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大阪大・国立循環器病研究センター・野尻崇医師が捏造や改ざんの不正と発表


2020/08/21:
●大阪大・国立循環器病研究センター・野尻崇医師が捏造や改ざんの不正と発表
●不正認定は5論文だが、告発では21論文 他も調査中で増える可能性
2020/08/30:
●先進医療の安全性の根拠論文が不正認定、別の根拠論文でも不正か?
2020/09/24:
●大阪大が臨床研究継続を発表も、事実上の中止?安全性のみ確認
2021/01/14:
●追加の不正調査の遅れで、「先進医療」の臨床研究が中断に?
2021/01/31:
●根拠論文でも不正確定で先進医療の臨床研究中止 健康被害10件報告
●不正で図表計8項目でホルモン剤の有効性を誇張…などを確認


●大阪大・国立循環器病研究センター・野尻崇医師が捏造や改ざんの不正と発表

2020/08/21:大阪大と国立循環器病研究センター(国循)が、以前所属していた野尻崇医師が発表した論文5本に捏造(ねつぞう)・改ざんがあったと発表します。野尻さんは阪大病院で医師をしていたほか、国循生化学部の室長を務めていたそうです。

 今のところ不正があったと認定されたのは5本なのですが、野尻さんが筆頭著者や責任著者となった論文21本に不正があるとの指摘が第三者からあったことが調査のきっかけだといいます。調査では、元データとなるカルテの数値と論文のグラフの数値が異なっていたり、元の計算結果と異なるデータで作図されたりしていることが判明しました。

 阪大などによると、野尻さんはミスだとして不正を認めていないそうです。ただ、疑いを覆すデータは示されなかったため、研究不正と認定。すでに阪大も国循も退職していますが、阪大は懲戒解雇処分に相当するとしています。一方で、論文の共著者については不正への関与は認められていません。
(「医師が論文5本で捏造や改ざん」 阪大と国循が発表:朝日新聞デジタル 瀬川茂子、杉浦奈実、後藤一也 2020年8月18日 21時08分より)


●不正認定は5論文だが、告発では21論文 他も調査中で増える可能性

 別記事の阪大病院の元医員で国循元室長が論文5本改ざん 懲戒解雇相当の処分に 毎日新聞2020年8月18日 20時55分(最終更新 8月18日 21時51分)によると、阪大と国循は今後、研究助成金の返還を求める予定。ただし、研究助成金は約6万円程度であり、金額としては大したことがありませんね。また、論文の取り下げも勧告するそうです。

 阪大などによると、不正を認定したのは、肺がんの手術や抗がん剤治療の際、薬剤を投与すると合併症などが減るとした論文5本(2013~16年発表)。国循は、告発された21本以外の5本についても、不正の可能性があるとみて調べている最中。不正をする人は多くやっていることが一般的なため、認定は今後増えるかもしれません。

 不正論文の具体例の話もあります。例えば、ホルモンを投与した患者は術後の炎症が少なくなるとした論文では、元データとなるカルテとは異なる数値を使うなどし、実際よりも効果があるように見せかけていました。また、抗がん剤に対するホルモンの保護作用を動物実験で確かめた論文でも、薬剤の効果が大きくなるよう不正が加えられていたということでした。


●先進医療の安全性の根拠論文が不正認定、別の根拠論文でも不正か?

2020/08/30:私は「名前が悪い」といつも書いているのですが、「先進医療」というものがあります。これは最先端を行く最も良い治療法という意味ではありません。有効性と安全性が十分に確認できておらず、保険の適用範囲にはできないものの、ある程度有望な治療法であるために、例外的に普通の治療と併用して受けらる治療法のことを言います。

 野尻崇医師の不正論文については、実はこの「先進医療」に関わる論文がありました。そして、これが「有効性と安全性が十分に確認できていない」に関わってきます。「先進医療の中止も想定」 阪大の研究不正で国審査部会:朝日新聞デジタル(後藤一也 2020年8月21日 7時30分)という記事も出ていたのです。

 阪大の報告によると、捏造や改ざんがあった5本の論文のうちの1本は、先進医療の安全性の根拠になっている論文でした。肺がんの手術前後の患者に心不全の薬「hANP」を注射することで、がんの転移による再発を抑えられるかを調べるのが目的の研究に関わるものだったようです。

 これとは別の論文という意味だと思うのですが、先進医療をするための根拠となった最も重要な論文についても疑義が出ているともいいます。そのため、厚生労働省の先進医療技術審査部会は2020年8月20日、その論文が根拠の一つとなった先進医療について、「中止も想定しないといけない」と指摘。この論文の科学的な妥当性について、次回の部会までに報告するよう求めていたそうです。

 今回の件で本当に先進医療が中止となるかは不明。また、不正疑惑という特殊な理由でもあります。ただ、前述の通り、そもそも先進医療というのはその定義からして、「有効性と安全性が十分に確認できていない」というものなので、不正ではなく、ミスなどでも同様のことは起きるでしょう。「優れている」という誤解を招きやすい「先進医療」という言い方はどうかと思いますね。


●大阪大が臨床研究継続を発表も、事実上の中止?安全性のみ確認

2020/09/24:その後、臨床研究を継続 大阪大、論文不正問題受け  :日本経済新聞(2020/9/10 21:24 (2020/9/11 6:11更新))という記事が出ていました。「臨床研究を継続」とあるものの、これはたぶん問題なしという意味ではないと思います。わかりづらい書き方をしていました。

