提案をうまくまとめられるほうが良いリーダーになる…といった具合に、そのケースによって優秀なリーダーの定義は異なってくるという理論なのです。

 こうした問題ですぐ「断定」してしまうのは非科学的なのですけど、パス・ゴール理論から導かれる仮説は、統計学的な実証研究によっても概ね肯定的に裏付けられているということで、かなり信頼して良さそうな感じでした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■適材適所は夢か幻想か?IQの高い人は大体何でもできるという研究の残酷性
  ■佐野陽光の独裁進むクックパッド 社員7割は穐田誉輝の社長復帰を望み署名活動

【関連投稿】
  ■リーダーの資質はただ1つ リーダーにしてはいけない人の条件は3つ
  ■諸葛亮(諸葛孔明)は典型的ダメ上司 部下ができないと嘆くリーダーは無能
  ■指示待ち人間批判の愚かさ 電通の鬼十則は努力・根性・忍耐
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