ラグジュアリーブランド、プレミアムブランドの話をまとめ。<「プレミアム」と「ラグジュアリー」の違いは価格の高さではない>、<売れる高級ブランドと売れない高級ブランドの違い 二極化の理由は?>などをまとめています。
2023/07/18:
一部見直し
●「プレミアム」と「ラグジュアリー」の違いは価格の高さではない
2014/7/2:日経ビジネスオンラインによると、「ルイヴィトン」「エルメス」「シャネル」などのラグジュアリーブランドの好調さが目立っているそうです。しかし、これは単に高価格帯のブランドが売れているという意味ではありません。ラグジュアリーとマスの間に位置するプレミアム/アッパーセグメントとされるブランドでは、好調を維持しているブランドもあるものの、どちらかというと苦戦しているブランドが多いとのことでした。
ただ、こうした説明を読んでしまうと、「プレミアム」って何?「ラグジュアリー」って何?という話になってくるでしょう。これを紹介した記事はそもそも
「プレミアム」と「ラグジュアリー」の違い、知ってますか(日経ビジネスオンライン 福田 稔 2014年5月12日)というもの。そして、作者の福田稔さんはこの二つの違いをスパッと説明してくれていました。価格、歴史、顧客、品質などなどではなくブランドの作り方の違いがポイントであり、それぞれ以下のような意味だそうです。
<プレミアムブランド>
基本的に従来のマーケティングの考え方、すなわちSTP(セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング)がブランド戦略の中心にある。セグメンテーションとターゲッティングはどのように市場を細分化しどのセグメントを狙うか、そして、ポジショニングとは競合に対してどのように差別化するかという考え方。一般的に世の中で語られているマーケティング理論によって作られている。
<ラグジュアリーブランド>
こちらは作り方が全く異なっており、ブランドの根幹は、あくまでデザイナーやメゾンの世界観。極論を言えば顧客も競合もブランドの根っこの部分では意識していない。ラグジュアリーブランドの立ち上げにおいては、そのブランドでしか味わえないオンリーワンの世界観を築くこと、作り手の主観を徹底的に磨き上げることが何よりも重要になる。
これらをより乱暴に簡単にして言うと、プレミアムは顧客やライバルありき、ラグジュアリーはブランドありきで作っているという違いみたいですね。
●ラグジュアリーが苦戦しづらい理由は、そもそも競争しないため
前述の通り、「ルイヴィトン」「エルメス」「シャネル」など好調なブランドがある一方で、苦戦しているブランドもあります。普通の記事だと高価格帯ブランドでも「勝ち負けくっきり」「二極化」みたいなまとめにしかならなそうですけど、前述の「プレミアム」と「ラグジュアリー」の違いという観点で見ると傾向が見えるようです。
「ラグジュアリーブランド」が苦戦しづらい理由は、上記の定義からすれば当然かもしれません。顧客は、その世界観に惚れ込んで購入するのであり、そこには他ブランドとの相対的評価は入り込む余地は少ないということでした。ライバルがそもそも存在しない形なんですね。
このことは、多少の価格差で顧客が購入を悩むようなことは、一般的なブランドと比較すると遥かに少ないとも言えます。この顧客を熱狂させその世界観の中に閉じ込めて他と比較させないことこそラグジュアリーブランドの強みであり、価格競争に陥りにくいという点でビジネスとして魅力的だとしていました。
●日本はプレミアムを作れるがラグジュアリーブランド作りは苦手
一方のプレミアムブランドは、他者との比較で成り立っているために問題が起きることがあります。前述の通り、プレミアムブランドの値付けはポジショニングが戦略の根本。ラグジュアリーが相対的評価は入り込む余地は少ないのとは逆に、そもそも比較によって作られているブランドのため、常に相対評価にさらされる運命にあります。
これにより、日本で近年百貨店チャネルをメーンとした高価格帯のDCブランドやセレクトショップの高価格帯ラインが苦戦している理由もわかります。ファストファッションの流行により、消費者が低価格の衣料品に慣れてしまった結果、プレミアムブランドがつけられる価格帯、ポジショニングが下がってきたと説明されていました。
前述の通り、プレミアムブランドは相対的な値付けの仕方をしているため、全体の価格が下がれば、プレミアムブランドの価格も下げなくてはいけない…ってことみたいのですね。しかし、ラグジュアリーブランドはそうはなりません。もともと他社の価格と比較して値付けしているわけではないためです。
そして、ラグジュアリーブランドの場合、価格が下がるどころか、オメガのようにクォーツ式を機械式にかえ、デザインを改め、細部を作り込み、時計にストーリーを与え、その世界観を徹底的に磨き続けた上で、どんどんと値上げしながらも売れ続けているというところすらあるといいます。
なお、日本の企業はこういったラグジュアリーブランドを作り上げることが苦手だという話もあり、これはたいへん残念なこと。以前やった
30万円の高級なお茶を売るロイヤルブルーティー 海外からも注文なんかの考え方なんかは良い線行っているんじゃないかと思いますので、この分野でも日本企業の活躍を期待したいです。
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