 記事では、<大阪大は10日、論文をもとに実施している臨床研究を、患者の安全性の確認に限って継続することを同日開かれた厚生労働省の部会に報告し、承認された>と記述。「新たに投与する予定もない」とされていたので、これ以上投与しないし、当初の目的だった有効性も確かめないが、すでに投与してしまった人に問題が出ていないかだけ観察するという意味じゃないかと思われます。この解釈で良ければ、事実上の中止に近い内容ですね。

 なお、不正があったと大阪大が認定した論文は、は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を合併した肺がん患者に心臓から分泌されるホルモンを投与すると、手術後の血液中の炎症反応などが抑えられるという効果に係る論文という説明。カルテのデータを使っても論文中のグラフを再現できず、不正となりました。

 ただし、この論文は、「臨床研究の参考データとして使われていた」とのこと。やはり最も中心的な論文ではなかったってことかもしれません。この記事でも別の重要論文に触れており、<元医員が執筆した別の論文も臨床研究計画の根拠となっており、大阪大はこの論文に不正がないか調査中だ>とされていました。


●追加の不正調査の遅れで、「先進医療」の臨床研究が中断に?

2021/01/14:その後の2020年12月10日に、阪大、臨床研究中断 不正調査遅れで: 日本経済新聞という記事が出ています。大阪大学は、不正が判明した医員が行っていた治療法の有効性を示す根拠となる論文など5本について追加で調査を進めていましたが、記事のよると、この論文不正の調査結果の年内の報告を条件に、厚労省の部会は「先進医療」の臨床研究の継続を9月に認めていたそうです。

 ところが、報告は年内には間に合わず、21年2月ごろになる見通しとなったことから、阪大病院は臨床研究の中断を部会に報告し、部会が承認。年内の臨床研究再開はできませんでした。本文には不正調査が遅れたという文面はなかったものの、これらを踏まえて記事タイトルは「阪大、臨床研究中断 不正調査遅れで」としていたようです。

 ただし、そもそも論文の不正調査は1年以上かかることも珍しくなく、時間がかかるものです。不正発表が8月で、それから使い調査なら年末まで4ヶ月程度で時間はほとんどありませんでした。不正調査は現状時間がかかりすぎとだは私も思いますが、臨床研究再開を目的に拙速にする…という方がよほど問題。急いで年内に終わらせなかったことは、むしろ良かったと思います。


●根拠論文でも不正確定で先進医療の臨床研究中止 健康被害10件報告

2021/01/31:前回2020年内で終わるのなら調査が早すぎと書いたのですけど、結局ほとんど変わらない2021年1月中で調査結果が出てきました。調査が早い場合、「不正なし」の結論ありきということが心配されますが、追加で調べていた5論文のうち2論文を不正との判断です。

 そして、そのうち1本は、心臓病の薬に肺がん転移を抑える効果があるかを調べる臨床研究の根拠になっていたもの。例の先進医療の臨床研究において大事な根拠論文でした。このため、大阪大学は臨床研究を中止することも決めています。不正論文によって、多くの研究費と研究者らの時間が無駄に費やされたと言えるでしょう。後述するように、臨床研究に参加した肺がん患者ももちろん悲惨です。

 今回、捏造・改ざんと認定された問題の論文は、2015年に米科学アカデミー紀要に発表されたもの。肺がんの手術の際に心臓病治療薬であるホルモン「hANP」を使うと、がんの転移を防げるとしていました。しかし、図や表に書かれていた実験データが元データと違うため、故意による不正と認定されています。

 この論文を根拠の一つとして、hANPを使う臨床研究が、公的医療保険がきく診療と併用できる「先進医療」として15年に始まっていました。しかし、実際には科学的根拠がなかったわけです。臨床研究では、すでに160人の肺がん患者が手術時にhANPの注射を受けてしまっていました。そして、臨床研究と因果関係が完全に否定できない健康被害が10件報告されているということで、相当罪深い研究不正だったのかもしれません。

(2021/02/03追記:不正論文もとに臨床研究、参加した患者に影響は?阪大:朝日新聞デジタル(2021年2月1日)によると、脳梗塞(のうこうそく)など治療後に起きた望ましくない「有害事象」10件は、注射によるものではなく、がんの手術自体が原因と判断して、研究を続けていたものだそうです)


●不正で図表計8項目でホルモン剤の有効性を誇張…などを確認

 なお、論文2本の責任著者である寒川(かんがわ)賢治元国循研究所長について、調査委員会は不正行為にはかかわっていないものの、管理責任があると判断したとのこと。また、大阪大学は17年の告発から中止の判断まで時間がかかったもとしており、ここらへん不正を行った当人以外にも問題があったことは否定できません。

 以上の情報は、論文不正、先進医療の臨床研究を中止 国循・阪大が発表:朝日新聞デジタル(2021年1月30日 )から。さらに、別記事国循、論文2本に不正認定 肺がん治療の先進医療中止  :日本経済新聞(2021/1/30 11:11)から、もう少し補足します。

 こちらによると、図表計8項目でホルモン剤の有効性を誇張するなどの結果になっていたとのこと。野尻医師は「故意ではない」としているのですが、有利に働いているところがありました。また、先進医療の臨床研究において、2年間の観察のうちに投与した人の再発率は低下しなかったともいいます。

 実を言うと、問題の2論文は17~18年に著者らが「誤り」として訂正を申し出て雑誌側が認めていたものだったとのこと。このときには問題の重要性について、深く考えていなかったんですね。調査委の委員長の仲野徹大阪大教授は個人的見解として「雑誌側も含め訂正時に撤回しておいた方がよかった」としていました。


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