開かずの踏切に関する話をまとめ。<死亡事故を誘発する危険な「開かずの踏切」、なぜ存在するのか?>などをまとめています。
2022/10/10まとめ:
●列車の安全確認中の踏切内を人々が次々横断…で予想外の批判 【NEW】
●実はちゃんとした定義がある「開かずの踏切」、国土交通省が使用
2018/10/03:「開かずの踏切」というのは俗称で定義などはないように思えます。ただ、きちんと定義されて公的機関でも用いられる言葉のようです。個人的には意外な話でした。
Wikipediaでは、以下のように説明がされています。
・遮断機が降りた状態が長時間続き通行が困難な踏切の通称。
・線路が多く運行本数が多い踏切や駅に近い場合に開かずの踏切となりやすい。
・国土交通省(旧・運輸省)では、「ピーク時の遮断時間が1時間あたり40分以上となる踏切」と定義している。
開かずの踏切は、1999年度に日本全国に約1,000箇所ありました。しかし、近年は急激に減少。2007年度には約600箇所まで減っています。抜本的な対策としては、線路や道路の立体交差化(高架化・地下化)による踏切の除却です。
ただし、立ち退きや工事騒音や日照権問題などによる住民の反対、財政状況の悪化、地価や資材価格の値上り、既設路線を運行しながらの工事により、事業に莫大なコストと時間がかかる実態は依然として解消されていないとのことでした。
●「開かずの踏切」で死亡事故 我慢できない人が一番悪いが…
2015年に東京都足立区の東武伊勢崎線(スカイツリーライン)竹ノ塚駅近くの踏切で、急行列車軽自動車が衝突する事故がありました。列車の運転士や乗客約千人にけがはなかったものの、車を運転していた25歳の会社員は死亡しています。
この事故がなぜ起きたのか?について、警視庁竹の塚署や東武鉄道は、車が遮断機が下りた後で踏切内に進入したためと見ています。同踏切はいわゆる「開かずの踏切」。踏切を監視していた警備員が非常ボタンを押し、列車が緊急停止したものの、列車の側面に車がぶつかってしまい事故となりました。というか、監視しているんですね。知りませんでしたわ。
(
開かずの踏切でまた事故 東京・足立、軽の男性が死亡 :日本経済新聞 2015/3/1付より)
亡くなった会社員は自業自得であり、我慢できない人たちが一番悪いのはたしかです。とはいえ、こうした開かずの踏切は事故を誘発するものとなっているとも言えるでしょう。できることなら、開かずの踏切をなくせることが一番望ましいです。
国土交通省も「開かずの踏切」など、事故の恐れが指摘されていたり、交通渋滞を引き起こしたりする問題のある踏切について、改良が必要として安全対策を取るよう求めていました。
(
まず58カ所を指定…鉄道・自治体に対策要求 毎日新聞2016年4月12日 20時39分(最終更新 4月12日 21時28分)より)
●死亡事故を誘発する危険な「開かずの踏切」、なぜ存在するのか?
そんな危険な踏切を作るなんて許せない!って憤る人も少数ながらいるでしょうけど、当然こうした踏切ができてしまうのは理由があるんですよね。「開かずの踏切」ができてしまう理由というのも当然ながらあり、「開かずの踏切」すらない方が困る…ということもあります。
先のWikipediaによると、大都市圏を走る鉄道路線の朝夕の通勤ラッシュ時には、列車の運行数がきわめて多いため、踏切の遮断時間が長く、特に通過路線が多い踏切では列車の踏切通過が重なり開かずの踏切になりやすいと説明されていました。2007年度にあった開かずの踏切約600箇所のうち、半数にあたる約300箇所は東京都内であるのはこれが理由です。
上記の理由に加えて、駅至近の踏切では、停車列車の過走防護のため電車が踏切を通過するかなり前のホーム入線時から遮断機が下りていることが多く、遮断時間がより長くなってしまいます。電車が来てないのになぜ?と思いそうなところですが、止まれない・止まらないというリスクがあるんですね。安全上致し方ないのです。
さらに、踏切を作らずに線路や道路の立体交差化をしようとすると、前述の通り、高コストであることなどの問題があり、こうした危険な踏切を放置せざるを得ないといった状況のようでした。ただ、人命に関わる問題でもありますし、政権の趣味みたいなことにお金を使わず、こういった問題にこそ政府が積極的に支援して税金をつかうべきではないかとも思います。優先順位が変ですよね。
●列車の安全確認中の踏切内を人々が次々横断…で予想外の批判
2022/10/10追記:別のところでも使った話が、「開かずの踏切」問題に絡む話でしたので、こちらにも追記。「先頭が入るのを見て10人は続いた」線路内に次々と立ち入る歩行者、動画拡散「ゾッとする」 JR東日本「絶対にやめて」>(22/10/7 17:44配信 弁護士ドットコムニュース)という記事が出ていました。
<開かない踏切に業を煮やした歩行者が、相次いで線路内に侵入する様子がツイッターに投稿されて、「危ない」と物議をかもしている。JR常磐線の貨物列車が30分ほど緊急停車したことが原因のようだ>
<動画では、踏切が降りた線路内に貨物列車が停車している。警報がカンカンと鳴り続ける中、踏切をくぐったりして、何人かが踏切の中に立ち入り、なかには貨物列車を乗り越えて行く姿も確認できる>
<JR東日本によると、停車していたのは、全長約400mの貨物列車だ。
「10月6日、18時19分頃、貨物列車が前方の三河島道踏切内の停止信号を認め非常停車しました」
停車の原因もまた人(人数や年齢や性別は不明)の立ち入りだった。ただし、彼らはすぐに線路外に出たというが、「この際、停車した場所が車両点検(架線と架線のつなぎ目)が必要だったため、車両点検を実施し運転を再開しました」ということから、約30分の遅れで運転を再開したという>
https://news.yahoo.co.jp/articles/46f93bfa916f7430c2c86b8c568238cc87cc25df
当然ながら、この動画を確認したJR東日本は、「危険であり、絶対にやめて」と呼びかけ。貨物列車の間をすり抜けて向こう側に渡るってのは特にヤバそうですね。しかし、民度の低いコメントが多いことで知られるヤフーニュースでは、停車時間を短くしてほしいと要望するコメントが1番人気になっていて驚きました。
<この行為は絶対にしてはならないけど、気持ちは分からないでもない。
人身事故等で1時間以上踏切が閉鎖されることもある。(その踏切には電車は止まってない)
当然、付近は人も車も大渋滞。
特に車は動きようがない。
大変だとは思うけれど、鉄道会社も、そういう時は、開かずの踏切状態の踏切を何とかして欲しい>
普通の開かずの踏切であれば、鉄道会社にどうにかしてほしいと願うのはまだわかります。しかし、今回のケースは上記で説明があったように民度が低い人のせいで安全確認が必要となった…というものですから、大きくケースが異なるもの。コメントの人が出した例も「人身事故」という特殊事情です。
ヤフーニュースの専門家コメントでフリーライターの小林拓矢さんは、「安全確認で人がいるかどうかをチェックする必要も出て、踏切を開くのがさらに遅れる」と指摘。民度の低い行動が出てくるとその行動でまた対応が必要になってさらに時間がかかる…という悪循環となりそう。あちこちに民度の低さを感じる話でした。
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