★2010/7/15 なぜか比例は強い民主党
★2010/7/16 比例は過去最低だった自民党
★2010/7/15 なぜか比例は強い民主党
皆さんご存知の通り、2010年の参議院議員選挙は与党民主党の敗北となりました。
民主50議席割り込む 首相は続投伝達 産経新聞 2010/07/12から選挙結果を引用すると、民主党は菅直人首相が勝敗ラインと位置づけた「改選54議席+α」に達しないだけでなく50議席を割り込むということになりました。
また記事では、民主党について、「与党系の非改選議席は66で、参院での過半数(122)維持には今回56議席が必要だったが、民主党は29ある改選1人区を中心に選挙区で苦戦。
比例代表でも伸び悩んだ」と書いている一方、自民党は「改選38議席を大きく上回り、50議席台を確保した」と書いています。
ところが、こういった印象と逆になってしまうのですが、比例代表での当選者数は民主党が16人、自民党が12人となり、民主党が自民党に勝っているのです。
伸び悩んでも自民党に勝ってしまっており、ここらへん「意外だ」という声もネットを見ているとありましたが、実は民主党は元々比例では強かったのです。
2004年,2007年の参議院議員選挙では、当選者の数自体自民党を上回っていますので、当然と言えば当然ですが、比例でも自民党に勝っています。(2004年 民主比例19 自民比例15、2007年 民主比例20 自民比例14)
一方の衆議院議員選挙は、昨年は民主党が勝っているに決まっていて、その前の2005年の郵政選挙はさすがに自民党が勝っています。(2005年 自民比例 得票率 38.18% 議席 77、民主比例 得票率 33.9% 議席 61)
しかし、おもしろいのがその前の2003年の第43回衆議院議員総選挙です。これは合計なら自民党が237議席、民主党が177議席と、自民党が大きく上回っているのにも関わらず、比例に限って見ると、自民党が69議席(得票率34.96%)、民主党が72議席(同37.39%)と逆転しているのです。
つまり、2003年以降の国政選挙で民主党の比例獲得議席が自民党に敗れたのは2005年の郵政選挙のみで、全体では負けている選挙でも比例では勝っていることすらあるということです。(ついでに言うと、野党時代でもよく比例は勝っていたということです)
これは不思議と言えば不思議なんですけど、民主党の問題……というよりは、自民党の問題の方が大きいのかもしれません。
まず一つは、比較的票の格差が出にくい比例区に対して、選挙区では票の格差が大きくなること。票の価値が相対的に大きくなるのは、人口の少ない地域=地方であり、自民党が地方に強い政党であるため、このような結果になるんだと思います。
そしてもう一つが、現状の選挙制度が事前の知名度がある方が有利=現職有利であること。そのため、現職の多かった自民党が選挙区では比例以上に勝ちやすくなるというのも考えられます。
また、知名度ということですと、世襲も大きなアドバンテージになりますので、かつて世襲の多かった自民党に有利に働いたというのも、あったのかもしれません。
あとは単純に選挙区では入れたい候補、入れても受かる候補の選択肢が少ないということ。消極的選択肢が自民党の方に集まり易いということ。今回は特に「民主党への批判」が大きなテーマでしたので、消去法的に自民党という選択は多かったものと思われます。
このうち票の格差については他でも言われていますのでほぼ間違いないと思いますが、知名度説を他の方が言っているのはあまり聞いたことありません。
昨年の衆議院議員選挙では現職の小泉チルドレンがほとんど落選しましたが、大きな争点があるとそちらが優先すると考えた方が自然ですし、1期限りでは大きなアドバンテージになり得なかったというのも考えられます。まあ、飽くまで「有利」ですしね。
そこら辺はまた次の衆議院議員選挙を見て、確かめたいと思います。
今回の話も半分自民党が主役になっちゃいましたが、明日はより自民党に焦点を合わせた話をすることにして、今日はここで終わりにします。
★2010/7/16 比例は過去最低だった自民党
昨日は民主党を中心とした話でしたが、今日は自民党を見ていきます。
強力な「保守政党」再結集を急げ 産経新聞 2010/07/15 拓殖大学大学院教授・遠藤浩一によれば、自民党は51議席を獲得し、自民党幹部の表情は久しぶりに明るかったものの、実は昨日書いたように比例では依然として民主党の後塵(こうじん)を拝しているのです。
さらに驚くべきは、自民党が比例で獲得した1407万票という得票は
今世紀に入ってからの比例得票としては最低で、昨年総選挙より474万票、3年前の参院選より247万票減らしているんだそうです。
これは昨日見た自民党の獲得議席でも同様で、2004年が15議席、2007年が14議席、そして今年2010年が
12議席というわけで、下げ止まっていません。
ということで、「勝利」したような雰囲気の自民党も本当に「勝利」していたのか?と考えると、少し怪しいものがあります。(余談ですが、元記事はタイトルの通り、自民党、みんなの党、たちあがれ日本、新党改革、創新党など非民主保守系政党の得票を合計すると、2500万票近くになるので、保守勢力の再結集に取り組むべきという内容でした。しかし、今回躍進したみんなの党などは自民党じゃできないので飛び出したわけですから、元に戻っても変わらずに票を得られるかは疑問です)
比例では負けた自民党がなぜ小選挙区で勝てたの?という話は、この記事によれば「オール保守」の勝利です。
また、記事によっては保守票ではなく、自公時代のように公明票が入ったのでは?というものもありました。自公連立のときの小選挙区と比例での大きな差は、これが最もわかりやすい説明でした。
そして、昨日の話だと、「票の格差の問題」「現職有利のせい」「消極的選択のせい」(これがオール保守かも?)ということです。
このうち、「票の格差の問題」でおもしろいなぁ、なるほどなぁと思ったのが、
格差問題@一票の価値 Chikirinの日記です。
これは選挙区の候補者を獲得した票の多い順に並べて、「もしも、得票数の多い順に当選していたらどうなっていたのか」を見たものです。
「票の格差」を是正したときに、当然そのまんまの結果になるわけではありませんが、ある程度の傾向は見えると思います。
なぜかと言うと、「票の格差」を是正すると、現在の1人区が2つで1議席になるなど当選者が少なくなり、現在の議席の多い区ではさらに議席が増えるので、今まで落ちていたような人も当選するようになるからです。
で、結果どうなるかと言うと、39議席獲得して「勝利」したはずの自民党は28議席に激減します。
一方、民主党はあまり変わりませんが、28議席から30議席に微増で、自民党を上回ってしまいます。
最も顕著に伸びたのはみんなの党で3議席から9議席に激増、獲得0だった共産党も3議席に増加します。(他は増減なし)
まあ、先程書いたようにこのまんまなるわきゃないのですが、今の選挙区が自民党に有利に働き、他に不利に働いているというのは、事実なようです。
そして、これが今回の選挙で自民党が「勝利」した一番わかりやすい説明だと思います。
私は比例であれだけ伸びなかった自民党が、なんでこんなに増えたのか不思議でたまらなかったのですが、この表を見て合点が行きました。
まあ、じゃあ、今の選挙区がけしからんかと言うと、一人区や二人区が多い現状は二大政党を生み出しやすいものになっていますので、そういう観点から見ると悪くないのかもしれません。(個人的には二大政党制は嫌いですが)
ただ「票の格差」は絶対に不公平ですから、そこは修正されるべきだと思いつつ、今日はここで終わりにします。
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